【世界遺産】富岡製糸場と絹産業遺産群の「荒船風穴」に行ってみた
この記事では、世界遺産である「富岡製糸場と絹産業遺産群」の構成資産「荒船風穴」に行ってみた際の内容をまとめます。
荒船風穴の観光情報(2022年11月12日時点)
- 営業時間:9:00~16:00(最終入場は15時30分まで)
- 休場日:12月1日~3月31日は冬期閉鎖
- 見学料金:大人500円(高校生以下・下仁田町在住者・障害者(付添1名)は無料)
- ガイド:無料
- 注意事項:山間部の傾斜地であるため、運動靴や動きやすい服装が推奨。また交通規制あり
- 所要時間:30~50分(観光タクシーの滞在時間は30分。シャトルバスの間隔も30分)
- 駐車場:東側の駐車場P2は平日のみ利用可。西側の駐車場P1はいつでも利用可。ただし、駐車場P1から風穴まで徒歩で20~30分かかります(早歩きでも10分前後)
荒船風穴とは?
簡単に言ってしまえば「風穴から吹き出す冷たい風を利用し、年に複数回の養蚕を可能にした、蚕の卵の貯蔵施設」です。
日本の伝統的な養蚕の手法では、年に1度しか養蚕ができませんでしたが、それを複数回にすることで、日本の生糸の生産と輸出量を大きく向上させました。
ちなみに「なんで冷たい風が噴き出るのか?」の仕組みは、こちらでわかりやすく解説されています。
貯蔵所については現存していませんが、その基礎となる石積みは現存しており、夏頃には今でも冷たい風が吹き出します。
風穴は3基あり、貯蔵能力は国内最大規模。全国から蚕の卵が集められ、朝鮮半島からも卵が届けられました。
ちなみに、輸送には開通したばかりの上野(こうずけ)鉄道の下仁田駅が利用されており、「旧上野鉄道関連施設」も当初は構成遺産の1つとして提案されていました。
実際に荒船風穴を観光してみた
私の場合、長野県側から向かったこともあり、西側から荒船風穴を目指しました(後述しますが、交通規制の関係で非効率な移動でした)。
Googleマップの案内では風穴の東にある駐車場P2まで行ける予定だったのですが、案内通りに向かってみると……
通り抜け不可でした(これだからGoogleマップは……)。
後述しますが、交通規制があるため、9:00~16:00は西側の駐車場P1から東側の駐車場P2へは辿り着けなかったです(山間部なので、ここが抜けられないと結構な距離の迂回が必要)。
そんなわけで、駐車場P1側から、急な坂を800メートルほどかけて荒船風穴に向かいました。
途中、熊注意の看板に驚いたり、動物の糞らしきものを見つけたりしながら、早歩きで8分ほどかかり風穴前の休憩広場に到着。観光案内的には20分かかる道のりだそうです。
入場料は500円。私が見学した際は、特典で御朱印をもらえました。
荒船風穴は、それほど大きな施設ではなく、比較的短い時間で見学することができます。観光タクシーで設定されている所要時間は30分。実際、私が見学した際も到着から出発まで30分弱となりました。
ガイドは無料です。荒船風穴や、近代以降の絹の歴史についても分かりやすく解説してもらえました。地震で石積みが崩れたこともあるらしく、世界遺産ということもあり、保存にはけっこう注意が必要らしいです。
風穴は全部で3基。貯蔵庫は既にありませんが、現地の風景と重ねて見られる半透明の写真(バーチャルシート)があるため、それを使って当時の情景を楽しむことができます。
私が訪れたのは11月だったため、既に風穴から吹き出す冷たい風は出ていませんでしたが、夏のシーズンであれば、今でも冷たい風を直接浴びる事ができたそうです。とはいえ、風穴の周りはかなり涼しく、外気温10.6度に対し、風穴内は3.4度という状態でした。
見学後、風穴前の休憩広場に再び寄ったところお土産(?)の詰まった自動販売機があったので、「荒船冷風あめ」をお土産に購入。
ちなみに、駐車場P1までの帰りは、観光案内の想定では徒歩30分。根性で早歩きして帰ったので、10分強で戻れましたが、11月でも汗が止まらなくなったので、おすすめはしません。
荒船風穴を訪れる際の注意点
最終入場は15:30。12月~3月は閉鎖。
荒船風穴の最終入場は15:30。16:00には営業時間が終わりで、早めに終了します。
また、冬季は閉鎖期間となっており、12月1日~3月31日は見学できません。
山間部で、移動にも時間がかかる場所ですので、確実に見学できるタイミングを狙いましょう。
見ごろは6〜9月!
ちなみに、見ごろは6~9月頃。この時期であれば、風穴から吹き出す冷たい風を体感できるそうです。
私が訪れたのは11月上旬であったため、残念ながら風穴から吹き出す風を直接体感することはできませんでしたが、11月でも風穴付近はヒヤリとする状態で、1号風穴の内部温度は3.4度でした(外気は10.6度)。
自動車以外では行きにくい。自動車で行っても通行規制がある
下仁田町の「荒船風穴への行き方」にも記載がありますが、最寄り駅が下仁田駅であり、そこから車で30分はかかります(20kmはあります)。
また、最寄りは荒船風穴の東側にある「荒船風穴 駐車場P2」なのですが、こちらは休日は利用できません。休日は西側にある「荒船風穴 駐車場P1」から、徒歩20分は歩くか、シャトルバスでの移動が必要です。
更に、交通規制があるため、平日であっても9:00~16:00は「駐車場P2」から「駐車場P1」への一方通行であり、長野県側から旅行する場合は、迂回ルートで駐車場P1側へ向かう必要があります(あるいは駐車場P2を利用して、長時間歩く)。
ですので、この交通規制を考えると、以下の移動ルートでの行動がおすすめです。
- 平日:駐車場P2へ行く(一方通行のため、長野県側からの見学は駐車場P1へ東側から回り込む。ただし、神津牧場に行きたい場合は駐車場P2へ)
- 休日:駐車場P1に行くしかない(車両通行止めのため、駐車場P1にはそもそも近づけない)
車が運転できない場合
これも「荒船風穴への行き方」に記載がありますが、車が無い場合は「観光タクシー」で向かうこと方法が主流だと思います(山道を20km歩く必要があるため)。
ちなみに、2022年11月12日時点では、割引キャンペーンがあり「荒船風穴」と近隣にある「神津牧場」を巡るツアーが4000円の割引価格になっていました(タクシー1台で4名まで。期限は不明です)。
駐車場P1までの帰りは徒歩で片道30分。しかも急な坂道(頑張れば10分強)
駐車場P1から荒船風穴は、舗装されているもののやや急な坂道を歩く必要があります。ですので、足腰に自信が無い場合は、けっこう移動がしんどいです。
富岡製糸場に置かれていた案内では、急な坂道であるため、帰りは片道で30分となっていました。平日は駐車場P2を利用できるので、そちらを使った方が徒歩の移動は楽です。
ちなみに、私はかなり速足で坂道を登って行ったので、10分少々で戻る事ができましたが、汗が止まらなくなりました(気温は10度ほどでした)。
休日はシャトルバスあり
休日限定ですが、見学者広場から駐車場P1までのシャトルバスがあります。
片道800メートルではありますが、帰りは急な坂道を歩き続ける必要があるため、足腰に自信がない方にはありがたいサービスです。
逆に、足腰に自信がない場合、平日の駐車場P1は使用しない方がいいでしょう。
荒船風穴の周辺を観光するなら
最寄りの観光地は「神津牧場」
山間地で、交通にも不便な荒船風穴でありますが、駐車場P1側に向かう途中に「神津牧場」があります。
この神津牧場は、日本最古の洋式牧場であり、バーベキューや乳製品・肉製品、ハイキング、ナイトツアーなども楽しめます。
「富岡製糸場と絹産業遺産群」の構成資産を1日で巡るなら
「富岡製糸場と絹産業遺産群」の残りの構成資産である「富岡製糸場」「高山社跡」「田島弥平旧宅」も1日で巡るのであれば、自動車必須です。
また、1日で全て巡る場合、営業開始直後に向かいましょう。位置の関係で「荒船風穴」→「富岡製糸場」→「高山社跡」→「田島弥平旧宅」か、その逆のルートで巡ることになるかと思いますが、所要時間と移動時間を考えると、けっこうギリギリになります。
世界遺産以外の絹遺産
構成資産4件の「富岡製糸場と絹産業遺産群」ですが、2006年時点では養蚕に関わる6件、製糸業に関わる2件、流通に関わる2件の推薦が提案されていました。そして、これらの遺産の多くが「ぐんま絹遺産」というものに含まれています。
遺産の場所は群馬県内各地のかなり広い範囲になりますが、関連遺産として巡ってみると、より知識を深める事ができると思います。
また、富岡製糸場の付近になりますが。「富岡製糸場と絹産業遺産群」や絹遺産を学べる「群馬県立世界遺産センター」があります。絹遺産に関する知識を深めたい方であれば、見学してみるといいでしょう。
「富岡製糸場と絹産業遺産群」の残りは?
「富岡製糸場と絹産業遺産群」の構成資産である「高山社跡」と「富岡製糸場」については、以下の記事にまとめました。興味がある方はご参照ください。