QC検定(品質管理検定)とは? 想定される難易度や勉強時間、試験の概要
この記事では、QC検定(品質管理検定)について、想定される難易度や勉強時間、試験の概要についてまとめます。
今後QC検定を受験予定の方の参考にしていただければ幸いです。
※記事の内容は2022年5月23日時点のものです。
QC検定の難易度
受験者・合格者の年齢分布から想定される難易度
受験者・合格者の年齢分布を確認すると以下のようになります。
参考:https://webdesk.jsa.or.jp/pdf/qc/md_4500.pdf
- 1級:受験者数は30~34歳が最多。合格者は25~29歳が最多
- 2~3級:受験者・合格者共に25~29歳が最多
- 4級:受験者・合格者共に19歳以下が最多
年齢分布から、会社員として一定の評価を得るのであれば、2~3級程度が要求される難易度であると考えられます。
実際にQC検定で求人を調べると「2級以上が必要」「2級以上が優遇」というものが多いです。3級以上を評価対象とする求人もありますが、「4級以上」や「1級のみ」といったものは、簡単には見つかりませんでした。
また、1級については、30~34歳が最多である事から、「会社内で中堅程度のポジションになった人が会社から要求されることがあるのでは?」と考えることもできます。ただし、受験者側の時間の余裕なども考えると、25~29歳の方が合格しやすいのかなと思います(若いうちに受験するくらいだから、モチベーションが高い事も考えられますが)。
QC検定の合格率から想定される難易度
QC検定の合格率について、確認できる範囲で直近10回については以下のようになっていました(第29回は中止となったため存在しません)。
参考:https://webdesk.jsa.or.jp/pdf/qc/md_4742.pdf
実施回数 | 1級 | 2級 | 3級 | 4級 |
第32回(21年9月) | 12.69% | 44.33% | 54.39% | 85.15% |
第31回(21年3月) | 9.18% | 48.43% | 52.45% | 85.07% |
第30回(20年9月) | 8.10% | 27.63% | 53.69% | 85.09% |
第28回(19年9月) | 2.58% | 22.96% | 49.71% | 84.02% |
第27回(19年3月) | 7.20% | 26.59% | 51.17% | 85.15% |
第26回(18年9月) | 4.57% | 24.89% | 50.34% | 84.21% |
第25回(18年3月) | 4.52% | 17.26% | 49.68% | 84.52% |
第24回(17年9月) | 2.64% | 36.38% | 41.14% | 85.19% |
第23回(17年3月) | 12.19% | 21.05% | 42.02% | 84.74% |
第22回(16年9月) | 6.04% | 19.64% | 49.67% | 85.46% |
4級については、安定して85%程度の合格率であり、難易度はかなり低めであることがわかります。
3級は50%前後。受験者数から「3級から受験している人」がかなり多いことが想定されること、受験資格も無いことから、3級も難易度は比較的簡単かと思います。
2級は合格率のばらつきが大きく、20%を下回ることもありますが、50%近い合格率になることもあります。簡単な試験とも言えませんが、難関試験ともいえない程度の「そこそこの難しさ」が想定される合格率です。
1級については、高い時でも12%程度、低い時で3%未満ということから、難関試験と言っていい合格率だと思います。ただ、受験者数から需要はそれ程高くないことが想定さ、需要のある合格率10~20%程度の資格(例えば宅建など)と比べて難易度は低いと想像できます。
QC検定の各級のテキストのボリューム
QC検定の各級のテキストのボリュームを比較した結果は以下の通りです。
- 最新QC検定1級テキスト&問題集:320ページ
- 最新QC検定2級テキスト&問題集:337ページ
- 最新QC検定3級テキスト&問題集:259ページ
- 最新QC検定4級テキスト&問題集:186ページ
一応、2級のテキストが「この1冊でQC2級に合格のためのすべてが詰まっています」という事なので、2~4級については、このテキストのボリュームで合格を目指せるラインかなと思います。一方、レビューの内容から1級はこの一冊で合格は難しそうなので、テキストのボリュームだけでは難易度の判断は難しいです。
4級については、合格率85%という高さの割にページ数が多い感じです。逆に、2級については337ページで4級の1.8倍程度であまり難易度が高い試験ではないかなと感じます。
ただし、ページ数のボリュームと勉強にかかる時間は必ずしも一致しないので(とくに暗記系でない範囲)、必ずしも2級は4級の1.8倍程度の難易度とは考えない方が無難です。
各級の対象となる人物像
各級の対象となる人物像は以下の通りです。
参考:https://webdesk.jsa.or.jp/pdf/qc/md_4604.pdf
- 1級・準1級:
・部門横断の品質問題解決をリードできるスタッフ
・品質問題解決の指導的立場の品質技術者 - 2級:
・自部門の品質問題解決をリードできるスタッフ
・品質にかかわる部署の管理職
・スタッフ《品質管理,品質保証,研究・開発,生産,技術》 - 3級:
・業種・業態にかかわらず自分たちの職場の問題解決を行う全社員《事務, 営業,サービス ,生産,技術を含むすべて》
・品質管理を学ぶ大学生・高専生・ 高専生・高校生 - 4級:
・初めて品質管理を学ぶ人・新入社員・社員外従業員
・初めて品質管理を学ぶ大学生・高専生・高校生
対象の人物像からも、「品質管理を本格的に学ぶなら、3級以上」「品質管理について大雑把な知識を知るなら4級」と言えます。
また、学生レベルで3級となっていることから、業務経験を積んだ上で取得するなら2級以上が欲しいところかと思います。
QC検定の勉強時間
ここからは、ネット上の情報から想定されるQC検定合格までの勉強時間をまとめます。
QC検定4級の勉強時間
まず「50時間程度勉強すれば問題ない」という意見があるため、安全・確実な合格を目指すのであれば、50時間を目途にしておくといいでしょう。いわゆる資格の総合情報サイトの情報なので、見積もりの数値は大き目かなと思います。
一方、学生(未経験)なら20~30時間、社会人で技術系でないなら10時間、品質を専門にしている人なら1~2時間でという情報もあります。
こちらは「勉強系のブログ」なので「完全に安心なラインではないけど、勉強方法を間違えなければ8割方合格できるライン」かなと思います。
そういう意味では、例えば業界未経験で社会人の私なら、10時間の勉強で合格できる可能性が高いと考えて良いかと思います。
また、以下の記事では10~50時間程度となっていました。この事からも誰でも安心な合格ラインは50時間、社会人で効率的に勉強できるなら10時間と考えていいかなと思います。
QC検定3級の勉強時間
多くのサイトで上げられる基準が「未経験からの学習であれば100時間」というラインです。
ただ、技術系の資格講座を扱っているSATの上げている情報であることを考えると、「100時間は安全に合格できるライン」と考えた方が良いかなと思います。
一方で「30~100時間が目安」、「50~100時間が目安」としているサイトもありました。流石に30時間は事前に勉強した知識が無いと難しいかと思いますが、50~100時間の間に「勉強方法を間違えなければ8割方合格できるライン」があるかなと思います。
QC検定2級の勉強時間
多くの情報で、品質管理業務の経験がある場合は100時間、勉強含めて未経験なら200時間というラインが想定されます。
一方、実際に合格した体験記では「業務経験なしで基礎からやって150時間」というものと「QC3級の合格経験ありで、1日2時間で約2か月」というものがありました。
この事から、100~150時間程度あれば、学習経験が少なくても合格できる可能性はあります。とくにQC検定3級の合格経験があれば、150時間未満でも2級に合格ができる可能性が高いと思います。
ただし、「製造業の会社で働いており、3級なしで約70時間で合格」という経験談もあるめ、実務経験をそれなりに積めていれば、100時間を下回る時間で合格できる可能性もあります。
QC検定1級の勉強時間
受験者数が少ないこともあり、情報が少ないでが「初心者なら300時間以上が目安、経験者や2級取得直後なら200時間以上」と考えて計画を立てると良いでしょう。
「2級合格者かつ実務経験者で、約3.5カ月のあいだ平日2時間、休日5時間で合格」という合格体験記がありましたので、仮に15週間として週20時間なら、300時間となります。
また、2級合格者で、220時間でギリギリ合格した合格体験記もありました。この事から「2級合格者なら200~250時間程度でも合格できる可能性はあるが、ギリギリなレベル」かと思います(高度情報処理技術者試験と同じくらいか、やや上くらいの難易度かな?)。
また、合格体験記以外では300時間を目安としている情報もありました。2級取得から間もない場合や実務経験がある場合は、より短時間で合格が狙えるとのことです。
そもそも「QC検定(品質管理検定)」とは
QC検定(品質管理検定)は、品質管理に関する知識をどの程度持っているか、客観的に評価する検定です。
QC検定の試験日
試験日は年に2回、2022年度については3月20日(日)、9月4日(日) に試験実施予定です。
詳細は変更の可能性がありますので、受験の際は公式サイトの確認をお願いします。
QC検定の受験資格
各級、受験資格はありません。
QC検定の受験料
受験料は以下の通りです。
申込級 | 個人申込/団体A | 団体B割引受験料 |
1級 | 11,000円 | 9,350円 |
2級 | 6,380円 | 5,500円 |
3級 | 5,170円 | 4,400円 |
4級 | 3,960円 | 3,300円 |
1・2級併願 | 15,730円 | 13,420円 |
2・3級併願 | 10,450円 | 8,800円 |
3・4級併願 | 8,250円 | 6,930円 |
第24回~28回で準1級認定者の1級 | 10,450円 | 8,800円 |
準1級は1級試験の合格基準の内、一次試験のみ合格すると認められます。準1級に認められても、試験免除などの制度は現在のところありません。
また団体B割引は、自主会場での団体受験の場合に受けられる割引制度です。
神社検定の試験の方式・出題方式
1級のみ、マークシート(一次試験)と論述形式(二次試験)で。
2~4級についてはマークシートのみとなります。
神社検定の問題数・試験時間・合格基準
問題数、試験時間、合格基準は以下の通りです(合格基準は調整されることがあります)。
受験級 | 試験時間 | 合格基準 |
1級 | 13:30~15:35 ※ 15:00~15:05のマークシート回収時間を含む | 一次試験の各分野で概ね50%以上及び総合得点で概ね70%以上 二次試験で概ね50%以上 総合得点(一次・二次試験の合計点)が概ね70%以上 |
2級 | 10:30~12:00 | 各分野で概ね50%以上及び 総合得点が概ね70%以上 |
3級 | 13:30~15:00 | 各分野で概ね50%以上及び 総合得点が概ね70%以上 |
4級 | 10:30~12:00 | 全体で概ね70%以上 |
QC検定のメリット
QC検定は、「持っていないと○○ができない」などと言った資格ではありません。
一方で、品質管理の業務についていえば、求人でも多く「2級以上が必要」「2級以上が優遇」といったものがあるため、「就職には比較的強い資格」といえると思います。
ただし、品質管理に関わらない業務の場合、仕事上では全く役に立たないという意見も多い事も事実です。
もちろん、あらゆる業務において「より高品質にする」という事は求められることがあるかと思いますし、日常の生活も高品質にできれば……とは思いますが、まずは「自分の仕事・就職・転職で役に立つか?」という視点で取得を考えた方が良いでしょう。