【第1回ロンドン治験⑫】ロンドン治験の経費申請・使った銀行・旅費の結果について
この記事では、英語力ゼロ・コミュ力ゼロの私が、海外(ロンドン)で治験を受けた際の経験について、「帰国後に行った経費の申請内容・経費の受け取りに使った銀行・旅費の結果」をまとめます。
「海外の治験に興味がある方」「ロンドンでの治験の事前検診が気になる方」の参考にしていただければ幸いです。
この記事での経費の申請は、あくまで私の実体験と、いくつかのネット情報を元に執筆しています。
必要な領収書などの条件は、治験の会社や案件によって異なりますので、この記事の内容は一例として参考にしていただければと思います。
ロンドン治験の経費申請
国内の治験と、海外の治験で大きな違いとなってくるのが経費の申請。
国内の場合、通常は交通費を上回る報酬を健康診断のたびに貰えるため、それが実質交通費の補助となります。つまり、国内の治験では経費の申請は行わないのが普通です。
一方、海外の治験では、渡航費や宿泊費などを一旦自分で支払い、治験終了後に報酬と共に補助されることが一般的です。その為、渡航費・宿泊費などの経費に何円かかったか、事後で申請できるよう準備しておく必要があります。
注意すべき点は「宿泊」「航空券」「申請期限」「受け取り期限」
経費で注意すべきポイントは、主に「宿泊」と「航空券」の費用、そして「申請期限」と「受け取り期限」です。
宿泊と航空券の費用は高額なこともあり、治験の会社側から、申請に伴う条件を提示される可能性が高いようです。
航空券については、予約前に治験の担当者と購入する航空券を認識あわせする可能性が高いです。勝手に直行便などで渡航すると、補助されない可能性が高いかと思います。
一方、宿泊先は個人営業の宿なども多いためか、事前に治験の担当者と認識あわせするケースは少ないようです。その分、治験の会社から指示された領収書に必要な事項については、漏れなく記載してもらう必要があります。
また、申請期限はしっかり守りましょう。短くはないと思いますが、私の場合は帰国後10日程で、領収書の申請期限となりました。領収書のデータについては、治験完了前からできるだけ集めておくと良いでしょう。遅れれば、経費全額(私の場合35万以上)が自腹になり得ます。
また、無事申請が完了した後も、受け取り期限にも注意が必要です。だいたい「送金予定日から○日以内に着金が無ければ連絡をください。△日までに連絡が無ければ、着金したものとみなします」と連絡が来るかと思いますが、その「連絡すべき日~着金したとみなされる日」がけっこう短めです。土日は連絡が取れなくなる(ついでに時差の影響も受ける)可能性が高いため、最悪「着金しなかった事に気付かず1週間過ごしていたら、経費全額(私の場合35万以上)が受け取れなくなった」という事態もあり得ます。
実際にOKだった領収書
私の場合、提出した領収書は全て有効でした。そのため、NGだった領収書はありません。OKだった領収書について、以下にまとめます。
【航空券】Trip.comの領収書(PDF)
Trip.comで発行してもらえる領収書のPDFを提出しました。
これは、予約時点でもメールで送付されてくると思います。もしも手元にない場合、公式ページにログインし「予約履歴」→「該当の航空券をクリック」→「領収書」の順でボタンを押せば、登録したメールアドレス宛に再発行してもらえます。
【航空券】クレジットカードの履歴
Wizzairのアプリで受託手荷物のオプションを購入した為、申請しました。
Wizzairのアプリからは履歴が確認できなかった為、クレジットカードの支払い履歴をスクリーンショットし、それを提出したところ、認められました。
ちなみに、クレジットカードの履歴を1枚のスクリーンショットに入れるには、こちらのページが参考になりました。
【宿泊費】宿泊先でもらった紙の領収書
宿泊先で貰った領収書の写真を提出しました。
宿泊費については認めてもらうために必要な事項が多かった為、領収書をもらう前に、念入りにその点については確認しました。個人経営の宿や、MixBで宿泊する場合は、領収書の必要事項の調整が必要になるかと思います。英語が苦手な場合、この点には注意です(私は日本人の宿だったので問題なし)。
ちなみに、私が参加した治験の場合、Airbnbの領収書であれば必要事項を全て満たしているように見受けられました(実際に提出はしていないため、そのまま受領してもらえるかは不明です)。
【交通費】Oysterカードの履歴
Oysterカードを公式ページで登録して、PDFの使用履歴を取得し、提出しました。
注意点は、イギリス国外からはアクセスできないところ。ただし、VPNを使って、イギリスのサーバからアクセスすれば日本からでも取得可能です。
【交通費】クレジットカードの履歴
宿泊先からルートン空港まではOysterカードが使用できなかったので、クレジットカードのタッチ決済を利用しました。そのため、この区間の鉄道運賃については、クレジットカードの履歴をスクショして、提出しました。
【交通費】Suicaの領収書(駅の券売機で発行)
Suicaの領収書については、駅の券売機で発券してもらえます。これを写真撮影して提出しました。
モバイルSuicaなどの登録をしていればネットでも確認できるようですが、私はスマホが対応していませんでした。
【交通費】高速バスの領収書(成田空港で購入した高速バスの搭乗券の残り部分)
成田空港~東京駅の移動については、Suicaでの支払いができなかっため、高速バスの乗車チケットを現金で購入しました。
乗車の際に、チケットの領収書部分を貰えますので、その部分を撮影して提出しました。
カウンターで個別に領収書を発行してもらった訳ではないため、認められるかちょっと心配でしたが、こちらも問題なく受領してもらえました。
経費・報酬の受け取りに使った銀行(正確には送金サービス)
今回、経費や報酬の受け取りに、Wiseという送金サービスを利用しました。
Wiseを選択した最大の理由は「手数料が安い」こと。Wiseは中継手数料が原則的にかからず(かかる場合は注意表示が出ます)、またリアルタイムの為替レートで送金できます(通常の銀行の場合は、為替手数料が上乗せされる)。
最初は既に持っている楽天銀行を使ってポンドの受け取りをしようかと思っていたのですが、細かな手数料や為替手数料の関係で、繰り返し活用する程に損失が大きくなります(例えば、10万円をドルで送金すると、25ドルほど差が出るそうです)。
また、私の場合は再度渡英し、現地でポンドをそのまま使う可能性がありました。その場合、円に変換して受け取ってしまうと、再びポンドに変換することになり、その度に余計なお金を消費します。そういったことも考慮し、ポンドをポンドのまま保有できるようにWiseを活用しました(アメリカで治験を受ける場合も、同様の活用ができる)。
また、治験の経費受け取りに関しては、着金が早いこともメリットです。経費が高額(宿泊費や航空券で数十万円かかることがある)ため、その資金を早目に回収できることもありがたいですが、何より「着金していない」というトラブルに早く気付けるのが強みです。治験の経費や報酬には「受け取り期限」が定められている事が多いため、万が一にも受け取り期限を超えないためにも、着金関連のトラブルは早期に気付けることが重要になります。ちなみに、私が確認した時点では、英ポンドは数秒~1時間で着金するとのことでしたので、振り込みの連絡から1時間経過すればトラブルに気付くことができます。
Wiseのデビッドカード
現地のATMでポンドを引き下ろしたり、受け取ったポンドをそのまま現地の支払いに使うために、Wiseのデビッドカードを利用できます。
申請してから、2週間後程度でカードは到着予定と通知されましたが、私の場合は実際には9日で受け取りが完了しました。
Wiseで現地通貨を利用する場合、ATM手数料には注意
現地通貨をそのまま受け取り、そのまま利用する事で、余計な為替手数料などを回避できるところもWiseですが、現地ATMで現金を下ろす手数料には要注意です。
記事執筆時点では、月2回、合計30,000円までは無料で現地通貨をATMからおろすことができますが、30,000円を超えた分は1.75%の手数料がかかってしまい、手数料の安いキャッシングの方が現金は安く入手できてしまいます。(日本で発行したカードを利用する場合)。
ちなみに、ATM手数料については、ログイン画面の「カード(左の方)」→「利用限度額(上の方にあるボタン)」→「ATM手数料」の順で洗濯すると、残りのATM引き出しの余裕と、次の更新タイミングが表示されます。この表示を頼りに、限度額を超えないように活用することをおすすめします。
補助対象外の旅費の結果
86,307円の赤字となりました。
今回、無事に経費の申請ができましたが、補助対象以外に色々とお金がかかっています。補助対象外の旅費についてまとめると、概ね以下の通りです。
- 衣類:37,988円(入院すると1週間洗濯できないため、大量に購入)
- 備品:28,496円(スーツケース、イヤホン、バッテリー、予備の財布など)
- 消耗品:2,013円(ごみ袋、掃除用具、シャンプー、ボディソープなど)
- 観光:13,124円
- 交通費(観光用):3,102円
- 食費:14,190円(1日675円ほど!)
- お土産:7,034円
- 通信費:5,360円(プリペイドSIM)
- 合計:111,307円
これに対して、報酬(待機のみで投薬無し)がだいたい25,000円だったので、86,307円の赤字となりました。
本当に大赤字か?
実は、大赤字とは言えません。
例えば、衣類の37,988円は、自分があまりにも冬服を持っていなかった為に、1週間洗濯せずに耐えられる分(入院に必要)を買い揃えるのに想像以上にお金がかかった事が大きいです。これは当然、帰国後も使えます。
同様に、備品で購入した「ワイヤレスイヤホン」「スーツケース」「セキュリティポーチ」「モバイルバッテリー」「予備の財布」などは、再利用可能な物ばかりです。
これら「衣類」「備品」の65,000円ほどが再利用可能なものです。
つまり、約21,000円で、3週間分の生活費と、3日のロンドン観光費、7,000円を超えるお土産の代金を支払ったことになります。仮に、2泊3日でロンドン旅行をしたと考えれば、あり得ない格安になった事は確かです。
クレジットカード払いのレートの影響
今回、キャッシュレス決済が普及しているからという理由で、クレジットカード払いをかなり頻繁に利用しました。が、クレジットカードの履歴を見ると、変換レートが為替レートに比べてけっこう高めです。
海外での楽天カードの決済レートについて公式ページを確認したところ、以下のようになっていました。
ブランド名 | 事務手数料 |
Mastercard | 1.63% |
American Express | 2.00% |
Visa | 1.63% |
JCB | 1.60% |
結果的に「キャッシングをして繰り上げ返済」した場合と比べると、手数料が高くなる結果となりました。
とはいえ、カード利用に伴い1%分はポイントで戻るため、実質的には小数点以下数パーセントの差です。旅行中のみの支払いですし、手間を考えればあまり気にしなくてもいいかなと思います。
海外治験の感想とまとめ
ここまで、何万文字もかけて、海外治験に関する記事を連載してきました。
正直、薄めの文庫本に匹敵しかねない文章量まで増えしまい、全て読むにはけっこうな時間がかかってしまう状態です。
そこで、短時間で要点をかいつまんで海外治験の注意点などが分かるよう、次回の記事で今回の治験の反省点とまとめを書きたいと思います。
【第1回ロンドン治験】記事一覧
- ①渡航前の申し込み~航空券・宿泊の予約編
- ②ロンドン治験の渡航準備・身辺整理編
- ③海外旅行保険をクレジットカード付帯ですませる際の注意点
- ④出国編1(成田空港出国~仁川国際空港で乗り継ぎ~ヒースロー空港到着まで)
- ⑤出国編2(ヒースロー空港到着~オイスターカード入手~電車とバスで宿泊先に到着するまで)
- ⑥ロンドン生活編
- ⑦事前検診編
- ⑧ロンドンの治験で待機者になった話
- ⑨低英語力&低コミュ力で、ロンドン観光した感想
- ⑩帰国編1(宿泊先出発~ルートン空港~リスト・フェレンツ国際空港到着まで)
- ⑪帰国編2(リスト・フェレンツ国際空港~浦東国際空港~成田国際空港まで)
- ⑫ロンドン治験の経費申請・使った銀行・旅費の結果について
- ⑬ロンドン治験の反省点とまとめ
- 【番外】ロンドンのATMでポンドをキャッシングして、繰り上げ返済してみた
- 【観光】ハリー・ポッターのロケ地とロンドン塔
- 【観光】大英博物館
- 【観光】バッキンガム宮殿とウェストミンスター関連(外観のみ)