【世界遺産】「クイーンズ・ハウス」の観光情報と、実際に観光した感想
この記事では、世界遺産である海事都市グリニッジにある施設「クイーンズ・ハウス」の観光情報と、中学生並みの英語力で観光して内容をまとめます。
「海事都市グリニッジを観光予定の方」「クイーンズ・ハウスに興味がある方」などの参考になれば嬉しいです。
クイーンズ・ハウスの基本情報
- 費用:無料
- 所要時間:早足なら30分、ゆっくり見て60分以上。私は閉館が近かったため、早足で見学して30分。
- ガイド:日本語なし。英語のガイドアプリやガイドブックはあります。
- 見学日時:10:00~17:00(12月24日~26日はクリスマス休暇。また日によって早く閉鎖する)
- 写真撮影:個人的な撮影は申請不要で可(三脚、フラッシュなどは不可。撮影に関する詳細はこちら)
- 備考:理由は未確認ですが、私が観光した際は最終入場が15:00でした。公式HPでも書かれていますが、確実に入場したい場合は無料のオンライン予約をおすすめします。
※詳細は変更の可能性もあるため、訪問前には公式HPなどの情報をご確認ください
クイーンズ・ハウスまでのアクセス
クイーンズ・ハウスの住所は「Romney Rd, London SE10 9NF イギリス」です。世界遺産としては、周辺含めたエリアとして登録されています(詳細はこちら)。
最寄り駅は「Greenwich」または「Maze Hill」。ロンドンの中心地の方からだと「Greenwich」の方が近いため、鉄道で訪れるなら「Greenwich」側かなと思います(バスを使った方が最寄りまで行けて安い可能性はあります)。
海事都市グリニッジは、ロンドンの中心地から西に離れた位置ですが、それほど距離があるわけでもなく、ロンドンブリッジ駅からなら10分ほどで到着できます。ロンドンに滞在中なら、宿泊先からバスや鉄道で簡単に行ける範囲です。
また、時間もお金もかかるため、あえて利用する必要はありませんが、ロイヤルドッグからノースグリニッジまでのIFSケーブルカーが通っています。オイスターカードが利用でき、往復で12ポンド。テムズ川上空90メートルの高さからの眺めを楽しむことができます。
ちなみに、Greenwich駅の外観はこんな感じです。
改札は無く、入り口と駅構内に下の写真のようなカードをタッチできる部分があるので、乗車時はそこにOysterカードなどをタッチします(タッチを忘れると罰金を取られます。ヨーロッパは改札が無いところが多いです)。
クイーンズ・ハウスとは?
クイーンズ・ハウスは「イングランドで最初の古典主義建築で建設された王宮で、現在は海事関連などのコレクションが展示されている施設」です。
設計を依頼したのはジェームズ1世の王妃、アン・オブ・デンマーク(アン女王とは別の人)。1616~1635年にかけて、グリニッジ宮殿(現存はしない)の近くに建築された王宮であり、大陸的な古典主義建築としてはイングランド初であり、イギリスの建築史上でも重要な建物の一つとなっています。1649~1660年の共和制時代に多くの部分が破壊されましたが、王政の復活後に修復・増築され、現在は博物館として利用されています
有名なチューリップ階段は、当時としては初の支柱の無い螺旋階段で、その美しさから撮影スポットにもなっていますが、1966年に撮影された写真に、いるはずの無い人影が写っており、改竄や撮影・印刷ミスも見つからなかったことから、心霊スポットとしても有名になりました。
この建物には、画家のウィレム・ファン・デ・フェルデ父子がチャールズ2世によって仕事場を与えられ、海洋画家として働いていたため、世界最大規模のウィレム・ファン・デ・フェルデのコレクションが所蔵されています。私が訪れた際は、アン・オブ・デンマークの到着350周年記念として、ウィレム・ファン・デ・フェルデのコレクションの特別展示が行われていました(2023年3月2日~2024年1月14日まで開催予定です)。
実際にクイーンズ・ハウスを観光してみた(所要時間30分ほど)
今回、所要時間30分という、かなり駆け足な感じでの観光になりました。その為、写真がやや少ないです(見どころの写真を撮り損ねました)。
理由は不明ですが、私が観光した際は15:00で入場が終了となっており、15:00を過ぎた頃に館内放送で「あと15分でお土産屋が閉まります」的な英語が流れていました。こういった事もあり得るため、確実に見学したい場合は、無料のオンライン予約をしておくことをおすすめします。
クイーンズ・ハウスの入り方
お隣にある国立海洋博物館から少し歩くと、クイーンズ・ハウスが見えてきます。シンプルなデザインで、中央の建物自体は周囲の建築物と比べて特別大きくはないですが、左右の渡り廊下を含めるとかなりの規模です。
ちなみに、撮影した位置から右側の渡り廊下の奥を見ると、グリニッジ天文台も見えてきます。初見だと「あそこに本初子午線が通ってるのか……」と、ちょっと興奮しました(正確には、グリニッジ子午線で、本初子午線とは若干違う)。
正面玄関が入口っぽく見えなかったので、渡り廊下側に来て撮影しましたが、こちらは入口ではありません(時間があれば、ゆっくり歩いてみたい場所ではあります)。
こちらが建物の出入口。最初の写真にあった中央の建物正面です。
中でもらえるパンフレットにも書かれていますが、出入口がかなり狭いです(幅90cm弱)。内部にも72cm、84cmの狭いドアがある為、車椅子や歩行器を利用していて、幅的に通れない場合はスタッフに相談して対処してもらう必要があります。
入口の前に、ウィレム・ファン・デ・フェルデ父子の特別展示の案内も出ていました。
狭い入口を抜けると、やや狭めの受付カウンターがあります。訪問時の私は全く知りませんでしたが、予約(無料)しておいた方が確実に入れるそうです(私は予約なしでも全く問題なく入れました)。
受付カウンターで簡単な説明を受けて見学スタートになります(英語は全然聞き取れませんでしたが、適当に「OK. Thank you!」とか言っておいたら問題ありませんでした)。
ちなみに、受付カウンター近くにロッカーもあったので、荷物が重くて足が疲れている人などは、利用してもいいでしょう。
クイーンズ・ハウスの見学内容
今回、クイーンズ・ハウスの展示は、オランダの主に海洋関係の美術などと(恐らく常設)、特別展示のウィレム・ファン・デ・フェルデ父子の作品となっていました。ルートは実質1本に決まっており、途中でそれぞれの展示が入れ替わる感じでした。
実際の展示はこんな感じ。彫像や壺、船の模型などもありますが、どちらかと言えば絵画の展示が多かったです。上の作品「海の乙女たち」という、イギリスのラファエル前派の画家、イーヴリン・ド・モーガンの作品。イーヴリンは1800年代末としては珍しい女性アーティストで、ボッティチェリに大きく影響を受けたそうです(と、言われると、画風が似てる気もします)。
やたらと光沢が目を惹いた壺。取っ手の間の抜けた顔をしているのは、ポセイドンの息子であるトリトンだそうです。
こちらは北側中央にあるグレート・ホール。シンプルな模様が美しいです(奥の椅子が無ければもっといいのですが……)。
こちらの巨大なタペストリーは、イギリスとオランダの間で起こったソールベイの海戦(第三次英蘭戦争の最初の戦い)を描いたもの。制作された1672年は第三次英蘭戦争の真っ最中でした。タペストリーの場面は、戦いのラストでサンドウィッチ伯の指揮するロイヤル・ジェイムズが、火船に襲撃されて沈没したところです。
こちらは、ジェームズ2世(即位前)をローマの神マルスとして描いたもの。当時、カトリックはイングランドで嫌われており、カトリックの王が即位すると絶対王政に走るという偏見がありました。更に、1673年には議会が改正審査法を成立させ、文官・武官の役職に就く者に対して、反カトリックの的な宣言をさせようとしました。海軍総司令官の職に就いていたジェームズ2世はこれを拒絶して辞任。そして、ジェームズ2世が元イギリス海軍総司令官としての功績を見せつける為に、この絵画が描かれました。
こちらは、イギリスでも最も初期の頃に作られた船の模型で、1669年に作られました。サイズは1/48です。
美しい模型や、船の絵画が続くのですが、若干他の物も欲しくなってきます。
そんなタイミングで登場した、謎の置物。少年漫画の修行シーンとかで見たような気がしますが、地球儀と天球儀を担ぐアトラスとヘラクレスの像でした。芸術だけでなく、当時の科学力も象徴しています。
上の写真の左の絵画は、マイケル・ダールの描いたアン女王の絵画。アン女王の計画で、ロンドンの作られた新しい50の教会に飾る為に依頼されたものと推定されているそうです。マイケル・ダールはスウェーデンの肖像画家で、ジョージ王子が贔屓にしていましたが、後に女王の肖像画を何枚も制作しました。
解説が無いと、本当にただの油絵な感じの男女の肖像画。
モデルはネルソン提督と、その愛人のエマ・ハミルトン。ネルソンとエマの恋愛を、周囲は寛大に受け入れ、何とエマの夫も知っていました。その上、ネルソンの子供をエマが出産したのは、エマの夫がロンドンのピカデリーに借りた家です。その後、ウィンブルドン郊外に古い住宅を購入すると、ネルソン、エマ、エマの夫、エマの母まで同居。この不思議な生活は、庶民の興味を惹きつけ、新聞でエマやネルソンの生活が掲載されることもあったそうです。
しかし、エマの夫の死後、ネルソンが海に戻ると、エマはギャンブルに溺れてしまい、ネルソンが戦死してからは借金地獄に陥りました。ネルソンは、死ぬ前にエマと娘を扶養するよう命令していましたが、命令は無視され、遺産は相続人であるネルソンの兄に与えられました。エマは債権者から逃れるためフランスへ渡りましたが、最後は酒に溺れ、肝臓をいためて死亡。ちなみに、娘のホレイシアは長生きし、10人の子供に恵まれたそうです(娘の胸像も展示されていました)。
最後に、見どころであるエリザベス1世の「アルマダの肖像画」が飾られている「Queen’s Presence Chamber」という部屋があり、内装も素晴らしかったのですが、何やら早く出ないといけない雰囲気が現地スタッフの方から漂っていたので、写真もとらずに通過してしまいました(どうしても見たい人は、「The Queen’s House: Visual Guide」で検索すると、内部が若干見えるPDFがでてきます)。またグリニッジを訪れる機会があれば、こちらもゆっくり見学したいところです。
こちらは、「Queen’s Presence Chamber」の後に出口に向かう際に降りた螺旋階段で、「チューリップ階段」という名前です。
支柱の無い螺旋階段という当時のイギリスで初めての構造が採用されており、その美しさのため、現在では撮影スポットにもなっています。
ただし、1966年に撮影された心霊写真の影響で、心霊スポットとしても有名になりました。
クイーンズ・ハウスの周辺を観光するなら?
クイーンズ・ハウスを含む世界遺産「海事都市グリニッジ」の他の見どころは、主に以下の4か所になります
10:00~17:00までフルで利用し、昼食の時間を短めにすれば1日で全て観光する事は可能です(私も、実際やりました)。
ただし、1か所あたりの観光時間が短くなってしまう為、じっくり見てみたいなら2日以上かけるつもりで行動した方がいいでしょう。
ちなみにカティーサークとグリニッジ天文台がセットで予約して割引されるため、じっくり観光する場合もこの2か所は1日で一気に見学するといいでしょう。
一方、じっくり見学すると一番時間がかかる「国立海洋博物館」は、特別展以外は無料なため「1回目は無料の施設はサクっと観光しつつ全体を巡り、気に入ったら無料の施設をじっくり見学するため再訪する」といった選択もありです。
クイーンズ・ハウスで必要だった英会話
- カウンターで話しかけられたとき:Hello
- カウンターで説明を受けている最中:uh huh(実はほとんど理解していない)
- 説明が終わった時:OK. Thank you.
クイーンズ・ハウスは入場料無料ですが、入り口スペースが狭く、入った時に受付カウンターで色々と説明を受けました。
とはいえ、リスニング能力がせいぜい高校1年生前後くらいだと思うので、何を言われているのかさっぱりわかりません。せいぜい、観光中に何度も言われた「リュックは背中に背負わないでね」と「入場料は無料です」だけは、シチュエーションと単語からギリギリ理解しました。
ただ、ロンドンで知り合った日本人が相槌に「uh huh」を使っていたので、何も理解していないけど「uh huh」と言ってみました。理解したふりはトラブルの原因になるので、ご利用の際は自己責任でお願いします)。