歴史能力検定とは? 想定される難易度や勉強時間について
この記事では、歴史能力検定について「難易度」「想定される勉強時間」「そもそも歴史能力検定とは?」についてまとめます。
歴史好きの方、受験に歴史系の検定を活用したい方などの参考にしていただければ幸いです。
※記事の内容は2022年8月時点のものです。
歴史能力検定の難易度
公式で想定しているレベル
歴史能力検定の合格率を掲載しているページで、各級の目安となる難易度が記載されています。短くまとめると、以下の通りです。
各級 | 想定されるレベル |
5級 | 小学校修了程度。小学生の腕試し、中学生の復習の想定 |
4級 | 中学生レベル |
準3級日本史 | 中学生レベル+中学校の学習範囲外(実質、難関高校受験レベル) |
3級日本史 | 高校で学ぶ基礎知識 |
2級日本史 | 高校で学ぶ比較的高度な知識 |
1級日本史 | 学校での学習にとらわれない広い範囲(実質、難関大学受験レベル) |
3級世界史 | 高校で学ぶ基礎知識 |
2級日本史 | 高校で学ぶ比較的高度な知識 |
1級世界史 | 学校での学習にとらわれない広い範囲(実質、難関大学受験レベル) |
準3級や1級については「学校の学習範囲にとらわれない範囲」というように公式に書かれています。
しかし、実際には準3級なら「難関高校受験なら出題されるレベル」で、1級は「難関大学受験なら出題されるレベル」です。私自身、難関高校受験レベルの参考書を読み流ししたら、準3級は十分合格ラインに達しました。
また、1級合格者の体験記には「難関大学の過去問を解きまくった」というものも多く、無秩序に深い歴史の知識を学ぶより、難関大学受験を想定した学習の方が、効果的な学習ができる可能性が高いです。
歴史能力検定の合格率と年齢層
歴史能力検定については、合格率などの統計データが公式サイトに掲載されています。
合格率についてまとめると、以下のようになります(対象は、2021年に実施された第40回試験)。
対象の各級 | 主な受験者層 | 合格率 |
5級 | 10代が66.8%、10代未満が20.0% | 94.0% |
4級 | 10代が82.7% | 72.7% |
準3級日本史 | 10代が83.4% | 75.7% |
3級日本史 | 10代が57.3%(3級世界史と合わせた数値) | 39.5% |
2級日本史 | 10代が23.4%、20代~50代は15%前後 (2級世界史と合わせた数値) | 36.3% |
1級日本史 | 10代が20.5%、20代が23.4% 30~50代は15%前後 (1級世界史と合わせた数値) | 28.3% |
3級世界史 | 10代が57.3%(3級世界史と合わせた数値) | 32.1% |
2級世界史 | 10代が23.4%、20代~50代は15%前後 (2級世界史と合わせた数値) | 58.8% |
1級世界史 | 10代が20.5%、20代が23.4% 30~50代は15%前後 (1級世界史と合わせた数値) | 30.7% |
年齢層からも分かりますが、中学生レベルの日本史知識なら「準3級」、それ以上は、大学受験レベルといった感じです。
ただ、1級は趣味での受験が多くなるためか、受験勉強目的と思われる10代よりも、20代の方が受験者数が多くなっていました。
ちなみに、私は肩慣らしに準3級を受けた受験者の2.7%を占める30代の一人でした。
「歴史の勉強を全くしてないが、中学時代は得意教科だった(高校日本史は学習経験なし)」という私で、高校受験用の参考書を24時間程度流し読みで合格ラインに達し、最終的には正解率86%で合格となりました。
合格率については、2013~2015年の試験では、日本史・世界史の1級は20~25%程度という状況でした。ただ、直近2回では、1級世界史は合格率30%を超えています。
また、2020年の試験で1級日本史の合格率が53.4%になり、2級日本史と逆転した際は、公式で「平準化を今後行っていく」との発表があったため、基本的には「級が上になるほど、合格率が下がるように調整されている」と思います(とはいえ、2級世界史は21年、22年と連続で高い合格率でした…)。
歴史能力検定の勉強時間
ネット上の情報から、想定される歴史能力検定合格までの勉強時間を確認してみました。
5級の勉強時間
5級については、明確な時間が見つかりませんでした。
難易度は小学校修了程度ですので、小学生の場合は、5級から始めるといいでしょう。
ちなみに、小学3年生でも「角川まんが学習シリーズ 日本の歴史」にはまり、繰り返し読んでいた方が合格された例もあります。歴史好きのお子さんがいる場合、腕試しに利用されてもいいかもしれません。
4級の勉強時間
4級も、明確な勉強時間の情報が見つかりませんでした。
小学生の腕試しにはレベルが高いし、中学生の高校受験の準備としてはレベルが低いのかもしません。
小学生で5級を取得された方が、更に上を目指して4級に合格している例はいくつか見受けられましたが、詳細な情報は得られませんでした。
準3級日本史の勉強時間
準3級も、メインの受験者層である10代の場合の勉強時間の情報は得られませんでした。
一方、僅か2.7%の受験者である30代のパターンであれば、私が実際に受験しました。
私が測定した時間では「中学歴史が面白いほどわかる本」を24時間で流し読みしたら、過去問で合格点を超えてました。
また、その後の学習も含めて、42時間22分勉強したところ、正解率86%で合格となりました。
私の場合、高校で日本史は学ばず「歴史は好きだったが、全然勉強はしていない。史跡巡りもしてない」という状態で、31歳になり、久しぶりに日本史を勉強してこの点数でした。
「高校受験用の勉強中」「高校で日本史の勉強中」という方であれば、私よりも短時間(24時間未満で合格ライン突破)での合格が狙えるかと思います。
3級日本史の勉強時間
情報量が少ないですが、知識ゼロなら60時間、多少知識がある人なら40時間という記事が1つありました。
一方で「(ゼロからはじめて)60時間の勉強では絶対に受かりません」という記事もありました。こちらは、実際に受験され、3級で100点、2級で90点を取得された方の記事です。
そもそも、知識ゼロという評価が難しいですが(学校で勉強してしまうので)、「高校で日本史をやっていない場合、60時間以上は確保した方が安全に合格できる」と思って受験した方がいいでしょう。ただ、後述する2級で「ほぼ0から勉強して、2級に110~120時間程度で合格」という方がいましたので、3級の合格ラインまで、100時間はかからないと考えた方が妥当だと思います。
確率が低くていいなら、0時間でも合格できる?
私が3級の勉強0時間の時点で、実力診断のため2016年、2020年、2021年の計3回の過去問に挑んだところ、それぞれ52点、66点、48点となり、本格的な勉強が0時間の状態で、合格点(60点)を突破しました(詳細は上リンクの記事)。
とはいえ、私の場合は以下の学習経験があります。
- 高校日本史は学習経験なし
- 中学時代は歴史が得意
- 2017年頃(5年くらい前)まで、「歴史秘話ヒストリア」と「大河ドラマ」を見ていた
- 去年(主に2021年5~8月頃)、仏教関係を浅く広く勉強していた
- 去年(2021年11月28日)、歴史能力検定準3級に合格(正解率86%だが、合格後は勉強してない)
- 今年(2022年3月7日)、世界遺産検定2級に合格(合格後は、1級のテキストと過去問の対応付けのみ実施)
- 今年(2022年6月26日)、神社検定3級に合格(合格後は勉強してない)
「歴史の学習」という形での経験は少ないですが、一応準3級に合格してから1年以内です。また、「仏教の勉強・世界遺産検定の勉強・神社検定の勉強」あたりの知識で、毎回4点くらいは取れている手ごたえはありました。
また、平均で見れば60点を下回っているので、やはり勉強0時間では合格できない確率の方が高いという結果です。ここから安定して合格点を超えることや、試験範囲の広さを考えると、やはり追加で50時間くらい勉強した方が安全かなと感じました。

2級日本史の勉強時間
知識ゼロからだと一応、110~120時間という記事がありました。
極端に短い記事だと、18時間で合格という記事もありましたが、3級でさえ知識ゼロから60時間では難しいとなっていますので、「大学受験でかなり勉強をやりこんでいた人なら20時間程度で合格できる可能性もある」程度で考えておいた方が安全でしょう。
また、本当に知識ゼロ(中学卒業から日本史を勉強を勉強してない20代以上の人とか)だと、流石に2級を受験していないかと思います。そういった意味では、「昔、適当だったけど高校日本史の授業を受けた」「資格勉強のようなことはしていないけど、歴史番組は好き」という程度の基礎知識がない場合、120時間では合格は難しいのではないかと思います。
3級受験からの1年後、勉強時間92時間39分で受験して、68点で合格
3級受験から1年後に私が受験した際は、勉強時間92時間39分で、68点で合格しました。初期状況は以下の通りです
- 中学時代は歴史が得意
- 高校日本史は学習経験なし
- 2017年頃までは、歴史関連の番組を見てた(それ以降はテレビを見ないし、YouTubeとかも見ない)
- 2022年頃から、史跡をたまに旅行するようになった(年に2~3回ほど。最近すこし上昇傾向)
- 一昨年(2022年3月7日)、世界遺産検定2級に合格(受験後は、世界遺産検定1級のテキストと過去問の対応付けのみ実施)
- 去年(2022年11月27日)、歴史能力検定3級に合格(ただし、64点でギリギリ。受験後は勉強してない)
- 5カ月ほど前(2023年6月25日)、神社検定2級に合格(受験後は勉強してない)
- 勉強開始前に、過去問分析をしつつ、年表作成を行った
実は、勉強開始前に、過去問分析して年表を作る作業をしてしまったため(暗記はしませんでしたが)、それが学習時間に影響していた可能性は高いです。
そこで、過去問分析後に実力診断を行い、より正確な初期状況を把握した結果、以下のようになりました。
- 2016年度の過去問→50点
- 2017年度の過去問→58点
- 2018年度の過去問→58点
ただし、各年度で数問は「なんか見覚えがある用語だから、意味は分からないけどこれが正解」という選択ができてしまったので、実質的な実力は45~55点の状態から、勉強時間92時間39分で、68点で合格したという感じです。
また、40時間ほど大学受験向けの参考書で問題演習をした時点で再度の実力診断をした結果、2019~2022年の過去問で64点、66点、68点、68点でした。ですので、初期の実力が50点前後の人なら、問題演習を40時間くらいやれば合格ラインを超えてくる可能性はあります(40時間でほぼ10点ほど上昇しているので)。
また、92時間39分の内、18時間弱は日本史の勉強音声の聞き流しでした。机についてしっかり勉強した時間でいえば、75時間くらいです。聞き流しを学習時間に含める場合は、多めに勉強時間を見積もった方がいいかと思います。
1級日本史の勉強時間
1級の勉強時間の詳細な情報は、見つかりませんでした。
ただ、半年の勉強で合格し、その状態で共通テストを解いたら94/100点だったという記事がありました。
1日あたりの勉強時間が不明なので、具体的にどのくらいの勉強時間かは不明です。ただ、合格体験記によると一問一答(約1万2000項目)を全部暗記すれば何とかなると記載されていたため、「暗記するのにかかった時間+復習の時間」を数値を安定させるため100項目ほどで確認し、それを120倍すれば、大まかに勉強時間を想定することはできると思います。
また、同じ方が世界史の3級を受験した際の勉強量は、平日3時間、休日は7~11時間でした。それと同様と考え、期間半年で計算すると「平日130日×3時間+休日52日×9時間=約470時間」となります。
ちなみに、早慶文系合格までの勉強時間が推定2800時間。仮に、3科目受験で割ると、1科目あたり933時間となります。ただ、そこまでの難関試験かというと、滑り込みで合格するだけなら、もう少し簡単ではないかと思います。
3級世界史の勉強時間
3級だけなら、100時間程度でという記事がありました。
日本史の3級が「知識ゼロから60時間以上」と考えると100時間あれば、安全に合格を狙えるかと思います。
2級世界史の勉強時間
先に紹介した3級の受験体験記が、2級も併願受験していて、170時間程度で合格となっていました。
併願受験の影響で、若干余計に時間を消費しているのかなと思いますので、最初から2級に集中して学習を進めた場合は、日本史の2級と同程度(110~120時間程度)でも合格を狙えるかもしれません。
また、日本史の2級と同様だと考えると、本当に知識ゼロ(中学卒業から歴史番組もろくに見てない人とか)の場合は、120時間でも合格は難しいのではないかと思います。そういった意味では、先の受験体験記の様に170時間以上の学習をした方が良さそうです。
1級世界史の勉強時間
日本史の1級ほどに情報が無い試験です。
ただ、日本史の1級と同様程度の勉強時間になるかと思います。
同様に、世界史の一問一答を丸暗記しての受験を目指すなら、その暗記にかかる時間から勉強時間を推測することも可能かと思います。
実際に歴史能力検定(日本史)の準3級・3級を受験した結果
私が実際に歴史能力検定(日本史)の準3級、3級を受験した際の記録については、以下の記事にまとめてあります。
また、試験制度の詳細については3級の記事にまとめてあります。興味がある方の、参考にしていただければ幸いです。