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【世界遺産】「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」の「韮山反射炉」に行ってみた

5月 14, 2023静岡旅行【国内】世界遺産

何故かガッカリ世界遺産として有名な韮山反射炉

しかし、実際に行ってみると、世界遺産の構成遺産単体としては、むしろじっくり楽しめる良い観光地でした。

この記事では明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」の構成遺産の一つである「韮山反射炉」について、実際に観光してみた際の内容を解説します。

「韮山反射炉に興味がある方」「韮山反射炉を観光予定の方」などの参考になれば嬉しいです。

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韮山反射炉の観光情報

韮山反射炉の観光情報

  • 営業時間:10月から翌年2月は9:00~16:30、3月~9月は9:00~17:00。
  • 休場日:だいたい、月に一回水曜日が休み。その他臨時休業あり。詳細はこちら
  • 見学料金:高校生以上500円、生徒・児童50円(団体は高校生以上450円。伊豆の国市民、障がいのある方、障がいのある方の付き添い1名までは無料
  • ガイド:無料
  • 所要時間:45~60分。私はお土産屋にも行って70分ほど。
  • アクセス:ガイダンスセンター前に無料駐車場あり。観光周遊型バス(乗り放題1日500円)が、10~15時まで1時間に1本あり。レンタルサイクル1000円(韮山反射炉の入場とセットプランあり)。最寄りの伊豆長岡駅からは徒歩30分弱。

※詳細は変更の可能性もあるため、訪問前には公式HPなどの情報をご確認ください

韮山反射炉とは?

簡単に言ってしまえば「幕末期、西洋式の海防政策の一環として、鉄製大砲を鋳造するために作られた溶解炉」です。

韮山代官である江川英龍の進言で作られましたが、途中で英龍が過労死。その子英敏の代になって完成当時は、この施設内に水車を活用した大砲の加工施設があり、近くで性能試験として試射も行われていました。

韮山反射炉は、反射炉のモデルにもなり、反射炉は後に国内に複数作られたそうですが(この辺は、富岡製糸場と似てる)、実際に稼働した反射炉としては、現在では国内で唯一現存する反射炉になります。

韮山反射炉も、1864年に幕府直営反射炉としての役目を終えたあと、明治初期には周囲が荒れていました(写真で見ましたが、雑草だらけ)。

その後、保存活動が始まりますが、地震によって一基の上部は倒壊。その後の修復の際に、耐震用で斜めの鉄骨フレームが付けられ、今の形になりました(この方が、デザインがカッコいいです)。

実際に韮山反射炉を観光してみた

念のため、先に断っておきますが、写真のデータ(というか、スマホ)が破損しました。その為、写真の掲載無しです。

本当は、データが破損したから記事にするか迷ったのですが、構成資産単体の観光地としては気合が伝わる内容だったため、「これがガッカリ遺産と言われるのはしのびない」と思いました。

そこで、少しでも韮山反射炉の良いところが伝わればと思い、今回は持ち帰ったパンフレットの写真を使いつつ、記事にさせて頂きます。

韮山反射炉のガイダンスセンター

駐車場に到着すると、直ぐ目の前にガイダンスセンターがあります。ここで入場券を購入して入場します。

ガイダンスセンターは、ちょっとした博物館になっており、展示とシアターによる映像での解説があります。展示と映像(8分程度)で、じっくり見ていけば20分くらいかかるかなと思います。

ここで、ガイドの方が参加したい人を募って、外で20分程度の無料ガイドをやってくれます。映像は10分おきにスタートするため、ガイドのタイミングが来たら、先にガイドを聴いて外を散策し、それから帰ってきて展示を観てもいいかなと思います(私はそうしました)。

韮山反射炉

こちらが韮山反射炉(のパンフレットの表紙の写真……)です

外は反射炉だけでなく、元は大砲製造を行うための設備が色々と整った場所でした。現在は、反射炉の他、大砲の展示などがある公園のようなスペースになっています(少し前まで、敷地内の桜が咲いていて、美しい風景が撮影できたそうです。が、どっちみちスマホ壊れたからいいか)。

反射炉は、色とりどりな煉瓦でつくられていて、美しいデザインなのですが、これは偶然の産物。実は当時まだ煉瓦の作成技術が整っていなかったため、試行錯誤しながら作っていたら、結果的にこうなったそうです(この辺り、富岡製糸場の煉瓦にも少し通じるところがある)。

ちなみに、世界遺産の修復は、当時と同様の形での修復が必要であるため、この煉瓦についても毎回入れ替える煉瓦に応じた質の煉瓦を焼いているそうです。

反射炉の周囲には、実際にどの部分が、どのように使われていたのかという情報や、反射炉の原理についての解説などが置かれています。

こういった部分は、ガイドの方がわかりやすく解説してくれますので、やはり無料ガイドを使った方がおすすめです。

お土産とレストラン

施設の外ですが、すぐお隣にお土産屋とレストランがあります(ついでに、江川英龍像と反射炉の撮影スポットもありました)。

ここで反射炉ビヤなどの韮山反射炉関係のお土産の購入ができますし、1日10食限定の反射炉カレーなどもありました。

ちなみに、私は韮山反射炉の建造に着手した江川英龍が作ったとされる「日本で最初のパン(とされていたもの)」を購入

保存食目的で作られている為、かなり硬くて、スープなどにつけながら食べる事を想定しています

実際に食べてみると、一応かみ砕いても食べられなくは無かったけど、かなり硬い。ただ、喉の水分を持っていかれるような事は無く、水が必須という訳でもない(この辺りは、保存食として優秀かも)。また、元が硬いので、スープにつける場合もある程度の時間つけっぱなしにしないと、柔らかくはならないです。味は普通にパンの甘みがあり、温かいカフェオレにつけて食べてもけっこう美味しかったです。

ちなみに、後で江川邸を訪れた際にガイドの方から教えてもらいましたが、2022年に江川邸から更に古いパンの作り方の資料が発見されたらしく(古い資料が多すぎて、現在も調査が続けられている)、そっちのパンは柔らかく、胡椒が利いた味付けらしいです。

韮山反射炉がガッカリ世界遺産と言われた理由は?

「韮山反射炉」は、その名前で検索すると「がっかり」と出てきてしまう可哀そうな世界遺産です

がっかりと言われる原因を考えてみると、たぶん以下の2点かなと思います。

  • ガイダンスセンターができる前(世界遺産登録から1年5カ月ほど)の頃に観光した
  • そもそも「世界遺産」に対する認識の問題

まず、今回私の評価が高かったのは、ガイダンスセンターの充実度が大きいです

他の世界遺産の構成資産単体(「荒船風穴」や「高山社跡」など)を訪れた時と比較すると、かなり気合が入っています。ミニシアターまで作って動画解説をやっている構成資産は数少ないです。

しかし、このガイダンスセンターができたのは、世界遺産登録から1年5カ月以上後の事

それまでのガイド方法がどうなっていたかまでは把握できていませんが、最も来客が多いであろう時期に、ガイダンスセンターの本領発揮ができなかった点は「ガッカリ遺産」として名前が広まってしまった原因かと思いました。

また、そもそもの話ですが「世界遺産」に対する認識の問題もあります。

世界遺産を単純な「観光施設」として観てしまうと「思ったほど内容が無いし、見た目もパッとしない」という結論になってしまう可能性はあります。実際、中規模以上の博物館に行った方が、収蔵品は圧倒的に多いですし、滞在時間も長いです。

とくに複数の場所に点在する世界遺産(シリアルノミネーションサイト)の場合「世界遺産の構成資産の一つ」単位では、その規模はかなり小さいことも多いです。「富岡製糸場」や「ロンドン塔」のような大きな施設や、そもそも規模が無いと登録されにくい自然遺産はともかく、文化遺産の構成資産の一つというのは「歴史的な価値」はあっても「見栄えや規模」は必ずしも突出している訳ではありません

その点の知識が無く「世界的に重要な施設!」という期待で観光に訪れると、心理的ハードルが高くなり、結果的に「がっかり」という感想になるのかなとは思います。

いずれにしても、「世界遺産の構成資産の一つ」という規模で考えれば、現在の韮山反射炉は決してがっかりなレベルではなく、むしろ同様の遺産の中では気合が入っている方と、私は評価したいと思います。

韮山反射炉の周辺を観光するなら?

より深く韮山反射炉を楽しめる「江川邸」(セット割もありました)

一緒に観光するならおすすめは江川邸。韮山反射炉の建造を幕府に申し立て、実際に指揮していた韮山代官、江川英龍が利用していたお屋敷です。

ここは、単に江川邸に残されていた物や、江川邸の景観が楽しめるだけでなく、かなりガイドが充実しています(平日に行ったので、ガイドの方に1時間近く相手してもらいましたが、なんと無料!)。

しかも、通常料金で大人一人650円ですが、韮山反射炉とセットだ800円ですので、プラス300円で観光できます

アクセスは韮山反射炉から自動車で6分ほど。自動車がないなら観光周遊型バス(乗り放題1日500円)や、レンタルサイクルもあります。徒歩だと30分ほど。

ちなみに、江川邸の周囲には北条早雲が築いた「韮山城跡」や、江川家の菩提寺でもある「本立寺(江川英龍のお墓もある)もあり、それらも回ればサクッと回って1時間、ゆっくり回って2時間以上楽しめると思います(どれも訪れて写真を撮ったのですが、全部データ(スマホ)破損した……)。

北条家ゆかりの地(北条家の史跡に興味があるなら…)

「北条の里さんぽ路」と「頼朝・政子語らいの路」、そして「古川」と「狩野川」沿いを歩き、北条家ゆかりの地を訪ねるのもおすすめコース。ただし、見た目で凄い内容ではないため「北条家ゆかりの地に興味がある」という人向けのコースです(「鎌倉殿の13人」で興味を持った人とか)。

こちらは、細かく史跡があり、以下の様な史跡があります(守山西駐車場から時計回りに回った順)

  • 円成寺跡(北条氏の館があった)
  • 北条政子産湯の井戸北条政子の産湯の水をとったとされる
  • 堀越公方足利政知の館跡遣り水や滝口などの池跡が見つかっている)
  • 成福寺(北条氏一族の菩提を弔うため開創された寺。蓮の名所でもある。現在の住職の方も、開基の北条正宗の子孫)
  • 光照寺(源頼朝の宿館と推定される寺
  • 守山八幡宮(源氏の守護神・八幡神を祀る社。私が観光した際は、鳥居に崩落の危険があり、鳥居はくぐれませんでした)
  • 願成就院(北條時政が建立。境内に、北條時政と足利茶々丸の墓がある。宝物には、運慶作の国宝の仏像群もあります)
  • 信光寺(武田信光が開基。修禅寺に流罪となっていた源頼家を信光が見舞った際、帰路で頼家が亡くなったことを知り、出家したとされる)
  • 真珠院(頼朝との悲恋の末、入水自殺したとされる「八重姫」をまつる寺。「梯子あったら救うことができた」とのことで、願い事が叶った際に、小さな梯子を供える「梯子供養」が行われる)

徒歩でぐるりと回ることになるかと思いまが、単純な歩行時間だけで40~50分ほど。その上で、一か所ずつ観ているなら、2時間以上は見積もった方がいいでしょう(私は2時間30分くらいかかりました)。

ちなみに、守山東駐車場側は観光周遊型バス(乗り放題1日500円)が巡回しますし、守山西駐車場側にはレンタルサイクルがありました。

「韮山反射炉」以外の「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」は?

「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」構成資産数は23件、ただし、ある程度はまとまっており、全国8県11市に点在しています(隣接する市をまとめると、8つのエリア)。

まとめると以下の通りです。

構成資産

  • 岩手県釜石市(橋野鉄鉱山)
  • 静岡県伊豆の国市(韮山反射炉)
  • 山口県萩市(萩反射炉、恵美須ヶ鼻造船所跡、萩城下町、松下村塾)
  • 佐賀県佐賀市(三重津海軍所跡)
  • 福岡県北九州市(官営八幡製鐵所(更に3つの資産にわかれる))
  • 福岡県中間市(遠賀川水源地ポンプ室)
  • 福岡県大牟田市~熊本県荒尾市(三池炭鉱・三池港(更に4つの資産にわかれる))
  • 熊本県宇城市(三角西(旧)港)
  • 長崎県長崎市(小菅修船場跡、三菱長崎造船所 第三船渠、長崎造船所 ジャイアント・カンチレバークレーン、長崎造船所 旧木型場、長崎造船所 占勝閣、高島炭坑、端島炭坑、旧グラバー住宅
  • 鹿児島県鹿児島市(旧集成館(更に3つの資産にわかれる)、寺山炭窯跡、関吉の疎水溝)

世界遺産検定一級で出題された「韮山反射炉」の知識

2010~2021年までの過去問を分析した結果、以下の知識のからの出題がありました。

  • 江川英龍によって建造された反射炉
  • 実際に稼働していた反射炉としては、国内で現存する唯一の反射炉

どちらも、実際に観光した人であれば、現地で学習できる重要知識です。

その他、全国8県11市に点在していることなど、全体としての情報として問われたこともあります。

5月 14, 2023静岡旅行【国内】世界遺産