世界遺産検定とは? 想定される難易度や勉強時間
この記事では、実際に受験した経験などをもとに、
- 世界遺産検定の難易度
- 世界遺産検定の勉強時間
- そもそも世界遺産検定とは?
について、まとめます。
世界遺産検定の難易度
合格者の年齢分布
公式に「受験の目安」として、各級の目安や合格者の割合が書かれています。
この情報を見ると、以下のようになっています(2022年3月4日時点)。
- マイスター・1級:社会人の合格者が中心
- 2級:大学生と社会人が半々程度
- 3級:社会人よりやや大学生が多く、高校生が2級よりかなり多い
- 4級:高校生が多く、高校生以下で6割を超える
実際に勉強した上での難易度
社会人の私が、実際に世界遺産検定3級を受験した際の手ごたえとしては、難易度は低めでした。前日と当日が休日なら、二日で合格を目指せるレベルです。
また、3級に合格した後、15時間39分の勉強をした段階で6回分の過去問に挑戦しましたが、全て合格点を超えることができました(ただし、ギリギリの試験もありました)。
このことから、高校生であっても、実際には2級までなら難易度はそれほど高くはないと思います(むしろ、歴史の勉強をしているなら有利です)。
ただし「中学レベルの歴史・地理でてこずった」という人の場合は苦戦する可能性は高いかと思います。私は直前1年で、仏教関係の勉強と歴史能力検定準3級を受験していたので、普段歴史の勉強をしていない人と比べて、有利な状態であったとは思います。
世界遺産検定の勉強時間
世界遺産検定3級の勉強時間
「勉強に自信が無い」「歴史が苦手」なら30時間程度で合格ライン
もしも「勉強に自信が無い」「歴史が苦手」という場合は、30時間程度を想定した方が良いでしょう。実際にオンラインの資格学習サービスであるオンスク.JPでは、30時間を合格が目指せるラインとしています。
個人的な見解ですが「予備校が提示する時間は、苦手な人でも無理なく目指せる勉強時間」だと思います。ですので「勉強が得意」「歴史は好き」という人であれば、もっと短い時間で合格できると思います。
一方で、予備校が提示した時間で合格できなかったとなると、信用にも関わります。ですので、苦手な人であっても、30時間あれば合格できるでしょう。
「勉強が得意」「歴史が好き」なら5~10時間程度で合格ライン
「勉強が得意」「歴史が好き」という人であれば、5~10時間で合格ラインに達するかと思います。
実際、合格体験記を書くような人では、10時間程度の人が多く見つかりました。
私の勉強時間は、11時間8分だった
私が合格した際の勉強時間は11時間8分。問題集が完全に仕上がるまで10時間かからなかったため、確かに10時間未満での合格は可能だと思います。
世界遺産検定2級の勉強時間
「2級から開始」の場合は20~30時間。苦手なら60時間程度
世界遺産検定2級の勉強時間は30~60時間と言われているそうです。
ただ、合格体験記では、20~30時間程度という人が多い印象です。
もちろん、私も含めて「合格体験記は、そこそこいい成績の人」が書いている事が多いので、「20~30時間」という基準は、若干勉強が短くなる方向にバイアスがかかっているとは思います。
そういった意味では、あくまでも「歴史が好きな人」「勉強が得意な人」が、合格ラインに乗り始めるのが20時間程度と考えた方が無難かと思います。
「3級合格レベルから開始」の場合は、追加で10~20時間
私の場合ですが、3級合格から15時間39分の勉強で、過去問6回に挑戦して全て合格点を出すことができました。
この時の合格点までの余裕にはバラツキがありましたが、「世界遺産の時事問題」を捨てても全て合格点以上だったので、合格ラインに乗り始めるのはもっと短時間かと思います(8~10年前の過去問を使ったので、当時の時事問題は勉強しませんでした)。
ただ、3級の勉強からブランク2か月程度で勉強を開始したため、3級合格からのブランクが長い人はもっと苦戦する可能性が高いです。
一方、私は3級で75点と、あまり点が高くなかったので、3級時点でよりしっかり勉強している人なら、より短時間で合格できると思います。
ちなみに、3級に合格してから50時間程度の勉強で、96点の高得点を取った人もいます。この事からも、流石に3級取得レベルであれば、50時間はかなり余裕で合格できるラインであると考えられます。
世界遺産検定1級の勉強時間
1級は、受験資格の関係上「2級合格」が前提となります。
調査したところ、合格体験記によってかなりばらつきがあるという結果になりました。
例えば、私が確認した中で短い合格体験記では「2級の勉強と合わせて100時間を超えるくらいの勉強時間」です。
一方、長いものでは「4カ月間の期間で、1日2~3時間」なので、122日間とすれば、244~366時間となります。
また、「1カ月間で平日4時間、休日10時間」というものもあったので、休日8日と平日22日ならば168時間となります。
その他、全体2位で合格した体験記では「覚える遺産の量が4倍になったので,これらの作業にかかる時間も単純に4倍になりました」とのことですので、勉強時間が「2級をゼロから受験する場合の4倍」とするなら、80~120時間(苦手なら240時間)ということになります。
総合的に見ると最低でも100時間以上、できれば200時間以上の勉強時間を確保した方が良いかなと思います。
私が2級合格直後で、1級の問題を解いた結果
ちなみに、世界遺産検定2級を72点で合格した私が、2級合格直後に1級の問題を解いてみたところ、2015年7月の過去問では116点でした(合格点140点、平均点127.5点)。
流石に、運が良かっただけという気もしますが、仮に厳しめに見積もっても「2級を少し余裕をもって合格できる時点で、1級の正解率は50%程度」であり2級の知識が全く1級で歯が立たないわけではありません。
難しいのは残り20%の正解率を上げること。2級でも感じましたが「定番の簡単な問題」については直ぐに正解率が上がりますが、覚えるべき知識が膨大なため、残りの「ぼちぼち~マイナーな出題率の問題」の正解率は、なかなか上がってきません。
ですので、残り20%の正解率の上昇には、100時間以上の勉強が必要なのかなあと思います。このあたりについては、できれば1年以内に確認したいところです(確認したら追記します)。
そもそも「世界遺産検定」とは
世界遺産検定の概要を公式から引用すると、以下のようになります。
世界遺産検定は、人類共通の財産・宝物である世界遺産を通して、国際的な教養を身に付け、持続可能な社会の発展に寄与する人材の育成を目指した検定です。
引用:世界遺産検定とは
主催は「NPO法人 世界遺産アカデミー」。後援は文部科学省の他、旅行や観光の協会・学会が多数あります。
ちなみに、公式で紹介動画もあります。
世界遺産検定の試験日・受験費用・合格率
詳細は変更の可能性がありますので、受験の際は公式サイトの確認をお願いします。
試験日は年に3回、2021年度については8月末から2週間、11月末から2週間、2月末から3週間です(1級・マイスターは11月末から2週のみ)。
受験料は以下の通りです(1級リスタは、1級以上の合格者の再受験のこと)。
実施級 | 受検料(公開会場試験) | 受検料(CBT試験) |
---|---|---|
マイスター | 19,400円 | CBTでは実施なし |
1級 | 9,900円 | 10,900円 |
1級リスタ | 4,100円 | 5,100円 |
2級 | 5,900円 | 6,900円 |
3級 | 4,900円 | 5,900円 |
4級 | 3,500円 | 4,500円 |
2級・3級併願 | 10,300円 | CBTでは実施なし |
3級・4級併願 | 8,200円 | CBTでは実施なし |
合格率は以下の通りです(第38回)。マイスターは1級認定者のみが受験でき、毎年受験者はかなり少なめです。
受験級 | 合格率 |
マイスター | 44.8% |
1級 | 20.1% |
2級 | 41.1% |
3級 | 76.5% |
4級 | 78.4% |
世界遺産検定の受験資格と試験の方式
1級は2級の認定、マイスターは1級の認定が必要です。2級以下については、受験資格なしです。
1級までは選択式ですが、マイスターは論述形式です。
また、1~4級の出題範囲は「基礎知識」「日本の遺産」「世界の自然遺産」「世界の文化遺産」「その他」の5分野からの出題となりますが、マイスターについてはこれらの横断した総合的な出題に対して論述する形式になります。
1級リスタ(Re-study)受検制度
1級以上の認定者については、知識のブラッシュアップを目的とした再受験の割引制度があります。
合格すると、新しい日付の認定証が交付され、不合格でも合格が取り消されることはありません。
CBTと会場受験
1~4級についてはCBT方式での受験が可能です。
ただし、CBT方式の方が値段が1,000円高くなります。また併願での受験は会場受験でしかできません。これらの条件を総合して、CBT方式と会場受験を使い分けるといいでしょう。
世界遺産検定の問題数・試験時間・合格基準
問題数、試験時間、合格基準は以下の通りです(合格基準は調整されることがあります)。
受験級 | 問題数 | 試験時間 | 合格基準 |
4級 | 50問 | 50分 | 100点満点中60点以上 |
3級 | 60問 | 50分 | 100点満点中60点以上 |
2級 | 60問 | 60分 | 100点満点中60点以上 |
1級 | 90問 | 90分 | 200点満点中140点以上 |
マイスター | 3問(論述) | 120分 | 20点満点中12点以上 (問1,2で6点、問3で3点に達しないと、合計12点でも不合格) |
世界遺産検定の出題範囲と比率
世界遺産検定の出題範囲と比率は以下の通りです。
受験級 | 基礎知識 | 日本の遺産 | 世界の自然遺産 | 世界の文化遺産 | その他 |
4級 | 13問 | 23問 | (文化遺産と合わせて)13問 | (自然遺産と合わせて)13問 | 1問 |
3級 | 25% | 30% | 10% | 30% | 5% |
2級 | 20% | 25% | 10% | 35% | 10% |
1級 | 25% | 20% | (文化遺産と合わせて)45% | (自然遺産と合わせて)45% | 10% |
出題比率だけでいえば4級以外「世界の遺産」の方が重要な感じに見えますが、日本の遺産の方が圧倒的に数が少ない為、1級まで含めて「より確実に暗記すべきは日本の遺産。ただし、世界の遺産も覚えないと合格はできない」といった感じです。
ちなみに、マイスターは「分野を横断した総合的な出題」で論述式となります。
世界遺産検定のメリット
教養や歴史の知識、旅行や国際的な相互理解、観光業を中心とした就職活動……など、一般的に考えられる大雑把なメリット以外に以下の制度で活用できます。
入試優遇措置のある大学・短期大学がある
世界遺産検定では、入試で優遇措置がある大学・短期大学があります。しかも、その数243校(2021年9月時点)。
対象の級を明示している学校と、そうでない学校がありますが、多くは4級以上、一部2級以上で評価対象となるようです。
詳細な一覧は、公式HPにPDFでまとまっていますので、そちらをご確認ください。
社内推奨資格として採用している企業がある
ごく一部ではありますが、世界遺産検定を社内推奨資格として採用している企業があります。
- JTBグループ
- KNT-CTホールディングスグループ
- 阪急交通社
- 日本旅行
就職活動だけでなく、就職後の自己研鑽としても、観光関係では価値があるかなと思います。
より具体的な世界遺産検定の勉強方法は?
ここまで、世界遺産検定の難易度、勉強時間、制度についてまとめてきました。
より具体的な勉強方法については、実際に私が受験した際の合格体験記にまとめてあります。興味がある方の参考にしていただければ幸いです。