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プロジェクトマネージャ試験 「論述の対象となるプロジェクトの概要」をどう書くか?

3月 22, 2020プロジェクトマネージャ試験

プロジェクトマネージャ試験の午後IIで登場する「論述の対象となるプロジェクトの概要」について、書き方の方針をまとめました。論文試験対策の参考にしていただければ幸いです。

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論述の対象となるプロジェクトの概要(質問票・テンプレート)とは?

プロジェクトマネージャ試験の午後IIでは、論文の本文を執筆する以外に、プロジェクトに関する問診票のようなものが登場します。これが「論述の対象となるプロジェクトの概要」です。

参考書によって、若干内容が変わってることがありますが、おおむね全て記述するべき内容は同じで、その名の通り「プロジェクトの概要」について記載することとなります。

ちなみに、この「プロジェクトの概要」も採点に影響します。平成29年の採点講評より引用します。

午後II試験 全問に共通して,“論述の対象とするプロジェクトの概要”で質問項目に対して記入がない,又は記入項目間に不整合があるものが見られた。これらは解答の一部であり,評価の対象であるので,適切に論述してほしい。

引用:平成29年度 春期 プロジェクトマネージャ試験 採点講評

プロジェクトの概要で記述する内容で、最低限気を使うべきところ

「プロジェクトの概要」を記述する上で、注意しないといけないところは主に以下の3点。

「プロジェクトの概要」の注意点

  • 「論述の対象となるプロジェクト」と矛盾していないこと
  • 明らかにあり得ない数値は入れないこと
  • 記入漏れがないようにすること

ちなみに、IPAが発表している「採点講評」でも、「要求される記入方法に適合していない」「論述するプロジェクトと整合性が取れていない」という指摘がかなりの頻度で登場します。採点に影響しますので、注意が必要です。

どうしても本文との矛盾が出てしまいそうで心配な人は、論文が完成した後に、その内容に合わせて記載するようにしてもいいでしょう。ただし、記入漏れが発生しないよう、事前に同じ流れで練習を繰り返しておくことをおすすめします。

システム開発未経験ですが、どう書けばいいですか?

未経験なら誰でも「プロジェクトの概要として妥当な内容なんてわからん!」という状況になるかと思います。午後II試験を勉強する上で、最初に私がぶつかった壁がこれでした。

そこで、私が「解答例の論文」を読み漁りつつ、実際に論文添削もしてもらって「数値はだいたいこの程度」という指標を確認してみましたので、その内容をまとめます。

ここで記載した数値を参考に論文を作成して頂いても構いませんが、あくまで重要なのは「矛盾がなく、明らかな異常もない内容」を記載しておくことです。数値などについては、あまりこだわらないことをおすすめします。

また、本番の試験で、毎年全く同じものが出題されるとは限りません。過去10年程度、内容に変化はないそうですが、アレンジされたものが出題されても解答できるように意識しておきましょう。

全体として「分からない」は禁止

多くの質問項目に「分からない」という記入項目があります。が、「分からない」は使わない方がいいです。

理由は、なぜプロジェクトマネージャなのに、把握できていないのか?というツッコミを受ける可能性があるから。これだけで減点になる可能性がありますし、最悪不合格になってしまうこともあり得ます。

プロジェクトの名称

実際のシートにも記載があると思いますが「わかりやすく簡潔に」記載します。記入例も実際のシートに記載があるかと思いますので、それほど難易度は高くないはずです。

個人的な注意点としては

  • 漢字を多くし過ぎないこと(書く時間を削減
  • 「わかりやすく」一度読んだら内容がだいたいわかるようにすること(相手にわかりやすく伝えることが重要

の2点です。

(システムが対象とする)企業・機関などの種類・業種

これはシートに記載のある中から、企業・機関などの種類・業種を選択するだけです。

私の場合、「宝飾品メーカーの生産管理システム」を論述するため、製造から販売まで手掛けることにしているので、「製造業」と「卸売り・小売業・飲食店」の両方にチェックしています。

重要なのは「論文の内容と一致している」ことだけです。行政のシステムなのに「卸売り・小売業・飲食店」にチェックするようなことはやめておきましょう(「官公庁・公益団体」の項目があります)。

企業・機関などの規模

企業・機関などの規模については「100人以下」「101~300人」…といったような項目があるので、その中から選択します。

私の場合「301人~1000人」です。多すぎず少なすぎず。また、幅が大きいので使い勝手がいいと判断しました。

ここも重要なのは論文の内容と一致していること。ただし、他の質問項目とも矛盾しないことにも配慮します。

対象業務の領域

対象業務の領域は「経営・企画」「会計・経理」などの項目から選択します。

私の場合は、「営業・販売」「生産」「管理一般」あたりにチェックを付けます。私の書く論文の場合は、このあたりであれば論文中に明確に登場しなくても「まあ、そのあたりも関わってくるよね」ということになるので、問題にはならないと考えています。

やはり重要なのは「論文・他の質問項目と矛盾しないこと」です。

システムの形態と規模

ここは参考書によってやや内容が変わるので厄介です。

パターンとしては以下の2通り。

システムの形態と規模の出題パターン

  1. 「クライアントサーバシステム」「Webシステム」などのシステムを選択させ、更にハードウェアのおおまかな台数を記入する
  2. 単純に該当するハードウェアの台数をおおまかに記入する

私の場合、システムの形態まで問われたらクライアントサーバシステムで、サーバ5台、クライアント300台。単純にハードウェアが問われたらワークステーション5台、PC250台、その他50台とすることにしています。

この数値は、以下の2点を根拠に設定しています。

  • 301~1000人規模で利用するシステムを想定しているため、そこから考えれば明らかに誤った数値になっていない
  • 自分の論文では「細かいハードウェアの内容は記載しないが、必要に応じてタブレット端末やIoTデバイスは登場させる」と決めているから

システムの規模と形態については、システムの内容との関連性が高く、整合性の意識が特に重要となります。

ネットワークの範囲

ネットワークの範囲については「他企業・他機関との間」「同一企業・同一機関などの複数事業所間」などの項目から選択します。

私は「他企業との連携が発生する」論文は書かないことにしているので(サンプル論文の例をあまり見かけず、書きにくいです)「同一企業・同一機関などの複数事業所間」を選択しています。

システムの利用者数

その名の通り、システムの利用者数です。「企業・機関などの規模」と「システムの形態と規模」の数値と整合性を取りつつ記述するといいでしょう。

私の場合は「企業・機関などの規模」は301~1000人、「システムの形態と規模」で登場するハードウェアは合計300台以上としているので、この項目は「301~1000人」としています。

総工数

何人月かを記述します。

参考書や論文によりますが、合格したという論文でも30人月程度のものもあります。一方、300人月のようなものは見かけたことがありません(あえて本文中に書いていないだけかもしれませんが)。

参考書次第ではありますが、200人月が妥当とするものもあれば、記述例で100人月と書いているものもあります

私は間をとりつつ、やや多めの「180人月」と記述しています。

ちなみに「大規模だったことをアピールしたい」という人は、ここの数値を大きくすることよりも「普段は○○人月だが、今回は△△人月だった。これは、弊社としては大規模なプロジェクトである」などのように、普段との比較した記述を利用しましょう。

費用総額

「○○百万円」の単位で記入します。

論文中で人材についての条件をとくに付けないのであれば、ハードウェアを含まない場合は、総工数の「○○人月」の「○○」部分をそのまま記入するといいでしょう。

私の場合、総工数180人月なので、「180百万円」と記載しています。

ちなみに、平均的な相場は1人月で80~120万円程度らしいですが、もちろんスキルや地域によっても費用は異なります

論文中で「高度なスキルが要求される」「特殊なスキルが要求される」となっていれば、もっと高め「オフショアSEを利用」などというのであればもっと安めに設定するべきではないかと思います。

(プロジェクトの)期間

開発を行った期間です。「○○年○月~○○年○月」の形式で記入します。だいたい10カ月~12カ月くらいが、解答例の論文では多いです。

私の場合は2016年4月~2017年3月とします。うっかり練習中に本文で2016年3月~2017年4月と書いてしまい、間違えたことがありますので、注意しています。

ちなみに、一般的なプロジェクト(ウォーターフォールモデル)の場合、

  • 要件定義と設計で、全行程の5割程度
  • プログラミングで、全行程の2割程度
  • テストで、全行程の3割程度

だそうです。必ずしもこれに一致する必要はありませんが、期間を10カ月としておくと、プロジェクトの全体スケジュールを決めやすいかと思います。

あなたが所属する企業・機関など

プロジェクトの対象ではなく、自分が所属する企業・機関の内容を項目から選択します。

私の場合「私はメーカー系ソフトウェア開発企業に勤めるITエンジニアである。」と論文に書くので「ソフトウェア業、情報処理・提供サービス業」としています。

あなたが担当したフェーズ

自分がプロジェクトにおいて担当したフェーズを項目から選択します。

論文と矛盾しない限りは、全てのフェーズを担当したこととする方が無難です。ただし「その他」という自由記入欄は、下手なことを書くとヤブヘビなので、私は選択しません。

あなたの役割

選択すべき項目は「プロジェクトの全体責任者」一択です。

理由はプロジェクトマネージャじゃないと不合格になる」可能性が非常に高いから。ここは確実に「プロジェクトの全体責任者」を選びましょう(じゃあ何で他の項目もあるのかとツッコミたくなりますが、不正解の選択肢ということでしょう)。

あなたの管理対象人数

管理対象人数は「約○~○人」という形式で解答します。プロジェクトの各工程で人数が変わりますので、それに合わせる必要がありますが10人以上にした方が無難です。

ちなみに、私の場合は180人月で「約5~60人」と書いています。

「企画段階では少数だけど、途中が多くなって、全体で見ると180人月ですよ」というのであれば、かなり管理人数に幅があるので、「180人月で管理対象人数は約5~60人」は否定しにくいと考えています(実際、プロジェクトの人数は途中でかなり変化しますし)。

あなたの担当期間

基本的に先にあげた「(プロジェクトの)期間」と一致させるようにしましょう。

全行程でプロジェクトマネージャをやっているのに、担当期間が短いというのは減点対象となるかと思いますし、プロジェクトの期間より長くなるわけがありません。

私の場合、「(プロジェクトの)期間」と一致する2016年4月~2017年3月と記述します。

合格レベルの「論述の対象とするプロジェクトの概要」の例

別の記事ですが、論文添削で合格レベルを上回った際の「論述の対象とするプロジェクトの概要」を掲載しています。

この内容であれば合格できるのではなく、論文との整合性としては合格レベルになっているという例なので、その点には注意いただければと思います。

「論述の対象とするプロジェクトの概要」はスラスラ書けるようにしよう!

「論述の対象とするプロジェクトの概要」も採点に影響を与えますが、やはり重要なのは論文本体です。

ですので、論文との不一致の確率は排除し、記述にかける時間はできる限り削減すべきです

私は午後II学習の最初に、10枚は「論述の対象とするプロジェクトの概要」を印刷し、実際に書く練習を行い、ここだけは短時間で書き上げられるよう練習しました(10枚もいらなかったですが…)。論文の方向性を大まかに決めるためにも、まずはスラスラ書ける状態に持っていくことをおすすめします。

3月 22, 2020プロジェクトマネージャ試験