【第1回ロンドン治験②】ロンドン治験の渡航準備・身辺整理編
この記事では、英語力ゼロ・コミュ力ゼロの私が、海外(ロンドン)で治験を受けた際の経験について、「渡航前に行った準備・身辺整理」の内容をまとめます。「海外の治験に興味がある方」「渡航前の準備内容に興味がある方」の参考にしていただければ幸いです。
禁止事項について再確認(スケジュールに入れておく)
まず、禁止事項の再確認については、早めに行い、スケジュールにも書き込んでおきましょう(できれば、申込む段階で実施を推奨)。航空券の予約後に禁止事項を破ってしまった場合、キャンセル料が自分の支払いになってしまうリスクがあります。とくに、禁止事項が細かい治験については、少し早めから禁止事項に合わせた生活をして、慣らしておくことをおすすめします。
「日本でやっておくべき事」を明確化する(できれば終わらせる)
次に「日本でやっておくべき事」を明確化しましょう。今であれば、オンラインで多くの事を済ますことができると思いますが、トラブルがあったときに帰国が困難であるため、金銭関係などはできるだけ事前に終わらせた方が無難です。
また、後述しますが、私の場合は乗り継ぎに伴って必要な手続きがあり(Q-CODEの申請)、これが出発の3日前から対応可能だったため、そういった「直前にならないとできないもの」については早めにスケジュールに記載し、忘れないようにしておきました(もちろん、期日になったら出国前に対応)。
ついでに、散髪もロンドンより日本の方が安いので(しかも、ロンドンの美容院は資格不要なので、安いと素人の練習台にされるらしい)、前もって済ませておきました。
海外旅行用の道具を準備
これは治験というよりも主に「海外旅行の準備」な感じです。対象の国に合わせて調整していくといいでしょう。
キャリーケース
荷物が多くなりやすいため、キャリーケースは準備しておいた方が無難かと思います。入院先によっては「洗濯は週に1回」といったこともあるため、衣類が膨大になる可能性もあります。
長期滞在になるほど、日本から持ち出したい道具が多くなるかと思いますので、長期の治験の場合はキャリーケースがあった方が無難かと思います。
また、紛失防止用に、ネームタグもつけておくと安心です。あまり高価なものを付けると盗難の恐れが増加して危険ですが、頑丈で名前以外の情報などは隠せるタイプを選ぶといいでしょう。
セキュリティポーチ
滞在期間中の私生活や、観光目的で利用するセキュリティポーチも購入しました(まあ、日本の生活用としても欲しかったので)。
海外ではスキミング(クレジットカード情報を読み取って盗む犯罪)が日本以上に発生していますので、ポーチを購入する際は、スキミング防止の機能があるものを購入しましょう。
ただし、防犯を意識しすぎるあまり、リュックを背負いつつ、貴重品はウエストポーチで体の前に抱える……ということをやっていると、逆に貴重品を持っているのでは? と、犯罪者に目を付けられる可能性もあります。私は、リュックにスペースがあるときは、リュックの中でポーチをリュックに結び付け、更に上に貴重ではない荷物(折り畳み傘とか)を入れるようにして、ウエストポーチの存在を隠しつつ、万が一の時も簡単には強奪できないようにしました。
海外旅行用のプリペイドSIM
渡航先での通信の為、海外旅行用のプリペイドSIMを購入しました。私の場合、滞在期間は1.5カ月程度なので、2つ購入です。
ちなみに上記商品の場合、以下の点には注意が必要です。
- SIMの開通申請は2日以上前に必要(渡航前日だと間に合わない)
- 開通手続きでAmazonの注文番号が必要(複数を別々の注文で購入した場合、それぞれの注文番号を把握していないとスムーズに開通できない)
普段利用のSIMも、可能なら海外で使える設定をしておく
これは渡航後に気付いたのですが、普段利用しているSIMも海外で使える設定ができるなら、しておいた方が無難です。プリペイドSIMより価格が上がってしまう可能性がありますが、理由は2つあります。
一つ目の理由は、万が一プリペイドSIMが使えなかった時に、第二の矢として使える事。とくに、英語力ゼロの人間が、ネットを使えず一人で海外にいるのは絶望的な状態です。これを回避できる可能性があるならば、
二つ目の理由は、SMS認証。私の場合、これに気付いていませんでした。海外に行ってから、セキュリティのためSMS認証が必要な事に気付き、慌てて海外でも使えるように設定を切り替えました。
こういった理由がある為、海外渡航前に普段利用のSIMを海外で使える準備をして、またその設定方法をオフラインでもわかるように事前にスクショしておくことをおすすめします。
変換プラグ(BFタイプ)
イギリスのコンセントはBFタイプで、日本のタイプとは異なります。そこで、事前に購入しておくのが日本の形状に変換できるBFタイプ変換プラグです。
基本的には1つあれば十分かと思いますが、予備用、多数の電源が欲しくなった時用、忘れた他の参加者へ貸し出すなど、2つ目を購入しても悪くはないかなと思います(案外、体験談のブログを読むと、忘れる人がいるっぽいです)。
旅行ガイド
必須ではありません。多くの事はネットで調べればわかります。ですが、以下の理由で、私は1冊購入しました。
- わかりやすく情報がまとまっている
- いざという時、目次からサクッと調べものができる(生活面や緊急時の対応など)
- 調べものから漏れた情報に気付くきっかけになる
ただし、紙媒体はかさばるため、購入は電子書籍です。また、紙媒体で旅行ガイドを読んでいると「不慣れな観光客」と見られ、犯罪のターゲットにされることもあるそうなので気を付けましょう。
USBケーブル(データ転送用が好ましい)
これは、渡航後に気付いた失敗でした。自宅から何本かUSBケーブルを持ってきたのですが、偶然全て充電用のUSBケーブルになっていて、データ転送用が1本もありませんでした。一応、USBケーブルくらい現地でも入手できるかと思いますが、海外旅行初心者で、しかも英語ができない自分には痛い失敗です。仕方がないので、この点についてはオンラインストレージを利用してデータを転送して対応しました。
ちなみに、私は「入院生活中に、長いUSBケーブルは邪魔」という経験から、あまり長いUSBケーブルを持って行かなかったのですが、空港での充電に使いやすいため、1本は長いUSBケーブルがあった方が便利です。
必要な物リストを作る
旅行時に必要な細かな物品について、少し前からリストを作っておいた方が良いでしょう。とくに私生活で利用している物を渡航先にも持っていく場合、直前に荷物に入れる必要があるため注意です。
ティッシュやハンカチ、ちょっとした服などは、いざとなったら渡航先で入手可能かと思いますが、物によって入手困難だったり、高額だったりすることもあります。私の場合、スマートウォッチの専用充電ケーブルなどは、忘れた入手困難だったと思いますし、ノートPC、タブレットなどは現地で購入するには高額なアイテムでした。
また、当然ですがパスポートを忘れた場合は、参加自体ができなくなる可能性もありますし、航空券などは、電子情報のみで利用可能であったとしても、紙で印刷しておいた方が無難です。見落としがちなのが『コロナワクチン接種証明書』イギリスへの入出国では必要になりませんが、治験参加や帰国の際に必要になります。
ちなみに、私が作ったリストは、以下の通りです。
- パスポート
- パスポートのコピー(念のため)
- 日本円の財布
- 英ポンドの財布
- クレジットカード(5種)
- カードケース
- 新型コロナワクチンの3回接種証明書
- 航空券(印刷したもの。念のため)
- K-ETAとQ-CODE(スマホで表示できる準備)
- 衣類(1週間洗濯できなくて問題ない量)
- 髭剃り
- 充電器
- 電池
- スマホ用のバッテリー
- ノートPC
- スマホ(サブ含む)
- タブレットPC
- ノートPC用のマウス
- Type-Cのケーブル(3本くらい)※データ転送用を忘れました…
- スマートウォッチ用の充電ケーブル
- USBハブ
- 延長用の電源ケーブル
- 電源の変換プラグ
- 海外旅行用のSIM(2つ)
- 機内荷物用のバッグ
- サブの眼鏡と眼鏡ケース
- 折りたたみ傘
- 料理不要で、ゴミの少ない保存食(万が一、直ぐに食事がとれない時用)
- 洗濯ネット(イギリスでは買えないらしい)
- 洗濯ロープ
- 速乾タオル(バスタオル、フェイスタオル、ハンドタオル各1枚)
- 携帯歯ブラシ
- スリッパ
- 耳栓
- アイマスク
- ポケットティッシュ(5つくらい)
- ハンカチ
乗り換えの国に応じた準備
ロンドンまでの航空機については、必ず乗り換えが必要になってきます。そこで「乗り換え途中の国に応じた対応」が発生します。この点については、必須の手続きは治験の会社側が教えてくれると思いますが(知らないと、最悪参加不可になって、治験の会社も困るため)、手続きはもちろん、自分で行う必要があります。
私の場合、乗り換えを韓国で行ったため「電子渡航認証(K-ETA)を申請」と「Q-CODEの申請」をしました(2023年4月1日~2024年12月31日まで、日本など22カ国・地域はK-ETAは免除となりました)
K-ETAについては、ネットの情報では乗り換えだけなら不要の様な記載がありましたが、治験の会社から申請を指示されましたし、ちょっとなら観光する時間もあったため、念のため申請しました。またQ-CODEを持っていない場合も、紙のフォームで「健康状態質問書」を提出すれば入国できるそうですが、処理に時間がかかるそうだったので、念のためQ-CODEも申請しました(日本語マニュアルはこちら)。
ちなみに、Q-CODEの健康入力は、出発日の3日前にならないとできないため、直前の対応が必要です。これもスケジュールに組み込んでおきました。
帰国に向けた準備
Visit Japan Webサービスの登録
これは必須ではありませんが、帰国時に「検疫」「入国審査」「税関審査」をWeb上でできるサービスで、入国時の手続きがスムーズになります。利用する場合は、出国前にはアカウント登録しておきましょう。
接種証明書アプリ
Visit Japan Webサービスで、検疫手続(ファストトラック)をするために必要になります。こちらも利用する場合、出国前に準備しましょう。
また、入国の際にも活用できる為、紙の証明書を持っていても、アプリも活用できた方が安心です。
ワクチン3回接種証明書(陰性証明書で代用可)
イギリスからの日本への入国の際に、新型コロナワクチンの3回接種証明書が必要になります。持っていない場合は、72時間以内にうけたPCR検査の陰性証明書が必要です。トラブルを避けるためにも、紙だけでなく、アプリでも持っておくと安心でしょう。
海外旅行保険の準備
一応、治験中に発生した体調不良等については病院側で対処してもらえるかと思いますが、物理的な事故などにも備えて、念のため海外旅行保険にも入っておいた方が安心です。
そこで、海外旅行保険についても調査した……のですが、かなり長くなったので別の記事でまとめます。
簡単にまとめると、以下の通りです。
- クレジットカードの保険だけでも、90日以内に帰国するなら、ほぼ安心(「治療・救援費用」が500万円を超えたケースは2万5000人に1人で、主に高齢者)
- クレジットカード付帯の保険には、「自動付帯(自動で適用)」と「利用付帯(使用したら適用)」の2種類がある
- 「エポスカード」と「横浜インビテーションカード」があればだいたいOK
ということで、私は「エポスカード」と「横浜インビテーションカード」の海外旅行保険だけでカバーする事にしました。
注意点は早めに申請しないと出国に間に合わない事。私の場合、横浜インビテーションカードについては、申し込みから到着まで3週間程度でしたが、審査に1カ月、配送に最大10日と言われたので、1.5カ月は前に申請すると安心だったかと思います。
クレジットカードを複数準備
保険も考慮してですが、クレジットカードは念のため複数準備した方が安心かと思います(万が一、支払えなかったときに備えて)。
ネットで調べたら、まず、VISAかマスターカードなら問題ないとのことでしたので、私は手持ちのマスターカードを4種と、VISAを1種持っていくことにしました。クレジットカードでの支払いが多くなるかと思いますので、できればタッチ決済対応のものを持っていきましょう。
注意点は、先のクレジットカードを利用した保険と同様、早めに申請しないと出国に間に合わない事があげられます。遅くても、1カ月以上前には準備をすすめましょう。
現地通貨(ポンド)の入手は?
ATMでキャッシングした方が、両替よりも安い
ロンドンでは、電子マネー決済が普及している一方で、やはり現金も必要な場面もあります。私の宿泊先では、現金払いのみ対応でしたし、カードを読み取る機会が壊れたため、現金払いのみという場面もあります。
ポンドを安く手に入れる方法としてよく使われているのが「海外のATMでキャッシングし、繰り上げ返済」というもの。ポンドの場合、これが一番安く入手できます。
海外のATMでキャッシングする方法については、以下のページに記載しました(セディナカードの場合)。
実際にロンドンのATMでキャッシングした際は、金額を選択した後に「Conversion(両替)」の選択画面が出てきました。この際、両替で進めると1ポンドが178.909円でした。が、「Without Conversion(両替しない)」を選択すると、162.8円+利息0.2%程でキャッシングできました(数日分の利息含む)。
キャッシングの利息は年利で18%ですが、実際には翌月中には返済されるため、放っておいても利息は2~3%で済みますので、両替より安いです。更に、キャッシングから3~4日経過したくらいで為替レートが確定すると、セディナカードの場合はペイジーで繰り上げ返済ができます。なので実際に私が支払った利息は約0.2%となりました。
また、私が向かったヒースロー空港のATMについては、以下のページに情報がありました。
ATMの探し方は?
イギリスのATMは、ATM Locatorというサイトで場所を確認できます。移動先でATMの利用が必要になった場合は、このサイトで探すと楽です。
ATM利用時の注意点
残念ながら、日本ほどにロンドンは安全ではありません。全てのATMが常に危険というわけではないですが、ATM関係で被害にあうと、多額の損失が発生する恐れがあります。
最低限、ATMを利用する際は以下の点に注意した方がいいでしょう。
- できれば、銀行の建物内部のATMを利用する
- 無理な場合、人通りが多い通りに面したATMを利用する(ロンドンは、そもそもATMが普通に路上に面してます)
- 駅前やスーパーの前のATMは周囲に注意する(スキミングとしては安全かもしれないが、物乞いに絡まれやすい)
- ATMが2台並んでいる場所なら、隣のATMと比較して違和感がないかを調べる
- カードの挿入口が妙に出っ張ってないか確認する(カードを読み取る機械をくっつけてると、出っ張ってたりする)
- 番号を打ち込む部分が浮き上がってないか確認する(打ち込んだキーを読み取る機会が被せられている可能性がある。この場合、擦ると取れることがある)
- 番号を打ち込む部分の上に、不自然なものが無いか確認する(番号入力を監視するカメラが設置されている事がある)
- 番号を打ち込む前に、周囲に不審者がいないか確認する(番号を目視しようとしている可能性がある)
- 番号を打ち込む際は、打ち込まない手で、打ち込む部分を隠す
- カードが出てこなくなった場合、その場を離れずに助けを求める(近くで見張っている犯罪者が、ATM前を離れたところを狙ってカードを回収しに来る事がある)
- ATM操作中に話しかけられても、反応しない(振り返った隙に、別の人がカードや現金を盗む手口がある)
国内で現地通貨を入手する方法
ちなみに、どうしても国内で先に一定額を入手しておきたい場合は、「インターバンク」の外貨宅配が安いです。
ただし、最低価格は3万円からです。私の場合、ロンドン到着が遅めだったため、万が一、スムーズにポンドを入手できない場合のリスクに備え、インターバンクで185ポンド(当時のレートで31000円程)入手しておきました。
VPNは必要?
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日本向けサービスの一部については、海外からはアクセスできないものもあります(私の利用しているStudyplusは、GDPRの関係でEU加盟国には対応してません)。
そこで、必要になるのがVPN。ということで「VPNの契約が必要かな?」と思いました。が、正直「1日使えなかったら困る!」というものが無かったため「現地に到着してから、使えない物があったら判断すればいいや」と判断しました。
……で、到着2日目で、早速のように一部サービスが利用出来なかったため、利用したのがNordVPNです。1か月契約だと料金はそれなりに取られますが(他の会社も同程度ですが)、逆に1か月以内で解約すれば返金してもらえるので、結果的にはそれほど費用が嵩むことはありませんでした。
ちなみに、GDPRを背景にイギリスからアクセス不可にしているサイトは結構多いようで、例えばYahoo Japanは一部サービスを除き利用不可でした。また、過去の治験の履歴を取得しようと、日本の病院のサイトにアクセスしようとした際も、VPNを使わないとアクセスができませんでした。
VPNサービスなら、日本からOysterカードの履歴取得ができる
ちなみに、逆に日本からはアクセスできないイギリスのサービスも多くあります。例えば、私が利用したOysterカードの履歴は、イギリス国内からでないと取得できません。
この履歴が経費の申請の為に必要になります。もしも履歴の取得を忘れてしまった場合はVPNでイギリスのサーバからアクセスすれば取得可能です。なので、VPNサービスを契約している場合、Oysterカードの履歴取得が不要になってから解約した方がいいでしょう。
交通系アプリを入れる
これは、実際にはロンドンに到着したあと、海外旅行中の日本人から教えてもらったのですが、Omioというサイト(アプリ)を使うと、長距離の移動の交通時間や交通費の比較に便利です。
このサービスでは、電車やバスの長距離の移動について比較できるだけでなく、複数の会社のサービスを1つの一つにまとめられるので、交通機関ごとにアカウントを作る手間を省くことができます。英語に不慣れだと、毎回個人情報を入力するのも手間ですので、現地で出会った海外旅行をしている人は、だいたいこのアプリを利用していました。ちなみに、日本語で利用できる点も、日本人にとってはありがたいポイントです。
念のため、遺書(資産の場所など)を書いて残した
治験で死亡……という可能性はかなり低いし、まして飛行機が墜落なんてことはまずあり得ない話だと思いましたが、万が一に備えて家族向けに遺書を書いておきました。
とはいえ、遺書と言っても「万が一の時、どこに資産が預けられているか、家族が判断しやすいように」という内容で、それ以上の事は面倒なので結局省きました。
部屋の片づけ・不要物の処分
これは正直やらなくてもOKです。ただ、帰国したときにスッキリした気分で普段の生活に戻りたかったこともあり、何となく家の不要物を処分しておきました。
とくに、私の場合はうっかりしていると書籍・漫画が部屋を圧迫してくるため、古本を200冊程度処分しました。
マイルを貯める
普段マイルを貯めていない場合、どこかの航空会社のマイレージ会員に入って、マイルを貯めることをおすすめします。というのも、海外旅行であれば結構な量のマイルを貯めることができます。私の場合、ロンドンと東京の往復で、6,500円分程になります。治験ついでに、更にお小遣いをゲットできますので、忘れないようにしましょう。
ロンドンでの生活について学習
ロンドン到着後にスムーズに行動できるよう、色々とロンドンでの生活について学習しておきました。
イギリス(ロンドン)での犯罪被害の注意点
イギリスは、海外旅行先としては比較的安全な方です。どのくらい安全かというと、2020年に報告があった刑法犯罪の総数は日本の9.1倍、人口も考慮すれば18倍程。セキュリティの甘い外国人旅行者という視点で犯罪者から見られることも含めれば、更に危険性は高いと言えるでしょう。
つまり「一般的な日本人感覚で生活するのは危険」という程度に安全です(それでも、他のヨーロッパの大都市と比べれば治安が良い)。
ちなみに、窃盗系の犯罪は先進国の中でも特に多い傾向があり、「50ポンド以下の窃盗にいちいち調査の時間をかけられない」として、警察が調査対象から外したほどです(2018年の話なので、現在も同じ方針か不明ですが)。
在英国日本大使館から「安全の手引き ~安全な英国滞在のために~」というものが出ていますので、渡英前に一読しておくといいでしょう。
ざっくり注意点をまとめると、こんな感じです。
- 他人の接近に注意し、できれば接近させない(常に注意すべき基本動作)
- 財布やパスポートなどは、できるだけ内ポケットに入れる(スリ被害を避ける)
- 現金を持ち歩くのは最低限にする(普通のイギリス人が持ち歩くのは数十ポンド程度)
- 貴重品はある程度分散して持つ(財布を2つ用意するなど)
- 高価なものは身につけない(指輪、ネックレス、高級腕時計など)
- 荷物は常に視界に入れられるようにする。リュックを背負う場合、貴重品は入れない
- 道路側を歩かない(日中の繁華街でも、バイクでひったくりされる事がある)
- 路上でのスマホ操作、イヤホンの使用は避ける(犯罪者から目を付けられやすい。利用中のスマホをバイクで奪う被害もある)
- 帰宅が遅くなったときは、できればタクシーを使う(駅前など、人が多い場所から後をつけ、人気の無い場所で襲う手口がある)
- タクシーを使う時は、正規に許可されたブラックキャブなどを使う
- 人気が無い場所では、常に後をつけている人がいないか注意する(怪しい人がいたら、道路の左右の道を入れ替わってみたりして様子を見る)
- 突然話しかけられたら、まずは荷物と身を守る(日本人旅行者に相手から話しかけてくるのは怪しい。片言の日本語を使って向こうから話しかけてきたら、特に注意)
- 旅行者を装って話しかけてくる人間は避ける(会話中に偽警察が現れ、偽旅行者に荷物チェックを行い、安心した所で外国人からカードや財布を奪う手口がある)
- ATM操作中に話しかけられたら、カードを守ることを最優先(注意をそらしてカードや現金を盗む手口がある)
- 道路に面した屋外のATMはできれば利用しない(カードや現金を盗んで逃亡される可能性がある。やむを得ない場合は不審者チェックをしてから利用する)
- できれば銀行のATMを使う(スキミング対策も含む)。ただし、銀行内でも犯罪は起こるため、絶対な安全は無いと考えて警戒する。
正直、日本人感覚で言えばこんな疑心暗鬼になるのは嫌だな……とは思うのですが、これくらいの事は最低限注意して生活した方が無難です。
物乞いが多い
ある意味「犯罪」の「被害」になるのですが、物乞いが凄く多いです。一応、路上での物乞い行為は犯罪になっているそうですが、駅前やスーパーの前などで良く遭遇します(物乞いのセリフや場所の指導をしている場所もあるのだとか)。
ちなみに「物乞いにお金を恵まなくてはかわいそうでは?」という考えもないでもないです。実際、恵む文化があるから、現地の人はそこそこ渡すらしく、執筆時のレートで時給1万円弱ほど稼ぐ物乞いもいるのだとか。ただ、こういったお金が犯罪組織に流れたり、そうでなくても路上生活者には薬物中毒者がいるため(保護シェルターに入ると、薬物禁止になるから、嫌がって路上生活を続けている)、お金が薬物に使われ、治安を乱す原因にもなりかねません。
そんなわけで、物乞いにからまれたらお金は渡さず、さっさとその場を離れるのが無難です。
交通機関について
鉄道の料金について
まず、料金については把握を諦めました。細かな情報は調査が面倒でしたし、経費の分は気にする必要ないし、観光は節約するつもりが無かったので……考えるのをやめました(ちなみに、公式の料金情報はこちら)。
ちなみに「Heathrow Terminals 2 & 3」→「Victoria」の移動は5.6ポンド、「Victoria」→「Brixton」の移動は2.8ポンド。日本の鉄道と比べると、距離に対して割高です。
鉄道料金の支払方法
支払方法はオイスターカード(Suicaみたいなもの)選択しました。
他にも色々ありますが、オイスターカードであれば料金を自動計算してくれますし、トラベルカードよりお得な場合が多いそうですし、利用履歴も簡単に見れるため(というか、治験でオイスターカードの利用履歴の提出を求められたため)、オイスターカードとなりました。
ただし、オイスターカードで改札をくぐり、オイスターカードの範囲外で下車しようとすると、高額な料金を請求されることがあります。基本的にはロンドン内での移動はオイスターカードで可能ですが、ロンドン外への移動の際は、他の方法で改札内に入る必要があります。
鉄道の乗り方は?
地下鉄であれば、下のサイトに乗り方がわかりやすくまとめてありました。
基本的には日本とほぼ同様ですが、初めて旅行する場合は、イメトレしておくといいかもしれません。
遅延・工事・ストライキに注意
時間の制約があるときに怖いのが、遅延と工事。日本の電車と違い頻繁に発生する為、駅構内の看板などの情報には常に注意が必要だそうです。
また、日本では廃れてしまったストライキが、ロンドンではしっかり生きてます。その為、場合によってはストライキに巻き込まれて予定通りに移動できなかった……ということもあり得ます。そしてなんと、一番遅れて欲しくない私の渡英初日については、ストライキが予定されていました。この点については、最悪タクシーなどで対処しようか検討してます。
列車内・駅構内で、スマホが使えない事も
スマホが使えないのは、英語が喋れない身としてはけっこう危ないです。行先を間違えない様、最低限の移動方法は事前にスクショしておきましょう。
また、Google翻訳については、事前にダウンロードしておけばオフラインで利用できます。念のため、ダウンロードしておくと安心です。
ちなみに、地下鉄はほとんどの場合スマホ利用不可。鉄道も地上を走っているはずなのにネットにつながりにくい場所がいくつかありましたので、油断は禁物です(ただし、無料Wi-Fiが使える列車が多い)。
オイスターカードの買い方・チャージ方法・利用・払い戻し・履歴の見方
正直、オイスターカードの操作方法は自動販売機で日本語で確認できるため、あまり調査は必要ないです。
ただ、以下の点については注意しておいた方がいいでしょう。
- 自動販売機の上に「buy(購入)」「top-up(チャージ)」「refund(返金)」と書かれており、書かれていない文字の内容には対応不可
- タッチが反応しないときに、うっかり前の人と一緒に通過してしまう可能性が日本より高い(タッチの反応が遅く、また改札が閉じにくい為。罰金として限度額が請求されます)
- そもそも改札が無い駅がある(やはり、タッチを忘れると罰金として限度額が請求されます)
- チャージ額が足りないと、数十ポンドの罰金
- オンラインで履歴は見れるが、最大8週間までで、イギリス国内からしか見れない!(こちらのページから履歴が見られます)
- 駅の券売機でも、履歴の確認は可能
- 返金額が10£以上ある場合、有人の窓口かビジターセンターで対応してもらう(ビジターセンターが空港にあるので、帰りに使えます)
ちなみに、再びロンドンを訪れる予定であれば、オイスターカードの残高に有効期限は無いため、あえて返金をしないというのもありです。
地下鉄と鉄道のマーク
地下鉄(Underground)は丸に横棒の1本マーク、鉄道は左右の矢印を組み合わせたマーク(ダブルアロー)です。時間の制約が厳しい場合、自分が乗るのが「地下鉄」か「鉄道」かを事前に調べておき、このマークを覚えておくと便利です。
電車の乗り換えは事前に調べておく
念のため、余裕があれば電車の乗り換え方法について、乗り換え予定の駅の情報を調べておくと安心です。とくに、海外旅行未経験で、英語も苦手なのに時間制約が厳しい場合は、事前にシミュレーションしておくといいでしょう。駅によっては、駅構内を歩き回る必要もあるかと思いますので、その点も注意して調べておいた方がいいでしょう。
地下鉄については、位置によってはネットにつながらない可能性があります。事前に駅を調べた画像をスクショなどで保存しておくと、安心して移動ができるでしょう。
バスの乗り方
バスの料金は、ロンドン内であれば距離に関係なく1回1.75£です(2023年3月に値上げされた)。しかも、1日5.25£の上限(2023年3月に値上げされた)があるため、4回目以上はタダ乗り可です。支払いはオイスターカードが使えます(トラベルカードも可)。
オイスターカードは乗車口や運転手の横のカードリーダーにタッチすればOKで、基本的に日本と利用方法は似ています。
実際に乗った時の流れは、以下の通りでした。
- バス車体にある番号から、自分が乗りたいバスか確認する
- バス前方にあるカードリーダーにオイスターカードをタッチ
- 普通に乗る(2階席は乗りたかったけど、降りられるか不安でやめた)
- 降りたい場所で「STOP」のボタンを押す(ボタンを押すと、小さくベルの鳴るような音がしました)
- バスが止まったら、バス中央の扉から降りる(定額なのでカードのタッチ不要)
基本的に日本と同様で、ICカードをタッチして乗って、ただ降りるだけなので、英会話も不要です。しいて言えば、降りたいときに人にどいてもらうときは「Sorry.」とか「Excuse me.」と言いましょう(私が乗った際は、皆さん「Sorry.」を使ってました)。
注意点としては、ICカードの支払いができないと乗れない事。現金払い不可です。
ロンドンのバスの乗り方についてイメトレしたい場合、以下の動画が短めで良いかなと思います。
信号無視が当たり前。横断歩道の利用にも注意
最後に、電車やバスの乗り方ではありませんが、普段徒歩で移動する際の注意点として、周囲の車にも念のため注意しましょう。横断歩道などの事情がやや違うため、慣れないと事故に合う可能性があります。
ちなみに、イギリスで「歩行者優先」とされるのは、信号機のない場所ではゼブラ・クロッシング等の特定の横断歩道のみで、それ以外の路上では適用されないそうです(ただし、ゼブラ・クロッシング(いわゆる日本の横断歩道)については、歩行者優先が日本より徹底されています)。
いっそ、一旦「歩行者優先」の考えを捨てるくらいで生活した方が、無難かもしれません。……が、信号機がある信号については、イギリス特有の事情もあって、みんな無視します(無視しないと、逆に犯罪者に狙われやすいとの情報もある)。とりあえず「車は危ないから、周囲に車が無くなったら渡ろう」という、動物みたいな感じで行動した方がいいかもしれません。
ちなみに、信号や横断歩道事情の日本との違いについては、渡英前に一度調査しておくといいでしょう。
スーパーでの買い物方法
ロンドン滞在で多くかかってしまうのが食費。とくに、外食をしてしまうと物凄く高くなります(相場はランチで10ポンド以上、ディナーで20ポンド以上)。
そこで、活用するのが現地のスーパー。イギリスの場合、生鮮食品などの消費税(正確には、付加価値税)が0%です。
ちなみに、スーパーの価格帯を大雑把にわけると「『Aldi』『Lidl』<『Tesco』『Sainsbury’s』『Iceland』<『Marks&Spencer』『Waitrose』」の順で高いです。基本的には近所で安い場所を利用することになるかと思います(私は徒歩10分圏内に『Lidl』がありました)。
実際の買い物
日本のスーパーと似たような感覚です。カートに商品を入れて、セルフレジでバーコードをスキャンして(有人の事もありますが、無人が多い)、カードなどで決済すればOK。
実際に買い物をしている動画としては、以下のものが参考になりました。個人的に一番気になる決済の部分がかなり省略でしたが、概ね雰囲気はつかめるかと思います。
【第1回ロンドン治験】記事一覧
- ①渡航前の申し込み~航空券・宿泊の予約編
- ②ロンドン治験の渡航準備・身辺整理編
- ③海外旅行保険をクレジットカード付帯ですませる際の注意点
- ④出国編1(成田空港出国~仁川国際空港で乗り継ぎ~ヒースロー空港到着まで)
- ⑤出国編2(ヒースロー空港到着~オイスターカード入手~電車とバスで宿泊先に到着するまで)
- ⑥ロンドン生活編
- ⑦事前検診編
- ⑧ロンドンの治験で待機者になった話
- ⑨低英語力&低コミュ力で、ロンドン観光した感想
- ⑩帰国編1(宿泊先出発~ルートン空港~リスト・フェレンツ国際空港到着まで)
- ⑪帰国編2(リスト・フェレンツ国際空港~浦東国際空港~成田国際空港まで)
- ⑫ロンドン治験の経費申請・使った銀行・旅費の結果について
- ⑬ロンドン治験の反省点とまとめ
- 【番外】ロンドンのATMでポンドをキャッシングして、繰り上げ返済してみた
- 【観光】ハリー・ポッターのロケ地とロンドン塔
- 【観光】大英博物館
- 【観光】バッキンガム宮殿とウェストミンスター関連(外観のみ)