当ブログの記事には広告が含まれます

【世界遺産】「キュー王立植物園」の観光情報と、実際に観光した感想

8月 21, 2023海外旅行【海外】世界遺産,【海外】宮殿,【海外】植物園

この記事では、世界遺産である「キュー王立植物園」の観光情報と、中学生以下の英語力で観光した際の内容をまとめます。

「ロンドンを観光予定の方」「キュー王立植物園に興味がある方」などの参考になれば嬉しいです。

目次

スポンサーリンク

キュー王立植物園(キューガーデン)の基本情報

キュー王立植物園の観光情報

  • 費用:事前予約で大人17ポンド(11月~1月のオフピークは13.5ポンド。詳細はこちら
  • 営業時間:10:00開園。閉園は季節・曜日により15:00~20:00で変動し、最終入場も異なります(詳細はこちら)。また、建物に応じて、閉館時刻が変化します(こちらにも記載あり)。
  • 休業日:12月24~25日。細かな閉鎖情報はこちら
  • 所要時間:4時間以上1日潰せる規模です。園内を走る英語ガイド付き電車は、1周40分。私は「Main Attractions(主な観光名所)」を中心に鑑賞して6時間30分(すべての場所は訪れておらず、地図の「Main Attractions」以外で訪れた場所のほとんどは、歩きながら軽く見た程度です)。
  • 日本語対応:なし(「英国キュー王立植物園」というガイドブックがKindleにあったので買って観光しました)

※詳細は変更の可能性もあるため、訪問前には公式HPなどの情報をご確認ください

キュー王立植物園までのアクセス

住所は「Kew Gardens Rd, Richmond TW9 3AE」。

かなり広大な敷地面積の植物園が世界遺産登録されているため、いくつか入場口があり、最寄り駅は北が「キューブリッジ」、東が「キューガーデンズ」、南が「リッチモンド」になります(西側はテムズ川に阻まれており、自動車で来る人用の駐車場があります)。

電車と徒歩で移動する場合は、東の「キューガーデンズ」駅からなら徒歩5分ほど、北の「キューブリッジ」が徒歩10分ほど、南の「リッチモンド」は徒歩15分程で入場口の門まで到着します。

ちなみに、リッチモンドの駅前はこんな感じです。

リッチモンドとキューガーデンズは駅近くに小型のスーパーがありますので、ここで食べ物を調達しておくといいでしょう(園内の飲食はお高いです)。

場所は、ロンドンの中心からやや外れたリッチモンドという高級住宅街です。ロンドン中心付近に宿泊していれば、鉄道とバスで1時間ちょっとあれば到着できる場所が多いかと思います。

キュー王立植物園の見どころ

入場時に渡される地図に「Main Attractions(主な観光名所)」と書かれた案内がありますが、その中でも私がおすすめの見どころは以下の通りです。

キュー王立植物園の見どころ

  • テンパレート・ハウス(Temperate House):園内最大規模の温室。
  • デービーズ・エクスプラレーション・ハウス(Davies Exploration House):テンパレート・ハウスの隣なので、一緒に見学をおすすめします。
  • プリンセス・オブ・ウェールズ・コンサバトリー(Princess of Wales Conservatory):園内最大規模の温室。中の構造もちょっと複雑で、歩いていて楽しいです。
  • パーム・ハウス(Palm House):若干テンパレート・ハウスなどと比べると規模が小さい感じですが、大規模な温室です。
  • ウォーターリリー・ハウス(Waterlily House):パーム・ハウスの隣なので一緒に見学をおすすめします。オオオニバスが見どころ。
  • ローズ・ガーデン:パーム・ハウスの隣なので一緒に見学をおすすめします。薔薇の季節なら最高。
  • パーム・ハウス・パルテール(Palm House Parterre):パーム・ハウスの隣なので一緒に見学をおすすめします。
  • キュー宮殿(Kew Palace):植物よりも、博物館的な展示です。
  • シャーリー・シャーウッド・ギャラリー(Shirley Sherwood Gallery of Botanical Art):現代美術的な植物関連のアートが見られます。マリアンヌ・ノース・ギャラリーの隣。
  • マリアンヌ・ノース・ギャラリー(Marianne North Gallery):壁を埋め尽くす植物関連のイラストが圧巻。シャーリー・シャーウッド・ギャラリーの隣。夏は涼みながら足を休めるのにも向いてます。
  • グレート・パゴダ(Great Pagoda):建物としても圧倒的な存在感の塔です。内部見学もできます(ただし、別途追加の入場料が必要)。
  • クイーン・シャーロット・コテージ(Queen Charlotte’s Cottage):週末と祝日しか空いていないそうです。空いていたら、レアなので見学してもいいでしょう。

中でもおすすめは「テンパレート・ハウス」「プリンセス・オブ・ウェールズ・コンサバトリー」「パーム・ハウス」の三つの温室どうしても時間が無い場合は、この三か所とその周辺を中心に観光するといいでしょう。

ただし、当たり前ですが見頃の植物は季節によって変化するため、上記はあくまでも大雑把な見どころです。

季節による見どころについては、園内外に掲示板で「今月の見どころ」のようなものが記載されています。もしもその看板を見つけたら、その時点でもらった地図に見どころを書き込み、それらを中心に観光するといいでしょう。

また、主な見どころはほとんど東側に集中しています。「時間が無い」「足腰に自信が無い」という場合は、東側を南北に移動するのがおすすめです。

ちなみに「ミンカ・ハウス」や「勅使門と日本庭園」は、日本とイギリスの交流を示すものとして日本人としては興味深い場所ですが、「古民家」「日本庭園」とだけ考えると、日本の観光地を訪れた方がより良いものが見られます。時間に余裕がなければ無理して訪れる程ではないと感じました。

キュー王立植物園の注意点

夏場は水分補給に注意

主に夏場ですが、かなりの距離を長時間歩きまわることになるため、水分補給には注意が必要です。外の暑さだけでなく、温室内の暑さもあるため気を付けましょう。

日本の夏と違って、湿度はそれほどありませんが、乾燥している分ガンガン汗が乾いて、水分が抜けていくため、うっかりしていると脱水症状になりかねません

入場時にもらえるマップに水道のマークがありますので、いざとなったらそこで水を飲むといいでしょう。水筒などを持ってきている場合は、できれば水筒の補充もしておきたいところです。

また、「The Orangery」という飲食ができる建物のすぐ横にも給水ポイントがあるのですが、私が訪れた時点では、マップ上に水道マークがありませんでした。

ちなみに、私が訪問したのは6月中旬でしたが、暑い日が続いている日だったため、途中からかなり喉が渇きました。真夏でなくても、注意しておいた方が無難です。

かなり歩くことになるので、足には注意

水分補給につながる所ですが、キュー王立植物園は広大なため、かなりの距離を歩き回ることになります。私は6時間30分ほどかけて園内を楽しんでいたところ、25000歩くらいになりました。

ですので、「歩きにくい靴」や「歩くと足の負担になる靴」などは避けましょう

また、長時間連続で歩いていると、歩きやすい靴でも足の負担が大きくなります。あまり時間に余裕はないかと思いますが、できれば休憩を途中で挟むようにしましょう、

建物によって早く閉鎖するので、訪れる順番に注意

これは私も失敗したのですが、キュー王立植物園全体の閉鎖よりも、個別の建物は早く閉鎖します

例えば、私が訪れた際の閉園時刻は19時でしたが(季節によって大きく変化します)、グレート・パゴダについては16時に閉鎖、温室は17時閉鎖となっていました。

とくに、「Main Attractions」と地図に書かれている場所は、閉鎖が早い場所が多い為、訪問は優先順位に注意しましょう。

そういった意味では、建物の外にあるような庭園については、優先順位を下げて観光してもいいでしょう(ただし、無理に優先順位をつけると、歩く距離が余計に増えます)。

細かな見どころは、季節によって変化する

当たり前ですが、植物が相手ですので、見どころが季節によって変化します。

上の画像は、園内にあったポスター。ポスターに現在の見どころが書かれていますので、入口で手に入るマップに見どころを書き込んでおくと、見逃しが少なくなります

園内では「Kew highlight」と書かれた看板が置かれていることがあります。これが、見どころの目印になります(ただ、文字が手書きなので、たまに達筆過ぎて読めない……)。

移動はかなり疲れる(キュー・エクスプローラでの移動も検討)

園内の移動は、かなり疲れます

例えば、南の端にある「ライオン・ゲート」から、北の端にある「キュー宮殿」まで歩くだけで、20分以上かかります。実際には、温室の中を行ったり来たりするため、1日観光していたら2万歩は超えました。

一応、キュー・エクスプローラを使うことで、乗り物を使って園内を40分ほどでまわることができます。ガイド付きツアーなので、英語に自信がある方なら、キュー・エクスプローラを使って全体を回ったうえで、中を見学できない温室などを自分の足で見学するといった事も可能です。

停留所は私が確認した際は5か所。ただし、大人6.5ポンドと料金は発生します。

キュー王立植物園とは?

キュー王立植物園は「ロンドンのリッチモンドにある王宮の庭園」です。現役で世界最高クラスの権威ある植物研究機関で、シードバンクとしてのミレニアム・シード・バンク・プロジェクトを主導しています。

1759年に作られたこの植物園は、ケープル卿が熱帯植物の庭を作った事に始まりオーガスタ妃が拡張を命じて、ウィリアム・チェンバーズの設計による建築物が建てられていくことで発展しました。オーガスタ妃は「プリンセス・オブ・ウェールズ」と呼ばれ、彼女を記念した温室も園内にあります。その後、オーガスタ妃の息子であるジョージ3世も庭園を豊かに育て、隣接するダッチ・ハウス(現在のキュー宮殿)を買い上げて、王室の子供達を育てる施設とし、植物園は宮殿の庭園となりました。その後、イギリス植民地で取れる資源植物の品種改良のためにも活用されます。

現在では3万種以上の植物が生育し、世界最大規模のコレクションになっています。一般公開されている温室の他、敷地内には研究棟もあり、集められた植物標本は約700万点にのぼります。

園内には、複数の温室(とくに「テンパレート・ハウス」「パーム・ハウス」「プリンセス・オブ・ウェールズ・コンサバトリー」の3つが見どころ)の他、日本風の庭園や、中国風の塔、空中遊歩道などの施設もあります。

1日で全体を見学することが困難なほど広く、植物好きなら「キュー王立植物園」と、近隣にある「リッチモンド・パーク」だけで2日は余裕で楽しめる規模です。

実際に「キュー王立植物園」を観光してみた(所要時間6時間20分)

今回、南東にある入口である「ライオン・ゲート」から入園し、おおむね「南東→北東→北西→南西」のルートで見学しました(若干、北西から南西に行く途中で、南東側を経由しています)。

この記事では、実際に見学したコースを元に、キュー王立植物園を紹介していきます。

ライオン・ゲート

今回は、南にある「リッチモンド」駅から、園の南東にある「ライオン・ゲート」をくぐって入園しました。

入口はこんな感じ。門を抜けるとカウンターがあり、ここで事前予約したチケットを見せるか、現地でチケットを購入して入場します(事前予約すると割り引かれます)。
入場して直ぐに、開園時間の表示がありました。季節によって開園時間が異なる為、とくに冬の時期は注意しましょう。入場の際に、簡単なガイドマップと、入場チケットをもらえます。入場チケットは使うことはありませんでしたが、ガイドマップは位置の確認で度々役に立ちました(でも、西側は目印になる建物が少ないのでGoogleマップも利用しました)。

ちなみに、今回の南側にある「ライオン・ゲート」も含めて、入場門は全4種類

「キューブリッジ」駅で下車して、テムズ川を渡って北側から来る場合は「キュー・ガーデン=エリザベス・ゲート」、「キューガーデンズ」駅のある東側から来る場合は「ヴィクトリア・ゲート」、駐車場を利用する場合は西側の「ブレントフォード・ゲート」が最寄りの入口になります。

ルインド・アーチ

南東にある道の途中にある門である「ルインド・アーチ」。残念ながら工事中でした。

建てられたのは1759~1760年で、設計者はウィリアム・チェンバーズ卿。ローマ遺跡を模したデザインになっています。ちなみに、チェンバーズは園内にあるグレート・パゴダの設計も行いました。

テンパレート・ハウス

キュー王立植物園の中でも最大クラスの温室が「テンパレート・ハウス」です。アフリカ、オーストラリア、ニュージーランド、アメリカ大陸、アジア、太平洋諸島の植物約1,500種類が育ち、中には絶滅が危ぶまれる貴重な植物も見られます。

中央の大型の温室に、南北の中規模な温室がつながっている構造です。園内にある他の大規模な温室「パーム・ハウス」と比べても広さは約2倍。上の写真の左右に木が生えていますが、その後ろあたりに中規模の温室があります。

中央の正面部分を拡大するとこんな感じ。テンパレート・ハウスは1860年のヴィクトリア時代に、デシマス・バートンが設計を開始し、1863年から一般公開されました。2013年に改修工事が行われ、2018年に再オープン。おかげで、現在はかなりきれいな状態になっています。
入ってすぐ、中央の建物の東側入口のあたりです。中央の建物内部は、ニュージーランド、ヒマラヤ、アメリカ大陸、オーストラリア、太平洋の島々の植物が展示されています。ニュージーランドの黒い植物。何という植物か、看板の説明が読めませんでしたが、つやつやとして表面が印象的でした。こちらの黒い植物は、オーストラリアのグラスツリー。岩のようにガザガザした表面が特徴的。中央の温室は、上のバルコニーへ上がることも可能です(16歳未満は親の同伴が必要)。バルコニーからは全体を見渡すことができます。反対側まで歩いていくと、降りる階段があります。南北の中規模な温室との間には、渡り廊下的な建物があり、植木の展示があります。

こちらも植木の中にあった物。黒の中にほのかに混じるピンク色が美しいです。南北の中規模な温室は、アフリカ(南)とアジア(北)の植物が展示されています。上の写真は、南のアフリカゾーンです。 見どころの看板が付いていた植物。看板が達筆すぎてよく読めませんでしたが、丁度開花してるところっぽいです。
こちらは花を下から撮影したもの。陰になっていたので、写真の設定をかなり明るくしないと撮影できませんでした。この植物を見ていて気付きましたが、どうも自分は黒い植物が好きみたいです。

アジアの温室にあった植物。ゲームに出てきたら、下の実のような部分を引っ張ると、罠にかかる気がします。

テンパレート・ハウスの西側にあるのが「デービーズ・エクスプロレーション・ハウス」。直接はつながっておらず、一応別の建物になっていますが、現地の看板を見る限りでは、ここもテンパレート・ハウスの一部となっています。展示内容はオーストラリアの植物になっていました。

マリアンヌ・ノース・ギャラリー

テンパレート・ハウスの東側にある「マリアンヌ・ノース・ギャラリー」は、ヴィクトリア時代に30年以上にわたって世界各地を旅した芸術家マリアンヌ・ノースが制作した作品(主に植物の絵画)を展示しているギャラリーです。ノース自身が、当時の園長に建築を提案し、友人の建築家の設計で建てられました。建築様式はコロニアル風です。

私は序盤で訪れましたが、内部は冷房がきいており、ベンチもあったので、夏であれば疲れた頃に訪れてもいいでしょう。

内部は隙間が無いほどに壁中絵画が飾られており、その数800枚以上。内容は植物や植物のある風景を描いたもので、中には日本の風景を描いた作品もありました。細かく観ていくと建物のサイズの割には長時間楽しめます。

扉に「NO PHOTOGRAPHY PLEASE」と書かれていたので、写真撮影はしませんでしたが、比較的新しそうな注意書きには「No flash photography」と書かれていたので、現在は撮影可能な可能性もあります。ただし、スタッフさんがいなかったため、確認ができませんでした(近年、撮影可能になったタイプの施設は多いです)。

シャーリー・シャーウッド・ギャラリー

「マリアンヌ・ノース・ギャラリー」のすぐ北の隣にある建物が「シャーリー・シャーウッド・ギャラリー」です。

植物画コレクターであるシャーリー・シャーウッド博士によって2008年に建てられたもので、シャーウッドのコレクションの他、現代の作家による作品展示も行われており、後者は年に2回展示内容が変わります(2016年秋には、日本人作家の展示もありました)。

私が訪れた際は、Sue WickisonAnila Quayyum Aghaの作品が展示されており、途中まで気づきませんでしたが、Sue Wickisonについては、私が展示を見ている最中に来ていて、記念撮影をやっていました。

ヴィクトリア・プラザ(ヴィクトリア・ゲート)

「シャーリー・シャーウッド・ギャラリー」から北の方へ歩いていくと、入場口の「ヴィクトリア・ゲート」の場所に「ヴィクトリア・プラザ」がありました。ここでは、お土産や食べ物が購入でき、ちょっとした飲食スペースもありました。植物関連の書籍は、かなり充実していましたし、園芸用品や、観葉植物などの販売もありました。食べ物については、やはり観光地価格で、サンドイッチが4.5ポンド、缶ジュース(ペプシ)が2.75ポンドと、結構な値段です。

ちなみに、キュー王立植物園内には複数のレストランがあります。メニューによっては、キュー王立植物園内で採取されたハーブなどが使われている料理もありますので、存分に植物園を楽しみたいのであれば、利用してみてもいいでしょう。

パーム・ハウス

キュー王立植物園でも、有名な温室の一つである「パーム・ハウス」。ヴィクトリア・ゲートのすぐ近くにあります。

こちらの設計者は園内の温室「テンパレート・ハウス」も設計したデシマス・バートン1844年から1848年にかけて鋳鉄製造業者リチャード・ターナと建築したもので、ヴィクトリア時代の鉄とガラスの建築物でも歴史的価値が非常に高い建築物とされています。温室の正面は池になっています。池の中央にはヘラクレスの像があり、これはジョージ2世がウィンザー城で作らせたもので、1963年になってこの池に移されました。

また、この池を挟んでランチを食べられるレストランもあり、季節の植物や建築物としての温室を楽しみながらお食事もできます。
正面の庭園はちょうど花が咲き誇っていました。先ほどの写真(建物北東)の入口から入るとこんな感じ。内部は熱帯の植物が育っており、自然では絶滅しかかっているものや、既に自然界では絶滅した植物もあります

写真は東南アジアの植物の「ビーハイブ・ジンジャー」。マレーシアでは、薬や料理用のハーブとして使用されるそうです。この温室も、バルコニー部分に登ることができます。ただし、16歳未満は大人の同行が必要。また、高温多湿の注意看板も出ていました。上からの写真。熱帯雨林の葉が生い茂り、下の歩道部分が暗くなるほどです。

ローズ・ガーデン

「パーム・ハウス」の南西側の扉から外に出ると、目の前に「ローズ・ガーデン」が広がっています。

運よく薔薇の季節だったので、咲き誇る薔薇をじっくりと堪能できました。花びらのつやがとても美しいです。

ウォーターリリー・ハウス

パーム・ハウスの北西側に立っている小さな温室が「ウォーターリリー・ハウス」です。ここでは熱帯スイレンとつる性植物が育っています。小さな温室ですが、見どころのオオオニバスのインパクトは強烈です。オオオニバス属は3種類存在し、全てが見られるのはキュー王立植物園のみだそうです。オオオニバス属の「ビクトリア・ボリビアナ」は2022年に正式に同定された新種で、葉の大きさは約3メートルと、世界最大になります。

水面に映り込む天井の輪も美しかったです。計算された設計なのでしょうか?

プリンセス・オブ・ウェールズ・コンサバトリー

「パーム・ハウス」から北東方向に少し移動した場所にあるのが、「プリンセス・オブ・ウェールズ・コンサバトリー」。園内の大規模な温室の一つで、「プリンセス・オブ・ウェールズ」はキュー王立植物園を作ったオーガスタ皇太子妃の事を指しています。

他の大規模な温室である「パーム・ハウス」や「テンパレート・ハウス」と比べると歴史はかなり浅いですが、そのぶん迷路のような特徴的な構造を持っており、コンピュータで管理された10の区画に分かれています

ちなみに、詳細な場所は不明ですが1985年にデイビッド・アッテンボロー卿が、基本的な食用作物と絶滅危惧種の種子が入ったタイムカプセルを作り、ここに埋めました。タイムカプセルのオープンは2085年予定です。

入口前から、サボテンが見られます。内部は乾燥地帯や熱帯雨林などのゾーンが中心となっており、とくに手前は多肉植物が多いです。

入ってすぐの場所はこんな感じ。多肉植物好き(私)には嬉しいゾーンが続きます。

上の写真は、温室内で見どころになっていた「イギリスで最初に開花した幽霊ラン」。

奥の方のフロアでは、天井からも、多くの植物が吊るされていました。食虫植物のエリア。迷路のようになっているため、うっかり見落としそうになりました。池のあるエリアもあります。地下道の様な物もがあり、池の中が見られるようになっていました。

アギアス・エヴォリューション・ガーデン

「プリンセス・オブ・ウェールズ・コンサバトリー」の東側にあるのが「アギアス・エヴォリューション・ガーデン」です。

ここも、複数の区画に分かれており、それぞれに異なる植物が植えられています。

丁度開花する植物が多い季節だったおかげで、あまり植物の知識や標識などを見なくても、十分楽しめます。結婚式会場にでもありそうな、花のゲートになっていました。

また、紹介はしませんが、この庭園の周辺にも「ストーン・ガーデン」や「牡丹園」などの庭園があります。ゆっくり観光できる時間と体力があれば、この周辺だけでもけっこうじっくり楽しめると思います。

キュー・キッチン・ガーデン

先ほどの「アギアス・エヴォリューション・ガーデン」の北側に隣接しているのが「キュー・キッチン・ガーデン」です。ここは、家庭菜園のような場所になっています。

私が訪れた際は、時期の問題か、収穫できそうなものはありませんでした。

キャベツっぽい植物。収穫済みでしょうか?
こちらはスイートコーン。収穫まではまだかかりそうです。

盆栽ハウス

「キュー・キッチン・ガーデン」の更に北側に通路を抜けようとすると、途中にあるのが「盆栽ハウス」です。

盆栽の文化がイギリスで見られるのは面白いですが、それほど規模はありません。単純に盆栽を楽しむなら、日本で楽しんだ方がいいかなと思います。

デイビーズ・アルパイン・ハウス

「盆栽ハウス」の西、「プリンセス・オブ・ウェールズ・コンサバトリー」の北側出入口の東にあるのが「デイビーズ・アルパイン・ハウス」。

2006年に建築された新しい温室で、温まった空気を屋根上部から逃がし、比較的冷えた空気を底部に流す構造で設計され、自然に近い環境で温度調整が行われています。暑い時期は、上の写真のよう室内に帆が張られ、日光を遮ります。ここは、小さめの温室ですが、森林限界を超えた高地の植物が鑑賞できます。気候変動の影響を受けている希少な植物もあり、それらの保護にも活用されています。

ザ・ハイブ

「ザ・ハイブ」は「デイビーズ・アルパイン・ハウス」北西にあります。

直接は植物と関係なさそうなこの展示は、自然界におけるミツバチの重要性を示すものとして作られており、人間のスケールでミツバチの巣を体感できるようなサイズで作られています(高さは17メートル)。 建物の所々にLEDが付いており、ミツバチの巣の中の生活を再現して、園内に生息するミツバチの振動に合わせて1,000個のLEDライトが光るようになっているそうです(本当に何かのセンサーでミツバチと連動しているのか、あくまでイメージなのかは不明でした)。

グレート・ブロード・ウォーク・ボーダー

「ザ・ハイブ」の西側を、南東から北西に通っている大通りが「グレート・ブロード・ウォーク・ボーダー」です。

南東端はパーム・ハウス前の池、北西端は「キュー宮殿」の近辺に通じています。

通りの左右にも多くの花が植えられており、じっくり鑑賞しながら歩いてもいいでしょう。

キュー宮殿

北の端に立つキュー宮殿は、元は大規模な複合施設で、1631年に王宮として立て直されました。園内でも最も古い歴史のある建物で、当初はオランダ風の建物であることから「ダッチ・ハウス」と呼ばれていたそうです(ただし、1802年に現在の形になりました)。

王族は1728年頃から1818年までここに暮らし、キュー王立植物園の拡張にも貢献したオーガスタ妃や、その息子ジョージ3世、ジョージ3世の妻シャーロット王妃も利用。1801~1804年には、ジョージ3世がここで闘病生活を送っていました(ジョージ3世は病気で有名だそうです)。

館内は、植物とは直接関連性は薄いですが、当時の歴史的な展示が行われています。公開は2006年以降開始されたそうで、営業時間は11:00~16:00。入場料は無料です(詳細はこちら)。中には、一般公開されていない場所もあり、地下室にあるオリジナルのテューダー朝様式のスペースは、現地スタッフさんに相談すると16:00からのツアーで見学できます(ツアー料金5ポンド)。

入館時、流暢な英語で色々説明を受けた際に、館内は撮影禁止なのかと思いましたが、個人的な撮影はフラッシュを使わなければOKとのことが、公式HPに書かれていました。

ちなみに、雰囲気を崩さないためか、建物入口や階段で見学方法を説明してくださるスタッフの方々は、当時の貴族らしき服装をしていました。

キッチン・オブ・キュー・パレス

「キュー宮殿」のすぐ南にあるのが「キッチン・オブ・キュー・パレス」。

ここには、園芸用の庭園と、キュー宮殿の為のキッチンがあり、1730年代には30人のスタッフが働いていましたが、1818年にシャーロット妃(ジョージ3世の妻)が亡くなった後、約200年使われていませんでした。

無料の見学ツアーが行われているため、英会話ができる人であれば参加してもいいでしょう。予約不要で、現地スタッフに問い合わせて参加できます(ツアー時刻は、建物前の看板で表示されていました)。

キュー・チルドレンズ・ガーデン

「キッチン・オブ・キュー・パレス」の南へ進むと、「キュー・チルドレンズ・ガーデン」があります。

その名の通り、アスレチックや水場などの子供が遊べるスペースとなっています。日本から観光で来た人にはあまり向かないかもしれませんが、近隣在住でメンバー登録しており入場料無料の方なら、子供とゆっくり過ごすのに向いています(メンバー登録していれば家族のゲスト1名も無料で入れますし、4歳未満なら元から入場料無料です)。

逆に、大人の一人旅なら、特別な見どころはありませんので、あえて訪れる必要もないと思います。

ちなみに、直ぐお隣にはレストランであるファミリー・キッチンもあります(もちろん、けっこうなお値段しますが)。

ミンカ・ハウス

「キュー・チルドレンズ・ガーデン」から南西に庭園を歩いていくと「ミンカ・ハウス」があります。周囲の施設からは離れた場所にありますので、Googleマップなどを使わないと少し迷う恐れがありますので注意です。

「ミンカ・ハウス」は日本の古民家を再現した建物と、正面の竹林で構成されています。

ここは、愛知県岡崎市で使用されていた古民家を移築したものです。元の家は、第二次大戦中での爆撃を受けた後も修繕され、米津家が生活していました。家は、日本民家再生リサイクル協会を経由して、キュー王立植物園に寄贈され、2001年、日英の職人チームによって再建されました。

内部には、少しですが日本文化の展示もありました。ミンカ・ハウスの周囲には竹林があります。ここは1891年から40種類ほどの日本の竹を移植して作られたもので、現在は中国産、アメリカ産などを合わせて1200種の竹が育っています。

空中遊歩道

「ミンカ・ハウス」を南に向かう道を進み、湖を通り過ぎると現れるのが空中遊歩道です。高さは18メートルで、木の高さと同じくらいです。私が訪れた際は木の葉が生い茂っていて遠く前では見えませんでしたが、木の上の方の枝を間近に見る事ができます。途中、南東方向には「テンパレート・ハウス」が見えました。

ちなみに、高さ18メートルの上、たまに若干足元が凹む感覚がありました。私は高所恐怖症気味なので、正直ちょっと怖かったです。当たり前かもしれませんが、高所恐怖症の人は無理して登らない方がいいでしょう。

勅使門と日本庭園

「空中遊歩道」から南東方向へ抜ける道を通り、「テンパレート・ハウス」前の道を南北に走る通りを南に行くと、「勅使門と日本庭園」があります。

勅使門は、京都の西本願寺唐門を5分の4に縮小したサイズで再現したものです。1910年の日英博覧会で展示され、その後移築されました。

門の南側に広がる石庭はこんな感じ。ここは、日英の文化交流と友好親善に寄与することを目的として、1996年に勅使門の修理と共に整備された庭園です。

ウッドランド・ウォーク

周囲の主要な見どころから外れて、南西にあるのが「ウッドランド・ウォーク」です。

この周辺は、「ナチュラル・エリア」と呼ばれる森林地域となっており、その中に生育地を邪魔することなく通過できる用に作られたのが「ウッドランド・ウォーク」です。

途中には植物やキノコなどの解説も置かれていました。ちなみに、イギリスでは菌類が約15,000種類発見されているそうです。

「ナチュラル・エリア」には、意図的に置かれた倒木もあり、朽ち木では絶滅危惧種のクワガタも育っているそうです。

クイーン・シャーロット・コテージ

ジョージ3世が結婚を記念して、1770年にシャーロット妃の為に建てたコテージが「クイーン・シャーロット・コテージ」で、南西の端に立っています。周囲はイングリッシュ・ブルーベリーが育ち、5月頃が見頃になります。

こちらの建物は、週末と祝日にボランティアの方々によって運営されており、営業開始は11:30から。最終入場は15:30でした。今回、訪問が金曜日だったため、中までは見学できませんでした。

グレート・パゴダ

「グレート・パゴダ」は、1762年に建てられた庭園装飾用の八角形の塔で、南東の入場門「ライオン・ゲート」の近くに立っています。

設計者は園内の「ルインド・アーチ」も手掛けたウィリアム・チェンバーズ卿。高さは約50メートルになり、内部には253段の階段があり、実際に登る事もできます(ただし、有料)。建設当初としては、ヨーロッパで最も本格的な中国式建造物と言われていました。塔の角には龍の飾りがあり、最上階の屋根には金色の竜が設置されています。改修工事が行われていましたが、2018年に完了し、現在はかなりきれいな状態となっています。

ちなみに、入場時刻は11:00~16:00。私が訪れた際は既に入場時刻を過ぎてしまったため、中に入る事はできませんでした。

    キュー王立植物園の周辺を観光するなら?

    キュー王立植物園が非常に広大な敷地面積を持つため、同じ日に無理して周囲の観光施設に立ち寄る必要性は低いかと思います。

    一方、別の日に近隣の観光地を訪れるのであれば、植物好きなら「リッチモンド公園」もおすすめスポットです。リッチモンド公園は森林が多く、中でもイザベラ・プランテーションが見どころとなっています。

    また、チケットを予約できるサービス「Tiqets」では、ケンジントン宮殿とキュー王立植物園のセットチケットもありました(私が確認した時点で21%OFF)。別日でチケット予約を入れられるため、両方訪れたい方は、こちらを利用してみてもいいでしょう。

    キュー王立植物園で必要だった英会話

    • 受付の時に:Hello.
    • 受付で「スマホの画面明るくして」とか言われた時:brightness. OK.
    • 人にぶつかった時に(キュー王立植物園にたどり着く前):Sorry.
    • キュー宮殿に入る時に:Hello.
    • グレート・パゴダに入ろうとしたとき:Hello.
    • グレート・パゴダが実は既に閉鎖していて、今日は入れませんと言われた時:OK.

    いつも通り、「Hello」「Sorry」「OK」ばかりです。

    入場の際、スマホの予約画面を見せようとしたのですが、受付カウンター外のスタッフさんから「暗くてよく見えないよ。画面明るくして」と言われた(と思う)ときに、ちょっとリスニング能力が必要でした、この際「brightness」と言われたように聞こえたので、とりあえず理解した旨伝えるため「brightness. OK!」と答えました(ちなみに、画面の明るさはマックスでした)。その後、「あちらのカウンターの人に対応してもらって」的な事を言われたので、受付カウンター内の人にスマホを見せたら、無事通過できました。

    また、グレート・パゴダについては、閉鎖してないと勘違いして、中に入ろうとしてしまいました(まだ中に人がいたので)。この際にスタッフさんに呼び止められ「close」と「today」という単語が聞こえたので、たぶん「すみません、今日はもう閉館なんです」と言われてると判断し、「OK!」と言って帰りました。

    ちなみに、キュー宮殿に入る際は、「荷物は背負わないでね。写真撮影については……」などなど、恐らく長い説明をされると思いますが、私は前の人の説明を聞きながらリュックをおろしていたので、説明を全て聴いていたと思われたのか(あるいは、説明してもわからないと思われたのか)「Hello」の挨拶だけでスルーされました。

    結果的に、英語で観光中に困る事はありませんでしたが、園内にはガイドツアーが複数あります。十分な英会話能力があった方が、楽しめる観光施設である事は確かです。