白川郷(荻町集落)にある「合掌造り民家園」の観光情報と、実際に観光した感想
この記事では、白川郷(荻町集落)にある「合掌造り民家園」の観光情報と、実際に観光した感想をまとめます。
「合掌造り家屋をはじめとした古民家に興味がある方」「白川郷を観光予定の方」などの参考になれば嬉しいです。
「合掌造り民家園」の観光情報
- 営業時間:8:40~17:00(12~3月は9:00~16:00。閉園20分前に入園締切)
- 休館日:12~3月は木曜休館(木曜が祝日の場合は翌日が休館日)
- 見学料金:大人600円、子供400円(各種割引あり)
- 所要時間:1時間ほど(アクティビティ除く)。園内ガイドサービスは1~2時間ほど。園内で放映されている合掌造り民家に関する映像は約40分。私は閉園時間が近かったので、3割くらいは中を見ず、駆け足で見学して約45分(映像は諦めました)。
- その他:団体や村内宿泊者には条件付きでガイドサービスがあります(詳細はこちら)
※詳細は変更の可能性もあるため、訪問前には公式HPなどの情報をご確認ください
「合掌造り民家園」とは?
合掌造り民家園とは、簡単に言えば「白川村内から移築された多くの古民家が保存された場所」です。園内には合掌造り家屋を中心に、水車小屋や神社などの古民家もあり、ほぼ現代的なものが置かれていないためタイムスリップしたような集落の風景になっています(自然の手入れも行き届いているので、実はけっこう写真映えするスポットです)。
古民家の見学だけでなく、そば打ちやわら細工づくりなどのアクティビティも楽しめる日があるため、それも体験する場合は、滞在時間を多めに見積もった方がいいでしょう(実施日は限定的で、事前予約制です。詳細はこちら)。
ちなみに、世界遺産「白川郷・五箇山の合掌造り集落」の構成資産の範囲にはギリギリ入っていませんが、その周辺の保存地帯であるバッファゾーンに含まれ、築300年を超える山下陽郎家住宅など9棟は、県指定の重要文化財になっています(山下陽郎家住宅は、白川郷で最も古い家屋です)。
白川郷の「荻町集落」の目の前にある「せせらぎ公園駐車場」から徒歩数分なので、時間に余裕がある方は是非立ち寄ってみることをおすすめします。
「合掌造り民家園」の主な見どころ
合掌造り民家園では、25棟の古民家が公開されていますが、中でも9棟は県指定の重要文化財となっています。時間が無い場合は、優先的に見学してもいいでしょう。ちなみに、対象は以下の9棟です。
- 旧中野義盛家住宅
- 旧中野長治郎家住宅
- 旧山下陽朗家住宅
- 旧東しな家住宅
- 旧大家藤重家板倉
- 旧大家藤重家稲架小屋
- 旧中野義盛家板倉
- 旧山茂文四郎家馬小屋
- 旧山茂文四郎家唐臼小屋
また常設展として、「旧中野義盛家住宅」の中では『秘境「飛騨加須良・越中桂」写真展』、「旧東しな家住宅」では「飛騨加須良生活展」が見られます。
「合掌造り民家園」へのアクセス
住所は「〒501-5627 岐阜県大野郡白川村荻町2499」です。基本的なアクセス方法は、白川郷(荻町集落)へのアクセスと考えて差し支えありません。
公共交通機関で白川郷へ向かう場合、周辺に鉄道の駅がないため、少し離れた場所から高速バスで移動する必要があります。主要な場所からの移動時間は以下の通りです。
- 東京駅:約4時間(富山駅まで北陸新幹線で約2時間15分、富山駅から高速バスで1時間20分)
- 大阪駅:約4時間15分(金沢駅までJR特急サンダーバードで約2時間40分、金沢駅から高速バスで約1時間20分)
- 名古屋駅:約2時間50分(名鉄バスセンターまで歩き、そこから高速バスで2時間30分)
- 金沢駅:高速バスで約1時間20分
また、自動車で向かう場合は以下の通りです。
- 東京方面:約5時間15分
- 大阪方面:約4時間00分
- 名古屋方面:約2時間15分
- 金沢方面:約1時間10分
自動車で向かう場合「せせらぎ公園駐車場」を利用することが基本になります。この「せせらぎ公園駐車場」から「であい橋」で川を超えると集落の中に入っていくのですが、橋は渡らず南へ向かえば徒歩数分の距離に「合掌造り民家園」があります。
「せせらぎ公園駐車場」の営業時間は原則8:00~17:00なので、宿泊される方以外は時間帯に注意しましょう(イベントなどで営業時間が変更されることはあります)。
駐車料金は、普通自動車1,000円、二輪車200円です(料金の一部は世界遺産保存の事業に活用されます)。
「合掌造り民家園」を実際に観光してみた(45分ほど)
この日は世界遺産「白川郷・五箇山の合掌造り集落」の「菅沼」「相倉」「荻町」の集落を見て回った後でしたので、民家園に到着した時点で既に16:00頃。閉園まで1時間しかありませんでした。
受付で尋ねてみると、早い人なら30分くらいで見学できるという事でしたので、駆け足気味で訪問しました。
ただし、ガイドツアー(参加条件あり)は1~2時間くらい、園内放映されている合掌造り民家の映像は約40分あります。じっくり楽しみたい方は、余裕をもって訪問しましょう。
合掌造り民家園の風景
民家園は、奥まで歩いて戻ってくるような感じで、園内を一周するような施設です。途中にある古民家の多くは、中に入って楽しむことが可能です。
ほぼ近代的なものはありませんので、上の写真のように江戸時代と言っていいような古い集落の風景が再現されています。
一周して入口の方に戻って来た場所で撮影。民家だけでなく、植物や池の管理も行き届いていて、写真映えしそうな場所が多いです。
中野義盛家主屋
こちらは入口付近にある「中野義盛家主屋」で県指定の重要文化財にもなっています。
もとは15kmほど離れた場所にある白川村加須良から移築されたもので、中野家は第大庄屋を務めていました。明治42年(1909年)に火災で焼失したため、現在立っているものは、その直後に建てられた明治末期の物です。オエ(居間、食事の間)の上を走るウシノキが、県内の建物で最大とのこと。
そして、こちらが恐らくオエ。なのですが、ウシノキ部分が見やすい写真を撮影し忘れました……。
上階では、合掌造りの建物で特徴的な窓の部分が見られました。
ちなみに、合掌造り家屋の構造は、上階の三角形をした「小屋組」と、下の階の四角形をした「軸組」に分けることができ、上の写真は「小屋組」の部分にあたります。「小屋組」の床部分は「ウスバリ」(上の写真の床部分)と呼ばれこの部分で小屋組と軸組が分離されています。養蚕などは小屋組で行われ、小屋組は更に下部の「アマ」と上部の「ソラアマ」に分離されます(このあたり、世界遺産検定1級などで出ます)。
マタダテ(股建)小屋
見るからに小さい小屋であるマタダテ小屋は、災害時などで家屋を復旧している最中に仮住まいとして利用される者です。
仮住まいというだけあって、内部は最低限の寝泊まりができるスペースといった感じです。
大家藤重家稲架小屋
こちらは県指定の重要文化財になっている「大家藤重家稲架小屋」です。
「稲架小屋」とは、刈り取った稲などの穀物を架けて乾燥させるための小屋で、雨天の際は脱穀や選別の作業として利用されました。ただし、裕福な農家でなければ稲架小屋は建てられなかったそうです。
この「大家藤重家稲架小屋」は、もとは4kmほど離れた場所にある白川村大窪にあったものです。
鳩谷八幡神社
周囲の木のサイズからわかると思いますが、小さめの神社です。園内を奥まで入って、折り返してきた辺りにありました。
合掌造りの屋根の小さな建物は、元は1.5kmほど離れた白川村鳩谷にあった八幡神社の御神酒蔵倉として使われていたそうです。
梅香庵
園内にあった小さな建物。その小ささと、身を屈めてようやく入れそうな扉。そして「梅香庵」という名前から期待して中を覗くと……。
なんと合掌造りの茶室でした! ほとんど看板も無かったので、外国人だとただの倉庫と勘違いして見落としそう……(本物の倉庫などの管理施設も、景観を損なわない様古民家になってます)。
ちなみに、どこかから移設された歴史的な建築物ではなく、昭和57年に新築されたものだそうです。
山下陽郎家主屋
山下陽郎家主屋は、築300年を超える江戸時代中期の貴重な建物で、県指定の重要文化財になっています。白川郷に現存する中では最も古い民家です。元は3mkほど離れた白川村島に立っていました。
他の合掌造り集落と外観が異なり、合掌の三角形が見える面に細い丸太を立て、茅で塞いだ構造になっています。
内部も立派な家屋で、内部の建築様式も江戸時代中期の古いものになっています(仏壇はあるが、書院座敷が無いなど)。
中では、昔の生活を感じさせるような道具類の展示も見る事も出来ました。他の建物でも、こういった展示がされていますので、じっくり建築や道具を見たい場合は、短くても1時間以上は確保した方が無難です。
「合掌造り民家園」周辺の観光スポット
「合掌造り民家園」まで来たのであれば、「白川郷」の荻町集落は目の前です。
民家園前にある「せせらぎ公園駐車場」から「であい橋」で庄川を渡れば、すぐに荻町集落に入ることができます。ここは合掌造りの家屋が多く残された集落で(世界遺産の対象だけで59棟)、現在もその土地に多くの人が住み、民家の見学や宿泊をする事も可能です。
また、世界遺産「白川郷・五箇山の合掌造り集落」に白川郷とともに登録されている五箇山の「菅沼」と「相倉」の集落も見どころです。1日で三つの村を観光するとなると、時間的にギリギリになりますが、各集落を移動できるバスも出ていますので、あわせて観光する事を検討してみてもいいでしょう。