【プログラミング初心者向け】Pythonでおすすめの統合開発環境(IED)について
この記事では、私がPythonの統合開発環境(IDE)を自宅PCで整える際、実際に調査した内容についてまとめます。
プログラミング初心者でPythonの開発環境を整えようと思っている方の参考になれば幸いです。
結論。Pythonの統合開発環境(IDE)について
- 開発環境は、PyCharm、VSCode、Atom、Jupyter Notebookなど、たくさんある
- 「開発環境」でいえばVSCode、Eclipseが有名。「Python用の開発環境」ならPyCharmの普及が進んでいる
- 個人利用なら、まずは無料のものを選ぶのが無難
- 初心者がまず学習を始めるなら「PyCharm」の無料版がおすすめ
Pythonに使える統合開発環境(IDE)・テキストエディタ
PyCharm
Pythonの統合開発環境として、近年普及が進んでいるのがPyCharmです。Python用のIDEでは、かなり有名なIDEだと思います(私も使っています)。Wikipediaにもあるとおり、Djangoを用いたWeb開発環境のために、よく使われるようです。
自動リファクタリングやコードの補完機能、検査、エラー指摘などの機能もあり、とくにコードの補完機能とデバッガ機能が優れていると言われています。
環境はWindows、macOS、Linuxで動作します。開発元はJetBrains。ちなみに、Web開発で利用されるWebStormもJetBrains製なので、使い勝手の相性がいいところもメリットと言えます。
PyCharmの有料版と無料版の違い
PyCharmには有料版(Professional)と無料版(Community)があります。
主な違いは以下の通りになっています(公式はこちら)。
PyCharm Professional | PyCharm Community | |
インテリジェントなPythonエディタ | ○ | ○ |
グラフィカルデバッガとテストランナー | ○ | ○ |
ナビゲーションとリファクタリング | ○ | ○ |
コードインスペクション | ○ | ○ |
VCSサポート | ○ | ○ |
Scientific ツール | ○ | |
ウェブ開発 | ○ | |
Python ウェブフレームワーク | ○ | |
Pythonプロファイラ | ○ | |
リモート開発機能 | ○ | |
データベース& SQLサポート | ○ |
設定を無料版から有料版へインポートすることも可能なので、まずは無料版で利用して、必要があれば有料版に切り替えるという流れでもいいでしょう。
本格的な開発であれば、有料版の方がいいですが、個人利用や学習目的であれば、大体は無料で十分なレベルです(なので、私も無料版から始めてます)。Djangoなどのフレームワークが必要になったら、有料への切り替えを考えてもいいでしょう。有料版であれば、本格的な大規模なアプリケーション開発にも対応できます。
ちなみに、後述しますが学生・教職員の個人向けライセンスには無料のものがあります。
PyCharmの有料版の料金
PyCharmの有料版の料金は以下の通りです(2020年5月18日時点。最新の情報はこちら)。
- 月額:1,030円
- 年額:10,300円
- 年額(2年目):8,200円
- 年額(3年目):6,200円
- 学生・教職員の個人向けライセンスは無料
月々1,000円程度なので、個人利用でも負荷は低いです。年額で払っていけば、3年目以降は月520円程度という安さです。しかも学生・教職員の個人向けライセンスなら無料です。
PyCharmのデメリット
PyCharmのデメリットを上げるとすれば、以下の2点があげられます。
- 本格的なものを作るためには、有料版が必要
- 起動が遅い(記事を書きながら試したら、37秒かかりました)
有料版はそれほど高額ではありませんし、何度も起動と終了を繰り返さなければ、起動の遅さも気になりませんので、気にするほどのデメリットではないかと思います。
ちなみに、起動に37秒かかったPCの性能は以下のとおりです。
- プロセッサ:AMD Ryzen 7 1700 Eight-Core Processor 3.00GHz
- 実装メモリ(RAM):16.0GB
- OS:Windows 10 Home
Visual Studio Code(VSCode)
Visual Studio Code は、知名度もかなり高いかと思います。Python限定ではありませんが、Stack Overflowによる2019年の調査では、最も人気のある開発者環境ツールとしてランクインし回答者の半数以上が使用しています。私の大学時代の友人も、こちらでPythonを使った開発をやっているそうです。
汎用性が高く、プラグインをインストールすることで、Pythonに限らず利用できる統合開発環境です。Python目的で利用する場合は、Microsoft社が提供するPythonのプラグインをインストールすればOKです。
PyCharmと比較して、動作は軽く、ちょっとしたプログラムを書くならすぐ起動できて便利です。また、料金がかからないところも魅了。
Visual Studio Codeのインストール方法と使い方は、以下の記事で紹介されています。
Atom
AtomはGitHubが提供するオープンソースのテキストエディタです。2015年にバージョン1.0がリリースされ、2020年5月5時点では、最新バージョンは1.46.0となります。
テキストエディタ―ではありますが、IDEのような機能が提供されており、Atom IDEというパッケージをインストールすることで、Pythonだけでなく、複数の言語でIDEとして利用することが可能です。
無料で公開しているパッケージで、機能の追加ができ、拡張性は高いです。環境はWindows、macOS、Linuxで使用可能。
Atomのインストール方法と使い方は、以下の記事で紹介されています。
Jupyter Notebook
「Jupyter Notebook」はブラウザ上で利用できる無料のPython環境の一つです。ちなみにJupyterの読み方は「ジュパイター」でも「ジュピター」でもOKです。昔は「IPython Notebook」という名前のPython専用のNotebook(Notebookは、ブラウザ上で動作するプログラムの対話型実行環境のこと)でした。
Jupyter Notebookの特徴としては、図表の描画機能と、コードブロック単位でのプログラムが実行できることなどがあげられます。処理結果を確認して、次の行動が決まるような処理に向いています。
デメリットとして、デフォルトではコード補完ができません。が、ネットで調査すれば、補完機能を有効にする方法が紹介されています(こちらの記事など)。
「Anaconda」を利用すると、Jupyter Notebookだけでなく、データ分析やグラフ描画などで利用できるライブラリをまとめてインストールできます(私はAnacondaを利用したので、意図せずJupyter Notebookがインストールされていました)。
Anacondaの利用方法は、以下の記事で紹介しています。
Spyder
Spyder(旧Pydee)も、Anacondaのパッケージ内に含まれているIDEです。オープンソースでPython専用のものとなります。
データサイエンスプロジェクトに最適化するよう作られていて、Matplotlib、NumPy、SciPy、IPythonなどが統合されています。公式やサードバーティのプラグインが用意されていて、それを使って機能を拡張することもできます。
ただ、データサイエンス以外の分野については、能力が足りないなどのデメリットも指摘されています。
Eclipse
IBM社によって開発された、複数言語に対応したIDEです。IDEの中でも歴史が古く、知名度も高いです。私も一時期、Javaの学習で使ったことがあります。
主にJavaの開発で使われるようですが、プラグインを利用して数多くのプログラミング言語に対応でき、Pythonにも対応しています。
その他の開発環境
ここまで紹介した以外にも、まだまだPythonに使える開発環境あります。一部ですが簡単に紹介しておきます。
- IDLE:簡易的なIDE。バージョン1.5.2b1以降のPythonに標準で付属。軽量でシンプル。
- AWS Cloud9:クラウド環境で利用できるIDE。ブラウザのみでコーディング、実行、デバッグが可能。
- PyScripter:オープンソースのPython向けIDE。Windows用。
- Sublime Text:テキストエディタ。多くのプログラミング言語をサポートし、プラグインで拡張可能。
統合開発環境(IDE)の満足度・認知度は?
Pythonに限りませんが、統合開発環境(IDE)の満足度・認知度は、以下のサイトで比較ができました。
このサイトの情報によると、今回紹介した中で満足度の高いものは「PyCharm」「Microsoft Visual Studio」「Atom」「AWS Cloud9」「Eclipse」の順のようです(大差はありませんが)。
一方、知名度は「Microsoft Visual Studio」「Eclipse」がかなり高く、次に「PyCharm」「AWS Cloud9」、最後に「Atom」の順です。
Pythonの統合開発環境(IDE)の選び方
業務でプログラミングをしている場合の開発環境の選び方
当たり前ですが、可能であれば会社で利用している環境と同じものを整えるといいです。ただし、最初から高額なものは選択しないようにしましょう。今回紹介したものでは、PyCharmが有料です。高額ではありませんが、最初は無料版から試していった方が無難ではあります(無料でも初心者には十分な機能が提供されています)。
また、会社で利用するのであれば、会社や部署などのルールで使用する開発環境が決まっている可能性があります。そうでなくても、周囲と同じものを使った方が、状況を把握しやすくなり、不明点をお互いにサポートできるので効率的です。ソースコードの整形の規則もIDEによって差がありますので、可能な限り同じものを利用しましょう。
勉強のための開発環境の選び方
基本的には、仕事で利用する場合と同じです。
仕事ではなく、個人的な利用・学習が中心になるのであれば、まずは無料版を使うようにしましょう。
明確に目的があり、開発環境の特徴を目的に合わせて判断できるのであれば、目的に合わせた開発環境を選択すればOKです。
初心者向けのPythonの開発環境は?
自宅学習で利用するのでれば「勉強のための開発環境の選び方」と同様です。まずは無料から始めた方が無難です。
その上で、以下の考え方で開発環境を選択することをおすすめします。
- 自分が利用している教材で利用している開発環境
- 利用者が多い開発環境
理由は、困ったときに情報が入手しやすいから。
私の場合、Udemyの「現役シリコンバレーエンジニアが教えるPython 3」を利用して学習を開始したため、この講座と同一の環境ということで「PyCharm」の無料版から始めました。Pythonであれば「PyCharm」は利用者も多く、比較的情報も入手しやすいためおすすめです。