【応用情報技術者】就職・転職・年収アップを狙える?試験合格9つのメリット
この記事では「応用情報技術者試験に合格するメリット」を中心に解説します。
応用情報技術者試験の受験を迷っている人、試験の効用を知りたい人の参考にしていただければ幸いです。
メリット① IT関連について幅広く理解を深められる
応用情報技術者試験は、何らかの分野に特化した知識はつきません。基本情報技術者試験もそうですが、その上位の応用情報技術者試験も、特定の分野に特化した試験ではありませんので、応用情報技術者試験だけでプログラマーやシステムエンジニアとして、社会で通用する技術を身につけることは難しいでしょう。
しかし、応用情報技術者試験の学習を通しては、幅広い知識を身につけることができるため、自分の専門分野の周辺知識についても視野が広がります。しかも、基本情報技術者試験よりも深い理解を得ることができます。
IT業界でステップアップしていけば、顧客や専門外の担当者との会話の場面も出てくるかと思います。そういったときに「相手の話を理解し、スムーズに仕事を進める」ためにも、幅広い知識を身につけておくことは非常に重要です。
また、幅広い知識を身につけることで、自分の専門分野を活かしつつ、別の業務への異動や転職を考えることもできます。「専門分野✕セキュリティ」「専門分野✕ネットワーク」「専門分野✕データベース」といったように、2つ以上の分野の知識を活かすことによって他の人にない技術を身に着けた人材として、キャリアプランを立てることも可能です。
IT業界で長く生きていくことを考えるのであれば、できれば30代前半までには学習をかねて取得すると、キャリアプランの幅が広がるでしょう。
メリット② 大学入試の際に、優遇される制度がある
大学入試の際に、以下のような入試で優遇される制度があります。
- 学科試験免除
- 合否判定優遇
- 点数加算(点数化)
- 出願条件
- 合否判定考慮
入試で応用情報技術者試験の優遇制度を実施している大学は、公表されているだけで137校(2019年5月15日時点)。基本情報技術者や、ITパスポート試験より少ないですが、同等以上の資格ですので、恐らく申請すればもっと多い大学で評価される可能性は高いかと思います。
学部については、コンピュータサイエンスに関する学部を上げている大学が多めではありますが、全学部としている大学も相当数ありますので、自分の受験したい大学が対象であれば、取得を考えてみてもいいでしょう。
ちなみに、「未来投資戦略2018」では、平成36年度(つまり令和6年)から必修科目「情報I」などを大学入学共通テストに導入することが検討されています。いずれは応用情報技術者試験の学習が、そのまま入学試験の学習として利用できるようになるでしょう。
メリット③ 大学で単位をもらえる制度がある
主に理工学部が中心となりますが、応用情報技術者試験に合格することで単位をもらえる大学があります。公表されているだけで43校。
試験の時期的に、長期休暇中に受験勉強をできますので、大学で習った内容の復習ついでに、単位を取得でき、しかも就職活動にも有利になるという一石三鳥です。就職ための強い武器が欲しい学生であれば、取得を狙ってみるといいでしょう。
メリット④ 大学生・新卒などの就職・転職活動が有利になる
応用情報技術者試験は、IT業界への就職で有利になります。しかも、大卒や未経験でIT関連への就職(第二新卒程度)、であれば、かなり有利になります。少なくとも「学習意欲が高い」「基礎知識がかなりしっかり身についている」ことを相手にわかりやすく伝える効果があります。
一つ下のランクである「基本情報技術者試験」も就職が有利になる資格といえますが、その上の「応用情報技術者試験」は学生での取得者は少ないため、周囲により大きく差をつけることができます。
新卒で応用情報技術者試験に合格している実力であれば、アウトソーシング型の会社なら、速攻で内定がでる可能性が高いレベルです。せっかく応用情報技術者試験に合格しているのであれば、ちょっと高望みした会社への就職を考えてもいいでしょう。
メリット⑤ 大企業に対してアピールしやすい
採用する側のメリットとして、有資格者の人数というのは外部へのアピールでよく使われます。
とくに、大手の企業でこの傾向があり「応用情報技術者試験の合格者〇〇人」といった具合にアピールを行うことがあるため、同等レベルの人の採用を考えるのであれば、有資格者が優先的に採用対象となる傾向があります。有資格者の人数については、官公庁関連の案件で入札の条件となることもあるため、官公庁関連の案件を受注することの多い企業に入社する場合も優遇されやすい条件となります。
また、大量のエントリーシートを確認する必要がある会社であれば、エントリーシートをふるいにかけるフィルターとして働く可能性が高いです。大企業を狙う場合、積極的に合格を狙ってみるといいでしょう。
メリット⑥ 30代前半までならキャリアアップに使える
会社内外をとわず、若いうちであれば、キャリアアップに使える資格です。
社内でも合格すれば評価はあがりますし、キャリアアップの転職を考えている人であれば、その過程で学習ついでに取得しておくと、スムーズな転職の助けにもなります。
もちろん、キャリアアップの転職では実務経験が必須となりますが、同じレベルの実務経験ありであれば、やはり有資格者が優先されやすいのも確かです。とくに30代前半での転職であれば、キャリアアップの際に有効です。
ただし、30代も後半になってくると、評価されにくくなってきます。30代後半であれば、より上のレベルの資格をとるか、実務経験をアピールするといいでしょう。
メリット⑦ 合格をとおして金銭的なメリットがある
応用情報技術者試験の報奨金はおおむね50,000~200,000円、資格手当は5,000~20,000円程度のようです(「応用情報技術者試験ドットコム」より)。
条件さえあえば、勉強ついでに受験料と参考書代を差し引いてもちょっとしたお小遣いが稼げる程度の効果はあるといえるでしょう。
また、応用情報技術者試験の合格をとおして、社内での評価を早く上げておけば、役職も早めに上げられるため、大幅な昇給も狙うことができます。実際の金銭的効用は報奨金だけよりも高いといえるでしょう。
応用情報技術者で年収が上がるか
これは、会社などにもよるので明確に申し上げにくいのですが「応用情報技術者を取ったからと言って、資格手当などで大幅に年収が上がる可能性は低い」ことは確かです。
企業によっては月額2万円程度上昇するという話もありますが、私の周囲のエンジニアが働いている会社には、応用情報技術者で月額の手当てがもらえる会社はありませんでした。
しかし、年収が低い企業に勤めているエンジニアが、応用情報技術者を取得しておくことで年収の高い会社に転職できる可能性を上げることは十分可能です。
メリット⑧ 高度情報処理技術者試験の科目免除が2年間受けられる
2年間の限定となりますが、高度情報処理技術者試験を受験する際に、午前Iの科目が免除され、受験が有利になります。わたしも「情報セキュリティスペシャリスト」の受験の際に利用させてもらいました。
正直、応用情報技術者試験に合格した人であれば、午前Iはちょっと勉強しなおすだけで合格ラインまで持っていくことができます。しかし「高度情報処理技術者試験」は年1回のチャンスとなるため、少しでも合格率を上げられるメリットは悪くないかと思います。
メリット⑨ 情報処理以外の試験・任用等でも効果がある
情報処理以外の試験などでも、応用情報技術者試験に合格していることは利用できます。
例えば、以下のようなメリットがあります。
- 弁理士試験の科目免除
- 中小企業診断士試験の科目免除
- コンピュータ犯罪捜査官の任用資格
- 技術曹・予備自衛官補の任用資格
- ジュニアマイスター顕彰制度で30ポイント加点される
あまり万人向けのメリットではありませんが、条件があえば取得を考えてみてもいいでしょう。
応用情報技術者試験がおすすめの人物像
応用情報技術者試験がおすすめの人物像について、わたしは以下のように考えています
- 志望している大学で優遇制度がある高校生
- 入試で「情報関係基礎」を利用できる高校生
- 応用情報技術者試験で単位を認められる大学生
- IT業界への就職を考えている学生
- 情報系の知識を幅広く身につけたい人
- 未経験からIT業界への転職を考えている人
- IT業界に就職したばかりで、キャリアアップを考えている新社会人
- キャリアアップの転職・年収アップを考えている社会人
おすすめの人物像は、基本情報技術者試験とほとんど同様です。しいていえば、キャリアアップの転職を考えている人であれば、応用情報技術者試験以上が必要となります。
難易度は基本情報技術者試験より上と考えて差し支えありませんが、応用情報技術者試験も学生が(真面目にやれば高校生でも)十分合格できる試験であると私は考えています。
そういった事情から、勉強する人の「基礎知識」「時間」「モチベーション」次第で、「基本情報技術者試験」と「応用情報技術者試験」のどちらを目指すべきかは変えていいと思います。
ただし、20代も後半になっているのであれば「応用情報技術者試験」を取得したほうがいいでしょう(段階的にとったほうが、会社の評価を上げやすい人は別です)。
応用情報技術者試験の勉強方法については、以下の記事にまとめてありますので、興味がある方は参考にしていただければと思います。