【第1回ロンドン治験①】渡航前の申し込み~航空券・宿泊の予約編
この記事では、英語力ゼロ・コミュ力ゼロの私が、海外(ロンドン)で治験を受けた際の経験について、「治験の申し込み」「航空券の予約」「宿泊の予約」までをまとめます。「海外の治験に興味がある方」「申し込んだ後の流れに心配がある方」の参考にしていただければ幸いです。
治験の申し込み
まずは治験に参加するための登録を行う
まずは登録が必要です。以前に「海外治験の応募ができるサイト」をまとめましたが、こういったサイトで参加したい案件があったら登録するか、前もってとりあえず登録して、募集のメールを待つ感じになります。
私の場合、先にとりあえず登録していたら、募集のメールが来たので、それに対して応募しました。
希望の治験の条件を読み、応募する
希望の治験の案件があったら、条件を熟読した上で応募します。国内の治験でも細かな条件の確認が必要ですが、海外治験の場合、禁止事項などの条件には、日本以上に注意が必要です。
何故なら「申告に誤りがあった場合、航空券や宿泊の料金の補助が行われない」からです。国内であれば、最悪往復の電車代程度で済みますが、例えばロンドンでの治験なら、往復の航空券と宿泊費で20~30万円程度をドブに捨てる事になります。
人気の案件は?
概ねですが、1.5カ月程度の滞在期間で、70万円くらいの負担軽減費(いわゆる治験の報酬)が支払われる案件は人気が高いです(現地滞在費などの経費で大きく引かれる事が無い場合)。
こういった人気案件に興味を持った際は、早めに応募しましょう。治験はリスクもあるためキャンセルは一応自由です。ですので、万が一の場合、後からキャンセルもできます(とはいえ、申し込んで数日以内にはハッキリさせましょう。流石に迷惑かけます)。
負担軽減費は「入院日数」「通院日数」「禁止事項などによる生活の制限」などで算出されるため、「入院が少なく、その後の通院が多い」タイプは「滞在期間が長い割にお金がもらえない」傾向があり、やはり人気は低いです。
治験の会社から返信が来るので、必要に応じて質疑応答
治験に応募してからは、治験の会社の担当者とメールで質疑応答を行います。
会社側からは「本当にこの人が参加可能か?」という視点でいくつか質問されることになり、その質問に問題なければ、治験の仮予約が完了する感じです(直近で同じ会社で治験に参加している場合は、いくらかは回答不要になるかと思います)。
また、自分の疑問点を質問で解消することもできます。参加後に「条件を満たさないので、補助費は出ません」と言われないよう、過去の病歴などで心配な事がある場合、必ず問い合わせておきましょう。
連絡が取れるのは日時・時間帯は?
これは治験の会社や案件によっても異なるかと思いますが、私の場合はロンドンでの治験に申し込んだ結果、メールでのやり取りは日本時間の18:00~25:00頃の時間でのやり取りが多い状況でした。当時は冬だったので、3月最終日曜日~10月最終日曜日のサマータイム期間であれば、17:00~24:00頃にメールのやり取りなるかなと思います。
また、クリスマス休暇中や正月など、日本とは祝日も異なります。長期休業は相手側から通知があるかと思いますが、海外の祝日なども考慮して連絡を取ると良いでしょう。
私の質疑応答
私の場合、事前に以下の様な質問をしました。
- 治験前にパスポートの期限が切れるため、再取得するが問題ないか?
→問題ない。再取得予定を知らせてください。 - 治験の参加者は、宿泊先をどのように選んでいるか?
→Airbnbやシェアハウスを利用している人が多い。中心部を離れると安い滞在先が見つかる。 - 以前、治験の検査で○○の項目が引っ掛かった事があったが、この数値で参加できるか?
→当日同じ数値の場合は、治験に参加できない可能性がある。ただし、変動する数値なので、不参加でも補助は出る。
また、こういった質疑応答の流れで、日本帰国時の検疫に向けて「海外旅行時に有効な接種証明書」の準備など、必要な手続きについては会社の方から教えてもらえました。
海外治験はスケジュールが変わりやすい?
今回、私は2023年に入ってすぐに海外治験の申し込みを行いました。が、途中から会社からの連絡が滞り、突然「スケジュールが変更になった。詳細な日程は未定」と通知されました。
やむを得ず、別の海外の治験に申し込んだら、またもや「スケジュールが変更になった」との通知。そんなわけで、中長期的なスケジュール調整が何度も必要になりました。日本の治験ではこのようなスケジュール変更は経験が無かったことから、海外治験(少なくともロンドンの治験)は、スケジュールが変わりやすいのかなと思います。
こういった事情もあるため「航空券の予約」「宿泊の予約」など、お金が動く段階に入るまでスケジュール変更の可能性が十分あると考えた方がいいかもしれません。
「入所の資料」や「検査日程」の確認は、確定するまでこまめに行う
これはロンドンでの治験特有の内容です。日本の治験の場合、私の経験では会社側からの連絡が来なかったという事はありませんし、むしろ事前検査直前などは、リマインドのメールまで送ってくれます。
しかし、海外の治験の場合(というか、海外の人とやり取りする場合)、それなりの確率でこちらから連絡しないと、何も連絡しない無い人がいます。もちろん、海外にいる日本人でも同じです。
私の場合、最初にやり取りをしていた日本人の方は、状況の変化に応じて連絡をくれましたが、途中から担当が変わった後は「事前検査の日程の確定連絡」「宿泊の予約に関する指示」「病院に入所時に必要な荷物」「病院に入所した際の生活のルール」などは、こちらから連絡するまで反応がありませんでした。しかも、「現時点では未定」というメールに「確定したら連絡をください」と、念のため書いておいてもダメです。
なので「なんか連絡が遅いな?」と思ったら、催促は失礼などと考えず、こまめにメールを送って状況確認しましょう。これをしないと、出国後の生活に影響するだけでなく、最悪参加ができないという状況になりかねません。
指示に応じて「航空券の予約」「宿泊の予約」を行う
条件に問題が無く、スケジュールが確定すると、
- 航空券の予約
- 宿泊の予約
の順で進みました。
航空券は、渡英の日程が確定してすぐ予約することになったのですが、宿泊については治験の主催者側の調整が更に進むまで、待たされる状況が続きました(募集直後に応募したためか、「航空券予約」→「宿泊予約」まで1カ月くらい待ちました)。これは「事前健康診断の日程」が人によって異なる事や、不参加となった場合の対応(別の治験の事前健康診断に参加することもある)の調整もあるためかと思います。
航空券の予約と、宿泊の予約の流れについては、後述してそれぞれまとめていきます。
治験の説明音声を聞き、治験の概要資料を読み、同意書にサインする
これ、正直順番逆にすべきだと思います。が、航空券・宿泊予約より後に、治験の説明音声が送られてきました。
この順番だと、万が一「この治験はやっぱり参加を辞めよう」と思っても、キャンセル料がかかります。参加者にとってはデメリットしかありません。募集する側としては、キャンセルされにくく、しかも説明音声や同意書の送付を後回しにできるメリットがあるかもしれませんが、やはり信頼性が下がりますし、できれば逆にしてもらえないかなと思います。
そんなわけで、不満が無いわけでもないのですが、募集時点で薬の概要は知っていましたし、内容も一般的な長期入院の日本の治験と同様だったので(つまり、ほぼ全て想定内)、淡々と音声と資料を確認して、同意書にサインしました。
航空券の予約を行う
担当の指示に従い、航空券をチェックし、問題ないか確認してもらう
航空券の予約については、治験の会社によって手配方法が変わるかと思います。
私の場合は「○月○日~○月○日の間で、最も安い航空券を探して、その画像をメールに添付して送る」という条件で、航空券を探す事になりました。ネットで調べた情報では「概ね○万円程度の航空券を探して、その画像をメールに添付して送る」という条件もあったため、こちらの会社の方が選択肢はやや広がります。
画像を送付した上で、会社側から「添付画像の○○のチケットを、○○のサイトで予約する事」と、詳細を指定されました。
航空券に問題なければ、購入を行う(領収書に注意!)
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会社側の指定通りに、航空券の予約を行います。
その際に最も注意すべき点は「領収書」。この点で失敗する人は少ないかと思いますが、領収書は確実に提出できるようにとっておきましょう。また、領収書については必要事項が指定されると思いますので、それを満たしている必要があります。
恐らく、ネットで予約すれば必要な情報が記載された領収書は簡単に入手できると思いますが、万が一の場合、10万円くらいの損失がでる可能性があるため、航空券の領収書には注意しましょう。
チケットの予約時の注意点
経費の関係上、可能な限り安く予約することを要求されると思いますが、その際にとくに注意すべき点が、荷物の内容と乗り継ぎの時間です。
例えば、最安値の内容で予約してみたら、実は受託手荷物はゼロ個だったりして、受託手荷物の追加料金を支払ったら、最安値では無くなってしまったという事もあり得ます。なので、治験の担当者と交渉する前に、対象の航空券の機内持ち込み手荷物、受託手荷物の数、サイズ、重量については確認しておきましょう。例えば、Trip.comで予約する画面では「手荷物情報」などで、乗り継ぎの途中も含めた荷物の条件が、数、サイズ、重量、スルーバゲージの可否について確認できます。
また、乗り継ぎ時間も重要です。航空機は天候によって到着時刻が大幅に遅れる事が十分に起こり得るため、最低2時間、余裕をもって3時間は乗り継ぎ時間あるものを選んだ方が無難です。
ちなみに、治験の担当者からは「最安値のチケットを探して、画像で送ってください」などと要求されるかと思いますが、その際に理由を付けて少し高い航空券を交渉する余地はあると思います(会社にもよりそうですが)。例えば、数千円差であれば、予約した日が1日違えば、料金が逆転することも十分にあり得るからです。
流石に数万円の差があるものは却下されるはずですが、「できるだけ安く、乗り継ぎが楽で確実で、手荷物の条件も良い航空券」を選んで、申請することをおすすめします。
ロンドンは出国用の安い捨てチケットが必要
ロンドンに入国する際は、セットで出国用のチケットが必要です(こういう国はけっこうある)。しかし、健康診断の結果により、日本への帰国のタイミングが異なってしまうため、日本への帰国のチケットを事前に購入する事は困難です(というか、買わないように指示されます)。
そこで、必要になるのが「イギリスから出国するための安いチケット(15£程度)」。これを購入しておくことで、イギリスへの入国が可能になります。
私の場合「STN(ロンドン スタンステッド)」から「BGY(ミラノ オーリオ・アル・セーリオ)」へのチケットを予約しました。これであれば、キャンセル料を含めて15£以内でおさまりました。
乗り継ぎ先の条件にも注意
治験でロンドンへ向かう場合、どこかで1度は乗り換えが必要になります。直行便は高いからです。
乗り換えは、国によっては注意が必要です。例えば、新型コロナウイルス関連の規制が行われている国もあります。会社から「○○経由の場合の注意点」や、場合によっては「○○経由はNG」などの指示が貰えるかと思いますので、指示に従って行動しましょう。
ちなみに、私の場合は韓国を経由するため、電子渡航認証(K-ETA)を申請しました(しかし、23年4月1日から不要になりました)。
宿泊の予約を行う
先述した通り、宿泊については「事前検診の日程」や「健康診断で落ちた場合の対応」の調整もあるため、航空券の予約よりは後のタイミングになりやすいかと思います。
ちなみに、自前のシェアハウスを持っている会社が募集しているパターンもあるため、この場合は宿泊の予約が不要になります。
担当の指示の通り、宿泊先をチェック、問題ないか確認してもらう
基本的に航空券と同じような感じで「指定された条件で調べた宿泊先を、メールで送信」→「問題ない旨メールで受領」→「予約を実施」という流れです。
宿泊先の探し方については、後述します。
宿泊の予約を行う(領収書に注意!)
会社側の指定通りに、宿泊の予約を行います。
注意点は、航空券と同じで領収書。大手の宿泊会社などを利用する場合、事前に条件に合致する領収書を貰えるか、問い合わせておく必要があります。航空券に次いで多くの費用がかかるポイントですので、経費の申請は確実にできるよう注意しましょう。
宿泊関連の問い合わせは、海外時間・祝日に注意!
個人間でのやり取りや、個人間に近い宿泊施設の場合、日本との時差や祝日の違いに注意して連絡しましょう。私の場合、クリスマス休暇を挟んだため、連絡が滞った事がありました。
主なロンドンの宿泊先の探し方
宿泊費は補助してもらえますが、上限があります(場合によっては定額支給ですが、この場合補助が安い傾向です)。普通にホテルを使うと赤字になりますので、ここではロンドンの宿泊先の探し方(日本人向け)について、私が調査した限りでまとめます。
Airbnb
実際、多くの方がAirbnbを使って治験の宿泊先を探しています。外国人の方とのやり取りが必要となりますが、ネットで「英語がわからない人の為の利用方法」が見つかります(翻訳機能を使うだけですが)。
注意するとすれば、貸し手とのトラブル。私の友人も海外旅行で利用した際、建物がスムーズに利用できず、問い合わせをしたら1日放置されたということがあります。もしもAirbnbを利用する場合、トラブルがあっても治験のスケジュールには差し支えないように注意しましょう。
MixB
ロンドン生活情報の日本人コミュニティサイトです。宿泊だけでなく、物の売買や、レッスン、サービスの購入などにも使えます。宿泊についても安めのシェアハウスなどの情報が掲載されているため、Airbnbよりも安く宿泊できる可能性があります。
日本人コミュニティサイトというだけあって、日本人間でのやり取りも期待できますが、宿泊先のシェアハウスによって「英語が必須」ということもあります。詳細については、必ず確認してから予約するようにしましょう。
ちなみに、後述する北園ハウスは、安い部屋で£160/週です。2週間以上だと更に安くなるので、その価格と比較して選んでみてもいいでしょう。
サクラプロパティ
日本人向けの、不動産仲介業務のサービスです。ただし、安めの案件は掲載数少な目になっており、仲介手数料もかかります(一部例外あり)。ですので、念のため目を通すくらいで、他のサイトを優先していいでしょう(といいつつ、私は宿泊先をここで発見しました)。
ロンドン・アップルハウス(日本人宿)
日本人で中長期の滞在者向けのシェアハウスです。日本人向けにサービスが作られており、利用者も基本的に日本人であるため(一定条件で日本人以外も利用可)、英語が喋れないことが心配の人、海外の生活に馴染めるか心配な人にも、かなり利用しやすいサービスかと思います。
ただし「かなり先まで予約が埋まっている(詳細はこちら)」ため、少なくとも2023年2月時点では、治験に利用するには現実的ではありません。料金は他の日本人宿と比べるとやや高めですが、短期レートでも補助範囲にはおさまるかと思います。
北園ハウス(日本人宿。今回、私が予約した)
日本人向けのシェアハウスです。先に紹介した「ロンドン・アップルハウス」と比較すると、立地条件や住宅条件のためかと思いますが、料金はかなり安いです。
そして何より、比較的予約が取りやすいことが治験での利用のメリット。繁忙期でなかったこともあり、今回は1か月前からの調整で予約が取れました。ただし、繁忙期(1、5、10月頃)は予約が一杯で宿泊できない可能性があります(私の時は、5月中旬の空きを聞いたら一杯でした)。
ちなみに、治験は事前健康診断の結果次第で宿泊の延長が必要になりますが、延泊の依頼も快く受け入れていただけました。
Robin house(日本人宿)
シングルルーム35ポンド、ツインルーム1名利用45ポンドと、比較的安く利用できる日本人経営の宿です。また、朝食が料金に含まれます。
場所はロンドンの中心の方からは北の方角に位置し、先に紹介した「北園ハウス」と逆の方角になります。
治験での利用で注意する点は、キッチンが使えない事。そのため、治験に備えて料理(塩分・糖分・脂質など)をコントロールすることは難しいです。ネット情報では、夕食が10ポンドでつくとのことだったのですが、私が申し込んだ際はそこまでは手が回らないとのことで、夕食はスーパーで総菜を買ってくる必要がありました(外食よりは高いですが、油断すると一食1000円くらいかかる)。
ちなみに、私がRobin houseを利用した際は、食事についてアレルギーなどに配慮して頂けたので、治験で禁止されている食べ物がある際は、その旨を伝えればある程度は対応してもらえるかと思います。
ただし、部屋数はあまり多くありませんので、予約が取れるかは運も影響するかと思います。
ドミトリー(たぶん最安値。でも、治験ではおすすめしない)
これはあまりお勧めしませんが、最安値になるのはドミトリーだと思います。一泊20ポンドを下回るものも珍しくありません。
ただし以下の理由から、あまりお勧めしません。
- 10日程度の待期期間については、宿泊費の補助が多めに出る可能性が高い(私の経験では1日上限50ポンド)
- 1か月以上など長期の滞在は補助が安くなりがちだが、長期で利用するにはプライバシーやセキュリティの不安による不自由がある
- ゆっくり休めないと、健康診断に影響する可能性もある
ドミトリーを治験でわざわざ利用するなら「補助費が定額や少額だったり、そもそも補助費が無い」場合になるかと思います。
しかし、治験での滞在となると、必然的に長期間の滞在になりやすく「プライバシーやセキュリティによる不自由に、長期間さらされる」事になります。長いと数カ月はドミトリー生活です。よほどドミトリーでの生活に慣れている人以外はおすすめしません。
【第1回ロンドン治験】記事一覧
- ①渡航前の申し込み~航空券・宿泊の予約編
- ②ロンドン治験の渡航準備・身辺整理編
- ③海外旅行保険をクレジットカード付帯ですませる際の注意点
- ④出国編1(成田空港出国~仁川国際空港で乗り継ぎ~ヒースロー空港到着まで)
- ⑤出国編2(ヒースロー空港到着~オイスターカード入手~電車とバスで宿泊先に到着するまで)
- ⑥ロンドン生活編
- ⑦事前検診編
- ⑧ロンドンの治験で待機者になった話
- ⑨低英語力&低コミュ力で、ロンドン観光した感想
- ⑩帰国編1(宿泊先出発~ルートン空港~リスト・フェレンツ国際空港到着まで)
- ⑪帰国編2(リスト・フェレンツ国際空港~浦東国際空港~成田国際空港まで)
- ⑫ロンドン治験の経費申請・使った銀行・旅費の結果について
- ⑬ロンドン治験の反省点とまとめ
- 【番外】ロンドンのATMでポンドをキャッシングして、繰り上げ返済してみた
- 【観光】ハリー・ポッターのロケ地とロンドン塔
- 【観光】大英博物館
- 【観光】バッキンガム宮殿とウェストミンスター関連(外観のみ)