シナリオ・センターのゼミナール(上級)、本科にド素人が通ってみた感想と結果
この記事では、脚本の学習ができる「シナリオ・センター」の本科に、ド素人の私が実際に通ってみた感想と結果をまとめました。
「脚本の勉強をしようと考えている」「シナリオ・センターに興味がある」「シナリオ・センターの本科がどんなものか知りたい」といった方の参考になれば幸いです。
【まとめ】ド素人がシナリオ・センターの本科に通った感想と結果
- 本科卒業でド素人レベルからは明らかにレベルが上がったが、本科以前(8週間講座)の頃の自分を確実に上回るとまでは言えない
- 本科卒業まで、7カ月かかった(これでも早目の方)
- シナリオを20枚書くのは、案外簡単だった(というか、オーバーして縮めるのが大変だった)
- 与えられた課題は、まずはストレートに表現した方が勉強になると思う
- 上級の「研修科」に上がるなら、「本科」と「シナリオ作家養成講座」のルートがあるが、私は基本的に「本科」から上がるルートがオススメ
- 一番精神的に困難だった事は、初めて人前で自分の脚本を読み上げた事
- 課題の発表は、セットで質問も想定しておくと成長につながる
- どのクラスもカリキュラムは同じだが、先生によってタイプの違いはある
シナリオ・センターに通う前のスペック
最初に、シナリオ・センターに通う前のスペックは、こんな感じでした。
- シナリオについては、大学時代に小説をよく読んで「自分でも書けたらなあ」と思った程度(高校まで小説をろくに読まず、ドラマ・映画などはほぼ観ない生活)
- ドラマについては子供の頃からほぼ見てない(3~9年前頃、大河ドラマを観ていたくらい)
- 「脚本の書き方? 何それ小説と違うの?」程度の知識水準
- 直前3年間は勉強と仕事に集中し「映画・ドラマ・アニメ・漫画・ゲーム・小説・舞台」などを封印してた(『巨人の星』と『あしたのジョー』は別)
要するに「ド素人の中でも、極端に知識水準が低いレベル」でした。もちろん、学校の部活・サークル・授業などで学習した経験もありません。
シナリオ・センターの本科に通う条件と、本科直前のスペック
シナリオ・センターの本科は、「上級」に区分されるクラスです。
上級は「本科」「研修科」「作家集団」の3段階に分かれるのですが、それぞれ上位クラスに入るための条件があります。
- 本科:「シナリオ8週間講座」を修了
- 研修科:「シナリオ作家養成講座」か「本科」を修了
- 作家集団:「研修科」を修了
私の場合、本科に通う前に、シナリオ・センターの8週間講座を受講しました(詳細は下の記事)。
その為、本科に通う前の段階で、以下の様な事ができるレベルにまで成長していました。
- 脚本形式のシナリオの書き方について、基礎は学習できた
- 物語の組み立て方の基礎は学習できた(技術として身に付いたわけではないです…)
- 10枚(10行×20文字)の脚本までなら書けた
【余談】研修科に入るルートとおすすめについて
先述した通り、研修科に入学するには「シナリオ作家養成講座」か「本科」を修了する必要があります。
公式でどちらがおすすめという意見はありませんが、私の経験と周囲から聞いた話から判断すると、オススメの人物像は以下の様になります(受講できる日程を考えない場合)。
- 既に実力があり、短期間で「研修科」「作家集団」に入りたい人:「シナリオ作家養成講座」ルートがオススメ。理由は、研修科進級までの期間が短いから。「シナリオ作家養成講座」は課題の提出にかかわらず約半年で進級できる。一方「8週間講座」→「本科」→「研修科」のルートは最短7か月。更に「本科」は課題の提出が遅れるほどに進級も遅れる(私は合計9か月程かかりましたが、早い方です)。
- 早く「ライタイーズバンク(コンペに応募できる)」に登録するのが目的の人:「シナリオ作家養成講座」ルートがオススメ。理由は上記の通り、作家集団までの進級が早くできるから。ただし、費用は若干高くなるかもしれない。
- とにかく安くすませたい人:「本科」ルートがオススメ。ただし、本科の課題を毎月4本(上限)提出しないと、どんどん費用が上がり、逆転する。
- 上記以外のほとんどの人:「本科」ルートがオススメ。理由は、人前で課題を発表する経験が早くから積めるので、勉強としての効果が高いから(客観的な評価が多く得られるし、少しなら書いた作品について先生に直接質問ができる)。
正直言って、どちらのルートでも、実力が大きく変わる事はありません。
現在私は研修科にいて、両方のルートから入った人と一緒にシナリオを書いていますが、ルートによって実力差が大幅に開いているとは感じられません(むしろ入学前の実力差が大きい気がする)。
ただ、「本科」から上がっていくルートは人前で課題を発表する機会が研修科よりも前から体験できるため、多くの人から客観的な評価を貰うことができ、先生とのやり取りからも学べることは多いと思います。また、多くの人に聞いてもらう前提でシナリオを書くことで真剣さにも影響が出るかと思いますので、私個人としては「8週間講座」→「本科」→「研修科」の順で進級する方が良いかなと思います。
また、私の場合ですが、「本科」の発表では受講生も先生もけっこう優しい(悪く言えば少し甘い)評価をくれるので、メンタル的に楽でした。一方、研修科に上がると「褒められる」というより「批評される」といった雰囲気で、明らかな隙を見せればほぼ参加者全員に連続で酷評される事もあります。正確な事情はわかりませんが、初回でボロボロに言われ、それっきり見なかった受講生も見ました。そういった意味でも、一度は「本科」で発表に慣れておいた方が、メンタルが弱い人には安心です。
更に「研修科」は、書き上げた課題について「添削を受ける」か「発表してコメントを貰う」の二択なのですが、「本科」は添削と発表の両方を全ての課題に行う為、その点でもかなり手厚く勉強をさせてもらえます。正直、課題に対する指摘の細かさについては、研修科よりも勉強になるんじゃないかと思う程です。
ちなみに、「シナリオ作家養成講座」は私は未経験なのですが、脚本の直し作業などが学習できるらしく、カリキュラムの幅広さでは「シナリオ作家養成講座」に軍配が上がります。
シナリオ・センターの本科の概要
そもそも「本科」とは?
公式の「本科」の解説は、以下の記事にまとまっています。
シナリオ・センターの本科は、脚本を書く技術や、アイデアを思いつく方法を講義するような内容ではありません。
本科は、基本的に「脚本形式(映像作品用)で課題に沿った20枚(20文字×10行)のシナリオを書き、添削してもらい、添削してもらったものを発表して講評を受ける」という内容です。
基本的には、以下の流れで本科の授業は進みます。
- 授業前:課題に沿った内容で、20枚(10行×20文字)の脚本を書き上げ、提出する
- 授業前:課題の返却を受ける(書き方の添削や、講評を貰える)
- 授業中:返却された課題を、口頭で読み上げて発表する
- 授業中:受講生から、感想を貰う
- 授業中:作者本人の作品に対するコメントを言う
- 授業中:先生から作品に対する感想・課題点・改善点などを貰う
受講生の参加人数にもよりますが、約20~30分で一人の「発表~先生からの講評」が終わり、他の課題を持ってきた人の発表に移っていきます。
授業時間は2時間なので(基本的に遅刻・途中退出OK)、私が本科に通っていたころは、1回の授業で約4人度が発表する感じでした。人数が足りない場合はシナリオに関する質疑応答などの時間になります(研修科含む1年2か月の経験で、1人だけ発表が1回、発表0人が1回ありました)。
1クラスの受講生は時期によって変動しますが、私のクラスは毎回十数人程度が参加していました(比較的活発なクラスだったそうです)。
発表する課題は、基本的には事前に一度先生に提出した物(できれば、添削が返ってきたもの)に限定されますが、私のクラスでは書きあがったばかりのものでも、発表が認められていました(ちなみに、研修科は「発表」か「先生に提出して添削してもらう」の2択。通信制はまた別ルール)。
ただし、私の通っていたクラスは受講生の提出速度が速く、結果的に「今日発表できる課題を持っているのは4人以上なので、ジャンケンで発表者を決める」ということが多かったです。
課題は全部で20本。ジャンケンでの発表の取り合いもあったため、私が人前で発表したのは、20本中14本でした。
ちなみに、講義はオンラインでも現地でも参加可能です。私は、できれば先生と直接話したいので(授業前後で相談に乗ってくれる事もある)、現地での参加が多かったですが、交通費や時間の関係で自宅から参加することもありました。
課題のルール
提出する課題にはルールがあります(厳密には、よほどの酷い内容でない限り、ルール違反でも提出は認められます)。
例えば、提出する課題は20枚で書き上げる必要があります。私の場合、キッチリ20枚の最後の1行で終わるように調整し、全て提出しました。
厄介なのが「課題をどう解釈するか?」という問題。本科進級時に課題が書かれたノートを貰えるのですが、そこには大雑把な意味合いでの課題が書かれているだけで、「どうやったら、課題に沿った脚本になるか?」を考えていくのは、受講生側のトレーニングの一環になります。
その他、課題を書く上で「やらない方がいい事」も決まっています。例えば、本科では「回想シーンは禁止」「ナレーション、心の声は極力避ける」「1つのセリフは3行まで」などです。これらを破ったからと言って、課題の提出が認められないわけではありませんが「初心者が安易にやってしまう失敗」を避け、「禁止事項の中でどう描くか?」といったトレーニングになるため、遵守するようにしました。
更に、後述しますが先生によって講評でよく指摘するポイントが異なります。そのため、より課題を的確にこなすなら、クラスルールのようなものを把握し、そこも考慮した作品を書いた方が良いでしょう。
与えられた課題の表現は、ゴテゴテくらいの方が良い?
提出するシナリオには、毎回1つの課題が与えられます。例えば小道具、場所、感情などの指定です。
で、この与えられた課題、初めて講座に通う多くの人は「さりげなく、それでいて効果的な表現方法がないだろうか……」などと、凝った表現に走ろうとする人が多かった印象です(私も)。
例えば「恐怖」と指定され、明らかなホラー作品で、主人公が終止パニックしているような作品は誰にでも思いつきそうです。なので、もっとさりげなく明るい雰囲気の中で恐怖を……と考えてしまいがちです。
ですが、そういった「簡単には思いつかない、さりげない表現」などを描くと「恐怖があまり伝わらなかった」という評価ばかりになる可能性が高いです。もちろん、そういった名作もありますが、そういった作品は「名作」と言えるほどのクオリティだからこそ恐怖が伝わるのであって(ついでに、実際に映像がつくからわかりやすい)、普通のレベルでは簡単に伝わるものではありません。
与えられた課題は、何も評論家に称えられるような表現を狙う必要はありません。むしろ「誰にでもわかりやすく、依頼をこなす」ということが、課題を通した学習になると感じました。
発表のルール
発表にも一応ルールがあります。
細かなルールは省きますが、読み上げる際の演技は基本禁止です(演技力に関係なく伝わる脚本であるため)。
また、シナリオを聴いていた受講生は、あくまでも感想を言うことに集中し、批評寄りにならないよう注意します(アドバイスは先生が行うため)。とはいえ、感想については基準が曖昧で、正直受講生から連続で酷評が出てくるようなこともあります。
シナリオ・センターの本科の感想
実際に脚本を書くことについて
20枚書くのは大変か?
あくまで私の場合ですが、早くて20時間、調査や世界観の作り込みに時間がかかるもので40時間以上。たまに没もあるため、実際にかける時間はそれ以上でした。
ですので、仕事や学校の傍らで勉強する場合、初心者は提出上限である月4本ペースは厳しいです(でも、何人かこのペースの人もいました)。
また、実際に書いていると、20枚でおさまらないということがかなり頻発しました。
酷いときは40枚くらいのシナリオになっていることもあり、私以外にもこのような人が多いそうです(稀に、毎回初稿では足りずに、修正しながら増やす人もいる)。
一方、少数派ではありますが20枚に達しないシナリオで書きあがる事が多く、初稿を書き上げてから、ページ数を増やしていくタイプの人もいるそうです。
結局、タイプによりますが、今の私は「15枚強のつもりでプロットを書く。そうしないとページ数を減らすために、ト書きやセリフを泣く泣く削る事になるから。ページ数が足りなくても、後で増やすのは楽だし」という考えでプロットを作ってます。
課題の扱いについては、奇をてらったものは避けた方がいい
先にも述べましたが、「課題」を通してシナリオ・センター側の意図の通りに学習するなら、課題の扱い方はストレートな方が効果的だったかと思います。
例えば、「姑と嫁」という課題について「本音と建前」を描くとなっていたので、「建前は仲良しだが、本音は仲が悪い姑と嫁」といったよくあるパターンの逆で「滅茶苦茶仲が良いのに、建前で喧嘩ばかりしている」というシナリオを描いたら、やはり意図から外れているという評価となりました。
ただ、単純に物語として奇をてらった作品はOKです。「ハンカチ」からは想定外の方法で「ハンカチ」を使っても、そこに合理性があり「ハンカチ」が小道具として物語全体で登場し、しかも重要な要素になっていれば「ハンカチの課題」としては好評を得られる可能性は高いです。
シナリオを書いていて楽しいか?
実は、あまり楽しくないのに、書き続けているという謎の状態でした。周囲の生徒は「楽しい」という話だったので、これはやはり自分が少し異常なのかもしれません。
ただ、全く楽しくないわけでもなく、たまに良いアイデアを思い付いた瞬間は、普段の苦労が吹っ飛ぶような興奮状態に入り「もしかして、この瞬間の為に書いているのでは?」と思うくらいです。
が、そのアイデアも数日~1週間もすると、物凄く陳腐なものに感じられて、発表する頃には自分で酷評している始末だったりします。
ちなみに、ネタ・構成・プロット・修整あたりの作業は「並〜楽しい」が多いですが、初稿を書き上げるのはだいたい苦行です。
実際の発表について
やはり、人前での発表は滅茶苦茶緊張する
本科で一番大変だったのが、間違いなく初回の発表です。これに比べれば、何本も課題を書く事なんて、精神的には楽な方です(時間的には大変ですが)。
今はオンラインの参加者が多いので、大勢に囲まれながら発表することはありませんが、それでもかなりプレッシャーが高いのは確かです。
言葉の通り「つい最近書いた黒歴史ノートを、もういい年のおっさんが発表する」といった状況でした。
しかも、周囲は老若男女、プロの脚本家もいます(受講生にもプロがいた)。ほとんど背景事情を知らない人ばかりなので「この人ならきっとこの作品をわかってくれる……」といった期待などはできず、ただただ人前で「自分だけ良いと思ってるんじゃないか(というか、実は自分でも酷い作品だと思ってるのだが……)」という作品を発表するのです。
そんなわけで、私にとっては一番の壁がこの「人前で発表する」という事でした。
ちなみに、攻略方法はとくになく、ただただ完成した課題を発表するというそれだけです。
後は、読み上げるということ以外に何も考えない事かなと思います。下手に周囲の様子を見たりして、目が合ったりしたら緊張しますので……。
受講生の意見はけっこう優しい(本科は)
受講方法に「受講生は感想を述べるのであって、批評家にならない事」といった趣旨の記載がある影響なのかもしれませんが、予想以上に受講生の感想は優しい意見が多く、とくに初回についてはそのあたりを考慮したレベルで意見を貰えるので、私でもメンタルをやられる事はありませんでした。
正直、これは受講生や先生次第なところもあるのかもしれませんが、本科で貰う意見は、最後の課題に至るまでけっこう優しい(悪く言えば甘い)ものが多かったです。もちろん、あからさまなミスがあればツッコミが入る事もありますが、それもかなり柔らかい感じです。
ですが、研修科に進級すると、この受講生の意見がかなり「酷評」寄りになっていきます。一応、研修科でも「批評家にならないように……」というルールは同じなのですが、ちょっとすきを見せた作品を書くと、「褒める:酷評」が「1:9」くらいの意見に晒される事もあります。そういった意味でも、「本科」で何度も発表の練習をしておいた方が、「研修科」でメンタルをやられないことにつながるかなと思います(私はどっちみち一時メンタルをやられましたが……)。
ちなみに、「作家集団」まで進級した受講生からうかがった話ですが、ずっと「作家集団」に居続ける重鎮のような受講生がいて(それって、逆に下手なん…)、重箱の隅をつつくように酷評されることがあるそうです……。
発表前に、質問を考えておいた方がいい
課題の発表後、作者コメントを言う時間が若干ですが設けられます。
で、ここで作品を作った背景や、受講生からの指摘に対する回答などをコメントするのですが、この時間で一番オススメなのは「課題を書いている間に思いついた質問してみること」です。
何故かというと「作者コメント」の直後に「先生からのコメント」の時間が入ります。このタイミングを利用すれば、自分の疑問を素早く消化できるだけでなく、「先生からのコメント」で疑問に回答してもらいつつ、更に先生の回答に対する疑問も多少ねじ込むことができます。
もちろん、質疑応答の時間ではないため、あまり長時間考えながらやりとりすることはできません。だからこそ、質問は事前に考えておきましょう。
余計な事は言わず、言うべきことは時間を考えず言う
先述した先生とのやりとりとも被るところですが、「作者コメント」では余計な事は言わない方が無難です。
例えば、「元は○○な作品を書こうとしていましたが……」などといった背景事情をコメントに入れると、最悪の場合「今回発表したのは○○な作品」とコメントしたと勘違いされ、それに応じた先生のコメントになってしまう可能性もあります。
もちろん「○○な作品を書こうとしたけど××が理由で失敗した。仮に、○○な作品を書くのであれば、どうすればいいか?」と質問するのであれば、そういった背景事情をコメントに入れるのもOKです。
また、先生と話が噛み合っていないと感じた場合は、時間が伸びてしまいますが積極的に認識あわせして、回答を貰いましょう。発表する人がたくさんいる場合、時間が気になってしまう所ですが、「勘違いのコメント」や「勘違いかもしれないコメント」を貰っても、自分の成長につながりません。
評価については、考え込みすぎない方が良い(ただし、たぶん人による)
これは人によるかと思いますが、「周囲からの酷評」はあまり意識しない方が無難です。
というのも、大体作品の欠点を指摘するコメントについては、自分でも認識している事も多く、意識しすぎてもモチベーションを下げるだけだったからです(しかも改善策は提示されない事も多いので、あまり勉強にならない)。
もちろん「毎回同じ様なコメントを貰っているけど、なかなか改善できない」という場合もあります。しかし、だからといって即「自分の反省が足りない」と結論付ける必要もありません。1回反省しただけで、自分の欠点を改善できる程に技術の習得ができるなら、脚本家になるのに1年もかかりません。
ただし、もしも「以前と似たコメントをもらったけど、すっかり忘れてた」というのであれば、意識が足りないと思います。そういったものについてはメモした上で、毎回課題に反映できるよう、仕組化することをおすすめします。
先生による違いはあったか?
公式では、同じカリキュラムなので先生によるおすすめは存在しない事になっています。
ですが、現実には先生による違いは確実にあります。
当たり前ですが、先生によって経験が違います。同じシナリオ・ライターでも、ラジオドラマが中心の人、舞台が中心の人、テレビドラマが中心の人、小説家として有名な人、マネージャーなどの経験がある人など、多岐にわたります。
実際、私は3人の先生に教えてもらいましたが「ト書きや柱などの書き方の指摘が厳しい先生」もいれば、「主人公と周囲の人間関係を特に重視して指摘する先生」もいました。そういった先生ごとの特徴がある事は確かでした。
そういった意味では、クラスが変わるごとに「そんな事は前の先生から聞いてない!」という理不尽さを若干感じる事もあるかと思いますが、「自分の成長」という点で考えれば、多くの先生に課題を見てもらった方が、多角的に技術を向上させることができると思います。
シナリオ・センターの本科に通った結果
本科卒業までにかかった期間
ズバリ、7カ月かかりました。
当初は最短の5カ月を目指したのですが、できるだけ「前回の添削結果を、次回の作品に活かす」という事を意識した為、どうしても「提出→先生の添削→返却」を次の作品の完成までに挟まなくてはならなかったので、7カ月となりました。
とくに、私が通学していた時期はコロナ影響で、先生とのやり取がスムーズにできず、それが余計な遅延を生みました。現状であれば、「提出→先生の添削→返却」を挟んだとしても、6か月での卒業なら目指せるかなと思います。
どのくらいシナリオを書く技術が上達したか?
正直言うと「レベルは上がったけど、本科受講前に負ける事もある程度の成長」といった結果です。
一応、自分もたまに「あ、レベル上がった」と手ごたえを感じる事はありました。例えば、
- 脚本を創る流れが身に付いた(自分の中で手順が確立された)
- ネタを考え始めてから提出までの時間が安定してきた
- アイデアが「映像作品として表現できるか?」が感覚でわかるようになってきた(前は執筆段階で、映像化困難であることに気づくことがありました)
- 周囲からの反応も良くなった
- アニメやドラマを見ていても、セリフや物語の構造について自然と分析するようになった(以前より明らかにそのレベルが深い)
- 読みやすい脚本が書けるようになった(これはフォーマットの知識の有無で決まる話。改行タイミング、最低限書くべきト書き、書いてはいけないト書きなど)
- 作品制作の速度が安定してきた(ただし、調査の必要性や世界観の複雑さには影響される)
- 脚本を描く事に一喜一憂しなくなった
といった感じで、成長したところを上げる事はできます。
しかし、本科に通う前(8週間講座)に書いた課題を読み返してみたら、案外今見ても面白いアイデアがあったりして、必ずしも昔を上回っているとまでは言えません。
実際、本科卒業までに書き上げた20作の内、4作くらいは「まあ、たぶん他人に聞かれることもないから、提出しちゃおう」くらいの自分でもつまらない脚本がありました。そういった意味では「レベルは上がったかもしれないけど、以前の自分でも勝てない事もない」程度かなという印象です。
本科を卒業した後について
「本科」を卒業した後は、希望すれば「研修科」に進むことができます。
基本的なルールは本科と一緒ですが(「添削→発表」ではなく、「発表」か「添削」の2択になる部分は違う)、新しく課題30本に挑むことになります。
また「研修科」を卒業すると、「作家集団」と「ライターズバンク」への登録が可能になり、「ライターズバンク」ではコンペ形式でプロになる道を得る事も出来ます(これが目的で入る人もいるらしい)。
私は現在まだ研修科ですが、2023年中には30本の課題を全て発表し、更に上位のクラスに入りたいと思います。