【第2回ロンドン治験④】入院生活編
この記事では、英語力中学生以下の私が、海外(ロンドン)で治験を受けた際の経験について、「入院生活(圧倒的非公開)」をまとめます。
「海外の治験に興味がある方」「ロンドンでの治験の生活が気になる方」の参考にしていただければ幸いです。
この記事は、実際に治験に参加した上で執筆していますが、個別の治験の内容の記載はございません。あくまで「一般的な海外の治験はどのようなものか?」という参考としてご利用ください。
多くの治験で似た生活になるかと思いますが、もしも治験に参加される場合は、実際どのような入院生活になるかは、参加される治験の担当者に確認しましょう。
ロンドン治験の入所前の注意点
宿泊費を補助してもらうタイプの治験の場合、安いシェアハウスで生活している人も多いかと思います。
ここで困るのが「退去前の処理」です。
実は私は、最初ロビンハウスに宿泊してから、都合によりアップルハウスの方に移動していたのですが、こちらでは退去前にベッドカバーなどの洗濯を行う必要がありました。
ここで、直ぐに終わる設定で洗濯機を動かし(「express」という設定があった)、部屋に干した状態で除湿器をかけておけば、1時間で対応できたのかもしれませんが……うっかり、通常設定で洗濯してしまい、洗濯だけで2時間30分以上かかりました。
幸い、そんな事態にも備えて朝4時頃に起床して、すぐさま洗濯をしていたのですが、家を出る頃には既に7時15分頃。電車が大きく遅延していたら、入所時刻に間に合わないところでした(しかも地下鉄はネット通じないことが多いので、遅刻の連絡もできない!)。
シェアハウスのタイプにもよりますが、退去前の掃除や洗濯などについては、確実に入所時刻に間に合うように入念な確認をしておきましょう。
ロンドン治験の入院生活の詳細は?
治験には、治験に参加した際に知った情報を漏らしてはいけない守秘義務があります(検査内容、薬の内容、担当スタッフ等々)。
よって、残念ながら…割愛‥‥!
検査の内容をお見せすることが…できない……!
圧倒的コンプライアンス(守秘義務)によって……規制……!
※商品画像は、圧倒的コンプライアンスのイメージです。詳細は第41話「星屑」を参照
さて、詳細は記載が不能なため、「概要レベル」で「大雑把」に「治験とは直接関係ない」部分などを解説します。
要するに、治験参加者が気になるであろう「どんな心構えで臨むべきか?」「何を準備した方がいいか?」「どのくらい自由に過ごせるか?」という私的な部分を中心に解説します。
可能な範囲で解説
設備の品質はロンドンである
当たり前ですが、設備はロンドンです。
何が言いたいかと言うと、「ロンドン並みの道具、ロンドン並みのサービス」であって「日本の様な壊れにくく、日本人向けにデザインされた道具・品質の高いサービス」が準備されているわけではありません。
ロンドンに来るまであまり実感がありませんでしたが、ロンドンの電化製品は結構壊れやすいです。私の治験生活中に壊れたわけではありませんが、シェアハウスで同居していた人の話でも、日本の電化製品と比べるとかなり故障率が高いそうです(しかも、修理が全然来てくれない)。
また、これもシェアハウスで知った話ですが、ロンドンの配管は日本より詰まりやすいです。その為、トイレなどの使用には注意が必要です。
トイレの話で言えば、ウォシュレットなどはロンドンで(というか、海外で)見た事がありませんので、病院にもウォシュレットは無いと思った方がいいです。
場所はロンドンである
当たり前ですが、場所はロンドンです。
何が言いたいかと言うと「夏は日の出が早いし、日没が遅い(21時過ぎても若干明るい!)」ですし「気温は夏でも低め」です。
気温については、屋内もけっこう涼しいので、5月でも長袖2枚は最低羽織れるものが欲しい所です(実際、シェアハウスではそれでしのいでいた)。
また、「日が長いので睡眠時間が狂って困る!」と言う人は、アイマスクを持って行ってもいいでしょう。病院でもらえる可能性もありますが、やはり自分にあった品質の良い物を使った方が寝心地も良いです。
逆に、冬の日の短さについては……まあ、どうしようもないので覚悟してください。
日本の治験なら「寒いときの為に羽織るものを持ってきてください」と言われても持って行かない私ですが、ロンドンの空調は暑いか寒いかの二択が多いので、夏でも防寒着はあった方がいいかなと思います。
娯楽はロンドンである
場所も設備もロンドンなので、日本語の娯楽が充実していません(施設によると思いますが、若干はあることが多い)。
また、治験の内容によっては長時間電子機器の使用が禁止されます(検査する機械に影響するので)
何が言いたいかと言うと、「スマホで漫画とか動画でも見て時間を潰せばいいや……」という考えが通用しないタイミングがあります。
日本の治験なら、現地で漫画を借りて読むなどで対処……ということもできますが、流石にロンドンの施設なので、多くの日本語の漫画・書籍には期待できないでしょう(というか、日本の治験施設の娯楽が充実しすぎ。なんだあの漫画喫茶は)。
とくに、長時間の電子機器の使用が制限される治験では、合計で丸一日以上スマホ・PCが使えなくなる可能性もあります。そういった事態に備えて、できるだけ読むのに時間がかかって、荷物もかさばらない文字が詰まった文庫本を持っておくと良いでしょう。
英語学習に使える?
ロンドンなので、標準語は英語です。
これについては、日本人スタッフもいる前提なので、ある程度は日本語が通じますが、英語学習の機会として活用してみてもいいでしょう。
ちなみに、私の場合は学習できるほどの前提となる英語力がありませんでしたが、それでも「おお! 何か喋ったら通じたぞ!」という経験を積めたので、観光に向けて英語アレルギーの解消がちょっとできました。
参加者は「現地滞在者」や「海外旅行者」が多い
日本の治験の場合は、純粋に「治験で稼ぐ」ことが目的の人ばかりですが、海外の治験は「留学生で長期休暇中」だったり「海外旅行の費用軽減」などで参加している人が多いです。
そのため、現地の生活に関する情報や、海外旅行に関する情報(ロンドン以外も)が多く入手できます。
かく言う私も、最初は「お金」が動機の7割だったはずが、気付いたらロンドン市内だけでなく、ロンドン外の旅行計画まで立て始め(最終目標はセント・キルダ)、治験参加中も周囲に自分の調べた観光情報を提供し、退院後に一緒に観光するという立派な「海外旅行者」になっていました。
また、中には海外での治験経験が2回以上である人もいるため「自分の参加した治験が普通なのか? それともどこか特殊なのか?」ということを比較して検討することもできます(病院によりますが、1度投薬を受けた人は、次回以降優先的に合格できるところもあるそうです)。
結局、詳細は案件による
今回、圧倒的コンプライアンスの関係で治験の詳細は述べませんでしたが、結局詳細は「案件による」としか言えません。
もちろん、動かしようのない設備などは、病院によって固定されていると思いますが(それも何年か経てば変わる可能性がある)。例えば「検査が多かった」「痛い検査があった」などという事は、別の案件では必ずしもそうはなりません。
食事やスタッフの対応についても同様で、自分がいつ、どのような案件に参加したかで内容が変わってしまう為、そもそも詳細をここで記載したところで、「実際に参加してみたら、全然違った」という事は十分にあり得ます。
もちろん、複数の案件の知識を得る事で、比較的スタンダードな場合の傾向を知っておくことはできます。どうしても気になる方は、実際に参加経験を積みつつ、その中で知り合った相手から情報を聞き出してみるといいでしょう。
英語はどのくらい必要か?
海外の治験と日本の治験の違いで、もっとも大きなところが言語の壁。ただし、この点について言えば、日本人スタッフがいるので、複雑なやり取りは対応してもらえます(私は最初、生年月日すら英語で言えなかった……)。
とはいえ、正直途中からは「単語」「身振り手振り」「先に日本語で受けた説明を覚えておく」の3つがあれば、だいたい英語のやりとりもなんとかなり、日本人スタッフに頼る方が面倒になります。
「Can I ~?」と言うべき部分を「I Can ~. OK?」という謎の英語で何度も通用させていた私が何とかなったので、間違いありません(こんなに酷いのは自分だけでした)。
また、現地人スタッフの方々も、度々私並みに英会話ができない人と対応していると思いますので、色々と察してくれますし、フレンドリーに対応してもらえました。
まとめてしまえば「簡単な単語が理解できれば、英語が喋れなくても問題ない」となります。
ちなみに、何度も聞いている内に通常の英会話では使わないであろう「カニュラ(留置針)」「ユーリンサンポー(採尿)」などの言葉は覚えました。
治験の持ち物について
事前に、治験の持ち込み物について、おおむね以下のような説明があります。
- 病院側で貸し出してもらえるもの
- 持ってこなければならない日用品
- 持ち込み禁止の物の例
- 例外的にもちこめる物
このあたりの説明はだいたい日本と同じですが「出国前に荷物の準備を進めないといけない(現地調達に自信があれば別ですが)」点は日本と異なります。
また、施設によると思いますが、やはりロンドンのサービスなので、日本ほどの設備・消耗品の充実は期待できません。持ち込みできるものは、できるだけ自分で身の回りの物を備えておいた方が無難でしょう(体温調整の上着や、例外的に持ち込み可能なシャンプーなど)。
入所時に持っていったら便利な物
入所時に持っていったら便利な物も、ほぼ日本と同じです。恐らく、病院側の資料に持ってきたら良いものが記載されているので、そのあたりを持っていけばOKです。念のため、以下に私が意識している便利な物を記載します。
ノートPC・タブレット・スマホ
この辺は必須アイテムです。病院でも娯楽は用意されていますが、やはり自分の楽しみたいものを優先するなら、ノートPC・タブレット・スマホあたりを持っていた方が良いです。
速乾性のタオル
日本と同様です。直ぐに乾いてくれて、水をしっかり吸ってくれて、それでいて小さいものであればOK。荷物が軽量化できます。
着心地の良いパジャマ兼部屋着(貸出ありなら不要)
病院によりますが、病衣の貸し出しが無く、自分で普段着をそろえる必要がある場所が、海外では多めな印象です(日本は貸し出しが多い)。
そこで、パジャマとしても部屋着としても利用でき、着心地の良い服を用意しておくことをおすすめします。
私は、ユニクロのウルトラストレッチルームウェアを数着持っていきました(洗濯がすぐにはできないので)。たぶんこんな商品です。
あ、間違いました(詳しくは、第94話「寝巻」参照)。
10日(できれば半月以上)は洗濯しなくて平気なだけの服
日本よりも土地の価格が高いためか、洗濯スペースや洗濯機などの設備がない病院もあります。
その為、洗濯は外部の業者に実施してもらうのですが、返却まで含めると早くても10日ほど、長いと半月は洗濯済みの衣類が手に入るまで時間がかかります。
ですので、パンツやシャツ類は、半月分を持っていくのが理想です。
ちなみに、病院や治験の内容にもよりますが、外出はほぼ無い為、靴下は普段不要です。
小物を入れられる手提げ
ベッド周りの環境によりますが、私の過去の経験では、ちょっとした道具を入れられる手提げがあると便利でした。
環境によっては、ベッド近くにかけて小物入れになりますし、シャワーの際にタオルや着替えを持っていくのにも便利です。
また、入院前後の生活は、シェアハウスやドミトリーを利用する人がほとんどです。そういった場面でも、建物内でちょっとした荷物を運べるアイテムは重宝します。
変換プラグ
もしかしたら病院側で準備してもらえるかもしれませんが、日本の電子機器で電源を取る場合は、変換プラグが必要です。
とくに、ノートパソコンの充電で必要になるかと思います。変換プラグは、現地でも大型のスーパーで売っていましたが、日本で購入しておいた方が無難です。
延長コード
これも日本と同様で、環境にもよります。要不要は、もしかしたらスタッフに確認可能かもしれませんが、病院というよりもベッドにより変わる可能性がある為、持って行った方が無難ではあります。
USBハブ
日本と同様。スマホやタブレット、ワイヤレスイヤホンなど、複数を同時に充電するのに便利です。
文庫本
検査内容によりますが「電子機器の使用不可」などの時間が長い治験では、文字の詰まった文庫本を数冊持って行っておきましょう。
私の過去の経験では、「1日で電子機器が使えたのが数時間だった」という状況が3日におよんだ治験もあります。ロンドンの病院は日本の漫画・書籍は数が少ないため、自分で持って行った方が無難です。
ちなみに、掲載した3冊は、個人的に好きな作家さんの、私のおすすめトップ3です。
大まかな1日のスケジュール
大まかな治験のスケジュールも、だいたい日本と同じです。
入所日・投薬初日などの「検査が多い日」が忙しくなりがちで、退所日は片づけが忙しくなりがちです。
また、電子機器の使用が検査に影響する機器を付けている日は、スマホ・PCなどが使えません。長い日は、1日で数時間しか利用できないこともありますので、注意しましょう。
検査内容もおおむね一般的な日本の治験と同様と考えてください。「通常の健康診断+治験に応じた検査」が行われます。
もちろん、治験によって投薬の回数や日程、そもそも入所する期間が数日だったり、一か月くらいだったりと色々と変化があります。詳細が気になる方は、必ず担当者に確認しましょう。
普段の入院生活の流れ(日本含む傾向)
細かな検査の少ない普段の入院生活の流れは、以下の通りでした。
- 起床(6:30~7:30)
- 朝食と朝の検査(検査は30分ほど)
- ほぼ自由時間(たまに検査が10分ほど)
- 昼食
- ほぼ自由時間(たまに検査が10分ほど)
- 夕食
- ほぼ自由時間(たまに検査が10分ほど)
- 就寝(22:00~24:00)
検査で取られる時間は、だいたい30~60分ほどでした。ただし、検査や食事の時間で作業が中断されるため、体感的にはもう少し時間を奪われている感じはします。
とはいえ、食事の準備や部屋の掃除が不要なので、現実的には普段の休日よりも時間に余裕があります。
結果的に、私はいつも「自宅よりも、治験で入院してた方がブログも脚本もはかどるんじゃあ……」と思ってます。
ただ、こういう人は少数派で、とくに2週間以上経過すると「集中できない! 早く外に出たい!」という人の方が圧倒的多数派でした。
ちなみに、全体の日程の6~8割くらいは、こんなスケジュールで過ごし、もっと暇な場合は「食事以外は自由」なんてこともあります。
制限の多い日の入院生活の流れ(日本含む傾向)
逆に、制限が多い日の生活の流れは、以下の通りでした。
- 起床(5:00~7:00頃)
- 朝食と朝の検査(検査は60分ほど)
- 電子機器使用不可(書籍は読めるが検査も多い)
- 昼食
- 電子機器使用不可(書籍は読めるが検査も多い)
- 夕食
- ほぼ自由時間(検査もある)
- 就寝(22:00~24:00頃)
制限が多い日だと、起床と就寝時刻にもよりますが、電子機器が使用できるのは3~6時間くらいかなと思います。
また、こういった日は検査も多い傾向があり、仮に読書をしていても、30分おき、短いと10分おきに中断が入ります。
もちろん、面倒だからいっそ1日寝てしまおう……というのも、検査が入ってくるので難しいです(おかげで、睡眠が狂ったりもしませんが)。
ただ、私が過去に見てきた案件では、こういう日は多くても全日程の15%くらいかなと思うので、諦めてゆっくり過ごしましょう。
この他、ここまで制限が厳しくなくても、検査が多めの日もあります。検査の内容や、とられる時間は案件によりますので、一概には言えません。
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