【ウェブデザイン技能検定】3級・2級の学科試験の勉強方法について
この記事では、ウェブデザイン技能検定の3級と2級について、学科試験の勉強方法について解説します。
試験の概要については、以下の記事にまとめてありますので、興味がある方は参考にしてみてください。
- 試験日:
1級学科:11月下旬頃
1級実技:2月下旬頃
2・3級:5月下旬頃、8月下旬頃、11月中旬頃、2月下旬頃の年4回 - 申込日:
1級学科:10月上旬~下旬頃
1級実技:12月下旬~翌年1月中旬頃
2・3級:4月上旬~下旬頃、7月上旬~下旬頃、10月上旬~下旬頃、12月下旬~翌1年月中旬頃の年4回 - 合格発表:
1級学科:12月中旬頃
1級実技:3月中旬頃
2・3級:6月下旬頃、9月下旬頃、12月中旬頃、3月下旬頃 - 試験時間:
1級:学科90分、実技180分、ペーパー実技60分
2級:学科60分、実技120分
3級:学科45分、実技60分 - 受験料:
1級:学科7,000円、実技25,000円
2級:学科6,000円、実技12,500円(35歳未満は実技7,000円)
3級:学科5,000円、実技5,000円(35歳未満は実技3,000円) - 合格基準:全ての試験で70点/100点以上(ただし、実技は試験要項に示す各作業分類で60%以上の得点が必要)
- 受験資格:
1級:実務経験必須
2級:実務経験、大学での学習経験、3級合格など
3級:とくになし - 想定勉強時間:
1級:不明(難易度はかなり高い)
2級:50~100時間程度(未経験から学習する場合)
3級:15~30時間程度(未経験から学習する場合) - 公式サイトはこちら
学科試験の学習の流れ
「過去問クラブ」で演習し、わからない内容は調査。必要に応じて用語をまとめる
学科試験対策で、効果的な方法は「『過去問クラブ』で過去問演習を行い、わからない用語などについては、ネットで検索。忘れそうなものや、紛らわしい用語は、まとめておいて後で覚える」という手法です。
ウェブデザイン技能検定には、検定用の参考書や問題集がありますが、内容が古いためあまりおすすめできません。また、過去問についても、公式では最新の3回分しか掲載がないため、学習できる範囲が限られてしまいます。
しかし、ウェブデザイン技能検定の学科試験は、6~7割が過去問の流用や類似問題です。過去問を利用して学習すれば、かなりの問題が「見たことのある問題」になりますので、過去問を利用しない手はありません。
そこで利用する教材が「過去問クラブ」です。このサイトを利用して、過去問演習を幅広く実施します。
ただし、このサイトの欠点として「解説があまり用意されておらず、あっても初心者には理解できないことがある」というところが上げられます。
そこで「ネットで検索」して知識を深める必要があります。頻出問題については、関連の知識もあわせて覚えていくといいでしょう。
また、調査した内容は忘れないようにまとめておくといいでしょう。自宅のPCで学習しているのであれば、Excelなどを使って比較的簡単にまとめられると思います。また、スマホなどで学習していて、わからなかった用語を後でまとめて学習したい場合には「☆要チェック問題へ登録」ボタンを押して、あとでまとめて調査するといいでしょう。
過去問で80%以上、できれば90%以上の点数が取れるようになるまで学習を行いましょう。
ウェブデザイン技術に関する問題だけは、別途学習したほうがいい
HTMLやCSS、JavaScriptの出題については、体系的な知識の取得が求められますが、過去問だけで体系的な知識を身につけることは困難です。
そこで、この分野だけは、参考書やオンライン学習を利用することをおすすめします。
正直、合格だけを考えるのであれば、体系的な知識をつけなくても問題ありません。しかし、それでは実践的な技術力はかなり低くなり、知識が実践で全く役に立たないと思います。勉強を実践で活かすためにも、技術面の知識は、基礎から体系的に身につけるようにしましょう。合格率もより高めることができます。
参考書は自分にあったものを選んでいただければと思いますが、できるだけ最新のものを利用しないと、試験にも現場にも対応できなくなってしまう可能性があります。
おすすめの参考書は以下のとおりです。公式でもこちらの参考書が掲載されています。
また「基礎だけは学習したいが、無料で勉強したい!」という人であれば「Progate」や「ドットインストール」などを利用しましょう。無料で利用できる範囲は限られていますが、最低限の基礎的な内容については、学習できるようになっています。有料でもいいからより実践的なレベルを学びたい人は「Udemy」の講座がおすすめです。
試験直前の学科試験対策
試験直前は、実技試験の対策を行う人が多いかと思います。
学科試験については、既に90%以上の点数が取れているのであれば、あまり追加で学習を行う必要はありません。念のため、まとめておいた「苦手な用語」や「紛らわしい用語」について学習しておくといいでしょう。
学科試験の出題範囲ごとの傾向
学科試験の出題範囲ごと内容について、簡単にまとめておきます。
インターネット概論
通信プロトコルや、セキュリティなど、幅広くネットワーク技術や標準規格についての内容が問われます。
ネットワーク関連の学習や仕事をしている人であれば、吸収は早いかと思いますが、全く未経験の人であれば、暗記するべきことは多くなるかと思います。
実際の出題例は、以下のとおりです。
無線LANを使用する際に推奨される暗号方式はどれか。最も適切なものを以下より1つ選択しなさい。
1.MD5
2.WEP
3.AES
4.DES引用:ウェブデザイン技能検定 3級 平成26年度(2014) 第1回試験(問21)
WWW法務
著作権などの知的財産権や、プロバイダ責任法などのインターネットにかかわる法令が出題されます。
知的財産権については、2級で出題されるものも「知的財産管理技能検定」の3級レベルより簡単です。会社で働いているのであれば、社内研修などでも学習経験があるかと思うので、それほど難しくはないと思います。
また、インターネットにかかわる法令については2級のみの出題となります。内容は、あまり幅広く出題されませんので、過去問を解いていれば自然と知識が身につくかと思います。
実際の出題例は、以下のとおりです。
著作物が著作権による保護を受けるためには所定の手続きが必要である。
1.○
2.×ウェブデザイン技能検定 3級 平成30年度(2018) 第3回試験(問7)
ウェブデザイン技術
HTMLやCSSなど、ウェブデザインに関する技術的な内容が出題されます。
過去問だけでは体系的な知識を身に着けにくいため、恐らく初心者にとっては一番理解が難しい分野です。この分野だけは、別途専門の書籍や、オンラインでの学習などを行うことをおすすめします。
2級のみ、この分野でサーバサイドアプリケーションに関する出題が行われます。
実際の問題の例は、以下のとおりです。
HTML において、段落を表すために使用する要素はどれか。最も適切なものを、以下より1つ選択しなさい。
1. P
2. br
3. pre
4. div引用:ウェブデザイン技能検定 3級 平成29年度(2017) 第4回試験(問13)
ウェブ標準
ウェブ標準に基づいたサイトの構築手法についての知識が問われます。
ウェブ標準については、類似問題が過去問で何度も出てきますが、紛らわしい問題が多いため、過去問で登場するたびに内容を記録し、あとでまとめて確認できるようにすることをおすすめします。
実際の出題例は、以下のとおりです。
W3C において標準化されていないものはどれか。以下より1つ選択しなさい。
1.CSS2.1
2.HTML5 Strict
3.HTML4.01 Transitional
4.XHTML1.0 Frameset引用:ウェブデザイン技能検定 3級 平成28年度(2016) 第3回試験(問18)
ウェブビジュアルデザイン
画像やレイアウト、動画や配信などの出題です。初心者では暗記することが多いと思いますが、複雑な問題は少ないため、比較的初心者でも対応しやすい分野だと思います。
実際の出題例は、以下のとおりです。
GIF 形式などで用いられるディザリングとは、限られた色数でより多くの色を擬似的に表現する手法である。
引用:ウェブデザイン技能検定 2級 平成27年度(2015) 第4回試験(問1)
ウェブインフォメーションデザイン
サイトマップの構成や設計、ナビゲーションやユーザビリティに関する問題などが出題されます。また、2級ではデータベースに関する問題が出題されます。
ユーザビリティに関する問題は、過去問でいくつも類似問題が登場しますので、整理して暗記できるようにするといいでしょう。
データベースの出題については、IT関連の学習をしている人であれば、それほど難しくはないレベルだと思います。基本情報技術者試験の午前問題で登場するデータベースの方が難しいです。
実際の出題例は、以下のとおりです。
ウェブデザインにおいて、文章を見出しや段落などに分けて考えることを構造化という。
1.○
2.×引用:ウェブデザイン技能検定 2級 平成24年度(2012) 第2回試験(問10)
アクセシビリティ・ユニバーサルデザイン
アクセシビリティやユニバーサルデザイン、各種補助ソフトウェアとインタフェースなどについて出題されます。
アクセシビリティについては、紛らわしい問題が過去問でいくつも登場しますので、整理して覚えておくといいでしょう。ユニバーサルデザインなどは、常識で解ける問題も多いので、あまり難しくはありません。
実際の出題例は、以下のとおりです。
「できるだけ多くの人が利用可能であるようにデザインすること」を表している用語はどれか。最も適切なものを、以下より1つ選択しなさい。
1.支援技術
2.バリアフリー
3.ユニバーサルデザイン
4.ノーマライゼーション引用:ウェブデザイン技能検定 3級 平成27年度(2015) 第3回試験(問18)
ウェブサイト設計・構築技術
ウェブサイトの企画・プランニング、イーコマースサイトなどに関する出題が行われます。
常識で解答できる問題も多いため、それほど難易度は高くないかと思います。
実際の出題例は、以下のとおりです。
お問合せフォームを設計する際に配慮すべき点として適切なものを、以下より1つ選択しなさい。
1.複数ページにわたるフォームでは現在位置を明示する。
2.入力エラーがあった場合は、「入力エラー」と表示する。
3.パソコンとスマートフォンで同じレイアウトを用いる。
4.入力確認画面から編集画面に戻る場合は入力値を保持しない。引用:ウェブデザイン技能検定 2級 平成29年度(2017) 第1回試験 問31
ウェブサイト運用・管理技術
サイトの管理やシステム保守、アクセスログの管理などが出題されます。
単純な暗記問題が多く、あまり紛らわしい問題は出てこない印象です。
実際の出題例は、以下のとおりです。
リファラ(referer)とは、どのウェブサイトのページから訪問してきたかという参照元の情報のことである
1.○
2.×引用:ウェブデザイン技能検定 2級 平成28年度(2016) 第3回試験 問15
安全衛生・作業環境構築
主にVDT環境に関する出題です。初心者でも常識で解答しやすい問題が多い範囲です。
しかし、この出題の通りに休憩を取れている職場が全国に何%あるのか謎です。PC作業1時間ごとに10~15分の休憩とか、とれている職場は1%もないのではないでしょうか…。
実際の出題例は、以下のとおりです。
事業主は、職場におけるメンタルヘルス対策・過重労働対策・心身両面にわたる健康づくりを行う必要がある。
1.○
2.×引用:ウェブデザイン技能検定 3級 平成25年度(2013) 第4回試験(問10)
実践的な技術を身につけるなら、検定にとらわれない学習が必要
ウェブデザイン技能検定の3級と2級は、学科試験の方が実技試験より難しい試験です。
学習時間は事前知識に左右されますが、ほぼ未経験からの場合で3級なら15~30時間。2級なら50~100時間あれば合格できる見込みは高いです。
一方、勉強方法でも解説しましたが実践的な実力を身につけるのであれば、HTMLやCSSなどの学習は、別途専門的に行ったほうが効果的です。合格まではやや回り道になってしまいますが、実践的な技術力を身につけたい人は、書籍やオンラインでの教材で学習してみるといいでしょう。