【第1回ロンドン治験⑥】ロンドン生活編
この記事では、英語力ゼロ・コミュ力ゼロの私が、海外(ロンドン)で治験を受けた際の経験について、「治験で病院に入所するまでのロンドン生活」をまとめます。
「海外の治験に興味がある方」「ロンドンでの生活に興味がある方」の参考にしていただければ幸いです。
シェアハウス(北園ハウス)での生活
今回、私は日本人の方が経営し、日本人が宿泊するシェアハウスである「北園ハウス」に宿泊しました。治験で北園ハウスに宿泊した理由は以下の通りです。
- 料金設定が治験の補助額に対して程よい(大幅なオーバーなどもなく、ドミトリーほど安すぎもしない)
- 観光地がけっこう近い
- 宿泊者も経営者の方も日本語が通じる(生活面で困った際は、ある程度相談できる)
- 繁忙期でなかったので、宿泊日数を柔軟に対応してもらえた(健康診断の結果次第で宿泊日数が変動するため、かなり助かりました)
観光地が近くて、しかも安いというのはかなりの魅力です。もちろん、ロンドン中心街に直接ホテルをとるのに比べれば距離はありますが、それでも行きたかった観光地までの所要時間は、だいたい以下の通りでした(時間帯によって異なります)。
- ビッグ・ベン:約35分
- バッキンガム宮殿:約40分(ビッグベンから徒歩で行ける)
- キングスクロス駅:約45分
- ロンドン塔:約50分
- キュー王立植物園:約55時間
- 大英博物館:約1時間(キングスクロス駅から徒歩で行ける)
- グリニッジ天文台:約1時間
北園ハウスの場所は、ロンドン中心地から南側にずれた位置なのですが、私の行きたかった世界遺産である「キュー王立植物園」と「グリニッジ天文台」がそれぞれ中心から東西にあったため、結果的には「どの行きたい場所にも、1時間程でアクセスできる」という好立地となっていました。
また、治験としては何より助かったのが、延泊ができたこと。海外の治験で宿泊先を自分で準備する場合、健康診断の結果次第で宿泊日数が変化してしまう為、「宿泊を延長しようとしたら、別の宿泊先を探さなくてはいけなくなった!」という状況もあり得ます。そこを回避できたのは大きなメリットでした。
料理のルール
公式のページにいくつかの禁止事項が記載されています。
- 23時以降は使用不可
- 大量の油を使う料理は不可(天ぷら、フライなど)
- 焼き魚・オーブン料理は不可
また、料理のルールではありませんが、食事ができるのはキッチンテーブルのみです。自室に持ち帰って、部屋を汚したりしないようにしましょう。
台所洗剤、キッチンタオル、浄水器のカートリッジなどは宿泊費に含まれているため、現地にあるものを利用可能です。
更に、チェックアウトした利用者が残してくれた調味料などが共用として置いてあったため、調味料や油などは、ほとんど無料でした。
食材の保存はそれぞれ部屋ごとに割り当てられている冷蔵庫に保存すればOK。ゴミ出しは、「生ごみ用」「チリ紙などの燃えるゴミ」「ペットボトル・缶など」といった感じでゴミ箱が別れているので、分別して捨てればOKです。
ちなみに、お庭がかなり広く、夏になると団体客でバーベキューをされることもあるそうです(私の滞在時は寒かったので、夏に向けて整備中でした)。
洗濯のルール
台所と同様、洗濯機は23時以降になると使用不可です。また、洗濯物を部屋で干す場合に、カーテンレールに干してはいけません。
それ以外は、基本的に空いてる時間で使えばOK。乾燥機もあるので、わざわざ部屋のカーテンレールで干す必要もないかと思います(ただし、乾燥機はコイン式で有料なので、通貨を入手する必要あり)。
共同消耗品として購入されている洗剤については、宿泊費に含まれているため「洗剤を購入して、余ったら捨てないといけない……」という事もあません。
スーパー(北園ハウス周辺)での買い物
私の宿泊先である北園ハウス周辺では、徒歩圏内で以下のスーパーがありました。
- Lidl Norbury(徒歩7分。一番近くて、しかも安い!)
- Iceland Supermarket Norbury(徒歩8分。冷凍食品が主力)
- Sainsbury’s(徒歩16分。少し遠かったですが、日本食が売ってた!)
- Tesco Extra(徒歩23分)
- ALDI(徒歩26分)
後述しますが、事後検診までの期間は運動を控えるため、徒歩20分を超える「Tesco Extra」と「ALDI」は避けました。それでも、スーパーが3軒あり、和食系の食材も多少であれば入手可能です(治験の健康診断では、和食系で塩分控えめの食事を作ると有利になりやすい)。
どんなものが入手可能か?
入手可能なものは、スーパーの規模や種類によります。
私が生活していた北園ハウス周辺については、最も近くて安いスーパーが「LiDL」でしたが、規模が少し小さめで、文房具や日本食の食材、蛍光灯などは取り扱っていないように見受けられました。一方、少し離れた場所にある「Sainsbury’s」はかなり大きなスーパーで(もちろん、店舗によります)、ここでは文房具や日本食の食材、蛍光灯など、色々な種類のものが販売されていました。
参考までに、実際に見かけたものを紹介すると、こんな感じです(2023年3月時点の物価ですので、今後変動は大いにあり得ます)。
パンケーキ4枚、60ペンス(100円くらい)。値段にもよりますが、ロンドンの袋入り菓子パンは日本の菓子パン1個の1.5倍くらい量がある印象です。ただ、いわゆる総菜パンは見かけませんでした(焼きたてのパンのコーナーには少しありました)。
ハム400gが300円くらい。加工肉系は、ものによっては日本より安い感じです。
刺身はほとんど見つかりませんでした。あっても、サーモンくらい。冷凍食品だと、他にも少し魚やエビなどを見かけます。
日本食系は、Sainsbury’sで結構売っていました(店舗が大きいから?)。生うどん、100gで113円。日本に比べると高めです。
蕎麦が340gで260円くらい。ただし、そば粉15%程度です。
日本のお米は「SUSHI RICE」の名前で売られていました。
寿司用なのか、わさびやお酢、醤油も一緒に売られていました。
日本食コーナーと並んで売られているお菓子。たべっ子どうぶつがありました。1箱160円くらい。
キノコとタケノコの戦いは、キノコの圧勝(そもそもタケノコ食べる文化が無い?)。
日本食かは微妙ですが、カップラーメンも日本食の隣で売られていました。
キレートレモン!? と、思ったら、「lemon juice by Sainsbury’s」でした(1本130円くらい)。
見た事の無いモンスターエナジーも売っていました。種類によって価格も違います。250~290円くらい。16歳未満購入禁止とは聞いていたのですが、なんか「UNDER25?」って、24歳でも制限ある感じでしょうか?(英語分からんです)。
上の写真はなんとなく飲みたくなったジュース。でも、治験に差し支えそうだし、1本400円くらいとけっこうなお値段だったのでやめました。
何となくパッケージが気に入ったお菓子。しかし500円弱は高い!
利用はしませんでしたが、どこのスーパーでも見かけたオレンジジュース製造機(?)。残念ながら、使っている場面に遭遇したこともありません。
大きめのスーパーで、プリペイドSIMも売られていました。ただし、最初からプランが確定しているAll in oneのもの以外は、現地で購入しても自分では設定が難しいです(ThreeやEEのSIMで試したところ、イギリスのクレジットカードが無いとプランが購入できないらしく、公式以外でバウチャーを購入する必要がある。が、そうすると結局日本より高くなります)。また、そもそもAll in oneタイプのSIMがどれなのか全く分かりませんでした。
大きなSainsbury’sでは文房具類も充実していました。が、ボールペンが三本で530円くらいだったり、100円ショップで売ってそうな付箋が360円したりと、けっこう日本より高いです。
大きなSainsburyにて。マウス、キーボード、イヤホン、SDカードなども購入可能でした。ただ、やはりけっこう値段します。
実際に購入した商品の例
実際に購入したものと価格を、一例としてまとめると、以下のようになりました。
- 人参(小)約10個入り:0.99ポンド
- 玉ねぎ(小)約10個入り:0.89ポンド
- トマトスープの缶:0.57ポンド
- 野菜スープ缶:0.57ポンド
- チキンと野菜スープ缶:0.99ポンド
- ハムスライス400g:1.89ポンド
- パスタ500g:0.85ポンド
- microwave rice(フライパンなどで簡単に作れる炒めご飯)250g:0.38~0.65ポンド(種類による)
- 菓子パン(小)2個入り:0.72ポンド
- 菓子パン(小)4個入り:1.39ポンド
- 菓子パン(小)6個入り:0.99ポンド(量多いのに、こっちの方が安い事に後で気づいた……)
- パンケーキ(小)4個入り:0.89ポンド
- ニシンとトマトの缶:1.59ポンド
- ニシンとエッグマスタードの缶:1.59ポンド
- 無脂肪牛乳(2Pints=約1リットル):1.3ポンド
- 低脂肪チーズ250g:1.99ポンド
- オリーブオイル:4.29ポンド(商品間違えて高価なの買っちゃった……)
- ボディソープ:1.19ポンド(+消費税20%)
- シャンプー:0.99ポンド(+消費税20%)
- 蕎麦340g(そば粉15%):1.6ポンド
- インスタント味噌汁5個入り:1.75ポンド
- 出前一丁ビーフ味1食分:0.65ポンド
- 床掃除用のシート:1.0ポンド
- 万能掃除用シート(小):0.5ポンド
- 輪ゴム:2.0ポンド
- プリペイドSIM(契約前の状態):0.99ポンド
正直、なれない環境で浮足立っていた影響で、うっかり高い商品を購入していたり、購入した後で凄く安い事に気付いたりしている状況でした。
また、色々となれない環境で、観光もしたいし、体験した記録も残したい……となると、料理を作る時間が手間になるので、そのあたりの時短には「安い菓子パン」「野菜スープ缶」「インスタントのい系が役に立ちました。事前に菓子パンを購入してリュックに入れておけば、飲食店不要で観光できるので、出費を大幅におさえることができます(ランチやディナーも観光として楽しみたいですが、食費を外食の1/10~1/20程に圧縮できるのは強み)。
上は実際に購入したもの。トマトのスープ缶など、野菜スープ系の缶が100円しないの価格だったのは助かりました。
上の写真も実際に購入したもの。横長のパンケーキの様なものが複数入った商品は、80円程度で日本の菓子パン1個分よりちょっと多いくらいなので、けっこうお得です(ただし、あまり食べすぎると健康診断に影響します)。右上の鍋で簡単に作れるインスタントの炒めご飯的なものは、1食100円ちょっとで、250g。手軽に料理でき、ちょっと野菜を足せば治験に向けた調整にもアリです。
支払方法は?
現金でもクレジットカードでも大丈夫ですが、機械の故障により「クレジットカードのみ」だったり「現金のみ」だったりすることもあり得ますので、念のため両方持っておいた方が無難です。
クレジットカードは、マスターカードかVISAカードを持っていればOK。ネット上で、この二つであれば使えないことはまずないと記載されていますし、私自身、楽天のマスターカードを使っていましたが、使えないことはありませんでした。普段日本円で支払っているカードを使えば勝手にポンドを日本円換算して請求してくれます。
健康診断でいい結果を出すためにやっていたこと
基本的な事は、日本の健康診断でいい結果を出す方法と同じです。昔自分が書いた記事を参考にしました。
簡単にまとめると、以下の様になります(上の項目程重要)。
- 指定されている禁止事項は絶対に遵守
- 水は1日1.0~1.5リットル。事前検診当日は1.0リットル摂取。ただし、食事からの水分が少ない場合(スープ類などが全く無いなど)は、1.5~2.0リットルの範囲まで増やす。
- 運動は禁止(日常の移動も含め1日8000歩前後にする)
- 逆に、全く動かないのも禁止(8000歩くらいで無理ないウォーキングは健康診断の結果を良くする)
- 食事は「脂」「塩分」「甘いもの」を控え、1日3食で腹8分目(とくに検査の3日前からは注意)
- 和食中心で大豆製品・海藻・キノコ・そばなどを積極的に食べる(海外なので困難。蕎麦は食べました)
- 睡眠は過不足なく、早すぎる起床や夜更かしにも注意する(私の場合、1日7時間30分睡眠)
難易度が高かったものは「和食中心」と「運動は控える」の2つ。
和食中心については、スーパーで食材を探すのが結構大変です。だからといって、遠くのスーパーへ行くと、往復の徒歩だけでけっこうな運動になってしまうため、これもできません。そんなわけで「徒歩20分圏内で、できれば和食っぽい食材を買い、後は家に引きこもる」という残念な生活を送っていました(しかも、結局和食は1日1食程度)。
とはいえ、実際に投薬対象者に選ばれれば、帰国前に1週間ほど自由時間があるので(つまり、宿泊費と航空券無料でロンドン観光1週間可能!)、ここは我慢です。
ロンドン治験に備えた現地の食事
「和食中心で、大豆製品、キノコ類、海藻類多めで、脂・塩分・糖分控えめ」と、言葉にするのは簡単ですが、正直渡航先で治験向けの食事を実現するのは楽ではありません。
以前からロンドンに住んでいた経験があれば楽だと思いますが、初めてロンドンに渡航する場合は、以下の困難さに直面します。
- 実際に、生活圏内で手に入る食材が、渡英するまでわからない(推測はできるが)
- そもそも、ロンドンのスーパーでは大豆製品、キノコ類、海藻類、和食の食事が入手困難
- 短期間の滞在になる可能性もあるので、余りそうな食材は買いにくい(袋入りの野菜とか)
- 調理器具などが、宿泊先依存する(宿泊するまで詳細はわからない)
では、そんな中で私が実際に利用した食事の例は、以下の通りです。
- 朝食:インスタントの炒めご飯+味噌汁(野菜、肉などを切って足しても良い)
- 昼食:菓子パン+低脂肪牛乳
- 夕食:野菜スープパスタ、ニシンの缶詰入り+低脂肪牛乳(野菜スープ系の缶に茹でたパスタを入れた)
こんな感じの食事を、毎日食べます。1日の食費が500円もかかりません。
とはいえ、毎日だとちょっと飽きるので(イギリスまで来て何やってんだって感じです)、「野菜スープ系の缶」については「野菜チリコンカン缶」「アイリッシュシチュー缶」とかも使いました(ただし、脂質など多めっぽい缶は、購入前に内容物に注意! カレーとかは危ないです)。インスタントの炒めご飯は、4種類ほどをローテーションです。菓子パンもたまに意図的に高いのを買ってみました。
「食材が余らないように」と考えると、「野菜スープ系の缶」と「インスタントの炒めご飯(microwaveable rice)」は、1食分ずつ購入でき、調理時間も省けて便利でした。
もちろん、既に料理されてしまっている物なので、完全な自炊よりは「脂質」「塩分」「糖分」が高くなりやすい可能性があるかと思いますが、そこは1日の食事量そのものを控えめにしておけば、問題になるほどではありません(缶などに記載がある脂質・塩分など量を把握して調整すると尚良い)。
菓子パンが入っていることが意外かもしれませんが、「1食までならアリ」と判断しました。例えば、6個入りで80円程度のパンケーキ(LiDLで売ってる。かなり安い!)は、全部食べると540kcal。私の体重では、デスクワーク中心でも1日1650kcalが目安なので、菓子パン1つなら、ほぼ1食分です。また、以前に治験で「コンビニの幕の内弁当であれば、唐揚げなどが多少入っていても、全部食べるぐらいが健康診断前日の夕食としては良い選択肢」と、治験の担当の方から教えてもらったので、1食程度であれば菓子パンを食べても問題ないと判断しました。
とはいえ、健康診断3日前に入ってからは、菓子パンは使わない方がより安心かと思います。例えば、私の健康診断直前については、「菓子パン」を「蕎麦+魚缶(麺つゆは飲まないこと!)」に変更しました。
案外カルシウム不足になりがち?
まず、念のため最初に断っておくと、イギリス人はカルシウム過多になりやすい傾向があり、一方で日本人はカルシウム不足になりやすいです。
注意点は「多くのイギリス人は、カルシウムを乳製品から摂取している」事です(その他、緑黄色野菜などからも摂取しています)。
この「乳製品」が、治験だと「タンパク過剰」や「脂質過剰」が怖くなり、私の場合ついつい割けていました(本当は好きなのに!)。日本にいるときは、魚介類、大豆製品、海藻類からカルシウムを摂取できていたのですが、それらがほとんど使えません!
その為、今回の治験では「無脂肪牛乳(skimmed milkの名前で売ってます)」「低脂肪チーズ」「ニシンの缶詰」「鮭の缶詰」を活用してカルシウムの摂取を行うよう心掛けました。ちなみに、30~49歳男性の食事からのカルシウム摂取量は、推奨量750mg、許容上限2500mgだそうです。
ロンドン治験に備えた現地の水
以下のサイトを見て頂けると分かりますが、ロンドンの水は硬水よりです。
例えば、東京の水道水の硬度は60mg/l前後で軟水ですが、私の宿泊してるCroydonは、上のページの図だと「Hard」の分類。WHOの飲料水水質ガイドラインでは120~180mg/lを「硬水」としているため、宿泊先の水は、東京の水道水よりもカルシウムとマグネシウムの含有量が2~3倍程度になる事がわかります。
飲みなれていな水を飲むと、下痢になる……という恐れがありますので、念のため心配な人はスーパーで日本と軟水を購入すると良いでしょう(私は影響ありませんでした)。
ちなみに、東京と同程度の硬度の水としては「Elm spring(50mg/l)」「highland(50mg/l)」「ICE VALE(61mg/l)」「Scottish mountain water(71mg/l)」などがあります。
その他の日常生活
その他、日常生活で「日本とは違うな~」と思った事は以下の通りです。
物乞いとの果てしない死闘(英会話30分)
ある日、近隣の大きなスーパーから出たところでATMを見つけました。現金が少なかった私は、「さっき、地元民が使っていたし、たぶん安全なATMだろう」と判断し、そこでカードを取り出そうとすると……。
背後からおっさん(50代くらい?)に声をかけられた!
やばい、犯罪か! 真昼間の人通りのあるスーパー前で! と、混乱しつつも、カードと財布は素早くしまって英会話開始。最初は何を言ってるのかほぼわからず、必死に単語レベルで聞き取り、こっちも単語レベルで返答していると。
「You(狒々山を指さしながら)、Give Money(おっさんを指さしながら)」
物乞いかよ!
これが分かった時点で逃げればよかったのかもしれませんが、キレて暴れられたら厄介だと思ってしまった私は(本当に、さっさと逃げればよかった)、とりあえず、さっきまで使っていた英単語以上は理解できないふりをして、すっとぼけながら英会話を続行。
ヤバいなあ、物乞いには可哀そうだけど、財布出したところで窃盗とか、普通に起こりえるよなあ、誰か助けてくれないかなあ……と思っていたら、今度は身なりのいい女性が登場。なんと、彼女が話しかけてきました。
これで助かったか……と思ったら、物乞いが彼女を指さし「My daughter」。おい、お前裕福じゃねえか!(事実、物乞いは上手くやると高時給なので、裕福でもやる人がいて、逮捕されるそうです)。
その後も、スーパーの前で座っていた男性客を呼び、仲良さそうに「My friend」と紹介してくる始末。もう、完全に同情もなくした私でしたが、結局その後も「まあまあ、兄ちゃん。ちょっと座れよ」みたいな事を言われて、ベンチに一緒に座って、会話にならない英会話を続行。
すると物乞いのおじさん、今度はリュックから2リットルのペットボトルを取り出してきました。なんか日本のジンジャエールっぽいなと一瞬思いましたが、よく見ると「ALC5.0%」の文字。あんた平日真昼間のスーパーの前で何飲んでんだよ!(事実、アルコール中毒者の物乞いは多いそうです。保護シェルターに入るとアルコール禁止されるので)。
で、そのアルコールを紙コップ(リュックに入ってた使用済み)についで「おめえも飲めよ?」みたいなこと言いながら差し出してきました。なんかこの酒を使った口説き方だけは、一升瓶もって説得に行く古い日本みたい。
私はアルコール苦手だし、そもそも治験前なので手を横に振りつつ「NO! NO!」と断固拒否。すると、おっさん、豪快に1杯飲み、更に2杯目を飲み……と、思ったら、ほとんど飲み切れず、お酒を路上へ豪快にぶちまけました。
なんか、酔っ払ってきて暴れだしたら嫌だなあと思い、すっとベンチを立つと、物乞いのおっさんも諦めたようで、すたすたと「My friend」の方へ歩いていき、無事解放されました。
……しかし、よくよく考えるとこの一件、実は冒頭で「Can I use a translation app?」と私が言った際に、「No! No!」とスマホの使用を拒否されたため、なんと30分間も翻訳アプリなしで英会話していました(ただし「card」や「open」さえ分からないふりをしてましたが)。
まともな英会話ではなかったとはいえ、この一件は「単純な動作であれば、頑張れば身振り手振りで本当に通じるんだ」という実体験ができ、ロンドン生活に対する自信を高めることにつながりました。
その事に気付いた私は、何としても彼に感謝の意を伝えたい。何なら今持っている5ポンド紙幣を渡したいと思い、スーパーからの帰路で唐突に彼の元へ走り出したくなりましたが……物乞いにはお金を渡してはいけないそうです。
サイレン多すぎ!
先述した物乞いもそうですが、ロンドンは犯罪率が非常に高いです。欧米の首都としては、平均的で、凶悪犯罪はむしろ少ないそうですが、日本と比べると窃盗などの犯罪は人口比で20倍程度になります。
その為かどうかはわかりませんが、パトカーのサイレンを聞かない日はありません。1日1回というよりも、1日数回はサイレンを聴きます。
果たして、それが窃盗レベルの犯罪なのか、もっと凶悪な犯罪なのか、そもそも犯罪や事件は関係なくてもとりあえずサイレン鳴らしているのかわかりません。が、初日はパトカーのサイレンに「犯罪か!」と怯えていた私も、流石に3日目くらいになると慣れました。
歩行者の信号無視多すぎ
ロンドンで、緑と赤の歩行者向け信号がある場合は、高確率で無視されます。
どのくらい無視が多いかというと「信号無視しないと、不慣れな旅行者と思われ、犯罪者に睨まれるからヤバイ」と、1日で私が察した程に、信号無視しない人は少数です。
ちなみに、私は直感で「信号無視しないと犯罪者に睨まれる」と感じましたが、こちらのページによると事実らしいです。
また、緑と赤の歩行者向け信号がついている場所は、私が確認した限りでは全て押しボタン式だったのですが、このボタン「あれ? ボタン押せてなかったか?」と思うほどに、ボタンを押しても信号が切り替わりません。
しかも、横から来る車向けの信号も赤になっていたりして「あれ? 何で俺は信号渡ってはいけないんだ?」と混乱する状態です。
とどめに、日本と違い、歩行者の信号無視は違法ではなく自己責任です。
そんな感じで、そもそも信号事情が日本とは違う為、結果的に歩行者で信号無視する人が多いのかなとは思います。
とはいえ、信号機を見ると、こんな文字が書いてありました
私は英語サッパリなので「opposite」がわかりませんでしたが、それでも「ボタン押して信号が変わるのを待て。赤は待てで、緑なら渡ってよし」的な事が書いてあるのは何となくわかります。しかし、現実を考えると、何のために「WAIT」と書いてあるのかわかりません(まあ、そんなもの矛盾したもの日本でもよくあるか)。
夜は鳥がうるさい(ロビンという鳥らしい)
ロンドンに来て最初に「深夜に目覚まし鳴ってる!」と、驚かされました。
私のスマホの目覚ましは鳥のさえずりだったのですが、かなり似てる感じです。そのスマホの目覚ましと同じ音が、深夜に思いっきり外で鳴きまくってます。
で、調べてみたのですが、どうやらロビン(和名はヨーロッパコマドリ)という鳥が、深夜でも街灯の影響で鳴き続けるのだそうで、ネットで鳴き声を聞いてみたら、たぶんこいつでした。
ちなみに、ロビンは、イギリス人20万人以上の投票で、国鳥にふさわしい鳥第一位になったことがあるそうです(実際、非公式では一般に国鳥扱いなのだとか)。
人は優しく、「世間様に迷惑がかかる!」といった圧力は低い
先にけっこう「窃盗がー」とか「物乞いがー」とか色々怖そうな内容を書きましたが、多くの人は優しいです。高齢者でなくでも、電車で席を譲るのは日本よりかなり自然ですし、親切心で階段で荷物を持ってくれる人も多いです(が、旅行者は念のため注意して断った方が無難)。
また、日本人的な「世間様に迷惑がかかる」という無言の圧力がありません。エスカレーターで「荷物が多くて道を塞いでしまった」となっても、それにキレるような人はいないそうです。ワイヤレスイヤホンで話しながら歩いてる人が多いのも、電車内で通話してる人がけっこういるのも、こういった文化的背景があるかなと思います(もちろん、その辺は一長一短ですが)。
まあ、旅行初心者で英語を喋れない身としては「親切か、親切を装った犯罪かわからない!」ということもあるので「Thank you, but no thank you.」とスムーズに言って近づく人からはサッと離れるのが無難かなとは思います。
その他の細かな差異
その他にも色々とあるのですが、全部文章でまとめていくときりがないので、あまり旅行者の生活に影響しないものは箇条書きでまとめます。
- ワイヤレスイヤホンで通話しながら歩いてる人が多い
- アフリカ系の比率高い。アジア系は稀(このあたりは地理的なものを実感しました)
- 雨多いけど、無視できるレベル多い(でも折りたたみ傘あった方が便利かも)
- 無視できないレベルの雨(靴に浸水する)でも、女性含めて傘ささない人の方が多かった(偶然?)
- 日光でても、直ぐに雲に隠れる
- 私服OKの職場が日本より多い(病院、飲食店、スーパーなど、けっこう私服多かった)
英語は必要だったか?
生活するだけなら、話せなくても大丈夫でした。
もちろん英会話ができれば便利だし、より楽しく生活できた可能性はありますが「買い物をする」「電車やバスで移動する」というだけだと、会話の機会が根本的にありません。たまに、無人レジでエラーが出て(個人的に20%くらいエラー出た)、なんか英語で色々言われましたが「???」となってる間にだいたい店員が処理を終わらせて離れていきます。
強いて言えば、私は物乞いに絡まれ英会話をすることになりましたが、この際はわざと「card」や「open」すら英語がわからないふりをしたので、もはや英会話とは言えません。
そんなわけで「治験の入所まで、スーパーで買い物し、宿で自炊する。為に病院に電車で行く」というだけであれば英会話は実質不要という結果になりました(万が一のときも身振り手振りで済む)。
事前検査はどうだったか?
「事前検査での病院までの移動」や「事前検査当日のやりとり(圧倒的非公開)」については、別の記事で記載します。
【第1回ロンドン治験】記事一覧
- ①渡航前の申し込み~航空券・宿泊の予約編
- ②ロンドン治験の渡航準備・身辺整理編
- ③海外旅行保険をクレジットカード付帯ですませる際の注意点
- ④出国編1(成田空港出国~仁川国際空港で乗り継ぎ~ヒースロー空港到着まで)
- ⑤出国編2(ヒースロー空港到着~オイスターカード入手~電車とバスで宿泊先に到着するまで)
- ⑥ロンドン生活編
- ⑦事前検診編
- ⑧ロンドンの治験で待機者になった話
- ⑨低英語力&低コミュ力で、ロンドン観光した感想
- ⑩帰国編1(宿泊先出発~ルートン空港~リスト・フェレンツ国際空港到着まで)
- ⑪帰国編2(リスト・フェレンツ国際空港~浦東国際空港~成田国際空港まで)
- ⑫ロンドン治験の経費申請・使った銀行・旅費の結果について
- ⑬ロンドン治験の反省点とまとめ
- 【番外】ロンドンのATMでポンドをキャッシングして、繰り上げ返済してみた
- 【観光】ハリー・ポッターのロケ地とロンドン塔
- 【観光】大英博物館
- 【観光】バッキンガム宮殿とウェストミンスター関連(外観のみ)