【体験記】ウェブマスター検定3級に合格した際の勉強時間・勉強方法・参考書について
2024年1月21日、ウェブマスター検定3級を受験し、合格しました。
この記事では、2023年から開始されたSEO関連の資格である「ウェブマスター検定3級」について、以下を中心にまとめたいと思います。
- ウェブマスター検定3級にかかった勉強時間
- ウェブマスター検定3級の参考書
- ウェブマスター検定3級の勉強方法
- ウェブマスター検定3級を実際に受験した体験と感想
ウェブマスター検定3級の合格体験記の結論
- 勉強時間は9時間31分
- 難易度は簡単
- 公式問題集だけで勉強すると、不合格の可能性あり
- 初見から7割以上正解できたが、合格基準が得点率80%以上なので注意
- 正直、問題の質があまり高くない印象は受けた
- 本番の6割は問題集からの流用だったが、残り4割は問題集の範囲外
- 幅広い用語の理解には有効な資格だが、実践に直結はしない印象(とくに個人ブログ)
それでは、詳細を解説していきたいと思います。
受験前のスペック
簡単に受験前のスペックをまとめると、以下の通りです。
- ブログ運営は一応4年弱。ただし、SEO完全無視のため、Googleの検索順位はここ数年低下傾向(なので、勉強のため受験しました)
- ブログ運営当初は、ちょっとだけSEOに関する本を読んだことはある
- SEOと直接関係ある資格などの学習経験なし
- IT関連の資格を多数取得している(ただし、仕事を辞めて2年半くらい勉強してない)
今回、珍しく「受験前のスペック」に救われました。
というのも、勉強に使った公式問題集からは学べない内容から4割ほど出題されたからです。合格基準が80%の正解率なので、これはかなり危ない状況でした。
幸い、私はIT関連の勉強をやっていた経験から、公式問題集で学べなかった範囲にもかなり対応できたのですが、もしも「ウェブライターはやってるけど、ITの勉強は全然していない」という状態だったら、不合格になっていた可能性が高いでしょう。
合格までの勉強時間は、9時間31分
勉強時間の合計値は9時間31分になりました(Studyplusで計測)。
勉強時間は、全て問題集のやり込みです。
最初の1時間15分で問題集をざっと見て「これなら直前10時間で終わる」と判断し、試験前の1週間で8時間16分勉強しました。
実際には、私は6時間ほどで「問題集からの出題なら95%以上正解できる」状態になりましたが、IT関連の学習経験がないと、勉強時間は長くなると思っていいです。
未経験・経験者の勉強時間はどうなる?
勉強時間を想定するなら、以下の点を考慮した方がよさそうです。
- 問題集だけで勉強するなら、6時間ほどで95%以上正解できた
- 実際の試験では、勉強してない問題が多く出題された
例えば、IT関連の学習経験がほぼ無いという人は、問題集だけでなくテキストも利用して学習する必要があります。覚えるべき内容が増えるので、初心者は少なくとも20時間以上は確保しておいた方が無難だと思います。
一方、ウェブ・ネットワーク関連を中心とした知識が浅く広くある「経験者」の場合は、勉強時間が5時間くらいでも合格できる可能性はあります。ただし、安定した合格を目指すなら、IT関連の学習経験がある人でも、テキストは一通り読んでおいた方が無難だと思います。
利用した参考書(ウェブマスター検定 公式問題集 3級)
ウェブマスター検定3級で利用した参考書は「ウェブマスター検定 公式問題集 3級」のみです。こちらの電子書籍版のみ利用して学習をすすめました。
このテキストのメリット・デメリットをまとめると、以下の通りです。
試験で問題集からの流用が期待できる(私が受験した際は6割がこの問題集からの流用でした)
- 合格基準に対して、掲載されている問題が少ない(本番で、40%は初見の状態でした)
- 模擬試験の形式の問題が勉強しにくい
- 解説がほぼ問題文そのままなことがある
最大のメリットは「本番で問題集からの流用が期待できること」です。
私が受験した際の経験ですが、本番の6割はこの問題集で学べる内容からそのまま出てきていたので、見た瞬間に正解できました。180問学んで、50問弱が本番に流用されていたことになりますので、学習効率が非常に高い問題集と言えます。
ただし、合格基準は80%の得点率です。流用以外からのうち、せめて半数が問題集の知識で正解できる……という内容だったら、この一冊でも十分合格できるのですが、実際には試験の40%は、問題集を何周しても正解には辿り着けないような状態でした。
つまり学習効率は非常に高い問題集ですが、この問題集だけで合格を目指すのは危険です。
公式からは、問題集だけでなくテキストも販売されています。とくに「知っていなければ解けない」IT関連の知識については、初心者は公式テキストで学習することをおすすめします。
その他の残念なポイントとしては「本番仕様の模擬問題が、実質的には解答・解説が見開きで確認できなくなっているだけ」というところ。単に勉強しにくかったです。いっそ全部の問題を見開きで勉強できるようにしてくれた方が使いやすいと感じました。
加えて、解説文に「問題文を解説文として書き直しただけ」というものが散見されたのも残念なポイント。そのため正解の理由はわかっても、不正解の理由が解説されておらず、理解できない問題がいくつかありました。
とはいえ、問題集から試験への流用率が高く、学習効率が非常に高い問題集ですので、受験するなら必ず購入しておきたい一冊であることには間違いありません。
私の勉強方法(初心者向け改善版あり)
実際の勉強方法を大雑把にまとめると以下の通りです。
- 1時間ほどで難易度を把握
- 問題集を3回繰り返す
- 試験直前、間違いがあった部分を復習
最初に、1時間ほど問題集を見て難易度の把握をしました。この時点で、それほど難易度が高くないと思ったため、勉強時間を減らしました。
初見での正解率は6~7割でしたが、2周目では95%、3周目ではほぼ全問正解できました(180問中2問ケアレスミス)。
最後に、2周目以降で間違えた問題を、電子書籍のしおり機能でマークしてあったので、試験直前に見直して終了です。
ウェブマスター検定3級の勉強方法の改善版(初心者向け)
私は問題集だけで合格できましたが、それだと初心者は不合格になる可能性が高いです。
私が利用したのは公式の問題集ですが、この問題集からは学べない内容が、私が受験した際は4割ほど出題されました。しかし、ウェブマスター検定は80%の正解率が必要です。つまり、合格ラインまでに必要な知識が問題集だけでは足りません。
ですので、安定した合格を目指すのであれば、公式テキストも購入し、問題集で解説されていない部分も暗記することが必要になります。
もしも、テキストも併用するのであれば、概ね以下の流れで学習を進めることをおすすめします。
- 1時間ほどで問題集の難易度を把握
- 問題集を3回繰り返す(不明な部分をテキストでチェック)
- 問題集を終えたら、テキストを読み流しつつIT関連の知識を中心に学習
- 試験直前、間違いがあった部分を復習
まずは、問題集での学習を行います。理由は問題集からの流用が多く、学習効率が非常に高いからです。問題集は3回も繰り返せば、ほとんど間違えなくなります(私の場合は1周でもほとんど間違えなくなりました)。
そこから先はテキストでの学習となりますが、重要なのはIT関連の学習です。
なぜかといえば、サイト運営や構築に関する考え方の出題は「論理的に考えれば正解を絞り込みやすい」問題が多いからです。しかしIT関連の問題の多くは、知っていなければ解きようがありません(「プロトコルの省略前の名称」や「団体名」など)。
ですので、テキストでの学習は「知らなければ解けない暗記項目」を意識して、全体を読むことをおすすめします。
実際にウェブマスター検定3級を受験した感想
2024年1月21日。ウェブマスター検定3級を受験しました。試験会場は、初めて利用する「東京国際フォーラム」です。
試験は、6階の会議室で行われました。
受験者の男女比は自分の周囲ではほぼ半々程度。年齢は20~40代が中心といった印象を受けました。
ちなみに、写真に「全日本SEO協会 検定試験会場」と写っている通り、この部屋では「ウェブマスター検定」だけでなく「SEO検定」も同時に行われていました。
実際の試験の特徴的なルールや感想をまとめると、大体以下の通りです。
- 問題用紙の持ち帰りができない
- 退室時間に制限はなかった
- 試験内容はかなり幅広い(ウェブの歴史やプログラムの読解もある)
- 問題の質があまりよくない?(後述)
問題用紙の持ち帰りができないのは、恐らく問題が次の試験に流用されるからではないかと思います。
ウェブマスター検定やSEO検定は毎月のように実施されているため、ある程度は次回の試験で同じ問題が出題されるのかもしれません(そうしないと、問題作成のコストが馬鹿にならないと思います)。
問題の質があまりよくない?
ウェブマスター検定の勉強を進めている段階から感じていましたが、正直「問題の質があまりよくない」印象を受けました。理由は二つです。
一つ目の理由は「どれが正解でも正直関係ないのでは?」と思わせる内容がいくつか出題されていること。問題を直接掲載することはできませんが、例えば以下のような感じの出題です。
【】に当てはまるものを、①~④の中から選んでください。
ウェブサイトの【】をする際は、UXを高める配慮も必要である。
①作成
②制作
③設立
④構成
似たような言葉であっても、それが業界標準として使われているのであれば、それは覚えるべきだと思います。
しかし、上記の例のように「これって、本当に業界標準?」という内容の問題がたまに出てきます。仮にそれがマイナーだけど業界標準の用語であったとしても「だからって、覚えて何になる?」という印象です。そんなマイナーな業界標準を覚えるくらいなら、もっと実践的な内容にして欲しかったです。
二つ目の理由は「問題文の曖昧な出題がある」こと。表現が曖昧だったり、主語が曖昧だったりするため「他の選択肢も正解になるのでは?」と思えてしまうことがあります。
例えば「ウェブサイトに重要なこと」といっても「営利企業のウェブサイト」か「趣味でやってるバンドのブログ」では目指す方向が異なります。実際、問題によっては「企業の……」「個人ブログの……」といったように定義されていることもあるのですが、この定義が抜けていることもあります。
また、本番では流用されませんでしたが、問題集に至っては「指示詞がさしている内容が問題文で述べられていない」というものもあり、明確に問題側にミスがあると言わざるを得ません。
この二つの理由に該当する問題は全体の一部ではあるのですが、試験の合格基準は正解率80%です。つまり、若干の失点が不合格につながります。
高い正解率が合格に必要なのに、問題の質がイマイチというのは、試験の信頼性の低下にもつながってくるので、この点は是非改善して欲しいと思います。
ウェブマスター検定3級の結果
合否通知は、試験日より14日以内に郵送により発送されます。私の場合は5日後には届きました。
4割が問題集で全く見覚えがない問題だったので、その範囲は地力での解答となり不安でしたが、結果は「75/80」という高い正解率での合格になりました。
ウェブマスター検定3級は意味ない? どう使えばいい?
正直言うと、ウェブマスター検定3級の資格を持っているだけで、仕事で評価される可能性は低いと思います。
というのも、比較的短い時間で合格できてしまうため「取得しようとすればだれでも簡単に取得できる難易度」の資格だからです(受験会場まで遠い人は物理的に厳しいですが)。
そういう意味では「ウェブマスター検定3級は、取得しただけでは意味ない資格」といわれても仕方がない側面はあるかと思います。とくに、個人ブログの運営者で「結果さえ出ればSEOの用語など知らなくてよい」という人は、ウェブマスター検定3級の勉強をするより、SEOの専門書を読んだ方が効果的だと思います(試験内容も、実践よりは用語理解や大まかな対処方法中心だったので)。
一方、少しはSEOを学んだ人でも、案外用語の理解・整理は中途半端になっている人も多いのではないでしょうか。そういった方が、用語を正しく理解し、知識の幅も広げるという目的では、使えないこともない資格かなと感じました。そういった意味では「資格自体が評価される可能性は低いけど、初心者が最低限の知識を付けたり、中級者が知識を再確認するには有効」かと思います。
SEO的な効果はある?
合格者は希望すると、全日本SEO協会のサイトに合格者のプロフィールと運営サイトへのリンクを掲載してもらうことができます(ブログも可能です)。
どの程度の効果があるかわかりませんが、一応はそれなりの団体からの外部リンクになるため、一定の信頼性や権威性を高める効果はあるかなと思います。
現在のGoogleでは「信頼性」や「権威性」は重要視される要素ですので、多少でもサイトの評価を上げたい場合は、申請してみてもいいかなと思います。
ちなみに、こっちはSEO的な効果はないかと思いますが、合格者は検定合格のロゴデータをウェブサイト等で自由に使うこともできます。3級だと、こんな感じです。
正直、10時間未満の勉強で合格できてしまったので、3級では権威性がある気はしません。「何も無いよりはかっこうがつくのかなあ?」という感じです。