【世界遺産】「ロンドン塔」に行ってみた
この記事では、世界遺産である「ロンドン塔」に行ってみた際の内容をまとめます。
「ロンドン塔に興味がある方」や「今後、ロンドン塔に観光に行ってみたい方」などの参考にしていただければ嬉しいです。
ロンドン塔の観光情報(2023年4月20日時点)
- 営業時間:9:00~17:30(月・日曜日は10:00~。11~2月は16:30閉館。最終入場は閉館の1時間前)
- 休館日:年末年始(1月1・4・5日)とクリスマス休暇(12月24~26日)。ただし、儀式・イベントによる閉館あり
- 見学料金:大人£29.90、5~15歳は£14.90、
- ガイド:ロンドン塔の衛兵「ビーフィーター」による英語ガイドツアーが10:00から30分毎に実施。日本語オーディオガイドは£5。
- 所要時間:2~4時間。じっくり全て回ると1日かかる。私は休憩なしで日本語オーディオガイドの内容のみ観光して3時間30分。ただし、イースター休暇の時期だったので、ジュエル・ハウスの行列で約50分待ちました。
ロンドン塔とは?
ロンドン塔とは、イングランドを征服したウィリアム1世(ウィリアム征服王)が外敵から守るために建設を命じた要塞です。1078年に建設が命じられてから、約20年で現在のホワイト・タワーが完成(当時ロンドンで最も高く、27mある)。その後も、城壁の周囲の濠の建設などが進められました。
ロンドン塔は「要塞」というだけでなく「宮殿」「牢獄」としても機能し、処刑も行われていました(ただし、高貴な身分の人以外の処刑は、一般的に現在のタワー・ヒル駅辺りで行われていた)。
ロンドン塔はイギリス王室が所有する宮殿となっていて、ジュエル・ハウスに保管されている儀式用の剣、マント、宝杖、王冠などの中には、現在も実際に使用されている宝飾品も保管されています(使用中の場合、設置場所にその旨の表示が置かれる)。このほか、過去には造幣所、天文台、銀行、王立動物園などの役目も果たし、19世紀には一般人にも開放され、訪問者数が急増するようになりました。
ちなみに、紀元前55年にローマ人が侵略して、その後建てられた都市がロンドンのはじまりとされ、ロンドン塔の一部は200年頃にローマ人が作った市城壁が使われています(近くの地下鉄タワー・ヒル駅の近隣に、完全な高さの残る部分があります)。
ロンドン塔の管理は、ビーフィーター(ヨーマン・ウォーダーズ)と呼ばれる衛兵隊が行い、ロンドン塔のガイドもビーフィーターによって行われています。ちなみに、ビーフィーターになるには「軍隊勤務22年以上、准尉以上、善行のメダル授与、任命時の年齢44~55歳」などの厳しい条件があり、ただの観光ガイドではありません。
主なロンドン塔の施設
「ロンドン塔」の敷地内にある、主な施設は以下の通りです。
- ホワイト・タワー(中央にある)
- ワードローブ・タワー(ホワイト・タワー横。ほぼ廃墟)
- ウォータールー兵舎(ジュエル・ハウス)
- トレイターズ・ゲート(「叛逆者の門」とも)
- ブラッディー・タワー(「ガーデン・タワー」とも)
- ビーチャム・タワー(西側の防護壁部分。囚人が収監された)
- 処刑場跡(ビーチャム・タワー前。アン・ブーリンなどが処刑された)
- セント・ピーター・アド・ビンキュラ礼拝堂(ビーフィーターガイドか、閉館1時間前に入れるとの情報があったが、現地で入らなかったため、実際にこの方法で入れるかは不明)
- フュージリア連隊博物館(日本語オーディオガイド対象外でした)
このほか、ヘンリー8世がアン・ブーリンのために建てた宮殿である「クイーンズ・ハウス」など、恐らく一般人は入れない建物もあります(ちなみに、アン・ブーリンはここに幽閉された後、処刑された)。
また、外郭には「セント・トマス・タワー、ウェイクフィールド・タワー、クレードル・タワー、ソルト・タワー……」と、無数にタワーがあり、外郭のタワーについては入れるのですが、外郭のタワーはあまりにも多いため割愛します(ただし、一部はオーディオガイドの対象でした)。
実際にロンドン塔を観光してみた
ここからは、実際にロンドン塔を観光した際の内容をまとめます。
【13:15~13:25】ロンドン塔到着~入場
最寄り駅であるタワー・ヒル駅から徒歩で約1分ですが、私は直前に「ハリーポッターのロケ地巡り」をやっていたので、レドンホール・マーケットから徒歩で15分ほどかけて向かいました。ちなみに、下の写真は西側の入り口に向かう場所で、直ぐ近くにチケット売り場もあります。
私は事前に13:30から入場で予約しており、10分ほど早めにチケットの画面を見せたら、無事入れてもらえました(「Hello」といって見せて、「Thank you」で通り抜けるだけで終わりました)。
入ってすぐ、外郭の外でライオン像がお出迎え。「エドワード三世のライオン」を表しているらしく、ローマ皇帝フリードリヒ二世がヘンリー三世に贈ったものらしいです(記録ではヒョウとされているが、実際にはライオンだった想定される)。ちなみに、この3頭のライオンは、サッカーイングランド代表のユニフォームにも使われています。
王立動物園としてのロンドン塔
ロンドン塔は、約600年に渡って王立動物園としても機能していました。
現在実際に飼育されているのはカラスだけですが、ロンドン塔のいたるところに、猿・像・ホッキョクグマなどの像が置かれています。
ちなみに、誤ってライオンと虎を同じケージに入れてライオンが死んでしまったり、オオカミが脱走したり、猿が衛兵の足をかんだりと、色々と事件も起こり、1835年に動物園としては閉鎖が決まったそうです。
【13:25~13:45】ロンドン塔入場~オーディオガイドを入手
ロンドン塔の内部に入るまで、チケットや手荷物の検査を合計3回ほど受けて、いよいよロンドン塔に入場です。
ロンドン塔に入って直進すると、すぐ右手にオーディオガイドがレンタルできる店があります(お土産も少しある)。
オーディオガイドは目的別のツアーが合計で約120分、ハイライトのみのツアーは90分の内容になっています。英語が得意な人はビーフィーターによるガイドで楽しめると思いますが(拍手喝采で盛り上がってました)、基本的に日本語で観光したい人には、オーディオガイドがおすすめです。見どころが分かりやすく解説されていますし、ジュエル・ハウスなどの建物前の待ち時間も有効活用できます。
レンタルの際は、個数と言語を聞かれたので、日本語で一人旅なら「One」「Japanese」が言えればOK。色々と英語でオーディオガイドの使い方を解説されました(と思います)が、私の英語力ではさっぱりわかりませんでした(まあ、使えばわかります)。
ちなみに、オーディオガイドはこんな感じ(下の画像)。
タッチで操作でき、バッテリーは3時間少々の間で一度も切れる事がありませんでした(直前に観光したセントポール大聖堂のものは、毎回30分でバッテリー切れした…)。
私が訪れた際はイースター休暇の期間の為か、平日なのにかなり混雑しており、オーディオガイドをレンタルする行列で10分以上待ちました。
日本語オーディオガイドの内容
日本語オーディオガイドの内容は、私がレンタルした時点では以下の通りでした。
- ハイライト:90分
- オーディオガイドについて:3分
- トレイターズ・ゲート:4分(オーディオガイドを借りた場所の直ぐ奥にある水門の解説)
- ミディーバル・パレス中世の宮殿:25分(トレイターズ・ゲートの直ぐ近くから入れる外郭部分の解説)
- ホワイト・タワー:30分(ロンドン塔中央にある「ホワイト・タワー」の解説)
- ロンドン塔の由来:15分(ホワイト・タワー周辺の解説)
- 投獄と処刑:25分(ロンドン塔の西側。ビーチャム・タワーやブラディ・タワーなどの解説)
- クラウン・ジュエル:10分(ジュエル・ハウスの解説。ただし、内部でオーディオガイドは利用不可)
- タワーでの生活:9分(ビーフィーターの生活や儀式の解説)
各コースは、基本的にガイドで指定されたスタート位置まで歩いて行ってから、音声をスタートする流れで利用します(なので、オーディオガイドと一緒に地図を受け取るっぽかったのですが、私は英語がわからず受け取らず去ってしまった)。
また、私は観光した後になって気づきましたが、ガイドに含まれていない建物もけっこう多く、例えば「フュージリア連隊博物館」もチケットの料金に含まれていたみたいですが、うっかり見学するのを忘れました(閉館まで30分無かったので、どっちみちじっくり見れなかったと思います)。
【13:45~13:50頃】トレイターズ・ゲート(叛逆者の門)
入り口からオーディオガイドのレンタル場所を通りすぎ、直ぐにあるのが「トレイターズ・ゲート(叛逆者の門)」。ここは短めながらもオーディオガイドの対象にもなっているので、練習ついでに使ってみると良いでしょう。
トレイターズ・ゲートはロンドン塔の名所の一つです。昔はこの門の水路を通って、囚人や処刑者がロンドン塔内の監獄に入れられました。ちなみに、門がトレイターズ・ゲートと呼ばれるようになったのは、1600年代始め頃からです。
上の写真の様に、門の左右の壁には十字に切り込みが入るように隙間があります。模型が置かれていましたが、この隙間から敵を攻撃できるようになっており、ロンドン塔の要塞としての側面もうかがえます。
また、門の上部からランタン・タワーにかけては「ミディーバル・パレス」と呼ばれる中世の建築物で、エドワード1世の居所などがありました。
【13:50~13:55頃】ミディーバル・パレス
トレイターズ・ゲートから、オーディオガイドをレンタルした側に少し戻ると、外郭側に階段があります。この階段を上がると「ミディーバル・パレス」と呼ばれるエリアで、ここもオーディオガイドの対象です。
ここは「セント・トマス・タワー」「ウェイクフィールド・タワー」「ランタン・タワー」の連なった外郭のエリアで、国王が食事・宴会・寝室などに活用した部屋が復元されています。
上の写真は「セント・トマス・タワー」にある国王の寝室を再現した部屋(時代はエドワード1世)。国王が長身だったそうで、それに合わせて特大サイズでベッドが作られています。
上の写真は「ウェイクフィールド・タワー」で再現されたヘンリー三世の王座。ウェストミンスター寺院にある戴冠式座が基になっているそうです。
こちらは「ウェイクフィールド・タワー」にあるステンドグラス。ここかはわかりませんが、ヘンリー六世はウェイクフィールド・タワーの礼拝堂で亡くなったらしく、暗殺説もあるそうです(1歳でイングランド王とフランス王に就任したヘンリー六世は、百年戦争とバラ戦争に破れ、エドワード4世に王位を奪われた後、ロンドン塔に幽閉されていました)。
ちなみに、外郭には他にも小さな塔がたくさんあり、オーディオガイドで解説されているは極一部。残りは現地の標識などを見ながら楽しむ感じでした(オーディオガイドを優先したため、私は途中で外郭から出ました)。
【14:10~14:55頃】ホワイト・タワー
外郭から出て、ロンドン塔中央にあるホワイト・タワーへ。オーディオガイドの対象です。
ホワイト・タワーは1100年頃に完成し、当時ロンドンで最も高い建造物でした(約27m)。ヨーロッパでもっとも完全性が高い状態で保存されています。中世初期の軍事建築の模範例であり、権威の象徴でした。
上の写真は、ホワイト・タワーの正面。保存状態の良さがよくわかるかと思います。入口は高めの位置で、木製の階段は防衛のため取り外せるようになっていました。現在の階段は、2015年に乗るノルマン時代の様式にあわせて作られたものです。
内部はオーディオガイドだけで30分。ガイドで解説している物は展示物の半分にも満たない印象でしたので、本気でじっくり見れば1時間以上かかるかと思います。
入ってすぐは武器庫としてのホワイト・タワーの部屋。歴代王武器や甲冑、歴代王が乗った馬とされる模型などが置かれています。
上の写真は、ヘンリー8世が利用していたという1540年の甲冑。最初の部屋で一番目立っていたこの甲冑は、ヘンリー8世が太ってから作られたものだそうで、太ったヘンリー8世でも快適に動けるように設計されていました(つまり、実戦用)。また、股間の飛び出ている部分は当時のファッションなどではなく、これも実戦には欠かせない防具とのこと。
上の写真は、世界でも最大クラスの甲冑と、最小クラスの甲冑。最大級の甲冑を更に凌ぐ剣のデカさがヤバい。
上階に進むと王の部屋。ここは普通の生活スペースで、暖炉もある広間、寝室、トイレなどでした。政府の儀式も行われていたと考えられるそうです。
王の部屋の奥は、セント・ジョン礼拝堂(上の写真)。11世紀頃は王のプライベートな礼拝堂として利用されていたそうです。しかし、13世紀から利用頻度が低くなると、一旦は公文書保管庫となり、礼拝堂として復旧したのは1860年から。現在も毎月礼拝が行われています。
更に進むと再び武器関係の展示。今度は甲冑よりも武器がメインです。上の写真は最初に登場する当時保管されていた武器を記載した本。「何故、分割して管理しなかった……」と思わせる異様な分厚さです。
更に進むと……
これは……知らん。
オーディオガイドでも解説がありませんでしたし、標識とかも見つかりませんでした(頑張れば見つかったかも)。謎の展示です。こんな感じで、たまに近年の作品も展示されてました。
ちなみに、ホワイト・タワーは国事犯の牢獄としても使われた他、地下では拷問も行われていたとされています。
上の写真は、当時の処刑台など。処刑に使われた台は通常破棄されてしまうそうで、残っている物は貴重らしいです。
上階の展示を抜けると、日本の博物館でよく見かける体験コーナーがありました。
階段を下って、地下へ。これで展示はほぼ終わりですが……
なんか最後に、顔がヤバいのがいました(中世の芸術家が伝聞で描いたライオンの仲間か?)。
ちなみに、地下の終わりの部分に、創建当初の基礎部分が見えるスペースがありました(不人気なのか、みんなスルーしてました)。そこを抜けると、お土産コーナーがあって、階段を上がって外に出る感じです。
【15:00~15:20頃】ロンドン塔の由来
『ロンドン塔の由来』のオーディオガイドは、ホワイト・タワー周辺を歩きまわる内容です。
ガイドは、ホワイト・タワーとその南東にあるワードローブ・タワーの解説から始まります。ワードローブ・タワーは、既に廃墟になっています。
ワードローブ・タワーは、ローマ時代の稜堡跡を利用して12世紀に建てられたものです。
上の写真は、ローマ時代の都市であるロンディニウムの河岸壁の上部分で、西暦300年頃に造られました。ロンドン塔はこういったローマ時代のものを活用し、防衛に利用していました。
ちなみに、河岸壁というだけあって、1270年に砦が拡張されるまで、ここまでテムズ川が流れていたそうです。Googleマップで見た感じ、ここからテムズ川まで40メートルくらいあったので、長い年月でいかにテムズ川が埋め立てられたかがわかります(それでも、今のテムズ川もかなり幅が広く、クルーズ観光できます)。
ロンドン塔のカラス
ガイドの最後はカラスを飼育しているケージです。
ロンドン塔においては、カラスは特別な意味を持ちます。伝説では、ロンドン塔に住む6羽のカラスが飛び立ってしまうと、王国もロンドン塔も滅びるとされているそうです(ただし、第二次大戦の混乱でカラスがいなくなった時も、王国は滅びませんでした)。
このカラスの飼育もビーフィーター(レイブンマスター)の仕事です。ちなみに、言い伝えでは6羽が必要となっていますが、余裕をもって7羽飼育されていました。
【15:20~15:45頃】投獄と処刑
『投獄と処刑』は、ロンドン塔の西側にある、処刑場跡や、監獄として使われたタワーを巡るガイドです。
スタート地点は処刑場跡から。ここはヘンリー八世の王妃アン・ブーリンが1536年に処刑された場所で、1861年にアン・ブーリンの話に感銘を受けたヴィクトリア女王が記念碑を立てるよう命じました。現在ある記念碑は、2007年に制作されたものです。
ちなみに、ロンドン塔内での処刑は、高貴な身分の人だけが対象です(一般の死刑囚は、タワー・ヒルで公開処刑され、見世物にされた)。ロンドン塔内では、7人が斬首、3人が銃殺されたらしく、アン・ブーリンはフランスから来た剣の達人に処刑されたそうです。
処刑場跡のすぐ近くにあるビーチャム・タワーは、牢獄として使われていました(下の写真)。
ロンドン塔はそもそも監獄として作られていたわけではないため、ビーチャム・タワーは防護壁の一部でした。名前は、14世紀末にここに投獄されたトマス・ビーチャムが由来。その後も多くの囚人がここに投獄され、囚人たちが残したグラフィティが今でも多く残されています。
途中割愛して、ガイドが最後に向かったのはガーデン・タワー(ブラッディー・タワー)です(下の写真)。
ガーデン・タワーは、サー・ウォルター・ローリーが収監されていましたが、ここには家族も度々訪れ、彼は庭園で科学実験もしていたそうです(なのでガーデン・タワー)。彼以外の囚人も、裕福な囚人が利用し、調度品も整った比較的広い部屋で生活していました。
しかし、このタワーは後にエドワード四世の二人の子供が、叔父のリチャード三世によって殺害された場所と言われるようになり、結果として「ブラッディ・タワー」と呼ばれるようになったそうです(ちなみに、二人の子供は、エドワード四世の死後、リチャード三世の命令でロンドン塔に連れた後、非嫡出子であると宣言され、リチャード三世が即位。その後、二人は行方不明となり、ホワイト・タワーの礼拝堂に続く階段下から骸骨となって発見された)。
【15:45~16:45頃】クラウン・ジュエル(見学時間は10分ほど)
ロンドン塔の目玉でもあるクラウン・ジュエル。お土産屋で売られている観光ガイドの本も、クラウン・ジュエルだけで一冊ありました。
しかし、残念ながらこのクラウン・ジュエル、写真撮影は不可です。展示の一部は、公式サイトに写真があるので、そちらをご確認ください。
ちなみに、クラウン・ジュエルの建物内部は、一方通行の上に、一部は動く床になっており立ち止まる事ができません。私も10分程度の滞在となりました。
が、大人気のこの展示は行列になりやすく……
行列長!
私が訪れたのは平日とはいえイースター休暇の時期だったため、入館まで50分かかりました。
ちなみに建物の中では、オーディオガイドも使えませんので、列に並んでいる間に聞いておきましょう。内容は10分ほどです。この他、ビーフィーターの生活や儀式に関するオーディオガイドなど、場所を選ばず聴けるガイドもあるので、オーディオガイドだけで20分は潰せます。
ちなみに、チャールズ一世が処刑されたあと、王家の宝器はオリバー・クロムウェルの命令でほぼ全てが破壊されました。それ以前のもので現存するのは、儀式用の剣3本、精油を君主に塗るための戴冠式スプーンのみです。その後、1660年に王政復古してから宝石一式が新調されました。
現在見学できる最も新しいものは、1953年のエリザベス二世の戴冠式で作られたものだそうです(2023年5月6日にチャールズ国王の戴冠式で使われるのは、17世紀に作られた聖エドワードクラウンだそうです)。
【16:50頃】ロンドン塔を退出
一通り見学し、そろそろ閉館時間も近くなったので、退出しました。
オーディオガイドの返却については、出口で回収している係員がいたので、適当に「サンキュー」とか言って、差し出せばOKでした。
ちなみに、最寄り駅はタワー・ヒル駅なのですが、帰宅ルートの関係もあって、ロンドンブリッジを徒歩で渡りロンドンブリッジ駅から帰りました。ちょっとルートを変えると、タワーブリッジの方を渡ることもできます(タワーブリッジの方が、見た目は観光地っぽいです)。
ロンドン塔を訪れる際の注意点
本気で観光しようとすると、1日潰れる
今回、私は休みなく観光し、それでも所要時間が3時間30分となりました。
クラウン・ジュエル前で50分待ちがあったとはいえ、その半分程度はオーディオガイドを聴いていたので、ロスは多く見ても30分程です。
一方、今回の観光では外郭にある小さいタワーは半分も回れませんでした。また、セント・ピーター・アド・ビンキュラ礼拝堂(ビーフィーターガイドか、閉館1時間前に入れるとの情報があったが、現地では未確認)や、フュージリア連隊博物館などは、ガイドに無かったり入り方がわからなかった場所は観光できていません(この2つがけっこう大きめの建物です)。
また、展示についてもオーディオガイドと、とくに気になったもの以外は、やむを得ずスルーしてます。ホワイト・タワーに至っては1/3も解説を読んでません。
当然、それら全てを巡るとなると、休憩なしは辛いです。そうなると観光として、ロンドン塔内にあるレストランも使って見たいところ。
更に、英語がわかるならビーフィーターのガイドは参加したいです。何を言ってたのかわかりませんが、盛り上がって拍手喝采してたのは気になります。
……と、考えていくと、本気でじっくり味わうなら、8時間でも足りないんじゃないかと思います。
クラウン・ジュエルは撮影不可
今回、けっこう多めに写真を記載しましたが、クラウン・ジュエルは撮影不可です。
この点については、列に並んでいる間に注意書きが出てるので間違えないと思いますが、間違えて撮影しないよう注意しましょう。
クラウン・ジュエルは使用中の事も
使用中のクラウン・ジュエルについては、その旨の標識が置かれている事もあります。
この辺りは、今も王家の宝物庫として機能していて、流石だなと思います。が、やはり見られないのは残念。
細かな情報を事前に得ることは難しいかと思いますが、王家の伝統行事の日などは、一部展示がないかも……と、思いましょう。
ロンドン塔の周辺の観光施設
ロンドン塔周辺にも、観光施設は盛り沢山です。
徒歩30分の距離だけでも、
- セントポール大聖堂(ハリーポッターのロケ地でもある)
- レドンホール・マーケット(ハリーポッターのロケ地でもある)
- バラ・マーケット(ハリーポッターのロケ地でもある)
- ミレニアムブリッジ(ハリーポッターのロケ地でもある)
- ロンドン・ウォール(ロンドン塔内にも一部残る、ロンディニウムの周辺の防護壁跡。21か所あるが、ロンドン塔最寄り駅のタワー・ヒル駅前に、当時に近い高さのものが残っている)
- ロンドンブリッジ
- タワーブリッジ
- ホワイトチャペル・ギャラリー
- バービカン・センター
- ロンドン大火記念塔
- テート・モダン
- クリンク刑務所ミュージアム
- ロンドン博物館
と観光地が色々あり、バスや電車でロンドン塔から30分の距離の観光地までいくと、数えきれません(大英博物館、ウェストミンスター寺院、バッキンガム宮殿、ビッグベン、グリニッジ天文台、9と4分の3番線など、超有名スポットあり)。
ちなみに「短時間でもいいから、多くの有料の観光名所を回りたい」という人には、「ロンドンパス」を使用するという選択肢もあります。
1日だけのパスは割高になる可能性が多いですが、数日以上でロンドンを転々としながら、パス対象(80か所ほど)の有料施設を多く巡るなら、パスを購入したほうが割安な可能性が出てきます。
ただし、ロンドンには無料の博物館も多いですし、ロンドン塔など、一箇所だけでかなりの時間楽しめる施設も多いです。観光スケジュールを決めてから、パスの購入は検討した方が良いでしょう。
世界遺産検定1級で出題される「ロンドン塔」の知識
私が確認した限り、2010年~2021年の過去問では、ロンドン塔の知識が直接正解の選択肢で問われていた問題は5問ありました(かなり頻出の部類です)。
毎回問われる用語などは傾向が明確ではありませんが、過去に問われた知識を中心にまとめると、以下の様になります。
- ロンドン塔は11世紀に建設されたノルマン様式の要塞施設で、作ったのはノルマンディー公ウィリアム1世
- 石灰岩で建造されている「ホワイト・タワー」は、創建当時はロンドンで最も高い建造物(高さ27m)
- ヘンリー8世の2番目の王妃であるアン・ブーリン、娘のエリザベス1世、イングランド初の女王であるジェーン・グレイなどが幽閉されていた
- ロンドン市街の開発(バッファー・ゾーンの外側の高層ビルの建造)に伴い、景観の悪化が問題となっている
ちなみに「景観の悪化」以外はオーディオガイドで観光すると、全て出てきました。
また、近隣の観光施設である「セントポール大聖堂」の一番上の黄金回廊(85メートル)から見ると、確かに高層ビルの建造が2023年4月時点でも行われており、景観の悪化が問題になっているのも納得できる感じでした。
ただし、シティ内での建物の高さは、セントポール大聖堂に配慮するよう「セント・ポール・ハイト」と呼ばれる建築基準が定められているそうです。