【基本情報技術者試験】表計算を攻略するポイントとおすすめの参考書・講座

7月 31, 2020基本情報技術者試験

基本情報技術者試験において、プログラミング未経験であれば、午後試験の「ソフトウェア開発」の選択では「表計算」を選ぶ人が多いでしょう。

しかしそんな「表計算」ですが、決して簡単な内容ではありません。そこでこの記事では

  • 表計算を攻略するためのポイント
  • おすすめの参考書と講座

を中心に、解説したいと思います。

Contents

結論。表計算を攻略するポイント

表計算を攻略するポイント

  • プログラミング未経験なら「表計算」が一番攻略しやすい
  • プログラミング未経験でも攻略しやすいが、簡単なわけではない
  • 抑えるべきポイントは6つ
  • マクロの問題を捨てるべきかは戦略によるが、マクロは捨てない方向がおすすめ
  • 「マクロのわかりやすいさ」重視なら、おすすめの参考書は「基本情報技術者 表計算とっておきの解法
  • 講座を使うかは戦略や試験までの余裕と相談。時間があるなら独学がおすすめ

それでは、詳細を解説していきます。

表計算の特徴

プログラミング言語未経験でも勉強しやすい

表計算の最大の特徴は「プログラミング言語未経験でも勉強しやすい」ところです。

基本情報技術者試験で問われるプログラミングの問題は、論理的な思考力や午前試験の基礎知識だけでなく、個別のプログラミング言語に関する知識が求められます

設問に解答するだけの知識であれば、実務で要求されるほどのプログラミング能力は求められませんが、プログラミングの学習をゼロから進めるとなると、かなりの時間がかかることも事実です。

一方、基本情報技術者試験の「表計算」で登場する表計算ソフトは、基本情報技術者試験のために用意された架空の表計算ソフトです。Microsoft Excelが使いこなせればより理解が早いのは確かですが、「表計算」の学習のスタートラインは、業務・学習経験の影響を受けにくいという特徴があります

そういった意味で、「表計算」は「経験者でも未経験者でも比較的平等」なレベルから勉強が始められるため、プログラミング言語未経験者向けの分野となっています。プログラミング未経験の場合、実質的に唯一の選択肢のような存在が「表計算」ともいえるでしょう

表計算の学習が簡単なわけじゃない

「プログラミング言語未経験者は表計算」というのは、基本情報技術者試験では常識的な知識ではありますが、決して「表計算は試験問題が簡単」という意味ではありません

後述しますが、試験問題の主に後半で登場する「マクロ」などは例年正解率は低く、理解されにくい傾向があります。プログラミング言語の経験者でも、簡単に解けるとまではいえません。

ですので「表計算を選んだ=勉強時間は割かなくていい」というわけではありませんので、地道な学習は必要となります

おさえるべきポイントは6つ

ポイント① Microsoft Excelと2つの違いを理解する

表計算ソフトの中でも最も、Microsoft Excelは最も普及しているものの一つだと思います。IT関連の学習未経験者でも、ほとんどの人が使ったことがあるかと思います。

基本情報技術者試験の「表計算」は、Microsoft Excelの知識が使えない試験ではありませんが、試験に登場する表計算ソフトとMicrosoft Excelには差異があります。試験対策に挑む前に、簡単に違いをおさえておくと効果的です。

関数名は日本語表記

関数名は基本的に日本語表記となります。

例えば、合計を求める関数の場合は以下のようになります。

合計を求める関数の例

  • Microsoft Excel
     SUM(A1:A10)
  • 基本情報技術者試験の表計算ソフト
     合計(A1:A10)

このように、基本情報技術者試験の表計算ソフトでは、関数名の部分が日本語となっています。日本語ですので、意味は推測しやすいですが、既にMicrosoft Excelで関数に慣れている人は覚え直す必要があります。

計算式に「=」をつけない

先ほどの関数を実際に利用する場合、Microsoft Excelでは以下のようにします。

=SUM(A1:A10)

一方、基本情報技術者試験の表計算ソフトでは式に「=」をつける必要はありません。基本情報技術者試験は記述式ではなく、選択式なので解答の際にうっかり「=」をつけてしまうことはないと思いますが、この点も注意が必要です。

ちなみに、これらの違い以外に「セル範囲の表記方法が「:」ではなく「~」で表記される」というものがありましたが、平成27年秋季試験から範囲指定は「:」に改訂されました。

ポイント② 演算子を理解する

演算子の理解といわれると、何か難しい内容に取り組まなければならないように感じてしまいますが、実際にやるべきことは小・中学校で習う内容のおさらいです

演算子自体は難しくありませんので、抑えるべきポイントは「演算の優先順位」です。

演算子の種類 演算子 優先順位
括弧 ( )
べき乗演算 ^
単項演算 +, ー
乗除演算 *, /
加減演算 +, ー
比較演算 >, <, ≧, ≦, =, ≠

この表については、午後試験の問題冊子に「表計算ソフトの機能・用語(基本情報技術者試験用)」という形で記載されていますが、試験時間の節約のために暗記しておきましょう

ちなみに単項演算とは「-5」のように、被演算子(この式の場合は「5」)が一つしか登場しない式における演算をさします。「5+3」のようなものは加減演算となりますので注意しましょう。

ポイント③ 相対参照と絶対参照の使い方を理解する

セルの場所を「セルの番地」という言葉で表しますが、「セルの番地」には2種類があります

まず「相対参照」。こちらはコピーした先に合わせてセルの値が変化するものです。以下のワークシートの例で解説します。

図では、D2に「B2*C2」が入力されています。これをD3にコピーすると「B3*C3」、D4にコピーすると「B4*C4」のように、自動的にコピー先でセルの値が変化します。これが「相対参照」です。普段Excelを利用している人であれば、意識せずとも使っているのではないかと思います。

もう一つが「絶対参照」こちらはコピーした先のセルに関わらず、固定したセルを参照するものです。ワークシートの例で示すと、以下のようになります。

こちらの例は、セール価格をD2に入力し、D3~D5にコピーしています。単価のセルであるC2と、割引率のセルであるH1を掛けた値が計算されるよう、D2に「C2*H$1」と入力し、それをD3~D5のセルにコピーした内容です。

絶対参照の例では、セール価格を計算するために、全ての行で割引率のセルである「H1」を利用しています。「相対参照」でコピーしてしまうと、D2の値をD3~D5にコピーした際、「H1」もH2~H4に変化してしまいますが、「$」をつけ、「絶対参照」にすることによって、参照するセルを固定することができますので、コピー先でも「H1」を参照させることができます

ちなみに、コピー先がD2~F2のように列が変化する場合に絶対参照を利用するなら、「$」をつける位置も列を表すアルファベットの前(H1の場合なら$H1)となります。行も列も変化する場合に絶対参照を利用する場合、アルファベットと数字の前(H1の場合なら$H$1)となります。しかし、上の例では行のみ変化させているため、行を表す数字の前のみ「$」をつけています。

説明だけではイマイチイメージができない場合、最悪でも以下のイメージで覚えておくといいでしょう

  • 相対参照
    貼り付け先のセルで、コピー元と違うセルを参照させたいときに使う。普段は自動でこっちになる
  • 絶対参照
    貼り付け先のセルで、コピー元と同じセルを参照する必要があるとき使う。「$」を使わないと絶対参照にならない

それほど難しくない内容ですし、Excelを使うなら実務でも私生活でも最低限理解しておく必要のある知識ですので、実際に問題を解きながら理解を深めていくといいでしょう。

ポイント④ 関数を理解し、頻出のものは暗記する

関数とは、簡単に言ってしまえば「複雑だったり難しい処理を、簡単な記述で行ってくれる便利な式」のことです。

例えば、A1~A100までの値を足す処理を「A1+A2+A3+…」と書いていてはきりがありませんし、記述のミスも発生しやすいです。そこで、「合計(A1:A100)」のように関数を利用すれば内容がわかりやすく記述も簡単。間違いや勘違いを防ぐことにもつながります。これが関数を利用することのメリットです。

関数の内容については午後試験の問題冊子に記載されている「表計算ソフトの機能・用語(基本情報技術者試験用)」でも解説されていますが、解答時間の短縮のために、ある程度の暗記が必要です。最低でも以下の11種類は暗記しておくといいでしょう。これらは、普段のExcel操作でも使う機会が多い内容です。また、他の関数についても、出題される可能性は高いので内容は理解できる必要があります。

書式 解説
合計(セル範囲) セル範囲に含まれる数値の合計を返す。
例) 合計(A1:B5)なら、A1~B5の範囲を合計した値を返す。
条件付合計(検索のセル範囲,検索条件の記述,合計のセル範囲) 「検索範囲のセル範囲」にある条件に当てはまる値を確認し、「合計のセル範囲」から、条件に当てはまったセルと対になるセルの値を合計し、その値を返す。

例1)条件付合計(A1~:B8,>E1,C2~:D9)
意味1)「検索のセル範囲」である「A1~B8」のうち,セルE1の値より大きな値をもつ全てのセルを探す。このとき,セルA2,B4,B7が見つかったとすると,「合計のセル範囲」であるセルC2~D9の左上端からの位置が同じであるセルC3,D5,D8の値を合計して返す。

例2)条件付合計(A1~:B8,=160,C2~:D9)
意味2)「検索のセル範囲」であるセルA1~B8のうち,160と一致する値をもつ全てのセルを探す。このとき,セルA2,B4,B7が見つかったとすると,合計のセル範囲であるセルC2~D9の左上端からの位置が同じであるセルC3,D5,D8の値を合計して返す。

平均(セル範囲) セル範囲に含まれる数値の平均を返す。
最大(セル範囲) セル範囲に含まれる数値の最大値を返す。
最小(セル範囲) セル範囲に含まれる数値の最小値を返す。
IF(論理式,式1,式2) 論理式の値がtrueのとき式1を、falseのとき式2の値を返す。
例)IF(A1>A2,’北海道’,A3)
意味)
A1の値がA2より大きい場合、"北海道"という文字列を返す。
それ以外の場合は、A3の値を返す。
個数(セル範囲) セル範囲に含まれるセルのうち、空白セルでないセルの個数を返す。
条件付個数(セル範囲,検索条件の記述) セル範囲に含まれるセルのうち、検索条件の記述で指定された条件を満たすセルの個数を返す。検索条件の記述は比較演算子と式の組で記述し、セル範囲に含まれる各セルと式の値を,指定した比較演算子によって評価する。

例1)条件付個数(H5~:L9,>A1)
意味1)セル範囲H5~L9のセルのうち,セルA1の値より大きな値をもつセルの個数を返す。
例2)条件付個数(H5~:L9,=’A4’)
意味2)セル範囲H5~L9のセルのうち,文字列“A4”をもつセルの個数を返す。

論理積(論理式1,論理式2,…) 論理式1,論理式2,…の値が全てtrueのとき,trueを返す。それ以外のときfalseを返す。
論理和(論理式1,論理式2,…) 論理式1,論理式2,…の値のうち,少なくとも一つがtrueのとき,trueを返す。それ以外のときfalseを返す。
否定(論理式) 論理式の値がtrueのときfalseを,falseのときtrueを返す。

ポイント⑤ わかったことは書き込む

表計算は、問題文と選択肢を見ただけでは「何を問われているか?」「どう解答するべきか?」が理解しにくいです。例えば「セルA1」と書かれただけでは、そのセルがどういった内容か理解できません。

そこで、一つずつわかったことを書き込んでいくことで、解答までたどり着くことを容易にしていきます

以下の設問を例に解説します。

~前略~

セル I3 に,当該行の受付番号よりも小さい受付番号をもつ窓口利用者のうち,当該行の受付時刻にまだサービスが開始されていない人数(以下,待ち人数という)を求める次の式を入力し,セル I4~I252 に複写する。ここで,待ち時間が0の窓口利用者は,待ち人数に含めない。

IF(A3=null,null,[ a ])

~中略~

ワークシート"来店状況"に関する記述中の[ a ]に入れる正しい答えを,解答群の中から選べ。

ア 条件付個数(E3:E$252,>B3)
イ 条件付個数(E$3:E3,<B3)
ウ 条件付個数(E$3:E3,>B3)
エ 条件付個数(G3:G$252,>B3)
オ 条件付個数(G3:G$252,<B3)
カ 条件付個数(G$3:G3,>B3)

引用:平成30年秋期 午後問13

[ a ]に入る内容を考えるためには、まず「この式はそのセルの番地に何を求めるのが目的であるか?」をはっきりさせ、それを問題文中に書き込むと簡単です。

問題文から、IF(A3=null,null,[ a ])は、「受付時刻にまだサービスが開始されていない人数を求める式」であることがわかります。

そして、IF関数の意味がわかっていれば「A3がnullでなければ、受付時刻にまだサービスが開始されていない人数を求めて、I3に入力する」式であるところまでわかります。そこでワークシート”来店状況”を見てみましょう。

引用:平成30年秋期 午後問13

表から、「受付時刻」の列と、「開始時刻」が確認できます。列はBEですので、この時点で選択肢のア~ウが正解というところまでは絞ることができます。

あとは、「条件付個数を求める関数の使い方」と「受付時刻にまだサービスが開始されていない人数」という条件から答えを絞り込みます

「受付時刻にまだサービスが開始されていない人数」を求める必要があるため、開始時刻が受付時刻より後のものを抽出する必要があることがわかり、条件は「>B3」となります

また、「受付時刻にまだサービスが開始されていない人数」という内容から、範囲は「対象の受付番号の人から番号の低い受付番号の人」であることがわかるため、範囲は「E$3:E3」となり、答えは「ウ」であることがわかります。

このように、表計算の問題を解くときは、「わかったことから書き込む」ことで解答が導きやすくなります。これはプログラミング言語の問題にも言えることですが、わかったことを再確認する時間を省略するためにも、少しずつ内容を記載していくといいでしょう。問題文をそのまま利用できる場合、問題文中に登場する条件文などは、下線を引いて読みやすくすると、読み直しの時間を更に省略することができます

記載する内容は簡単なものでも効果的です。とくに「セルの意味」はアルファベットのみでは理解できませんので、以下のように書き加えるだけで理解のしやすさが大きく違ってきます。

B受付時刻、E:開始時刻、G:終了時刻

ア 条件付個数(E3:E$252,>B3)
イ 条件付個数(E$3:E3,<B3)
ウ 条件付個数(E$3:E3,>B3)
エ 条件付個数(G3:G$252,>B3)
オ 条件付個数(G3:G$252,<B3)
カ 条件付個数(G$3:G3,>B3)

引用:平成30年秋期 午後問13

受付時刻にまだサービスが開始されていない人数」を求める式に関する問題ですので、書き加えた赤文字だけでもエ~カの選択肢が間違いであることがわかるかと思います。

ポイント⑥ 関数が同じ場合は引数に着目する。関数が違う場合は関数ごとのグループにまとめて判断する

全ての選択肢が同じ関数の場合は、引数の違いに着目すると、まとめて不正解の選択肢を削除することができます

B受付時刻、E:開始時刻、G:終了時刻

ア 条件付個数(E3:E$252,>B3)
イ 条件付個数(E$3:E3,<B3)
ウ 条件付個数(E$3:E3,>B3)
エ 条件付個数(G3:G$252,>B3)
オ 条件付個数(G3:G$252,<B3)
カ 条件付個数(G$3:G3,>B3)

引用:平成30年秋期 午後問13

先ほど紹介したものと同じ問題です。この例では範囲としてE列を利用するか、G列を利用するかで半分にグループわけすることができます

そこで、E列とG列の違いを確認してみると「開始時刻」「終了時刻」の違いであることがわかります。後は問題で問われている条件を読めば、問われているのは「開始時刻」にかかわるものとわかりますので、「終了時刻」の選択肢を全て省くことが可能です。

また、以下のような出題のパターンもあります。

ア 照合検索(F10,来店状況!A$3:A$252,来店状況!J$3J$252)
イ 照合検索(F10,来店状況!J$3:J$252,来店状況!A$3:A$252)
ウ 垂直照合(順位(F10,来店状況!H$3:H$252,1),来店状況!A$3J$252,1,0)
エ 垂直照合(F10,来店状況!A$3:J$252,10,0)
オ 表引き(来店状況!A$3:A$252,順位(F10,来店状況!H$3:H$252,1),1)
カ 表引き(来店状況J$3J$252,照合一致(F10,来店状況!A$3:A$252,0),1)

平成30年秋期 午後問13

関数の違いに着目することにより、より正解の確率が高いかものから実際に計算して解答をすすめることができます。もちろん、関数の違いだけで間違いの選択肢を削れる場合は、一気に削除してしまいましょう。また、同じ関数については引数のみ調整すればいいため、効率的に正誤の確認を行うことができます。

表計算のマクロは捨てるべきか?

表計算の問題において議論される課題の一つが「マクロは捨てるべきか?」というところです。

結論から申し上げますと、以下の通りです。

マクロは捨てるべきか?

  • 確実な合格を目指すなら、捨てることを前提に勉強するべきではない
  • 「IT業界の登竜門」として受験するなら、表計算のマクロ程度は解けるようになってほしい
  • 理解が難しく、勉強量に対して点を稼ぎにくい可能性があることも確か
  • 超短期合格を目指すなど、どうしても取捨選択が必要な場合は、「捨てるのも選択肢の一つ」として考慮する

それでは【捨てるべき理由】【捨てないべき理由】についてそれぞれ解説いたします。

【捨てないべき理由1】表計算の「マクロ」を捨てると、逆に難易度が上がる可能性もある

まず、表計算の「マクロ」を捨てることが現実的に可能でなければ、捨てるべきではありません

基本情報技術者試験の午後試験の合格点は、100点満点で60点(難易度に応じて変化する可能性あり)です。つまり、「60点を他の問題で確保することが現実的に可能」であれば、捨てることは可能です。

表計算における「マクロ」の問題数は、概ね1/3~1/2。表計算(ソフトウェア開発)の配点は2019年秋季試験までは20点。2020年春季試験からは25点となります。

仮に表計算の半分の得点を「マクロ」とした場合、適当に回答しても1問も正解できない場合は2019年秋季試験までは10点、2020年春季試験からは12.5点程度を失うと考えて対策を練った方が現実的です。

つまり、「マクロ」を捨てた場合は、その他の分野で2/3以上の正解率でないと合格ラインに届かない可能性が高くなります。

考え方によっては、「捨てても合格できる可能性は十分にある」ことになりますが、ここでもう一つ問題があります。

表計算の「マクロ」に登場する疑似言語は、「データ構造及びアルゴリズム(以下、アルゴリズムと表記)」で出題される疑似言語より説明文が短く、難易度も大きく変わることはないと私は考えています。つまり、表計算の「マクロ」が全く理解できないようでは「アルゴリズム」も捨てているような状態となってしまいます

「アルゴリズム」の配点は2019年秋季試験までは20点、2020年春季試験からは25点となります。仮に、表計算の「マクロ」を捨てたうえで、「アルゴリズム」もある程度捨ててしまった場合の実質的な満点は以下のようになります。

実質的な満点(2019年秋季試験まで) 実質的な満点(2020年秋季試験まで)
マクロ全問とアルゴリズム5割を捨てた場合 80点 75点
マクロ全問とアルゴリズム7割を捨てた場合 76点 70点
マクロ全問とアルゴリズム全問を捨てた場合 70点 62.5点

表の内容は、表計算の配点の半分がマクロの場合であり、また捨てた問題全てを不正解とした場合ですので、実際にはもっと高い点数が満点となる可能性が高いかと思います。

しかし、満点が実質75点程度となってしまった場合、その他の分野を8割の正解率にする必要があります

情報セキュリティについては文系でも8割以上を目指しやすい分野ですが、他の分野も含めて平均で8割以上を狙う必要性を考えると、「マクロを捨ててしまうと、余計に難易度が上がってしまうのではないか?」と私は考えています。

【捨てないべき理由2】実社会で利用されるExcelのマクロに比べると、マクロの内容自体は単純

表計算で出題される「マクロ」は、問題の後半部分のみであり、2~3ある設問のうちの1つです。つまり、他のプログラミング言語の問題と比べて、問題の内容が短くなっています

実際にいくつかのマクロを例示すると、以下のとおりです。

平成29年秋季試験 問13設問3

 

平成30年春季試験 問13設問2

 

平成30年秋季試験 問13設問3

プログラミング未経験では、これだけでも難しいと感じるかもしれませんが、現実に使用されるExcelのマクロは、こんなに短く単純な処理だけではないと考えた方が妥当です(ノンプログラマーの私でも、数百行書くのはざらです)。

実際、実務経験者が出題されるマクロの内容を読んでみると「その程度のことのためにわざわざマクロを作る必要があるの?」と、思えるくらい簡単な処理もあるため、IT業界で働くことを目指すのであればこの程度の問題は解けるようになって欲しいところではあります。

【捨てるべき理由1】マクロの問題は「正答率が低く、あまり理解されていない」傾向がある

IPAのホームページ上に、午後試験については講評が発表されています。

講評では「正答率」に関する記載が毎回行われているのですが、表計算のマクロの問題について抜粋すると以下の通りです。

実施時期 正答率に関する講評
令和元年度 秋期 正答率は低く,あまり理解されていなかった。
平成31年度 春期 正答率は低く,あまり理解されていなかった。
平成30年度 秋期 正答率は低く,あまり理解されていなかった。
平成30年度 春期 正答率は低く,あまり理解されていなかった。
平成29年度 秋期 正答率は低く,あまり理解されていなかった。
平成29年度 春期 正答率は低く,あまり理解されていなかった。
平成28年度 秋期 正答率は低く,あまり理解されていなかった。
平成28年度 春期 正答率は低く,あまり理解されていなかった。
平成27年度 秋期 正答率は高く,よく理解されていた。
平成27年度 春期 正答率は低く,あまり理解されていなかった。
平成26年度 秋期 正答率は低く,あまり理解されていなかった。
平成26年度 春期 正答率は低く,あまり理解されていなかった。

平成26年春季から、令和元年春期の12回の試験のうち、正答率が高かったのはたったの1回です。

プログラミング言語の問題は、後半の設問に対する講評が「正答率は低く,あまり理解されていなかった。」になりやすいのが特徴ですが、9割以上の試験で正答率が低いという状況を考えると、マクロの対策のために大きく時間を割くのは効率的とはいえないかもしれません

また、正答率の傾向を見ると、実際にマクロを捨てて試験に挑戦している人がそれなりにいるのも事実だと思います。捨てた人の合格率についてまではわかりませんが、「捨てることも一つの選択肢」として考えることができるでしょう。

マクロを捨てるべき人は?

以上の理由から、表計算における「マクロ」を捨てるべき人は、以下のような人だと私は考えています。

マクロを捨てるべき人

  1. 短期で合格をめざすため、短時間で点数を上げられる分野に集中したい人
  2. 「マクロ」や「アルゴリズム」以外で8割以上の点数を確実にとる自信がある人
  3. 「マクロ」は捨てるが、「アルゴリズム」は十分な点数が取れる人
  4. そもそもIT業界を志していない人


「短期合格のため、短時間で点数を上げられる分野に集中したい人」の場合は、「マクロの勉強をするより、もっと効率よく点数を上げられる分野がある」ことが前提です。

私としては、IT業界を志すのであれば、②や③の人もマクロを捨てないで取り組んでほしいところですが、勉強方法は人によってそれぞれ違っていいと思います。

ただし、「マクロを捨てた場合、合格率は下がる可能性が高い」と思って試験勉強に取り組んだ方がいいです。とくに2020年春期試験以降は捨てる点数が多くなってしまう可能性が高いため、注意しましょう。

表計算のオススメの参考書


マクロも含めて、プログラミング初心者でもわかりやすいテキストです。

「基本情報技術者 表計算とっておきの解法」の特徴

  • 【メリット】
    初心者にも内容が理解しやすい
    マクロの解説が丁寧
    PDF版を利用し、スマートフォンでも学習ができる
  • 【デメリット】
    電子書籍版の取り扱いがない

表計算のテキストについては、「基本情報技術者 らくらく突破 表計算」も人気高いテキストですが、「マクロのわかりやすいさ」を重視するのであれば、私は「基本情報技術者 表計算とっておきの解法」をおすすめします。可能であれば、両方を読み比べてみて、「自分にあっている」と思った方を購入するといいでしょう。

電子書籍版がないため、Kindleなどで利用できないというデメリットがありますが、書籍を購入するとPDF版がダウンロードできるため、電子書籍代わりに使用することが可能です。

書き込みは書籍に行い、外出中はスマートフォンで読み進めるなどの利用が可能ですので、忙しい社会人でも隙間時間を利用して効率的に学習をすすめることができます

表計算の講座比較

私としては、通信講座や予備校などのスクールを利用して表計算の講座を受けることはあまりおすすめしていません。時間さえあれば、独学でも十分合格できると考えているからです。

しかし、「どうしても表計算が理解ができない」「試験に合格できるか不安だ」という人は、検討してみる余地があるでしょう。

また、総合的なコースを選択した場合、予備校などでは10万円程度かかることもありますが、表計算のみの講座であれば、2万円程度の費用で受講することができます。午前試験などの簡単な部分は自習ですまし、どうしても得点が上げにくい苦手分野のみスクールを利用することで、忙しい人でも効率的に勉強ができ、より確実な合格を目指すこともできます

講座比較の内容は2019年4月5日時点のものとなります。詳細が気になる方は実際にホームページ上の情報や、予備校の配布している資料などでご確認いただければと思います。

TAC 基本情報技術者試験 表計算

講座の基本情報

  • 学習スタイル:DVD通信講座かWeb通信講座
  • 教材内容:テキスト【表計算・言語】(1冊)、問題集【表計算・言語】(1冊)、演習レジュメ(1冊)、DVD(DVD通信講座のみ)
  • 費用:17,000円(Web通信講座)、23,000(DVD講座)
  • 入会金:10,000円(免除制度あり)
  • 講義配信時期:3ヶ月程度前

大手資格予備校「TAC」の表計算の講座です。

TACでは、午前対策から模擬試験、アルゴリズムなどの個別対策も含んだ総合的なコースもありますが、Web通信講座で90,000円程度(早割などを使って80,000円程度)と、資格の難易度に比べて割高です。

その点、表計算のみのコースを利用すれば、20,000円前後。IT業界の会社に勤めていれば、資格手当で十分カバーできる程度の費用となります。表計算以外は自分で対処する必要がありますが、午前試験は過去問で対応できますし、午後試験の基礎知識は午前対策で養うことができます。文系の人でもこちらのコースを利用すれば、十分に合格率をあげることができるでしょう。

資格の大原 基本情報技術者 表計算対策

講座の基本情報

  • 学習スタイル:Web通信講座か映像通学
  • 費用:19,000円
  • 義配信時期:4ヶ月程度前

こちらも大手資格予備校「資格の大原」の表計算の講座です。

「TAC」の通信講座と比べて、若干価格が上になりますが、入学金はありませんので、入学金の免除制度を利用しない場合は「資格の大原」の方が安く利用しやすいでしょう。

また、映像での講義となりますが、予備校に通学する形での受講も可能ですので「教室を利用する形で勉強しないとモチベーションをたもてない!」という人には向いています。教室利用の場合も、Web講義の配信が標準でサポートされていますので、途中入学や欠席の場合もWebでのフォローが可能です。

映像通学実施校は以下の通りとなります。

札幌校・盛岡校・東京水道橋校・池袋校・新宿校・町田校・立川校・横浜校・千葉校・津田沼校・柏校・水戸校・大宮校・宇都宮校・高崎校・甲府校・長野校・松本校・静岡校・名古屋校・金沢校・福井校・大阪校(新大阪校)・難波校・梅田校・神戸校・京都校・京都校・和歌山校・姫路校・福岡校・小倉校・大分校・熊本校

スタディング 基本情報技術者試験合格コース

講座の基本情報

  • 学習スタイル:Web通信講座
  • 教材内容:
    【午前試験】
     基本講座(70講座。35時間)、WEBテキスト(70講座。基本講座に付随)、スマート問題集(70講座)、セレクト過去問(9講座)
    【午後試験】
     午後試験開設講座(24講座。12時間)、WEBテキスト24講座、セレクト過去問題集(10講座)
  • 費用:35,980(合格お祝い制度あり)
  • 講義配信時期:2~7ヶ月程度前(詳細なリリーススケジュールはこちら

表計算だけでなく、午前・午後試験対策を全て含んだコースです。

全体を含むコースは7~10万円程度の費用がかかるものが多いですが、こちらの講座は午前・午後試験全ての対策を含んで35,980円という安さが魅力です。

また、合格した場合に5,000円分のAmazonギフト券を貰える「合格お祝い制度」がありますし、キャンペーンで割引きが適用されることもありますので、実質的な負担額は3万円を切ることもあります。

講義やテキスト、問題集が全てスマートフォンで利用可能ですので、忙しい人でもスキマ時間で合格を目指すことができます。私生活とキャリアアップの両立を目指す人におすすめの講座です。

まずは参考書・過去問に挑戦してみよう!

表計算はプログラミング未経験でも比較的学習を進めやすい分野ではありますが、決して簡単な内容ではありません

基本情報技術者試験は「誰でもしっかり勉強すれば独学で合格できる」内容だと思いますが、IT関連は人によって持っている知識の差が大きい分野です。勉強を始める際は「まずは参考書・過去問に挑戦してみる」ことで、自分の実力と試験の難易度を確認してみるといいでしょう

過去問であればIPAのページからダウンロードできます。試しに挑戦した上で「これなら独学で合格できそうだ」と思ったら参考書での学習を、「何を問われているのか理解ができない」「試験に間に合わない」と思ったらスクールの利用も検討してみるといいでしょう。