【体験談】バイト代わりに4泊5日×2回の治験を受けてみたので、その感想をまとめます
先日、退職に伴い時間ができたので、前から興味があった「治験」に参加してきました(まだ有給ですが)。
その際に「どのくらい自由時間が取れたか?」を測定したところ「この内容なら、また参加したい!」という結論に至ったため、
- 実際に治験で貰えた報酬
- 実際に治験に持っていって便利だったもの
- 治験で入院中にやれること
- 入院生活・スケジュール
- 治験における注意点
- そもそも、治験ってどんなもの?
といった内容について、自分の備忘録もかねてまとめておきたいと思います(次回参加は休薬期間の関係で、4カ月くらいの予定です)。
この記事は、あくまで私が参加した治験の話です。
多くの治験で似た生活になるかと思いますが、実際どのような入院生活になるかは、治験の事前健診の際に確認しましょう。
また、具体的な治験の内容(薬の内容、施設、詳細なスケジュールなど)については、勝手に公表できないため、この記事ではその点について掲載しておりません。あくまで「一般的な入院の治験はどのようなものか?」という参考としてご利用ください。
実際に治験で貰えた報酬は189,000円でした
私の場合、報酬は189,000円になります。
定期的に治験の案件を見ていると、「入院4泊5日×2回」の場合、都心だと19~21万円くらいが多い印象でしたので、私の場合はやや少な目です。
ちなみに、「事前健診のみで不合格」「自宅待機の補欠」「病院待機の補欠」といった状況に応じて、報酬は代わります。
報酬の振込方法は、治験による
報酬の支払い方法は治験によって異なります。
私の場合、手渡しということもありましたし、最後の退院日の翌月下旬ということもありました。
学生で「夏休みに使うお金が欲しい」などの受け取りの時期に希望がある場合は、報酬を受け取れるタイミングについて確認しておくといいでしょう。
体験した治験の持ち込み物について
事前健診の際に、治験の持ち込み物について以下の説明がありました(治験により内容は異なります)。
- 病院側で貸し出ししてもらえるもの
- 持ってこなければならない日用品
- 持ち込み禁止の物の例
例えば、病院から貸して頂けるものとしては以下のようなものがありました。
- 病衣
- シャンプー/ボディソープ/リンス(シャワールームに備え付け)
- バスタオル
- フェイスタオル
- ドライヤー
- DVD
一方、持ち込みを求められた日用品は、以下の通りです。
- 歯ブラシ
- 洗顔用具
- 室内履き
- 下着
- スリッパ
- ひげそり
- 上着(寒かった時用なので、私は持ち込みませんでした)
ちなみに、衣類については長期入院の場合は自分で洗濯する場合もありました。洗濯の可否が明確でない場合は、病院に確認しておくといいでしょう。
また、以下の物については持ち込み禁止です。入院時に荷物検査が行われますので、禁止物を持っていた場合は退院時まで預かってもらうことになりました。
- 飲食物
- 医薬品(うがい薬(歯磨き粉は可)、制汗剤、目薬、ワックス、化粧品なども含む)
- タバコ・ライター(電子タバコも不可)
- 鋭利なもの(電気シェーバーは可。T字カミソリ、ハサミ、針などは不可)
その他、無線LANの環境、娯楽の貸し出し物についても事前健診の際に通知がありました。気になる方は、事前健診の際に確認しておくといいでしょう。
入院生活であると便利なもの
上記の禁止物以外は、常識的な範囲でOKです。
その上で、個人的に持ち込んだ方が良い物は、以下の通りです。
- 電源タップ
- USBポート
- イヤホン
- ノートパソコン/タブレット/スマホ
- 充電用のケーブル
- (ベッドの柵にかけられる小物入れ)
- (書籍)
電源タップ
電源タップについては、環境によりますが、基本的には持ち込んだ方が便利です。
コンセントの環境がベッドによって違うため「コンセントの数が足りない!」「電源ケーブルの距離が足りない」という状況で利用します。
私のベッドの環境はコンセントが1つ。それもベッドから1メートル以上の距離がありました。数は1つで問題なかったのですが、ノートPCを使う位置によっては「距離の問題」が発生しました。
USBポート
こちらもあると便利。というか、充電用のケーブルを指すポートが足りない場合は必須かなと思います。
私の場合、ワイヤレスイヤホン×2つ(PC用、スマホ用)、スマホ、タブレットの計4つを充電する必要があり、充電の順番待ちを気にせずに利用するためには、必須の道具でした。
イヤホン(音漏れしにくいもの)
入院生活中は、PCやスマホから音を出すのは禁止です。そのため、音声を聴くためにはイヤホンが必須となりました。
また、周囲とのトラブルを防ぐため、音漏れがしにくいものを持っていくといいでしょう。
私の場合、PCとスマホでイヤホンを切り替えるのが面倒だったため、ワイヤレスイヤホンを2つ持っていきました(たまに左右の耳で使い分けていました)
ノートパソコン/タブレット/スマートフォン
説明不要ですね。最低でも1台は持っていきましょう。
後で触れますが、入院期間中は膨大な自由時間があります(行動に制限はありますが)。ですので、それを有効活用するためにも、長期の治験では持ち込みは必須と考えていいでしょう。
充電用のケーブル
当たり前ですが、電子機器を持ち込む以上、充電用のケーブルの持ち込みも必要になります。
入院1日であれば、バッテリーやスマホの2台持ちなどでしのぎ切れると思いますが、入院期間が3日(実質48時間くらい)になれば、充電は必要になって来るでしょう。
ベッドの柵にかけられる手提げ(無くてもOK)
「無いより便利かもしれない」という程度ですが、あると便利かと思います。
というのも、ベッド左右に柵を取り付け、その上にテーブルを取り付け、ベッドの背中側を上げてしまうと、前にも後ろにも脱出しにくくなるからです。
ベッドの上には枕も掛け布団も置かれた状態であり、物の置き場は限られています。その状態で身動きも限定されるため「ベッドの上からでも物を取り出せるよう、手提げなどを柵にかけておければ便利だった」と思います。
とはいえ、そもそも物を持ち込む量が少なければ、必要になる可能性は低いかと思います。
書籍
4冊は持っていきました。読みたい本があれば、持っていくといいでしょう。
ですが、入院期間が長かったため(4泊5日)、書籍だけで時間を潰すには限界がありました。
持ち物も増えてしまうため、「ノートPCやスマホで時間を全部潰せる」という人は、あえて持っていかなくてもいいでしょう
「PC用の折り畳みテーブル」は入院生活でいらなかった。が…
持ち込もうと思って断念し、結局不要だったのが「ノートPC用の折り畳みテーブル」です。
サイズが大きく、持っていくのを断念したのですが、ベッドに着脱可能なテーブルが用意されていたので、「持っていかなくてよかった」という結果となりました。
ただ、他の治験の体験談では「持っていって良かった」という意見もあるので、気になる方は事前健診の際に質問しておくといいでしょう。
入院生活・スケジュール
ここからは、実際に体験した治験の入院生活をまとめます。
申し込み~入院前(0日目)
治験に申込む
まずは、参加したい案件を探し、申込みます。申し込みについては、複数の治験募集サイトに登録しておくと、条件の良い案件が見つかりやすいためおすすめです。私の場合も4か所以上登録しています(今回参加した治験も、以下のサイトのものです)。
私は東京在住なので案件には困りませんが、関西の場合は「インクロム」が向いているかと思います。
今回の治験も、メールの中から条件の良いものを探して申し込みました。
申込みの際、治験の参加条件や、自分の健康状態に関する質問に答えていきます。ここで条件に合致しないと、その時点で不合格となります。こういった事情もあるので、案件は多いに越したことはありません。
申込み完了後、申込内容の返信が来た場合は、今後のスケジュールや必要な対応が記載されていることがあるので、しっかり読み込んでおきましょう。
参加意思の確認
事前健診の前に「本当に参加する意思があるか?」の確認が行われることがあります。
例えば、「〇月〇日に電話をするので、そこで解答する」「申し込み時に送られてきたメールに必要事項を記載して返信する」などです。
今回、私はメールでの参加意思と、体重・血圧の連絡が必要となりました。
事前健診
事前健診では、主に以下の2つを行います。
- 治験に関する解説
- 健康診断(採血、尿検査、体重、身長、血圧など。治験による)
所要時間は2~3時間でした。参加人数や内容によるかと思いますが、過去の経験では「数日入院するタイプ」の場合は1~3時間程度です。
治験に関する解説では、以下のような内容を教えていただけました。
- どのような内容の治験薬か?
- 予想される副作用は何か?
- 入院生活はどのようなものか?
- 病院で提供される食事の例
- 今後のスケジュールはどうなるか?
- 報酬の支払いはどうなるか?
- 禁止事項
この際に不明点があれば質問しておくといいでしょう。
ちなみに、「病院で提供される食事の例」については、過去には解説がないこともありました。
内定通知
事前健診の際に教えてもらった日付で、内定の通知が来ます。
が、私の場合は「補欠(内定者から辞退者が出た時の予備)」となりました。
この際に「このまま補欠になるか、断念するか」の意思表示があります。
私は「辞退者が出て繰り上がったけど、電話に出られず他の補欠が採用された」という経験があったため、補欠で意思表示しておきました。
結果、内定者の最終意思表示の日に「辞退者が出たので、入院して欲しい」との連絡が入り、繰り上がりでの内定となりました。
入院初日のスケジュール(1日目)
- 集合:12:00
- 就寝:23:00
- 私が勉強した時間:7時間30分程度(Studyplusで測定)
- PCR検査
- 荷物検査
- 健康診断
- 治験中の生活の解説
- 夕食
- シャワー
- 就寝
集合は12:00頃です。ただし、PCR検査の関係もあり、時間を分散しての集合となりました。
PCR検査の結果が出るまでの2~3時間は、廊下の椅子で待つことになったため、スマホや本で時間を潰しました。
PCR検査で陰性が確認できてから、入院開始。この日と翌朝の健康診断の結果から、最終的な投薬を実施するかの判断が行われました。
夕食は19:00頃。前日夜から食事は禁止で飲み物も水のみですので「24時間くらい食べてない」状態になりました。初日はこれがしんどかった。
投薬日のスケジュール(2日目)
- 起床:06:30
- 就寝:00:00(深夜01:00~02:00頃に一度起床して採血あり)
- 私が勉強した時間:12時間程度(Studyplusで測定)
- 起床
- 朝の健診(血圧・脈拍・体温などの測定、診察)
- 採血
- 朝食
- 採血(複数回)
- 昼食
- 採血(複数回)
- 夕食
- 採血(複数回)
- 就寝
- 深夜に起きて採血
投薬初日。朝の検診結果から、実際に投薬する人を選びます。私の治験の場合、4泊5日を2回なので、2回目は体調不良などがなければ採用継続です。
採血については、投薬日は他の日よりも回数が多く、2時間おきに実施しました。これは、過去に私が経験した治験でも同様のスケジュールとなっていました。
採血については、留置針をさす方法と、毎回注射をうってもらう方法の2種類が選べました。私の場合、留置針を選択。注射後、最初の1時間ほどは違和感がありましたが、その後は違和感が少なく、毎回注射をうたれるよりはマシ(痛い思いをしなくて済む)と思いました。
ちなみに、この日の注意点としては、以下のようなものがありました。
- 投薬後の一定時間は、飲水・移動・姿勢に制限がある
- 最初の食事の時刻に制限がある(食べ始めと、食べ終わりを計測する)
- シャワーは使えない
- 就寝が遅めで、就寝後も深夜に一度起床して採血があった
採血の回数が多いのも大変ですが、深夜に起床が必要なため、翌日の睡眠時間が短くなることも大変でした。
また、投薬直後の飲水・姿勢については問題ありませんでしたが、移動は厄介。トイレはやむを得ないということで許可されていましたが、基本的に病院スタッフの方に許可を取る必要がありました。
投薬2~3日目のスケジュール(4~5日目)
- 起床:2日目は07:30、3日目は7:00
- 就寝:23:00
- 私が勉強した時間:9~13時間程度(Studyplusで測定)
- 起床
- 朝の健診(血圧・脈拍・体温などの測定、診察)
- 採血
- 朝食
- 昼食
- シャワー
- 夕食
- 採血
- 就寝
一番暇なのが、3~4日目。朝の検診と採血2回、シャワー以外は自由時間。食事が提供される時間は決まっていますが、食べ終わる時間は常識的な範囲で前後してもOKでした(たぶん、遅いと注意される)。
一番の注意点はシャワーの時間。これは時間になり次第、自分で判断して入る必要があり、時間も細かく設定されていたので「うっかりシャワーの時間を忘れた!」となると、入れない可能性があります。また、先の人が時間をオーバーしていたこともあり、自分のシャワーが5分になったこともありました。
一番自由に過ごせる反面、一番だらけやすい2日間でもあり、実際、半日寝ているような人もいました。私も一番集中できなかった日は勉強時間が9時間にとどまり自制心を試される日程でした。
退院日のスケジュール(5日目)
- 起床:7:00
- 退院:12:00
- 私が勉強した時間:3時間程度(Studyplusで測定)
- 起床
- 朝の健診(血圧・脈拍・体温などの測定)
- 採血(投薬初日は複数回)
- オリエンテーション
最終日は、滞在時間が短く、朝の検診も項目が多いため、あまり自由時間がありませんでした。
食事は無く12:00頃に退院だったため、退院時は空腹感が強かったです。
退院時にオリエンテーションがあります。1回目の退院時は2回目参加時の説明がありましたが、2回目は単純に検査結果に異状が見受けられない旨だけ伝えられ、解散となりました。
治験を体験して良かったこと
集中して作業ができた
実際に参加して一番の魅力は「集中して作業ができる」というところでした。
正直、最初は「お金をもらいながら、少し勉強できれば……」という程度でしたが
- 自宅のような誘惑がない
- 規則的な生活ができる(一部は分単位で正確な行動が必要)
- 自分のスペースは仕事場(ベッド)のみ
- 食事は自動で準備されるし、掃除も不要
ということで、想像以上に「集中して作業ができる」環境が整っていました。
やはり報酬が魅力
集中して作業をしながら、お金を貰えるというのはやはり魅力として大きい。
単純に「4泊5日×2回+事前健診」で20万円前後というだけでも、アルバイトからしたらかなりの報酬ですが、その上に自由時間も多い。
私の場合、4泊5日×2回で、90時間程度の自由時間がありました。ノマドワーカーなら仕事をしながら更にお金をもらうことも可能と思います。
普通のサラリーマンであっても、有給と休日をくっつけて参加すれば、良いお小遣い稼ぎになると思います。休暇の自由がきくのであれば、検討してみてもいいでしょう。
食事も悪くなく、空調が良かった
ちなみに、食事の味は悪くなかったです。学校の給食みたいな感じでした。
私の場合は「治験用」といった感じの食事で、特別「美味しい」という程ではありませんでしたが、栄養素なども考慮されていて、健康的ではありました。
また、空調が程よく24時間管理されていたので、夏の冷房代などを気にすることなく、集中できる環境だったこともあり難かったです。夏・冬の治験は、その点でもメリットがあるかなと思います。
治験を体験して大変だったこと
一番大変なのは「治験前の体調管理」
治験自体よりも、一番大変だったのは「治験前の体調管理」です。
治験にもよると思いますが、入院日の一定期間より前から、薬(塗り薬、張り薬、目薬など含む)を使えないことはもちろん、サプリメント、かんきつ類、セントジョーンズワート、アルコールの摂取ができませんし、入院日はカフェインの摂取もできませんでした。このあたりの「食べて良いものと、いつ頃から禁止か?」については、募集要項や事前健診の説明で解説があります。
また、暴飲暴食、夜更かし、運動なども、事前検査の日から禁止となっていました。このあたりは職業柄コントロールが難しいという人も多いかと思います。
このあたりで嘘をついてしまうと、重大な副作用が出現する可能性もあり、自らの命にかかわります(海外ですが、治験期間中に無断で薬を使用し、死亡した症例もあります)。万が一、風邪などで薬の仕様が必要になった場合、必ず病院に相談しましょう。
やはり注射は痛い
当たり前ですが、注射は痛いです。
個人的には、治験の後に受けたコロナのワクチン接種の方が痛かったのですが、それ未満とはいえ痛いものは痛い。
私の場合、血管が見えにくいらしく、過去にも採血で内出血を起こしたことがありましたが、入院中にも一度内出血を起こしました。そのまま血が服にもたれ、病衣の一部がホラー映画状態でした……。
健康のコントロールが自分でできない
それなりに規則正しいリズムで寝起きし、カロリー控えめな食事が提供されていたのですが、健康志向の人には向いていません。
私の場合は「入院前~2回目の退院」まで運動ができませんでしたので、ほぼ1カ月は運動ができませんでした。運動が趣味の人には地獄でしょう。
また、食事についても「比較的健康的」のレベルであって、自分で細かなメニュー調整ができません。
私の場合、病院で提供される食事は、1日のタンパク質が65g程、脂質は70g程、炭水化物は280g程でした。これだと、私の普段と比較して「タンパク質少なく、炭水化物多め」です。4泊5日×2回なので私は気にしませんでしたが、食事内容を徹底的に管理したい人は向いていないかと思います。
入院型の治験における注意事項
ここまで取り上げてきた、今回の治験時の注意事項について、大雑把にまとめると以下のようになります。
- 【治験前~終了】運動、睡眠、食生活などのルールを順守する
- 【治験前~終了】そもそも、健康診断でいい結果がでるよう、睡眠や食事などで体調を調整しておく
- 【治験前~終了】ルールに抵触する可能性がある場合は、積極的に病院スタッフに相談する(勝手な自己判断は命にも関わる)
- 【治験前】事前の参加意思の確認タイミングはしっかり把握しておく(参加意思を通知しないと、不参加になる)
- 【治験前】補欠になった場合、入院内定者向けの前日確認の日は、繰り上げの連絡にすぐ対応できるようにしておく
- 【治験中】入院中のスケジュールについては遵守できるよう把握する(シャワーなど、使えなくなる可能性もある)
- 【治験中】食べ残しは厳禁
- 【治験後】基本的に健康管理の注意点はなし
- 【治験後】次回の参加までは、休薬期間が必要
詳細は治験によって変化すると思います(特に超長期や投薬以外の場合)。あくまで一例ですので、不明点については積極的に問い合わせるといいでしょう。
治験後の生活については特に禁止事項は言われませんでしたが、私は念のため少しの間は激しい運動は避けました。
ちなみに、次回の治験までは休薬期間が必要です。最終の投薬日からのカウントとなり、治験の内容によって休薬期間は異なります(入院タイプの場合、4カ月程度が多いです)。
そもそも治験とは
最後に、そもそも治験とは何かを簡単にまとめます。
治験の内容は色々
治験というと、病院に入院しながら薬を飲むイメージが多いですが、実際にはその他にもいろいろな募集があります。
- 健康器具をつけて「運動する」「熱い部屋で歩く」「日常生活を送る」など
- 美容関連のモニター
- 食品(健康食品以外もある)を食べ、アンケートに応えたり、問診を受ける(コッペパンやチョコなどもありました)
- ワクチン接種
- 健康な人に治験薬を投与するタイプ
- 何らかの病気がある人向けの治験(脳卒中、高血圧、糖尿病、血糖値が高い、不眠症、脱毛症など)
報酬は「何らかの病気がある人向けで、入院するタイプ」が高い印象です。それ以外だと「健康な人に治験薬を投与するタイプ」が高めです。
健康リスクが気になる人であれば、健康器具や食品、美容関連などを検討してみるといいでしょう。ただ、これらの治験も条件があり、私の場合は夜勤のために参加できない状態が続いていました。
また、入院しないタイプであっても、通院が複数必要なタイプがあります。1年くらいの間で20回近く参加するタイプもあり、自分の都合にあわせて最適なものを探していくといいでしょう。
入院タイプの治験について
同じ入院タイプでも、何泊するかは治験によります。
また、1回で長期の入院をするか、複数回(主に2回。多いと4回程度)にわけるかという違いもあります。1回のタイプでよく見かけるのは9泊のタイプ。長いものだと、1カ月以上のものもあります。
入院後の通院が必要なタイプもあります。このタイプは治験が長引きますが、通院時に投薬しないのであれば、休薬期間(最終投薬日から次の治験までの待機期間)でデメリットが無いため、報酬と参加の手間次第ではお得かなと思います。
このほか、海外に長期滞在して治験を行うこともあり、報酬は現地の通貨で支払われることもあります。
珍しいものだと、宇宙を想定した閉鎖空間での心理面の変化を調べる募集もありました。
治験の報酬はどのくらい貰える?高額?
相場はまちまちですが、入院するタイプの場合は1日あたり1~2万円程度です。
治験には入院以外のタイプもあるため、そこも含めるとかなり報酬に幅があります。
当然ですが、リスクが少なかったり、日数が少なかったりすると報酬は下がります。
ただ、例えば「健康食品を食べて、アンケートに答える」などの場合は、比較的リスクも少なく、家にいても対応できますので、報酬は少ないですがメリットはあります。
治験の内容を聞いてから辞退は可能か?
可能です。
事前健診の際に詳細な説明があり、その際に想定される副作用や、想定される副作用の発生頻度が説明されます。
内容に不明点があれば確認し、納得がいかない場合は参加を取りやめることができます。
ちなみにですが、副作用が発生した場合は、原則としてその分の治療や補償が行われます。
治験薬はどのような過程を経て人に投薬されるか? 安全か?
そもそもですが「普段は摂取しないものを身体に取り込む」という行為に、ある程度のリスクを伴うと考えた方がいいです。
例えばヨーロッパの場合、これまで食経験のないものについては、他の地域で長い間食べられてきたものであっても、安全性を証明するデータを提出し、認可を得る必要があります。
治験薬も当然「普段は摂取しないもの」を身体に取り込むため、ある程度のリスクを伴います。ここは間違いありません。
ただ、被験者の健康を守るよう、以下のような流れで薬は作られていきます。
- 目的の作用を持つ成分を探す
- 動物実験を行って、効果や安全性を確認する(3~5年程度かけ、非臨床研究と呼ばれます)
- 健康な少数の人で安全性を確認する(第1相試験)
- 少数の患者さんで効果と安全性を確認する(第2相試験)
- 多数の患者さんで効果と安全性を確認する(第3相試験。第1~3相試験で、おおよそ3~7年。臨床試験と呼ばれる)
- 承認申請し、審査を通る(1~2年程度)
この内、人間に試すフェーズについては、「治験実施計画書」を「治験審査委員会」という機関が審査します。この治験実施計画書については、事前健診の説明の際にも手渡されました。
このように、ある程度の安全性は確保されています。が、やはり「絶対に安全」などということはありません。市販されている薬でさえ、稀に重大な副作用が出るケースがあります。参加の際は、相応のリスクを覚悟する必要があります(なので、お子さんがいる方には投薬タイプの治験は不向きです)。
ちなみに、私が治験に参加したのは、以下の書籍で治験について学んでいたことも影響しています。食品の安全性や健康について興味がある方は、読んで損のない本だと思います(結論は「バランスよい普通の食生活をしましょう」になりそうですが)。
治験に合格(内定)するには?
健康の管理
結論から言うと、基準はわからないが、健康な生活が重要と思われます(ただし、疾患がある人向けの場合は、その影響もありそうです)。
私は関係者ではないので、ここからは完全に憶測です(関係者も公表できないと思います)。
まず、事前健診の内容から「尿検査」「血液検査」「血圧」「体重」「身長」が見られていることは確かです(治験によって異なる可能性あり)。
この内「体重」と「身長」についてはBMIの関係になります。多くの治験では、BMIの値が標準の範囲内であることが求められます。BMIが募集範囲のギリギリの場合、当日にオーバーしている危険性もあるため、内定から外される可能性があるかと思います。
「血圧」についても、健康的な範囲であること、それもギリギリの範囲ではなく、余裕を持った範囲が好ましいと思います。血圧計がある人は、日頃から自分の血圧を確認し、高めの場合は減塩などで対処しましょう(高血圧予防の観点で、健康な人でも食塩は1日6g未満を推奨)。
最後に、血液検査と尿検査。詳細はやはり関係者ではないのでわかりませんが「臓器の機能が健康であるか?」が見られているのではないかと思います。となると、普段から「暴飲暴食」「夜更かし」「アルコールの多量摂取」「喫煙」などを避けておいた方がいいのではないでしょうか。
結局のところ「健康な生活を送ることが必要」なわけですが、人間うっかりしていると「健康な生活(のつもり)」になりがちです。とくに事前健診1カ月前くらいからは、日頃の生活を細かく把握するようにしましょう。
トラブルは避ける
入院患者になるわけですから、トラブルは起こさないようにしましょう。
例えば、事前健診の前に、参加意思の確認が行われることがあります。この際の連絡については忘れずに実施するようにしましょう(たぶん、忘れた時点で不合格です)。
もしも都合により時間が合わないなどの場合は、必ず病院の方に相談し(だいたい、連絡先がメールで届く)、適切な対応を取れるようにしておきましょう。私も都合が合わなかったため、参加意思の確認は1日ずらしてもらいました。
補欠になったら、繰り上げの連絡を逃さない
事前健診で「補欠」になることがあります。
「補欠」は「内定者」が辞退した場合に、繰り上がりで選ばれる人です。
つまり「内定者」が辞退しそうなタイミング(最終の参加意思表明や、入院前日)については、繰り上がりの連絡が来る可能性が高いです。
実際、私は補欠になる度に、そのタイミングで連絡を貰っています。1度目は電話に出られず、別の補欠の方が採用されてしまいました。繰り上がりの連絡が来そうな日には「電話に出られるよう準備する」ことも内定の確率を上げます。
治験について、これだけは知っておいてもらいたい
治験はアルバイトではなく、ボランティア
治験というと「身体を売って高額な報酬をもらう怪しい行為」というイメージが日本では強いですが、海外の場合は「ボランティア」として認識されていることが多いです。
法律の規制や業界の関係もありますが、日本で新薬・ワクチンの開発が遅れる原因の一つも、このイメージの悪さから、治験の参加者があまり集まらないということもあるそうです(そもそも、ボランティアにイメージもありそうです)。
ただ、リスクを負って治験に参加する人がいるからこそ、安価な薬が提供できるようになったり、難病の克服にもつながります。誰かが治験へ参加することは、医療の発展のためには必要不可欠であり、意義のある行為です。
個人的には、勉強しながらお金がもらえて、薬の研究も手伝えて、患者さんの為にもなるという三方よしなので、お金に余裕が出ても、今後も参加してみたいと思います。
研究の為にも、自分の為にも、ルールは確実に守る
途中の注意事項でも触れましたが「定められたルール」は遵守するようにしましょう。
特に、運動、摂取していい食事、薬の使用などの申告で嘘があると、研究にも大きく影響します。最悪の場合、被験者が死に至る可能性もあります。
治験を「短期のバイト」と考えると非常に割りがいいですが、参加にはルールの順守が絶対です。自分の命を守るためにも、健康状態や薬の使用に心配があれば、参加は見送るようにしましょう。
【実体験】更に長期の体験記(9泊10日×2回)
更に長期の治験(9泊10日×2回)の実体験については、以下の記事にまとめました。興味がある方の参考にしていただければ幸いです。