治験の検査内容ってどんなもの? 被験者が受ける検査や制約内容をおおまかにまとめてみた
この記事では、私がこれまで参加してきた治験で検査された項目を中心に、入所が必要な治験での検査内容についてまとめます。「治験の参加に興味がある方」「治験で自分が受ける予定の検査項目について知りたい」といった方などの、参考にして頂ければ嬉しいです。
ここで記載した内容は、あくまで私の経験上で一般的な検査項目の内容です。詳細な検査方法などは治験により異なる事が考えられますので、治験に参加する際の不明点は病院に問い合わせることをおすすめします。
治験の検査・制約の内容
通常の健康診断と同様の検査(事前検査・入所日の検査などで行う)
入所が必要な治験の場合、事前検査で通常の健康診断と同じような項目を検査していきます。具体的な項目は、だいたい以下の通りです。
- 身長
- 体重
- 採尿
- 血圧
- 心電図
- 採血
- 問診
事前検査の場合、検査当日に治験に関する説明や必要な書類への記入(参加意思の確認など)を行います。
また、入所当日にも同様の検査を行います。事前検査で治験に参加できるか体調を確認し、入所当日にも問題なければ、治験に参加するという流れになる事が一般的です。
ホルター心電図検査
これは、一部の治験でのみ実施します。事前検査の段階で行う場合もありますが、その場合は2次検査など、検査を別日に行う事があります。装着イメージは、下の記事に掲載されています。
ホルター心電図検査は、24時間体制で心臓の状態を確認する検査です。その為、事前検査の場合は、検査機を取り付けてから帰宅し、そのまま装着したままの状態で翌日病院に行くことになります。就寝時はほぼ気になりませんでしたが、装着後は外すまでシャワーや入浴はできないため、装着前に一度シャワーを浴びる事になるかと思います。
また、入所中にホルター心電図検査を行う場合も、同様に装着前にシャワーを浴び、外すまでの間はシャワーを浴びられないという制約があります。
脳波検査
頭にヘッドギアの様なものを付け、脳波を検査します。これも一部の治験でのみ実施し、事前検査の段階で行う事もありましたが、2次検査など別日で行いました。装着した時のイメージは、下の記事の画像が参考になるかと思います。
装着すると、髪がべたべたになるため、外した後は病院でシャワーを浴びる事になるかと思います。入所生活中で脳波検査を行う場合も、同様でした。
眼の検査
一部の治験でのみ実施します。通常の視力検査も治験内容によってはあるかもしれませんが、それ以外にも眼の検査を行った事があります(詳細な項目は不明でした)。
眼の検査内容によっては、コンタクトレンズか裸眼で、一定以上の視力が必要な検査もあります(眼鏡を付けていると測定できないため)。その為、裸眼では生活できないが、コンタクトレンズを持っていないという人は、このような治験には参加できません。私の場合、この治験の為にわざわざコンタクトレンズを作成した事がありました。
制限事項
治験に参加する場合、入所前後も含めて多くの行動が規制されます。実は、治験で高額の報酬が貰えるのは、こういった面倒が発生する負担も含まれています(なので、報酬の名称は負担軽減費)。以下に制限事項をまとめます。
運動制限
「事前の健康診断の数日前」や「健康診断から治験完了まで」などの期間で、運動制限が発生することが一般的です。運動については、激しい運動はもちろん、部屋の模様替えに伴う家具の移動や、長時間の散歩なども影響を与えてしまうため、制限が生活に与える影響がかなり大きいです。
ちなみに、運動するとCPKという値が顕著に上昇する為、高確率で検査の際にバレます。
喫煙制限
喫煙についても制限されます。喫煙制限の程度については、治験によって異なりますので、普段喫煙している方は必ず確認しておくようにしましょう。
サプリメント・薬関係の制限
治験で薬を実験する以上、サプリメントや薬の接種も制限されます。治験の前の段階で風邪をひいてしまった場合、一応治験の病院に問い合わせて風邪薬の使用の可否を確認することもできますが、多くの場合は不参加になるかと思います(私も一度風邪でキャンセルしました)。
中には薬を飲んでも黙って参加してしまう人もいますが、海外では病院に黙って薬を服用し、副作用で死亡したという事故も発生しています。病院に黙って薬を使用することは非常に危険ですので、絶対に避けましょう。
ちなみに「風邪薬は投薬14日前に禁止だが、漢方薬やサプリメントは30日前から禁止」という治験もありました。何が何日前から禁止かについては、必ず確認しておくようにしましょう。
食事制限
「暴飲暴食」や「脂っこいものを避ける」など、健康診断前に推奨されるもの以外に、以下の様な食事制限があります(治験によって詳細は異なります)。
- 飲酒制限
- ポピーシード
- セントジョーンズワート
- エナジードリンク(タウリンなどの特定の成分を含むもの)
- カフェイン(コーヒーやチョコなど。完全な禁止ではなく、量で制限の場合もある)
- ○○科の野菜(これは内容によってかなり制限が厳しいです)
- フルーツ類(グレープフルーツなどが多いが、治験によってはかなり7種類以上指定されたこともあります)
私の経験で一番厳しかったのは、「アブラナ科の野菜を食べてはいけない」というものでした、アブラナ科の野菜はけっこう日常的に食べるものが多かったので、対象外の野菜5種類程ピックアップしておき、それを使ったメニューだけで食事を回せるように決めて生活しました。
日本食を「毎日食べないといけない」制限
海外の治験ですが「1日1回日本食を食べること」という制限が入った事もありました。「食べてはいけない」ではなく「食べなくてはいけない」というタイプですが、これはこれで毎日食べ忘れる事が無いよう、注意が必要でした。
アルコール検査
これはだいたい入所初日に、アルコールを摂取していないことを検査します。普通にストローを使ってアルコールの検査機に息を吹きかけるだけでOKです。
PCR検査
これも入所初日の事が多いですが、事前検診の際や、入所直前に実施した事もありました。私の経験では、毎回唾液を使っての検査を行っています。
留置針を利用した採血
これは「検査」というより「道具」といった感じですが、長期入院の治験では高確率で「留置針」を使用した採血を行っている印象です。
留置針を腕に刺した状態で固定しておき、採血の多い投薬日(または翌日朝頃まで)の採血に利用します。利用後は留置針を外して、通常の注射器で採血に切り替わります。留置針を利用するイメージは、下の記事で紹介されています(点滴なので、採血とは利用方法が違いますが、似たような感じです)。
ちなみに、頼めば留置針なしで採血してくれるという病院もありましたが、おすすめしません。理由は「留置針の方が採血が楽だから」です。1日数回程度の採血であれば、毎回注射でもいいかもしれませんが、1日に5回、6回……と採血が多い日は注射の度に痛い思いするより、留置針の方がずっと楽です。取り付けて1時間程度は多少の違和感や痛みを感じる事もありますが、それでも毎回の注射よりはマシです(あと、注射した痕が半端ないことになりかねないです)。
副作用前提の治験
たまにこんな治験もあります。
「治験なんてやって、万が一副作用が出たら人生破滅だ!」と恐れる人もいるかもしれませんが、私は2回、投薬によって副作用を経験しています。
というのも、薬の内容によっては副作用が前提になってしまうからです。私が経験したのは、既に副作用が確認できている薬の、ジェネリック薬品の治験でした。
副作用の想定は「投薬日~約1週間で『痛み』『発熱(微熱程度)』『倦怠感』の発生」が想定されましたが、実際には「倦怠感」と「微熱(37.2度くらい)」が2日発生しただけですみました。
とはいえ、本当に私の身体があれから大丈夫なのかは不明です。もしかしたら大丈夫じゃないかもしれません……。
畜尿
比較的少数の治験ですが「畜尿」を行うものがあります。「畜尿」は「採尿」のパワーアップ版のようなもので、一定期間の尿を全て採取します。採尿の場合は紙コップですが、全量採取なので大き目の蓋つきボトルに全て入れて、採尿の時間帯を書いて提出します。
私が経験した治験では「入所~退所までの全ての尿を採取」というものでした。毎回看護師を呼び出して提出する為、最初は少し恥ずかしかったのですが、正直2日で慣れました。ですので、羞恥心によるハードルや、体への負担は低いと思います。
ただ、畜尿検査がある治験は、私が知る限り毎回「下痢をしていると参加できない」という条件付きです(たぶん、尿の採取に影響がでるから?)。その為、「下痢をしている・下痢をしやすい」という人は、畜尿がある治験には参加が難しいかと思います。
便の検査
実は私は、この検査がある治験だけは一度も経験していません。参加を検討した治験で一度見かけたので、一応掲載しておきます。
一定期間の便に対する検査を行います。私が見た案件の参加要項では、採取用の棒のようなものでちょっと……というレベルではなく「入所~退所までの期間の便を全て提出する」といった内容でした。
薬を飲むリスクに比べれば、マシ……と、思う人もいそうですが、流石に羞恥心に負けて参加を見送る人も多いかと思います(便の検査があるからといって、貰えるお金が増えてる印象も無かったですし……)。
ちなみに、畜尿と同様、下痢の人は参加不可でした。
治験に参加できる可能性を上げるには?
今回、治験で行われる検査項目や、治験に参加する際の制限内容をまとめました。制限内容については、守る事が必須条件ですが、検査項目でより良い数値を出し、事前検査や入所日の検査に合格するためには、普段からの生活スタイルを整える必要があります。
下の記事では、治験の検査に合格するために行うべきことをまとめてあります。興味がある方の参考になれば嬉しいです。