午後Iを30問以上解いた結果 ― システム開発未経験からのプロジェクトマネージャ試験【記録5】
2月24~3月25日にかけて、模擬試験・実力診断も含めてプロジェクトマネージャ試験の午後I問題に34問取り組みましたので、その結果と点数の推移、前提となる学習方法についてまとめたいと思います。
この記事では、プロジェクトマネジメントはもちろん、システム開発・保守・運用なども未経験の、純粋なネットワークエンジニア(主な仕事はネットワークの監視・保守・運用)が、無理やりプロジェクトマネージャ試験に挑む過程を記載します。
冒頭の解説の通り、本記事は未合格者かつプロジェクトマネジメント未経験者が執筆しております。多くの教材や学習のハウツー本にも書かれておりますが、合格していない人の「これをやると効果的!」という内容はあまり信憑性がありませんので、ご注意ください。
【前提】主に利用した教材
主に利用した教材は以下の通りです。
- 情報処理教科書 プロジェクトマネージャ2020年版
- TACの実力診断テスト・模擬試験
とくに、過去問の採点には「情報処理教科書 プロジェクトマネージャ2020年版」の解答・解説を利用しました(正解の基準・予想配点・別解などの記載があるので)。
この参考書は、知識についてもプロジェクトマネージャ試験でよく問われる内容をコンパクトにまとめられているので、プロジェクトマネージャ試験で一番おすすめの参考書です。
TACは午前I免除コースで申し込みましたが、序盤で傾向分析に利用した講義動画と、論文添削と実力診断・模擬試験以外はあまり利用しませんでした。論文添削は論文試験初挑戦の人にはおすすめ。実力診断と模擬試験の必要性は低いですが、ペースメーカーとしては利用価値があります。
【前提】学習の流れについて
前提条件として、私が行った学習の流れを簡単に解説します。
- 午前II対策(3時間30分程度)
- 傾向分析(15時間近く使いました)
- 論文試験対策(軽く基礎知識も吸収)だけやって、実力診断
- 章ごとに「情報処理教科書 プロジェクトマネージャ」の基礎知識→午後I→午後II→基礎知識の順で学習
- 「情報処理教科書 プロジェクトマネージャ」を1周したら、午後I過去問演習を中心に行い、たまに午後II
また、午後Iについて更に詳細に学習内容を記載すると、以下のようになります。
- 時間を測って2~3問程度連続で演習
- 答え合わせ(1問10~30分程度)
- 「情報処理教科書 プロジェクトマネージャ」の各章の内容を全て終えたら、解いた問題の解説を全て読み直し
見直しが重要であることは理解していましたが、それでも1問20分程度でだいたい解説を読み込むことができました。
ちなみに、過去問の選定基準は「情報処理教科書 プロジェクトマネージャ」に掲載されていた各分野のおすすめ問題です。そこから優先順位の高いもの中心に抜粋すれば、30~40問程度になるかと思います。
参考書には、合格者の解いた午後Iの問題数も掲載されていますが、極端な短時間の人を除くと30~45問程度の人が多いので、安定した合格を目指すなら、ちょうどいいのではと思います。
【結果】プロジェクトマネージャ試験の午後I問題を30問以上解いた結果
まずは、全体の結果について。以下のグラフの通りです(模擬試験2回は結果が出ていないので、グラフに含まれていません)。
青の折れ線が自己採点の正解率。オレンジが合格点のライン。青の点線が正解率の近似値です。
横軸の「H28-2」は「平成28年の問2」の意味。左から右に向けて、後半で解いた問題になっています(実力診断は2月24日。H15-4は3月31日)。
初期の点数について
まず、初期状態。2回目で合格点の60%を超えていますが、合格点未満が目立ちます。
また、正解率のばらつきが非常に大きく、最高では平成21年の問1の98%。低いときは平成20年の問1の12%です。難易度の影響がないとはいえませんが、知識不足の影響で大きな勘違いを起こしやすかった時期ですので、そのため点数のブレが大きくなっていたと考えられます(当時の学習記録に「PMとしての一般論の理解不足による失点」が目立ちます)。
参考書の各章の問題を完了した時点で、正解率は平均52%ですが、60%を超えた問題は1/3程度。学習不足の段階では「点数のブレが大きく、運がないと合格できない状態」といえます。
全分野に取り組んだあとの点数について
全分野の問題に取り組み、見直しを一度行った後の問題は、平成30年の問3以降となります。
ここから先の取り組んだ問題については、正解率が60%以上で安定しています。合格基準を下回ったものも、最低で正解率54%ですので、実際の試験では2問あわせて60%を超える可能性が高いといえます。
点数が安定してきた理由としては「プロジェクトマネージャとしての一般論」に対する理解不足が減ってきたことが上げられます。初期の学習では「一般論」の知識不足だけで3割以上の不正解につながる問題が多かったですが、その解消が点数の安定に大きく貢献したと感じています。
また、参考書を1周した時点で、正解率の近似値は合格点を超えてきています。確実とはいえませんが、短期で合格を目指す場合は、参考書の各章の問題を最低2~3問程度は解いておいた方がよさそうです。
現状の課題
現在、プロジェクトマネジメントの各分野の問題について、模擬試験も含めて合計34問取り組みました。
現状での午後I試験の課題はおおむね以下の通りです。
- 【最優先】文章の読み込み不足がある
- 【やや優先】日本語の読み間違い
- 【優先度低】プロジェクトマネージャとしての一般論の理解不足
1周目では、「プロジェクトマネージャとしての一般論の理解不足」が目立っていましたが、2周目では失点の多くが「もっと文章をしっかり読んでいれば…」というものが中心です。
ですので「問題の解答を見つける流れに慣れる」ことが現状の課題です。
そのためには試験の癖を見抜き、求められている答えとなる根拠を短時間で把握できるようになることが重要です。今後は新しい問題をこなすことよりも、解答・解説の読み込みに集中したいと思います(とはいえ、試験が中止になってしまったので、再学習の際は普通に解きなおした方がよさそうですが)。
また、2番目の課題としては「日本語の読み間違い」の防止が上げられます。が、これは失点の割合としてはそれほど高くなく、また一部の問題では日本語の読み間違いを防ぐことが効率的とは思えないため、優先順位は低めです。
最後に「プロジェクトマネージャとしての一般論の理解不足」については、既に失点の原因としてはかなり減ってきています。が、午後II試験の対策になりますので、午後IIのネタ集め目的で実施したいと思います。
【考察】プロジェクトマネージャ試験の午後Iは、過去問演習でしっかり伸びる
上記の通り、過去問(実力診断・模擬試験含む)34回の演習によって、合格点を上回る状態まで成長できました。
この間、基礎知識の学習も並行して行いましたが、かなり軽めです。実際に利用した「情報処理教科書 プロジェクトマネージャ」の基礎知識の部分を読んだ際、私は1章1時間もかかりませんでした。章によっては30分未満です。
つまり「プロジェクトマネージャ試験の午後I対策には、過去問演習がかなり効果的」といえるかと思います。
もちろん、演習そのものではなく、重要なのは「どこをどう読めば答えの根拠となるのか?」「なぜ自分の出した答えは間違いなのか?」という分析です。そして、それらを行うためにも、知識を多く詰め込むよりも、早めに演習を進めていった方がいいでしょう。
誤解を恐れずに言えば「プロジェクトマネージャ試験の午後Iは、日本語の問題」です。プロジェクトマネージャとしての一般論の知識は確実に必要ですが、同時に文章を正しく読んで正解の根拠を判断する能力が求められます。そして、「日本語の問題」の割合はスペシャリスト系の情報処理技術者試験より多めです。
深い知識を身に着けるためのテキストでの学習よりも、過去問演習を中心に学習を進め、読解力を早期に身に着けることをおすすめします。