Python3エンジニア認定基礎試験は、Python学習開始直後におすすめ
最後に、受験するならPython学習開始直後をおすすめします。
途中でも触れましたが、私は約100時間もPythonを学習してから受験対策を始めてしまい、結果的に対策直後から模擬試験で合格点を超えるという結果となってしまいました…。
Python3エンジニア認定基礎試験は「基礎を最低限学習した」という目安に利用できる試験ですので、その目安に利用する目的で利用するといいでしょう。
この記事では「Python3エンジニア認定基礎試験」について、試験の概要、難易度、勉強時間、メリット、おすすめの参考書などを解説しています。
Python初心者の方、Pythonに興味がある方、Python3エンジニア認定基礎試験を受験予定の方の、参考にしていただければ幸いです。
目次
Python3エンジニア認定基礎試験とは、一般社団法人Pythonエンジニア育成推進協会が実施する、Pythonに関する民間資格です。
その名の通り、主にPython3の基礎的なレベルが問われる資格です。詳細な出題内容は後述しますが、半数以上が基礎的な文法やデータ構造に関する出題となっています。一方、「エラーと例外」や「標準ライブラリ」などの範囲はやや難易度が高いですが、単純な暗記で対処できるレベルが出題されるため、試験としての難易度は高くありません。
「Python3エンジニア認定」の一つであり、今後「Python3エンジニア認定データ分析試験」が追加される予定です(2020年5月27日の記事では「本番試験開始間近」とのこと)。
受験料は一般10,000円、学割5,000円となっています(どちらも税別)。
受験料の割引ではありませんが、受験者が1,000名を超えた際や、「日経 xTECH」の「今、どの資格を取るべきか」調査で3位になった際、「春のPython試験キャンペーン」など、度々公式の主教材である「Pythonチュートリアル」が格安や無料で手に入るキャンペーンが行われています(基本的に受験チケットとセットでの販売になります)。
全て選択問題で40問です。コンピューター上で実施するCBT形式で、テストセンターを利用することとなります。
実際にどのように出題されるかについては、後述する模擬試験を利用して、出題形式を把握することをおすすめします(難易度もほとんど試験程度のレベルです)。
試験時間は60分です。実際には10分程度で全問解答してしまう人もいますので、時間制限を心配する必要性はかなり低い試験です。
ちなみに、私はじっくり見直しをしても40分弱で試験がおわりました。
正解率70%で合格です。
出題範囲は、公式の主教材である「Pythonチュートリアル 第3版」の内容から、以下のようになっています(訳者が違うためテキストと差異はありますがWeb版もあります)。
章タイトル | 出題数 | 出題率 |
1章 食欲をそそってみようか | 1 | 2.5% |
2章 Pythonインタープリタの使い方 | 1 | 2.5% |
3章 気楽な入門編 | 6 | 15.0% |
4章 制御構造ツール | 9 | 22.5% |
5章 データ構造 | 7 | 17.5% |
6章 モジュール | 2 | 5.0% |
7章 入出力 | 1 | 2.5% |
8章 エラーと例外 | 4 | 10.0% |
9章 クラス | 2 | 5.0% |
10章 標準ライブラリめぐり | 4 | 10.0% |
11章 標準ライブラリめぐり─PartII | 1 | 2.5% |
12章 仮想環境とパッケージ | 1 | 2.5% |
13章 次はなに? | 0 | 0.0% |
14章 対話環境での入力行編集とヒストリ置換 | 1 | 2.5% |
1章の「食欲をそそってみようか」は「Pythonがどのような言語か?」の解説です。元の英語が「Whetting Your Appetite」であり、Web版では「やる気を高めよう」と翻訳されています。いずれにしても、読者にPythonの素晴らしさを知ってもらい、意欲を掻き立てる意図をタイトルに込めているのだと思います。
ちなみに、書籍版は冒頭に「訳者まえがき」もあり、初心者、中級者、エキスパートの人向けの読み方が掲載されています。試験を受ける場合は、ある程度まで深く読む必要がありますが、完全な初心者が1回目に読むのであれば、初心者向けの読み方から始めるといいでしょう。
Python3エンジニア認定基礎試験では、Odyssey IDの取得が必須となります。
また、登録したOdyssey IDと、そのパスワードは試験当日も必須となるため、忘れずにメモをもっていくようにしましょう。
試験はテストセンターでのCBT方式となるため、Python3エンジニア認定基礎試験を実施している試験会場を探す必要があります。
以下のページから、条件を付けてテストセンターを探せますので、自宅の最寄、通勤・通学経路上などで、試験を実施しているテストセンターを探し、都合の良い日程でテストを実施していないか確認するといいでしょう。
申込方法は、テストセンターによって異なります。インターネットで受付をしているところが多いかと思いますが、直接窓口などで対応しているセンターもあります。
多くのテストセンターでは、受験者の氏名・メールアドレス・生年月日・住所・郵便番号などの個人情報を入力し、申し込みをすることになるかと思います。
また、受験チケットを利用する場合や学割を利用する場合、忘れず申し込みの際に申請しましょう。
以下の持ち物が必要になります。
また、写真付き身分証明書については「運転免許証」「パスポート」「住民基本台帳カード」「個人番号カード」「社員証」「学生証」のいずれか1点となっています(該当の写真付き証明書がない場合の代用品についてはこちらに記載があります)。
また、以下の5点については持ち込み禁止です。会場にロッカーがあるかと思いますが、無い場合は試験管の指示に従って対応する必要があります。
2019年後半頃の合格率は80%を超えているのではないかと思われます。
根拠は以下のとおりです。
合格率の上昇と、計測日のタイムラグを考慮すると、直近の合格率は80%を超えていると考えるのが妥当ではないかと思います。
合格率は約80%であり、プログラミング初心者も多く受験する試験です。内容も多くが基礎的な文法とその変化球なので、はっきりいって「難易度は低め」です。
しかし、公式の主教材であるPythonチュートリアルを隅々まで理解しようとすると、難易度は高くなりますです。
難易度が低めの理由は「あくまで4択で正解できれば十分」だから。要するに、実践的に覚えた内容をPythonプログラミングで役立てられる必要はなく、難解な部分については丸暗記で十分だからです。
例えば、出題率10%の範囲である「第8章 エラーと例外」や「10章 標準ライブラリめぐり」は、普段から使いこなせるレベルまでPythonの技術を身に着けるのは大変かと思います。
ですが、試験対策としては「Pythonチュートリアルで登場するコードの例を丸暗記」して、出題されたときに読み解ければ十分です。実際に、私が試験を受けた際は「空欄を埋める適切なモジュールはどれか?」「出力結果としてどれが正しいか?」といった内容が、Pythonチュートリアルの例とほぼ同じ内容で出題されていました。
こういった事情もあるため、合格率は80%になっていると言えます。逆にいえば「短期間で楽して合格するのであれば、頻出範囲のPythonチュートリアルの内容は、一通り暗記する必要がある(詳細な理解は不要)」といえるでしょう。
こちらのサイトに記載がありますが、安全に合格を目指すなら、おおむね以下の基準で考えた方がいいでしょう。
ただし、ノンプログラマーだけど、趣味でプログラミングをしているという人のブログでは、10時間程度で合格している人をよく見かけます。
ちなみに、私の場合
という条件で、実力診断と苦手分野の把握のために試験対策としての学習を、模擬試験から開始したところ、初回から合格点となりました。ですので、個人的には勉強時間が何時間とは正直言いにくいです…。
また、先にも述べましたが、短時間での合格を目指すのであれば、Pythonチュートリアルの頻出範囲について、読み込んでおくことをおすすめします。
最大のメリットは「Python初心者なら学習のモチベーション維持につながる」ことです。
初心者がPythonの学習を進めていくと「学習していることが、実際にどう仕事で役立つかわからない」「自分の勉強に効果があるのかわからない」という状況になりやすいかと思います(私もそうでした)。目標が明確に見えない状態で、長期的にモチベーションを維持することは困難です。
そこで、初心者のモチベーション維持として「Python3エンジニア認定基礎試験」を利用するのは、一つの手です。ですので、Pythonの勉強を開始したらすぐに受験することをおすすめします。私は受験を思い立つのが遅く、むしろ合格レベルになってから申し込んでしまうという本末転倒状態でした…。
これは、実際に私がPythonの学習を始めた時期に感じていたことですが「いつになったら、基礎が学習できたといえるかわからない」という問題があります。
私の場合「基礎をある程度学習したら、完全な暗記を目指すより、実践の中で技術を磨きたい」と思っていました。文法を完全に暗記するより、まずはスキルを役立てたかったですし、スキルを実践で役立てながら並行して暗記・学習を進めた方が効率的だと考えたからです。
そういった目的から「完全な初心者を脱し、最低限の文法を使いこなせるレベルに達した」といえる目安として「Python3エンジニア認定基礎試験」は丁度いい目標といえます。この試験を突破したら、自分の興味のある分野の入門書に取り掛かる流れがいいでしょう。
はっきり言ってしまいますが、この資格を持っているだけで「実務で通用するスキル」がある証明にはならないと思った方がいいです。
試験の概要、難易度でも解説していますが、この試験で求められるものは、ほとんどが基礎的なレベル。出題も半数以上が基礎的な文法やデータ構造からの内容です。
ですので「私はPythonエンジニアとして即戦力ですよ」とはいえません。「勉強する気がありますよ」というアピールであれば効果はあるでしょう。
2019年「日経 xTECH」でIT資格実態調査とし実施されたアンケートでは、「これから取りたいと思うIT資格」の部門で3位に入っています。
上位5位の資格の中では「お手軽に取れる資格」なので、幅広く票を集めている感じはありますが(残り3つは高度情報処理技術者試験、1つはAWS認定全般)。それでも「基本情報技術者」や「ITパスポート」よりも上位に位置していることは、トレンドがあるといわざるを得ないと感じます。
とはいえ、アンケート対象は「日経 xTECHの読者会員」。つまり、IT業界人として、ある程度は意識が高い人達です。単純な「受験者の多い資格」ではなく、あくまで「仕事意識高めの人が、取ろうとしている資格」として3位と考えた方がいいかと思います(その方が価値の高さを感じはしますが)。
2019年に「日経 xTECH」の調査した「これから取りたいと思うIT資格」で、49種の中から選ばれたベスト5位は以下のとおりです。
この内容を見ると「トレンドがある分野の一つとして、IT業界のマネジメント層の人が、受験しているのでは?」と感じます。
そういった意味では「Pythonって、AIとかWEBアプリ開発とかデータ分析とか、色々と使えるらしいから、ちょっとは知っておこうかな…」という目的でも、この資格試験は利用できる(されている)のかと思います。
Pythonに特化し、基礎文法が詳細に解説されている入門書が必要です。
例えばAmazonでPythonと検索すると上位に出てくる「独学プログラマー」は、良い参考書ではありますが、Pythonに特化した参考書ではないため、あまり突っ込んだ文法などには触れていません。そのため、この参考書だけで試験に取り組むのは得策ではないと言えます。
また、基礎文法とはいえ、試験ではちょっと捻った文法が問われます。Pythonに特化していても、本当に初歩的な文法のみ紹介している参考書では、対応が難しいです(例えば内包表記など、知らなくても同じ動作のプログラムが書ける内容は割愛している参考書など)。
プログラミング経験がある人なら最初から「Pythonチュートリアル」をこの入門書としてもいいですが、経験の浅い人・未経験の人であれば、もっとわかりやすい書籍から入るといいでしょう。
やっておいた方がいい教材です。ちなみに無料。最低でも、後述する「プライム・ストラテジー」の模擬試験とこちらのどちらかはやっておきましょう。
2017年9月27日公開から、β版状態が続いていることは気がかりですが、本番試験を想定した80問が無料で利用できるところはかなりの強み。
若干でもPythonをかじってみたら、早めに模擬試験を受講して、苦手分野の把握や本番試験のレベルを体感しておくといいでしょう。
DIVE INTO CODEと同じく、やっておいた方がいい教材です。こちらも無料。
こちらは2020年6月25日公開。本番試験を想定して、3回分の模擬試験が個別に用意されています。
DIVE INTO CODEの模擬試験と同じですが、模擬試験は実力診断のために早めの利用をおすすめします。
公式の主教材に設定されているテキストです。
Web版も存在しますので、書籍版の購入は必須ではありませんがキャンペーンで無料や格安で手に入ることも多いです。タイミングが良ければ参考程度に入手しておいて、後でメルカリなどで売ってかまいません。
内容はかなり読みにくく、初心者にはおすすめしにくいです。ただし、この本の内容からほぼそのまま出題されることが多い印象(とくに難しい範囲)なので、「試験に合格する」ことを考えるのであれば、Pythonチュートリアルも確実に読んでおくべきです。
とはいえ、この本を読まなかったPython初心者でも合格水準を目指すことは十分可能です。実際、私はこの本を使わずに、模擬試験で合格点を超える水準になっていました。「試験合格よりも、確実に基礎を固めることを優先する」のであれば、Pythonチュートリアル以外を使った基礎学習をおすすめします。
私が利用した教材の中でも、かなりおすすめなのがUdemyの「現役シリコンバレーエンジニアが教えるPython 3」です。
おすすめの理由は以下の通り。
試験対策としては、基礎編の動画を何度も見るだけで十分です。私のPythonの初期学習は、通勤時間で何度かこの動画を見たり聞いたりしていたのが大半ですが、それでも試験対策を始めた時点で、模擬試験で合格点を出せるレベルになっていました。
デメリットは、Udemyの登録(Googleアカウントで利用できますが)をしなければならないこと。通信量については、事前にダウンロードしておけば外出中に発生しません。
公式にも参考教材になっている「PyQ
」。こちらも試験レベル(というか、それ以上)を学習できます。
PyQのメリットは以下のとおりです。
とくに問題が充実しているところがPyQの特筆すべきところです。実際に手を動かしながら文法を学びたいという人にはおすすめです。
デメリットとしては、月額3,000円と費用が高めであるところと、PC環境がないと学習ができないところ。費用が気になる人は「PyQ 7days Pythonチャレンジ」を利用して、無料でPyQを体験してみることをおすすめします(「7days」となっていますが、無料期間は10日です)。
ちなみに、私も「PyQ 7days Pythonチャレンジ」を経験してから、本格的な利用を開始しました。無料体験の詳細な感想は以下の記事にまとめてあります。
最後に、受験するならPython学習開始直後をおすすめします。
途中でも触れましたが、私は約100時間もPythonを学習してから受験対策を始めてしまい、結果的に対策直後から模擬試験で合格点を超えるという結果となってしまいました…。
Python3エンジニア認定基礎試験は「基礎を最低限学習した」という目安に利用できる試験ですので、その目安に利用する目的で利用するといいでしょう。