【第2回ロンドン治験⑤】事後検診と帰国前のイギリス観光編
この記事では、英語力中学生以下の私が、海外(ロンドン)で治験を受けた際の経験について、「事後検診を受けた際の内容(圧倒的非公開)」をまとめます。
「海外の治験に興味がある方」「海外の治験の事後検診に興味がある方」などの参考にしていただければ幸いです。
事後検診前の注意点
事後検診は、治験の内容によって回数が異なります。
しかし、どの治験でもいえる事は「入院期間が終わっても、事後検診が最後まで終わるまでは治験中である」ということ。
入院期間が長い治験ほど、退院すると「終わった~!」という気持ちになりやすいですが、退院後も治験で定められたルールは破らないようにすることが重要です。
とくに注意が必要なのが運動と食事。中でも運動については「帰国前にいっぱい観光しなくては!」と焦るあまり、毎日数万歩の移動を伴う観光をしていると、それが運動と見なされてしまう事もあります。
海外治験は報酬だけでなく、経費も高額です。私の治験では、航空券と宿泊費だけで40万円近くかかりました。著しいルール違反をしてしまうと、経費すら払われず「長期の拘束の上、自腹で海外旅行してきた」という結果になってしまう可能性もあるため、注意しましょう。
事後検診はどうだったか?
退院から少しおいて、事後検診を受けてきました。
が、治験には、内容は公開してはいけない守秘義務があります(つまり、事前検診、入院の時と同じパターン)。
よって、残念ながら…割愛‥‥!
検査の内容をお見せすることが…できない……!
圧倒的コンプライアンス(守秘義務)によって……規制……!
※商品画像は、圧倒的コンプライアンスのイメージです。詳細は第41話「星屑」を参照
一般的なレベルでの治験の事後検診の内容について
一般的なレベルで治験の事後検診の内容(日本の治験を含む)をまとめますと「薬の状態が、退院後どうなっているか」と「退院後数日経過して、体調に異常が無いか」などを確認します。今回の事後検診も、恐らく同様の内容だったのではないかと思います(正直、詳細は被験者にも不明です)。
検査内容は治験によって異なりますが、大雑把に言えば「通常の健康診断+治験に応じた内容」な感じです。事後通院が複数回の場合は、通院日によって更に異なってくると思います。
ちなみに、ロンドンにあるリッチモンドファーマコロジーの場合「事後検診は、治験日程の最後に治験ボランティアの健康状態が治験参加前と同様であることを確認するために行われます。検査で何か問題があった場合は、仮に治験と関わりない(例:怪我など)と判断された場合でも経過観察のために、後日再検査にお越し頂く事があります」とホームページに記載がありました。
また、この点は日本との違いと言っていいと思いますが、私が確認したロンドンの治験は毎回、「事後検診の後、1週間ほど帰国せず待機」となっておりました。
当たり前ですが、事後検診の後になって体調を崩す可能性もあります。日本であれば、病院まで通院してもらう……ということが比較的容易ですが、ロンドンは1度帰国してしまったら簡単には再検査ができません。そのため、事後検診後も滞在期間が長いのが普通なので、帰国前の1週間を使って、宿泊費を補助してもらいながら観光できるというのは、非常に大きなメリットになります。
事後通院が長い場合
今回、事後通院は比較的短く済みましたが、案件によっては数か月、場合によっては半年以上ということもあります。
これはあくまで私が確認して実際には参加しなかった案件の話ですが、長期の通院が必要な案件は、だいたい以下の様な通院スケジュールになっていました。
- 数か月の事後検診:週に1回通院する
- 半年くらいの事後検診:最初の数か月は週に1回通院し、途中から2週に1回、月に1回と減少する
1年の間で半年くらいの通院期間となると、ロンドンの場合はパスポートのみでは連続滞在できません(1年に滞在できるのは半年が限度)。
一方、月1回の通院となると、宿泊費が高くなるため、通院ごとに海外渡航し通院が終わり次第帰国するように指示されることもあります。しかし、毎月のようにやってきては帰国することを繰り返すと、不法移民と思われて入国でトラブルになる事から、事後検診の場所については応相談という案件もありました。
ちなみに、私が確認した「入所1週間程度+通院8回程度で3~4か月滞在」の案件と「入所20日程度+通院1回で2か月ほど滞在」の案件では、受け取れる報酬(負担軽減費)にあまり差がありませんでした。「長く観光したい人」には長期案件が向いていますが、「観光は1週間できれば良し。お金を優先したい」という人であれば、中期程度の案件の方が向いているかもしれません。
電話でのフォローアップ
これは比較的レアなケースですが、事後検診を電話で行うパターンもあります。
多くの場合、このタイプは短期の案件で、入所が1週間にも満たず、現地到着から帰国までが1か月前後ですみます。ただし、こういった短期の案件は、比較的容易に被験者が見つかることから、参加条件が「現地に滞在している日本人(渡航費を自分で払うなら、旅行中の人も可能)」となっている事が多く、渡航費ゼロで海外に行くということは難しいです。
ちなみに、私が実際に確認した案件は短期でしたが、先にも掲載したリッチモンドファーマコロジーのホームページの記載では「入所期間が複数回ある治験で各入所の休薬期間や事後検診で来院して頂く代わりに「テレフォンフォローアップ」という、治験ボランティアに電話で健康状態を聞くタイプの事後検診もあります」となっていた事から、長期の案件でも場合によっては電話での健康診断があるみたいです。
イギリス観光はどうだったか?
私の英会話力は中1以下ですが、ロンドンであればそれでも一人旅は可能です(読む事はできるし、単語が聞き取れればある程度状況判断はできる)。
実際に、私が退所後に訪れた観光は、以下の通りです。
- ロンドン自然史博物館
- 科学博物館
- キュー王立植物園
- 海事都市グリニッジ
- ウェストミンスター寺院・ウェストミンスター宮殿・聖マーガレット教会
- ストーンヘンジ(ロンドン外)
- バース市街(ロンドン外)
この他、入所前の期間も含めると「大英博物館」「ブレナム宮殿」「コッツウォルズ」「カンタベリー」なども行って来ました。
宿泊費・航空券代ゼロで、これだけの観光地を回れたので、やはり海外旅行者にとっては治験の報酬以外のメリットも大きいと感じました。
ちなみに、イギリスの観光をまとめると、だいたい以下の通りです。
- 大きい博物館・美術館は、無料が多い
- 有料の観光施設は入場料が高い(2,000円でも安い方)
- 施設内の飲食は高い(できれば、外で購入してきたもので済ませる)
- ロンドン外までの鉄道料金は高い
- ロンドン外まで行くなら、長距離バスが安い(案外、英語喋れなくても乗れました)
- ロンドン外までの長距離バスを2日連続で使うと、流石に疲れる
- 全体的に、英語はほとんど不要(でも、喋れた方が楽しいとは思う)
観光の注意点
実は、今回行った場所以外にも、当初は「V&A博物館」「テート・ブリテン」「テート・モダン」「ナショナル・ギャラリー」に行く予定でした。
しかし、流石に毎日観光に行くのは体力的に厳しく、今回の旅行では断念せざるを得ませんでした。
また、少なくとも私の訪れたロンドンの博物館は、日本の博物館ほど空調がよくありませんでした。その為、6月でも暑さと喉の乾きで、余計な疲労がたまりました(しかも、施設内の飲み物の値段が高い。私が訪れた時のレートだと、300mlの飲料が700円)。
観光のスケジュールを立てる際は、無理なく休みが取れるように調整しておくことをおすすめします。
イギリス以外も観光できる?
事後検診が終わるまでは、国外に出られるかは治験の案件などに左右されますが、「事後検診終了~日本に帰る前」であれば、イギリス以外を観光できる可能性があります。
あくまで私の場合ですが、航空券の経費については「海外の観光地~日本到着」までについて、支払ってもらうことも可能でした。
実際、他の参加者ではヨーロッパ観光をしてから、日本に帰るという人もいました(イギリスから、ヨーロッパの他の国までであれば、航空券代が5,000円を下回るものもある)。
私は今回、日本に直行しましたが、最低限の観光英会話ができるようになったら、イタリアあたりを観光してから帰国したいと思いました。