すみだ北斎美術館の観光情報と、実際に観光した感想
この記事では「すみだ北斎美術館の概要と、実際にすみだ北斎美術館を訪れた際の感想」を中心にまとめます。
「北斎の作品に興味がある方」「両国駅周辺を観光予定の方」などの参考になれば嬉しいです。
「すみだ北斎美術館」の基本情報
※詳細は変更の可能性もあるため、訪問前には公式HPなどの情報をご確認ください
「すみだ北斎美術館」とは?
すみだ北斎美術館は、簡単に言えば「人生のほとんどを墨田区で過ごした芸術家である北斎を、区民の誇りとして称え、地域の産業や観光へも寄与する地域活性化の拠点を目指した美術館」です。
公式の「すみだ北斎美術館の設置目的」としては、以下のものがあげられていました。
- 北斎顕彰を通じて地域に愛着を深める場
- 区民の生涯学習の場
- 地域活性化の拠点(観光、産業への寄与)
- 国内外に向けた情報発信と交流の場
とはいえ、単純に美術館として訪れるだけなら「北斎関連の芸術作品や、その人生についての展示が見られる美術館」という認識でOKな感じです。
展示は「常設展」と「企画展」にわかれ、常設展だけなら一般400円とかなり安いです。ただ、常設展のスペースはそれほど広くなく、企画展の方が倍以上の展示スペースがあるため、1時間以上とれるなら企画展も含めて鑑賞するのがおすすめです。
「すみだ北斎美術館」へのアクセス
住所は「東京都墨田区亀沢2丁目7−2」です。
最寄り駅は、都営地下鉄大江戸線の両国駅で、A3出口から徒歩5分ほど。JR総武線「両国駅」東口からだと徒歩9分ほどです。
墨田区内循環バスだと「すみだ北斎美術館前(津軽家上屋敷跡)
駐車場はありませんので、自動車で向かう場合は事前に周辺の有料駐車場を調べておきましょう。
「すみだ北斎美術館」がひどいという話と、行ってみて感じた事
実は「すみだ北斎美術館」で検索しようとすると、検索エンジンの予測で「すみだ北斎美術館 ひどい」と表示されます。
調べると、主な理由は以下の通りです。
- 美術館内の導線が悪い
- 展示品にレプリカが多い
この他「展示スペースに無駄がある(何もない壁など)」というものもありましたが、私が訪れた際に展示スペースの無駄はあまり気になりませんでした。
「美術館内の導線が悪い」の影響は?
「美術館内の導線が悪い」については、建物の構造の影響もあります。公式の「フロアガイド」を見ると、通常の四角い箱の様な形状ではない事がわかります。
とくに導線が悪い事の影響として問題となるのが、エレベーターの混雑。1階でチケットを購入し、4階までエレベーターで移動。その後、戻るときもエレベーターになるため、このエレベーターに人が集中しやすく、混雑が発生する事があります。
とはいえ、混雑で悪い評価が広まってしまったのは、主に開館直後の一番混雑しやすい時期だったようで、私が訪れたのは休日でしたが、エレベーターが混雑して困ることはありませんでした。
「展示品にレプリカが多い」のは仕方がない
また、問題点として挙がってくるのが「展示品にレプリカが多い」こと。しかし、これについてはやむを得ない事情があります。
常設展の入口にある案内にもありますが、錦絵は光・熱・湿気などに弱いという性質があります。そのため、いくら空調などが管理された美術館とはいえ、展示した状態で長期保存するのは作品に負担となります。
そのため劣化を抑えるための措置として、オリジナル作品を展示するのは、年間で1カ月以内になるように管理されており、結果として「展示品にレプリカが多い」という状態にならざるをえないのです(とくに常設展)。
ただ、オリジナルではないとはいえ、展示されているのは実物大の高精細レプリカとなっています。確かに、わざわざ足を運んでオリジナルでないというのは精神的に残念な感じはありますが、正直、素人目にはレプリカか本物かが全くわかりません。むしろ、オリジナルを後世に残す役目を美術館が果たしてくれるなら、入場料は安いくらいだと感じました。
「すみだ北斎美術館」を実際に観光してみた(所要時間60分ほど)
外観からして、かなり変わった形状をしている「すみだ北斎美術館」。「地域に愛着を深める場」「区民の生涯学習の場」などが設置目的に入っているだけあり、目の前が普通の公園というかなり変わった環境には驚かされました。
私が訪れた際は、企画展として「隅田川両岸景色図巻(複製画)と北斎漫画」と「北斎のまく笑いの種」が開催されていました。常設展だけだと400円とかなり安いですが、企画展のスペースの方が常設展の倍以上あるので、1時間以上楽しめる時間があるなら、企画展も訪れる事をおすすめします。
企画展の料金は、内容によって異なります。また、割引サービスが非常に豊富です。私の場合は偶然「お誕生日月割引」が使えたので、常設展と企画展両方を800円で見学する事ができました。
写真撮影については、ラウンジや常設展などに限定されています。ただし、撮影禁止マークのある作品は撮影できません(詳細はこちら)。
企画展「隅田川両岸景色図巻(複製画)と北斎漫画」と「北斎のまく笑いの種」について
企画展は写真撮影禁止です。なので、写真無しでサラっと解説します。
企画展のスペースは、4階と3階にあり、私が訪れた際は4階で「隅田川両岸景色図巻(複製画)と北斎漫画」、3階で「北斎のまく笑いの種」という企画展が開催されていました。
「隅田川両岸景色図巻」は、1892年に上野で開催された浮世絵展に出品された後、1902年にフランスの国立競売場・ドゥロウで売却されてから、100年以上行方不明となっていた作品です。「幻の作品」とされていましたが、墨田区の調査で2015年に所在が判明。 2016年に開館予定だった「すみだ北斎美術館」の目玉として購入され、2016年に開館記念の「北斎の帰還-幻の絵巻と名品コレクション-」では、全巻が公開されていたそうです。今回は、オリジナル作品の劣化を防ぐため、複製画が展示されていました。また、北斎漫画の展示もあり、レプリカの北斎漫画は手に取って読む事もできました。
「北斎のまく笑いの種」については、その名の通り「笑い」の描写を取り入れた作品が、北斎のみならず、その門人の作品も含めて展示されていました。ただ笑い転げているような絵だけでなく、馬鹿にするような冷笑や、妖怪の不気味な笑みなど、多様な「笑い」の表現を、当時の画家がどのように描き分けていたかというものが見られました。
常設展(AURORA)について
常設展(AURORA)のフロアマップについては、公式で公開されています。常設展の展示スペースは、美術館の展示室全体の1/4程度とそれほど広くはありません。
常設展は、部屋の外にある北斎ゆかりの地に関する展示から始まり、展示室内は北斎の生涯を辿るような形で室内を一周する様に展示されています。途中には、錦絵の制作工程に関する展示や、北斎のアトリエを再現した模型もありました。
常設展内は写真撮影可です。ただし、フラッシュや三脚は使用禁止で、作品によっては撮影不可のものもありますので注意しましょう。
こちらは、1804~1807年頃に制作された、「賀奈川沖本杢之図」の実物大高精細レプリカです。
こちらは、有名な「富岳三十六景神奈川沖浪裏」の実物大高精細レプリカ。制作は1831年頃とされ、先の「賀奈川沖本杢之図」と比較するとその間の変化が良くわかります。
こちらは、展示品で何となく一番気に入った「百物語 さらやしき」の実物大高精細レプリカ。色合いと、ちょっと不気味な雰囲気が好きです。制作は「富岳三十六景神奈川沖浪裏」と同時期になります。
こちらは、展示室の最後の方(出入口付近)にある北斎のアトリエの再現模型です。北斎84歳頃のもので、当時のアトリエの様子を門人の露木為一が絵に残していたそうです。北斎の隣にいるのは、北斎の三女で浮世絵師でもある阿栄。画号は「応為」で、北斎が娘を「オーイ」と呼んだので、それ号としたとの説があります(諸説あります)。二人はゴミが散らかっていても気にせず、その中で絵を描いていたそうです。
「すみだ北斎美術館」の周囲の観光情報
「すみだ北斎美術館」の常設展または企画展の半券を提示すると、割引をしてもらえる場所が複数あります(基本的に、日付当日のみ有効です)。
- 郵政博物館
- すみだ水族館
- 刀剣博物館
- 東京水辺ライン
- 江戸東京博物館
ただし、この記事を執筆している時点では、割引は2024年3月31日(日)までとなっており、その後どうなるかは不明です。また「江戸東京博物館」については、2025年まで大規模改修工事のため休館中となっています。
ちなみに、私は同じ日に徒歩で移動できる範囲にあった「刀剣博物館」を訪れました。が、すみだ北斎美術館の半券が「お誕生日月割引」のものだったため、刀剣博物館での割引は受けられませんでした。
刀剣博物館を訪れた際の内容については、以下の記事にまとめていますので、興味がある方は参考にして頂ければ幸いです。