TACの実力診断テストを学習10日程度で受けた結果 ― システム開発未経験からのプロジェクトマネージャ試験【記録3】
2月24~25日にかけて、本格的な勉強開始から10日でTACのプロジェクトマネージャ試験の実力診断テストに挑戦しました。その結果が返ってきたので、問題なさそうな範囲でさらしてみます。
この記事では、プロジェクトマネジメントはもちろん、システム開発・保守・運用なども未経験の、純粋なネットワークエンジニア(主な仕事はネットワークの監視・保守・運用)が、無理やりプロジェクトマネージャ試験に挑む過程を記載します。
冒頭の解説の通り、本記事は未合格者かつプロジェクトマネジメント未経験者が執筆しております。多くの教材や学習のハウツー本にも書かれておりますが、合格していない人の「これをやると効果的!」という内容はあまり信憑性がありませんので、ご注意ください。
前提:実力診断前の学習時間
実力診断テストまでの学習時間について確認しておきます。
- 傾向分析:14時間16分
- プロジェクトマネージャ試験 過去問道場:3時間33分
- 情報処理教科書 プロジェクトマネージャ:29時間02分
- プロジェクトマネージャ 午後II 最速の論述対策:2時間58分
- 午後II 過去問 プロジェクトマネージャ試験:2時間56分
- 調べ物:8時間12分
- 合計:60時間57分(傾向分析除くと46時間41分)
Studyplusで計測していますが、「○○日より前」という条件で検索できなかったため、だいぶ集計に手間取りました(新しく機能追加してくれないかなあ)。
プロジェクトマネージャ未経験でも、すごく短時間の人は50時間くらいで合格していることもあるので「運が良ければ合格もあり得るライン(ただし、システム開発とかで基礎知識があれば)」といったところでしょうか。
午前I:免除です
免除ですので、受験しませんでした。そもそも、私が受講していたのは午前Iの免除コースです。
午前II:余裕でした
足切り(PMBOKの言葉を使えばスクリーニング?)の役目である午前II。
まともな勉強期間は10日しかありませんでしたので、勉強時間は3時間33分で挑戦です(しかも、まともな勉強期間の更に前に、隙間時間で過去問道場やっただけ)。
そして結果がこちら。
76点でA判定です。システム開発経験がないこともあり、「開発技術」の分野がものすごく点数が低いですが、本番も1週間前くらいから過去問の見直しをすれば問題はないかと思います。
正直、76点も取れたのは運が良かったと思います。計算問題はどれも自信を持って正解を取れましたが(正直、プロジェクトマネージャ試験の午前IIの計算問題は簡単です)、それ以外では2択レベルで判断した問題がどれも良い方に働いてくれたおかげです。
…まあ、試験の結果がどうであれ、基本的に午前IIは試験直前までは手を出さない方針で確定しているのですが。
午後I:過去問経験なしとしてはGOOD
次に、午後I。ちなみに、午後Iの勉強は全くやらないで受験しました(10日しかなかったから、基礎学習と午後II対策に全部回しました)。
65点!合格基準を超えた…ように見えますが、実は「実力診断テスト」なので、前半50点分の問題はかなり難易度低めにできております(ヒント付きです)。
しかし、一応は「よくできています」という評価を頂けたので、その点だけは安心しました(これで油断するとヤバイですが)。
ちなみに、前半の問1の方の結果はこんな感じ。
問題文がないとなんだかサッパリわからないと思いますが、問題文付けたら流石に掲載できませんので、勘弁してください。ヒント付きの楽勝問題なので、1ミスで50点中43点。
そして、本番レベルと思われる問2は、想定通り壊滅的でした。
まず、漢字ミス。なぜか「責任者」が二度も「責人者」になっています。二度も間違えているから、毎回こんな漢字ミスしているのかと思ったら、その後に書いてた論文はしっかり「責任者」になってました。ある意味怖いミスです。
設問1(2)は、3文字ということで、「何か特別な用語を答えるべきか?」と思い、直前に覚えた「QCD」という言葉を深く考えず突っ込みましたが、普通に文章の流れから判断すればよかったみたいです。設問2(1)は本文中にあった「方針」と「目的」までは絞り込み、その後迷ってミス。こういうセルフ2択問題でのミスは、ネスペでもよくやってました…。
50点中22点で、だいぶボロボロな状態ですが、午後Iの過去問を解いたことがない状態で受験したので「こんなものか」という印象です。
ちなみに、受験直後の自分の感想がこちら(Studyplusより)。
同じく「こんなものか」という印象らしいです。というか、「映画みながらやってたのかよ!」とツッコミ入れておきます(確か、『巨人の星』の映画版見てた気がする…)
「50点いってなさそう」といってるけど、そもそも100点満点ではなく50点満点です。
午後II(ツーウェイ添削):不合格だが手応えアリ
最重要の午後IIです(正確には論文のツーウェイ添削)。期限と自分のスケジュールの都合上、10日しかまともな勉強期間が取れなかったので、46時間の勉強のほとんどは、午後II対策のために使いました。
結果はB判定。55点
そして結果がこちら。
不合格です。が、思ったほど悪くない。というか、午後Iの本番レベルと思われるやつが50点中22点なので、それより上です。
個人的には、設問イの論述内容が、何度軌道修正してもそれてしまい、テーマに答えられなかった上、具体性もサンプル論文のあやふやな記憶に頼っていたので、C判定は覚悟していたのですが…。
設問ごとの点数はこんな感じ。
やはり設問イが難易度高く、半分も点がとれていません。また、章立ての時点で失敗していたので、設問アもテーマに沿った内容にはなっていないという評価。こっちは当時の自分はあまり認識していませんでした(過去問7回やった今ならよくわかる)。
唯一良かったのは設問ウ。設問ウは、よほどのことがない限り、本番でもこの程度の点数は取れるのではないかと思います。過去問3回目の挑戦あたりから、設問ウでの失敗はほぼありません(字数がやや少なめになりがちですが)。
それにしても、「1回目にしてはよく書けている」と評価頂けて一安心です。ラッキーもあったと思いますが、学習10日時点でこれだけ取れていれば、本番までにはA判定以上で安定させられる希望が見えてきました。
詳細な評価は以下の通りです。
一番「満たしていない」が多いのが設問アというのが意外ではありましたが、やはり点数を考えると設問イの「内容の妥当性」がだいぶ足を引っ張っているようです。
また、7割に達していない設問ウが、全て「満たしている」になっていることを考えると、やはり条件を満たしているだけで高得点ではないとこも多いようです。
更に、評価の根拠を確認してみます。
問題文の読み取り能力がまだ低かったからか、「内容が問題文に準拠していません」が多めです。また、設問ウは全て条件を最低限は満たしているものの、論述の具体性に弱さがあるとの評価です。
更に今後のアドバイスとしては、「一文が長いものがある(一部)」とのこと。ここは自分では気づいていなかったところなので、やはり添削してもらえるとありがたいです。
プロジェクトの概要(質問票)
採点対象ではありませんが、本番同様にプロジェクトの概要に関する質問票がありました。以下の通り書いて提出しています。
この辺の内容は今後もほぼ変化させない予定です(現状では、管理対象人数をやや増やしましたが)。質問票については事前に丸暗記して、本番でも短時間で書き上げたいと思います。
章立てについて
この論文添削。評価対象ではありませんが、章立て用のページも用意されていました(本番では余白でやる部分)。
実際に書いた内容はこんな感じ。
章立てはこうすればいい…というのは、知識としてはなんとなく学んでいましたが、実践経験1回では、正直無理です。
論文添削1回、過去問7回に取り組んだ現状では、問題文から必要な内容を抽出しつつ、書くべき内容を考えて…という流れが理解できましたが、「実際に章立てして、解答・解説を確認する」という作業を数回繰り返さないと、これは容易ではありません。
採点対象外とはいえ、何も書かないで提出するのも失礼かなあと思い、できるだけ頑張ってみましたが、設問ウについては、あらすじが全く書けていないという酷さです(それでいて、評価が一番高かったのが設問ウですが)。
論文添削は2回目がありますので、次回の章立てでは圧倒的な成長を見せたいと思います。
設問ア - テーマと内容が合ってない
さて、ここからが本番。まずは設問ア。
タイトルが長くて折り返しとなり、何マス空白を空けるか迷いましたが、どうやら1行目の空白より後ろからで大丈夫のようです。
また、特徴のつもりで書いたプロジェクトの規模(特徴であったとしても、論文のテーマと直接の関係がない…)は、そのまま書いただけでは、特徴としての評価は得にくいようです。この辺の感覚は、やはり添削してもらわなかったら判断できなかったと思います。
そして、後半でも「スケジュールマネジメントとして書きましょう」とのご指摘。やはり問題を正確に読み取る能力に課題アリの状態です。
設問イ - 全体として悪いが、心配だった具体例は高評価
次に設問イ。最も出来が悪い自覚があり、実際に点数も50%以下です。
書いた内容はこんな感じ。
早速「論点がずれている」とのご指摘。正直、書き始めた段階でかなり無理があるなあと思いながらだったので、もはや文字数を1000文字以上にすることに集中していた感じはあります。
ちなみに、後で気づきましたが、この論文はPMBOKの全体像を知っていれば、かなりのアドバンテージになったと思います。ざっくり全体像をまとめたものがこちら。
この論文はスケジュールマネジメントがテーマなわけですが、その中で「アクティビティ」に関する記述が3つあります。これらの流れを把握していれば、PMBOKの全体像に沿って章立てするだけで、かなり書きやすい内容だったはずです。
…とはいえ、論文書いていたときの自分は「アクティビティってなんだ?たしかWBSのとこで聞いた覚えがあるけど…」という状況だったわけですが。
論文の続き。凡ミスレベルですが、句読点は行末に書くべきとのこと。禁則処理を考えてどっちに書くべきか迷いましたが、「文字数制限あるし、字数変わっちゃうのはまずか」と思って行頭に持ってきてしまいました。
冷静に考えると、字数の上限、下限の幅は広いわけで、この程度の字数の変化より、フォーマットを優先した方が良いはずです。
更に論文の続き。
「具体的でいい記述です」と評価頂けているこの部分、わかる人にはわかりますが「情報処理教科書プロジェクトマネージャ」のサンプル論文の劣化コピーです。直前に読んでいた内容を思い出しながら、無理やり組み立てました。
自分としては、ボロ出しまくりの酷い内容だと思っていたので、論文書き上げた直後のコメントはこんな感じ(Studyplusより)。
しかしながら、おぼろな記憶が思ったより良く書けていたようで、具体性自体は高評価を得ることができました。
私にはプロジェクトマネージャはもちろん、システム開発の経験もありませんので、論文の7割くらいは「サンプル論文の劣化コピーの組み合わせ」です。そんな劣化コピーのつぎはぎ論文でも、問題文に適切に答えられれば合格は狙えると証明できただけで、この論文添削は価値ある内容だったと思います(ちなみに残り3割のほとんどは、一般論とか午後I試験の劣化コピーです)。
しかし、サンプル論文の劣化具合に気を取られた結果、冷静に考えるとスケジュールマネジメントの視点からの論述になっていませんでした。テーマと同じ内容について書いていても、視点がずれてしまえば減点となってしまうため、今後気を付けたいと思います。
設問ウ - 新型コロナウイルスを入れたかった
最後に設問ウ。書いた内容がこちら。
できが良かったという設問ウ。実際、コメントも「定量的に把握する仕組みを書きたいところ」という指摘くらいで、後はおおむね良好です。
後半の「いい記述です」となっている「インフルエンザの流行」。実は「新型コロナウイルスが流行し…」にしようかと迷いましたが、流石にそれだと「2016年の話じゃないだろ!」ということで、一発で不合格にされる恐れもあるため辞めました。
ただ、新型コロナウイルスが流行った時点で「あ、これ論文に使えそう。納期とか」と、気づくことがありました。その思い付きを応用した「インフルエンザの流行とその対策」は、この論文唯一のオリジナル部分であり、それが高評価をもらえたのは嬉しい結果です。
TACの実力診断テストをやってみて良かったこと
実力診断テストはペースメーカーとして利用できる
実を言えば、あまり実力診断テストには期待していませんでした。
理由は簡単で「本番の試験と全く同じ品質とは限らないし、どうせやりきれないほど過去問がある」から。それだったら、参考書を買えば大量に解説が付属する過去問をやった方が、本番同様のレベルで学習できるし、料金も格安です。
ただ、実際に実力診断テストに向けて準備を進める中で。
「テストまでにもっと勉強しないとヤバイ!」
という心理的効果はかなり絶大でした。
私は月100時間以上勉強するのが普通という変人ですが、そんな自分でもこの効果を勉強開始直後から感じさせられたほどです。
そういう意味で「ペースメーカー」として利用するのであれば、実力診断テストにもそこそこ価値があるのではと思います(とくに、お金はあっても忙しくて勉強しにくい社会人なら)。
論文添削は、できればやった方がいいと思う
実力診断テストの中でも、とくに論文添削はやって良かったと思います。というか、やらないと結構不利ではないかと感じました。
というのも
- 自分一人では見つけにくい欠点を指摘してもらえる
- 「この書き方で問題ないのかな?」と思う記述がを点検してもらえる
- 論述すべき内容のレベルがわかる
といった論文添削を実施しないと見えにくいところがあるため、一度は添削してもらわないと本番までの学習の質に影響するかと思います。
とくに、周囲に公平な視点で論文を添削してくれる人がいない環境では(普通いません)、参考書の解答例やその解説を読みながら、自分一人で自分の論文を採点することになるかと思います。
私も普段はその方法で学習していますが
「なんか、採点が甘くなってる気がする…」
「書くべき項目は満たしてるけど、このレベルの記述で許されるのだろうか…」
というところが、やはり気になります。
そういった悩みを解消するためにも、「予算があれば、論文添削は1度はやっておいた方がいいのでは」というのが、実際にやってみた感想でした。