【ネットワークスペシャリスト】通学・通信講座は有効か? 講座比較と講座選びのポイント
この記事では、主に以下の内容を中心に解説します。
- ネットワークスペシャリスト試験のスクール選びのポイント
- ネットワークスペシャリスト試験のスクール比較
・スクールを比較してみたい人
におすすめの記事です。
※この記事の内容は2022年3月12日に行った調査をもとに執筆しています。
結論。ネットワークスペシャリスト試験のスクールの選び方
- 選択肢の幅は狭い
- 標準的な勉強時間の場合、勉強時間を1割削減できれば、コスパは優秀
- 割引制度抜きで最も安いのは「iTEC」の講座
- 無料体験セミナーは少ない。事前調査は資料請求で
- 割引制度も考慮してスクールは選ぶこと
- 必要な講座の内容は、過去問を解いて判断する
ネットワークスペシャリストの主な講座の比較
ここでは、ネットワークスペシャリスト試験向けの主な講座のメリット・デメリットについて解説します。また、この記事では費用が高額であまり個人向けとは言えない講座については、意図的に解説から外しています。
iTEC(初心者向けコースと、問題演習のみのコースでは最安値)
- 初心者向けコースでは最安値
- 書籍・テスト・模試など、疑問点を講師に質問できる
講義動画は重要個所などの部分的なもののみ。基本の学習は書籍(市販の物)で行う
全体的な学習ができる初心者向けのコースなら、最安値で利用できる通信講座です。選べるコースは以下の通り。
また、通信講座でありながら、疑問点についての質問ができるという手厚いサポートもポイントです。
確認できた講座は4種類。特徴は以下の通りです。
- スタンダードコース:45,100円。初心者向け。全体が学習でき、模試つき。
- 午前I免除コース:41,800円。午前I免除者、あるいは午前Iは独学で自信がある人向け。ただし、同じ午前I免除なら資格の大原の方が安い。模試つき。
- 午後I・II対策コース:36,300円。午前I・IIは独学で大丈夫な人向け。午後試験に特化した内容。模試つき。
- プラクティスコース:26,950円(模試なしで18,700円)。テキスト無し。WEBのテストと問題演習中心。模試は選択制。
この他に直前対策の講座がありますが、価格が高めですので(6万円程度)、申し込むなら通常の学習コースに申し込んで、早めから学習をすすめるといいでしょう。
割引制度としては以下のようなものがあります。
- クーポン割引(iTECの講座を受講し、合格体験記を書くと15%割引クーポンがもらえます)
- 早割
- 重複教材割引(書籍を持っている場合、不要である旨申請すれば書籍代の80%が割引かれる)
ちなみに「午後I・II対策コース」は書籍代を除くと「プラクティス」コースの模擬試験付きとほぼ同額で受講できます。
ただ、「午後I・II対策コース」よりは「プラクティス」コースの方が、以下の理由でおすすめできます。
- 書籍は必要に応じて自分で買い揃えた方が、安い可能性がある(中古で買い揃えることもできる)
- プラクティスコースのほうがWeb教材の内容が充実している
模擬試験の会場については、2019年ごろは以下の内容が指定されていましたが、2022年3月12日時点では、自宅のみ選択可能です。
- 東京会場(目白大学 新宿キャンパス)
- 大阪会場(TKP 大阪本町カンファレンスセンター)
- 名古屋会場(名古屋ダイヤビルディング)
- 自宅
資格の大原(午前I免除コースを利用したい人におすすめ)
- 午前I免除コースとしては最安値
- メールで質問が可能
コースの選択の幅が狭い
全体的な学習ができる初心者向けのコースなら、最安値で利用できる通信講座です。選べるコースは以下の通り。
また、通信講座でありながら、疑問点についての質問ができるという手厚いサポートもポイントです。
確認できた講座は4種類。特徴は以下の通りです。
大手資格予備校である「資格の大原」の講座です。
コースは以下の2種類。
- 総合本コース:57,000円。初心者向け。通信講座。模試つき。
- 午前I免除コース:32,000円。午前I免除者、または午前Iは独学で自信がある人向け。通信講座。模試つき。
利用するのであれば、「午前I免除コース」がおすすめです。午前Iは過去問で十分対策ができますし、難易度もそれほど高くはないからです。とくに過去に応用情報技術者や午前I試験に合格したことがある人は、免除の制度が利用できなくても午前I免除コースを選ぶといいでしょう。
また、高度試験の午前I対策については、Webセミナーに無料サンプルがあります。興味がある方は参考にしてみてもいいでしょう。
割引制度としては、以下のようなものがあります。
- 本試験経験者割引(20%OFF。過去にネットワークスペシャリストを受験した経験のある人が対象)
- 大原受講生割引(3%OFF。過去に大原講座(20,000円以上)を利用した人が対象)
- 再受講割引(30%OFF。一般価格60,000円以上の講座を再受講する人が対象)
本試験経験者割引を利用する場合、受験票データが必要になります。
TAC(再受験割引の50%が利用できる人におすすめ)
- メールで質問が可能
- 講座のタイプは充実
大手資格予備校である「TAC」の講座です。コースは5種類。
- 本科生:75,000円(DVD通信講座は85,000円)。初心者向けコース。模試つき。
- 本科生プラス:85,000円(DVD通信講座は95,000円)。「本科生」より午前I対策が手厚い。模試つき。
- 本科生(午前I試験免除):60,000円(DVD通信講座は70,000円)。「本科生」から午前Iを抜いた内容。模試つき。
- 上級コース:53,000円(DVD通信講座は58,000円)。午後試験対策のみのコース。模試つき。
- チャレンジパック:33,000円。講義無しで学習経験がある人を対象としたアウトプット中心コース。模擬つき。
基本的には、講義動画はネットでの配信か、DVDで受け取る形態の講座となり、DVD通信講座の場合は料金が5,000~10,000円高くなります。また、チャレンジパックについては、講義動画なしで「教材+模試」となります。
利用できる割引制度は以下の通りです(詳細はこちら)。
- 再受講割引:同じ講座を受講する場合、50%OFF
- ステップアップ割引10:TAC情報処理講座の受講経験がある場合、10%OFF
また、試験分析や勉強方法についての動画が用意されています。興味がある方は確認しておいてもいいでしょう。
また、無料講座説明会を受講することで、入学金1万円分の免除券がもらえることがあります。可能であれば、申し込み前に入学金の免除券を入手しておくといいでしょう。
ShareWisの過去問徹底解説(過去問重視の人におすすめ)
ちょっと毛色の違う講座としてShareWisのネットワークスペシャリスト試験過去問徹底解説の講義動画があります。
一つあたりの料金を考えると、過去問を買った方がコスパが……とも感じられます。が、この動画、ネットワークスペシャリスト試験を独学で突破した人なら多くの人が(私も)お世話になっている左門至峰さんの解説動画です。
もちろん、コスパを考えればご本人が執筆されているネスペシリーズの過去問を利用した方がリーズナブルではあります。ただ「ネスペシリーズ程にわかりやすい解説でも、内容が理解できない!」という人であれば、動画でじっくり説明してもらうのも一つの手かもしれません。
左門至峰によるネットワークスペシャリスト試験対策セミナー(ネットワーク初心者から、キッチリ技術をつけたい人向け)
左門さんの開いている試験対策セミナーです。
ただし、最低限のネットワークの知識は必要で、「ネスペ教科書」を読んで、基礎知識を知っておくことが推奨されています。
逆に、ネスペシリーズの過去問が理解できるレベルの人であれば、それほど有意義なセミナーではないとのことです。
「ネットワークの基礎知識はつけたが、過去問の解説を読んでもまだ理解できない」というレベルの人であれば、受講してみてもいいでしょう。
ネットワークスペシャリストの講座選びについて
簡単にスクール選びにおける事前知識やメリット・デメリットをまとめます。
講座についての事前知識
ネットワークスペシャリストの講座は選択肢が少ない
ネットワークスペシャリスト試験で利用できるスクールはかなり少ないです。
主な講座は以下の3つです。
- iTEC
- 資格の大原
- TAC
この他にも講座はありますが、上記3つのいずれかと提携した講座か、個人で申し込むには高額な講座が中心となります。
上記の講座については、全て通信講座となっており、TACのみDVDでの通信講座の選択肢もあります。
また、全体的な講義ではなく、個別の過去問開設については、ShareWizのネットワークスペシャリスト試験の過去問解説や「左門至峰によるネットワークスペシャリスト試験対策セミナー」があります。
講座の予算は概ね2~10万円程度
講座の予算は概ね2~10万円程度となります。
試験の全体を網羅するコースの場合5~10万円程度。午後試験対策に絞り込んだコースの場合は3~5万円程度のものが多いです。
中には50万円を超える講座もありますが、個人で割引も無く利用するのには不向きですので、この記事では紹介しておりません。
それぞれ、割引制度もありますので、最終的にはそこも含めた価格で選択することとなります。
講座を使うメリットとデメリット
【メリット】より確実な合格を狙いやすい
ネットワークスペシャリスト試験は難関試験に分類されます。
合格率は受験者比でおおむね13~15%程度。応募者比で考えると、合格率の平均は10%を下回ります。受験者の大半が実務経験があったり、専門的に学習している人という試験でこの合格率ですので「学習経験がある人が挑んでも合格率が低い試験」といえます。
また、チャンスは1年に1度のみの試験となる為、一度試験に落ちてしまうと、次の試験まで1年待つ必要があります。更に、同じ日程で他の高度情報処理技術者試験も実施されているため「来年は別の試験を受験したい」という人は、予備校のノウハウを利用して、より確実な合格を目指すといいでしょう。
【メリット】学習時間の削減に使える可能性が高い
ネットワークスペシャリスト試験は、実務経験のある人でも半年程度の学習期間で合格を目指す人が多い試験です。
1日1時間の勉強を想定するなら、半年で180時間。少なくはない勉強量になります。
もし、講座を利用して1割でも勉強時間を削減できるのであれば、削れる時間は18時間。削減できる時間と費用の関係を考えて、講座の利用を検討してみるのもありです。
【デメリット】講座の利用は短期合格には向いていない
もしも数十時間程度での短期合格を目指す場合は、苦手分野の知識の学習と、試験の出題形式に慣れることが優先されます。
多くの講座の場合は、試験の全体を学習することになってしまうため、どうしても短期合格を目指すのには不向きです。
直前対策講座も存在しますが、価格が比較的高額になってしまうため、あまりおすすめはできません。
ネットワークスペシャリストに模擬試験は必要か?
講座によって、オプションで付属しないこともある模擬試験。
正直に言うと、ネットワークスペシャリスト試験(というか、高度区分の情報処理技術試験)の教材としては、模試よりも本番の過去問の方がおすすめです。というのも、いくら本番そっくりに作っても、必ずの模試しも本番水準が作れるとは言えませんし、仮に本番の水準であったとしても、ネットワークスペシャリスト試験は過去問が豊富であるため、そもそも試験勉強で過去問が尽きることが無いからです。
では「模試は不要か?」というと、必ずしもそうとは言えません。
模試の最も重要な役割は「ペースメーカー」です。模試の日までに、一定の点数が取れるように勉強する事、またその時点の点数から、本番までに自分が上げていかないといけない点数を強く意識できるからです。もちろん、過去問を利用しても同様の事は出来ますが、「模試を受験することで、本番同様に評価される」というメンタル面のプレッシャーが、ペースメーカーとしての役割を果たします。
逆に「模試と過去問同様の扱いで利用する」「模試を予想問題として利用する」場合は、あまりおすすめできません。そういった場合は、あえて模試を優先して講座を選ぶ必要は低いと思います。
講座に申し込む前にやるべきこと
資料請求で講座を比較する
資料請求をすることで、事前に情報の比較を行います。
ポイントとしては
- 講座のカバーしている範囲(午前試験を含むかなど)
- 講座の料金
- どの程度の学習期間が想定されているか
といったところです。資料には割引制度や特典なども含めて詳細が記載されていますので、自分にとって必要最低限の内容で、もっとも安く受講できるものを選択するといいでしょう。
ちなみにネットワークスペシャリスト試験ではほとんど無料の体験講座がありません(TACで稀に開かれています)。
割引制度を前もって確認しておく
先に個別の講座の紹介でも記載しましたが、予備校ごとに独自の割引制度があります。
利用できる制度はあまり多くはありませんが、中には半額が割り引かれる制度もありますので、先に資料から自分の利用できる割引制度を確認して、もっともコストパフォーマンスがいい講座を選択するようにしましょう。
過去問の手応えを確認しておく
スクールを利用するかを検討するのであれば、一度過去問を解いておくといいでしょう。
過去問を解いてみないと「午前試験対策はいらない」「そもそもスクールを利用する必要がない」「全体の試験範囲について、スクールを利用したほうが良い」などの判断が難しいかと思います。
過去問については、ネットで公開されているものを利用すれば、無料ですぐに挑戦できます。詳細な解説を読みながら解いてみたい場合、中古の参考書を購入すれば、比較的安く挑むことも可能です。
教育訓練給付制度
条件がありますが、会社員は「教育訓練給付制度」が利用できることがあります。
入学金と受講料の20%が支給されますので、高額な講座の場合には大幅な減額ができる可能性があります。
「欠点は一度利用すると3年間は利用できなくなる」というところ。3年以内により高額のスクールで、この制度を利用する予定がある場合は、利用を避けた方がいいでしょう。
「教育訓練給付制度」の利用資格や必要な条件については、下記のサイトがわかりやすく解説していますので、参考にして頂ければと思います。
*1 教育訓練給付制度は、「雇用保険に加入していた・している」が利用条件となるため、公務員や自営業の方は利用できません。
ネットワークスペシャリスト試験の講座は、それほど高額ではない
難関の資格試験であり、学習時間を必要とする試験ですが、ネットワークスペシャリスト試験のスクールの料金は、基本情報技術者試験や応用情報技術者試験と比べてもそれほど高くはありません。
試験範囲全体を含むコーズを選択した場合でも、安いものであれば5万円未満で利用が可能であり、勉強時間が十分に短縮できるなら利用価値があるといえるでしょう。
また、難関である午後I・II試験にだけ絞った講座を利用すれば、より低価格で試験対策ができますので、より確実な合格を目指したい人は、講座の利用も検討してみてもといいでしょう。
もちろん「過去に難関試験に合格したことがある」「ネットワークの知識は豊富なので、独学で十分」という人であれば、独学での挑戦もOKです(私も独学でした)。
私が独学で合格した際の勉強方法・勉強時間・参考書については、以下の記事でまとめてあります。興味がある方の参考にしていただければ幸いです。