プロジェクトマネージャ試験 おさえると便利な午後Iのテクニックについて
プロジェクトマネージャ試験について、午前I試験の解答・学習のテクニックをまとめてみました。興味のある方は学習の参考にしていただければ幸いです。
午後Iで最低限おさえるべきテクニック
解答の根拠は「前」にある
解答の根拠となる記述は、ほぼ全ての問題で、設問対象となっている箇所より前に登場します。
例えば「設問1 [プロジェクトの計画策定]について(1),(2)に答えよ。」となっていれば、読むべき場所は[プロジェクトの計画策定]と、その前になります。
注意が必要なところは、上の例で「下線①について○○を答えよ」となっていた場合は、[プロジェクトの計画策定]の文章中であれば、下線①より後ろに正解の根拠がくる可能性十分あります。あくまで章として後ろには答えが来ないと割り切れるだけですので、その点だけは注意しましょう。
簡単すぎる解答でも案外正解になる
ときどき「正解率が低かった」と採点講評されている問題に、ものすごく単純な問題があります。実際に、私も学習初期の段階で正解できたものに、こういった問題がありました。
なぜ正解率が低くなるかといえば「あまりに簡単すぎて正解だと思わない」から。
正解率が低いとまでの評価にならなくても、かなり単純な解答で正解となる問題は少なくありません。重要なのは「設問に対して適切に解答する」こと。ここに集中しましょう。
記述式で文字数はどのくらい必要?
「記述式だから8割くらい文字を埋めないとダメかな?」と思う人もいるかもしれませんが、そんなことはありません。
例えば、平成27年午後I問1の設問3(2)は以下のようになっています。
(2)K氏が,対策②で組織したPMOに期待した役割は何か。25字以内で述べよ。
正解例:プロジェクトの推進役
25文字の字数制限に対して、僅か4割。たったの10文字です。
もちろん、これは極端な例です。公式でも、別解では「関与度, 影響度ともに高いステークホルダ」と8割近い文字数のものも用意されています。
ただ、文字数を気にすることも大事ではありますが、それ以上に「設問に適切に答えられているか?答えにつながる記述が問題文にないか?」を意識する方がより大切ということです。
基本的には制限文字数の8割前後を目指しつつ、どうしても短文な場合は「解答の根拠に自信があるか?」を振り返るようにするのがおすすめです。
どの設問を選ぶべきか?
時間の削減を優先するのが有効と考えます。
スペシャリスト系の試験などでは、出題分野によって得意不得意がわかれやすいところですが、実際のプロジェクトマネージャ経験などで、明確な得意分野がない場合は、ジャンルによっての点数の差は発生しにくいかと思います(私は初期の学習で、8割以上とったジャンルで2割未満の点も取っています)。
その上で、大雑把に以下の考え方で、午後I問題選択してしまうのがおすすめです。
- 得意分野がある場合は、それを優先する
- 得意分野がない場合は
①時間の確保を優先して決め打ちする(問1と2を選択するなど)
②空欄と下線が引いてある部分だけ読んで、感覚で難しそうなものを除外
この手法は他の区分とほとんど変わりはありません。
強いていえば、空欄問題がほぼ全て用語レベルの出題ではないため、スペシャリスト系に比べると正解できるかの判断が難しいです。
個人的には、時短のために「問1、2で決め打ち」の方が良いのではないかと考えています(無理に空欄などで判断しようとしても、本当に難しいものを除外できるとは限りませんので…)。
いざとなったら「捨て気味」で学習する
プロジェクトマネージャ試験の問題は、正直「日本語の問題」が多いです。
もちろん「○○ときたら××」のような知識も必要ではありますが、その解答に根拠を持たせるためにも、「問題文と設問に対する日本語読解力」は、スペシャリスト系の試験よりも高く要求されます。
そこで問題となるのが「日本語がかなり分かりにくい問題」
参考書の解説でさえ「日本語が怪しい…」などと言われるほどの問題も、10問くらい解いていれば1つは出てきます。
例えば、平成22年度の問1設問3の(2)は、こんな感じ。
【問題文】
障害密度の実績値が基準値の上限を超える機能については、品質面での問題があることが想定されるので、原因分析に基づいた適切な対応が行われたかどうかを確認する。④例えば、当該機能の開発を担当したチームの体制面に原因があると想定される場合は、結合テストを開始するまでの開発作業の実施状況について、体制面の問題を踏まえた再確認が行われ、再確認の結果に基づいた適切な対応が行われたかどうかを確認する。【設問】
本文中の下線④における、体制面の問題を踏まえた再確認では、具体的にどのようなことを確認するのか。30字以内で述べよ。
そして、この問題の正解例は
・当該チームが担当したほかの機能に品質の問題がないこと
・当該チームが作成したすべての成果物に問題がないこと
どうでしょうか? 「体制面の問題」について再確認をする内容を解答してしまった人が、少なからずいるのではと思います。
この問題の読み解き方としては
- 品質面で問題が発生した原因は、体制面に原因があると想定された
- 体制面の問題があることを明確化するために、「体制面(個人スキルやチーム内のトラブル)以外に問題がないこと」を再確認する
- よって、再確認する内容は「同じチームが他の部分で品質・成果物に問題がないこと」
となります。また、強いていえば
- そもそもスキル不足やトラブルが想定される段階で、再度それらを確認する必要性は薄い
- この問題は品質管理の問題だから、正解はそこに近いものになりやすい
- 本文全体を通して、スキル不足やチーム内のトラブルに関する具体的記述はない(つまり、それを解答として書いたらテーマと違う内容で知識系の解答になる。それが正解例になる可能性は低い)
なども解答の根拠を強める要素かと思います。
しかしながら、私ならこの問題を正解できるようにするための努力は、優先順位を低くします。
なぜなら、毎回このレベルで深読みしていては、かなり時間を消耗しますし(けっこうプロジェクトマネージャ試験は時間制限がゆるくないです)、深読みしすぎによる不正解を他の問題で誘発する可能性があります。
もちろん、不正解であれば見直しの際に自分の読解力不足を認め、しっかりと正解の根拠を確認する必要があります。ですが、無理に「高難易度の日本語読解」を身に着けるよりは「プロジェクトマネージャとしての一般論」や「午後Iでよくあるパターンとその根拠」を習得する方が重要です。
午後Iはプロジェクトマネージャとしての一般論と、文章読解の問題
この記事では、プロジェクトマネージャ試験の午後Iの本質ではなく、テクニックによる解答・学習の方法をまとめてみました。
しかし、もちろんですが、テクニックだけでは簡単には合格できない試験です。午前試験を突破した受験者の、約半数が午後Iで不合格となります。
ただし、プロジェクトマネージャ試験では大量の用語を暗記するような必要はありません。必要なのは「プロジェクトマネージャとしての一般論」と「文章読解力」です。
午後I試験全体の傾向と対策、勉強方法については、以下の記事にまとめてありますので、興味がある方は参考にしていただければと思います。