【博物館】「ロンドン自然史博物館」の観光情報と、実際に観光した感想
この記事では、ロンドンにある「ロンドン自然史博物館」の観光情報と、中学生以下の英語力で観光した際の内容をまとめます。
「ロンドンを観光予定の方」「ロンドン自然史博物館に興味がある方」などの参考になれば嬉しいです。
ロンドン自然史博物館の観光情報
- 費用:無料(特別展は有料)
- 営業時間:10:00~17:50(最終入場は17:30)
- 休業日:12月24~12月26日
- 所要時間:見どころだけなら1時間、全体をざっと見るだけなら2時間。じっくり見るなら3時間以上。私は無料エリアの全てを見学して5時間ほど。
- 日本語対応:なし
- 写真撮影:可
- 備考:無料Wi-Fiあり
※詳細は変更の可能性もあるため、訪問前には公式HPなどの情報をご確認ください
ロンドン自然史博物館までのアクセス
住所は「Cromwell Rd, South Kensington, London SW7 5BD」。
最寄り駅は「サウスケンジントン駅」。ここから徒歩で5分ほど北に向かった場所にあります。
周囲には、同様に無料の博物館である「ヴィクトリア&アルバート博物館」や「科学博物館」もあり、どれも見ごたえがありますが、見ごたえがありすぎて、じっくり見るなら頑張っても1日1.5か所を見学するので限界です。とくに、ヴィクトリア&アルバート博物館は、大英博物館並みの規模を誇る為、ここ1か所だけでも1日あっても足りないほどです。
また、少し距離は離れますが、北に歩けばケンジントン宮殿。東に電車で向かえば直ぐにバッキンガム宮殿やウェストミンスター寺院など、日本人でも聞いたことがありそうな観光名所に行けてします地域です。
ロンドン自然史博物館とは?
ロンドン自然史博物館は「世界でもトップクラスの規模を誇る自然史博物館」です。収蔵品は約8,000万円。
ロンドン自然史博物館は、元は大英博物館の別館としてスタートしました。当初、大英博物館では動植物や鉱物の展示もありました(現在でも、一階の「啓発時代(Room1)に少し残ってます)。しかし、コレクションが膨大になるにつれて、自然史関連の展示について、別館を作るべきという意見が出始め、1862年に開催されたロンドン万国博覧会跡地が、別館として購入され、1963年に正式に独立しました。
展示は、動物標本が約6,300万点と最も多く、次いで化石標本の約700万点、植物標本が600万点、隕石も5,000点あります。展示は東側から「レッド・ゾーン」「グリーン・ゾーン」「ブルー・ゾーン」「オレンジ・ゾーン」にわかれます。
実際にロンドン自然史博物館を観光してみた(所要時間5時間ほど)
ここからは、実際にロンドン自然史博物館を観光した際の内容をまとめます。
内容は無料展示のみであり、また無料の常設展についても、今後変更が行われている可能性がありますのでご注意ください。
ロンドン自然史博物館までの行き方
ロンドン自然史博物館の最寄り駅は、地下鉄の「サウスケンジントン駅」です。
駅まで到着すると、駅構内の看板で「Museums」という案内が出ており、地下道を通って入口の直ぐ近くまで行くこともできます(閉まっている事もあるため、その場合は地上を歩いていく必要があります)。
地下道はほぼ真っすぐですので、迷うこともありません。途中でV&A博物館に直通の出口もあります。
地下道から出る直前にある看板。出口の直ぐ近くに「ロンドン自然史博物館」「科学博物館」「V&A博物館」があります。
出口部分です。基本的には空いている事が多いと思いますが、日中帯でもシャッターで閉まっている事もありました。
出口から右側を見ると、上の写真の様な感じです。写真左が「V&A博物館」、右手前が「科学博物館」で、赤い枠で囲ってある建物が「ロンドン自然史博物館」です。
上の写真は、博物館に接近して撮影した物。こちらの入口はレッド・ゾーン側(建物の東側にある旧地質博物館の建物)です。
上の写真は、建物南側にある入口。サウスケンジントン駅の地上の出口から向かう場合は、こちらの入口から入る事になるかと思います。
レッド・ゾーン
レッド・ゾーンは、建物の東側にあるゾーンで、元は地質博物館の建物だった場所です。ここは主に地学関連の展示が行われています。
レッド・ゾーンの入口にはステゴサウルスほぼ完全な全身の化石も展示されていました。2013年に博物館が手に入れたもので、ステゴサウルスの化石としては世界で最も完全な状態です。
Human Evolution
「Human Evolution」は、人類の種の起源や進化に関する展示です。
ちなみに、イギリスに人類がいたとされる痕跡は90万年前から見つかっているそうですが、イギリスで最も古い人類化石は50万年前のものだそうです。
上の写真は、イギリスでこれまでに発見されたほぼ完全な人間の骨格としては最古のもので、約1万年前のものとなります。チェダーマンと名付けられ、年齢は19~23歳であったと推定されています(親知らずがあるが、ほとんど摩耗していないため、若い成人とされる)。
Volcanoes and Earthquakes
火山と地震の展示では、火山の構造や研究に使われる道具、火山や地震による災害に関する展示などが行われており、ジャイアンツ・コーズウェイの玄武岩も展示されていました(思ったよりも大きかったです。是非現地で見てみたい)。
展示の中でも有名なのが、阪神淡路大震災を再現した地震シミュレータ。といっても、災害の訓練用ではないため、体験できる震度はかなり控えめに設定されていました(体感的にせいぜい震度4以下?)。ちなみに、シミュレータは「神戸のスーパー」という設定です。
何故かシミュレータの出入口に置かれていた日本語が怪しい看板。スーパーの中は本物っぽいお菓子のパッケージや広告が貼られていたのに、なぜこのクオリティ…。
シミュレータ前には、東日本大震災の地震発生当時の映像も展示されていました。やはり、映像がかなり衝撃的なためか、足を止める人が多かったです。
Restless Surface
「Restless Surface」の展示は、風雨などの自然による浸食や、人間の活動による地表の変化に関する展示が行われていました。
上の写真は、洞窟に関する展示で、石筍の断面の標本です。
Earth’s Treasury
「Earth’s Treasury」はその名の通り、鉱物類の展示。中でも、宝石の展示が一際目立ちました。
私が訪れた際は、世界で4番目に大きなカッティングされたダイヤモンドである「センティナリー・ダイヤモンド」や、呪いを持つと言われる45.52カラットの「ホープ・ダイヤモンド」などの貴重なものの展示から、アルミや銅などの金属で作られた日用品の展示まで行われていました。
From the Beginning
宇宙の始まりから、古代の化石などを展示しているフロアです。
上の写真は、約9000万年前に生息していた海洋魚。比較的大きめの魚で、他の個体では4フィートの魚を丸呑みにしていた化石も見つかっています。
グリーン・ゾーン
レッド・ゾーンから西側に移動すると、アルフレッド・ウォーターハウスが建てた建物の東部分に入ります。ここが「グリーン・ゾーン」で、地下から3階までギャラリーが配置されています。内容は、鳥類・化石・昆虫・鉱物など、多岐にわたります。
また、今回は紹介しませんが「East Pavilion」や「Waterhouse Gallery」では有料の展示も行われています。
Birds
レッド・ゾーンから入ってすぐの廊下の様なエリアには鳥類の展示が行われています。鳥の全身の剥製だけでなく、足や翼の標本、鳥の絵画なども展示されていました。
上の写真は、既に絶滅したドードーの等身大復元模型。人間の侵入により絶滅した有名な動物として展示されていました。
Fossil Marine Reptiles
主に魚竜関係が展示されているフロアで、建物の廊下の両側に化石が展示されています。
上の写真は、190万年前から8000年前頃の南アメリカに生息していたメガテリウムの展示。かなり大型の哺乳類であるため天敵がいなかった事から、絶滅は人類の南米到達が影響している可能性が高いと考えられています。
こちらプレスオサウルスの化石と、メアリー・アニングの解説文。メアリー・アニングは、家具職人の傍ら観光客向けに化石を売っていた父の影響を受け、化石収集に興味を持ち、幼い頃に父が亡くなると、生計を建てるために化石発掘を行うようになりました。11歳の時に世界で初めてイクチオサウルスの全身骨格を発見し、科学界との関係を築いていきます。47歳で癌のために亡くなりましたが、古生物学に大きな影響を与え、英国科学史ジャーナルは「世界の歴史上最も偉大な古生物学者」とメアリー・アニングを讃えています。
このフロアに展示されている化石にもメアリー・アニングによって発見された化石がいくつも展示されていました。
Creepy Crawlies
「這いずる気持ち悪いもの」に関する展示です。要するに、主に虫関係の展示です(カニや、飛ぶ虫も含まれます)
上の写真は、巨大なサソリの動く模型です。映像や、動かして楽しめるようなタイプの展示もあり、子供でも楽しみやすい内容でした(ただし、やや気持ち悪い内容が多めです)。
Hintze Hall
「Hintze Hall」は、南側のエントランスです。ロンドン自然史博物館でも有名なシロナガスクジラの骨格の展示が見られます(2017年7月14日から公開されました)。
全長25.2メートルある雌のシロナガスクジラの骨格で、持続可能な未来を形作る人類の力の象徴とされており、名前は「ホープ」と名付けられています。ちなみに、1979~2017年までは、この場所にディプロドクスの「ディッピー」が展示されていました。
後ろから撮影したもの。こう見ると、龍みたいな感じです。「Hintze Hall」は、この他にもいろいろな骨格や標本が展示されています。
上の写真は、博物館の見どころでもある1891年に樹齢1335年で伐採されたメタセコイア。標本の前には、木の成長に合わせて歴史的な出来事と世界人口を表示した看板が立てられていました。
Minerals
「Minerals」の名前の通り、このフロアは鉱物の展示が中心となっています(加工されているものもあります)。
旧来のヴィクトリア朝オーク製キャビネットに鉱物が収められており、博物館が発足した当時の展示方法が再現されています。
約2キログラムの世界最大級のトパーズである「オストロ・ストーン」や、ネフライトで作られた繊細な意匠のミラーフレームの工芸品も展示されていました。
The Vault
「The Vault(金庫室)」は「Minerals」の奥にある部屋です。この部屋にも鉱物が置かれていますが、より装飾品や宝石に特化した展示になっています。
展示品の一部は250年以上にわたって博物館で管理されているコレクションですが、いくつかの展示は個人の貸与品であるため、期間限定で展示されていました。
Treasures
「Treasures」は比較的狭い部屋ですが、ロンドン自然史博物館の中でも精鋭の品々が展示されています。
上の写真は、ハンス・スローンのオウム貝の殻で、繊細な紋様が彫り込まれています。ハンス・スローンは、自身のコレクションをイギリス政府に遺贈しており、それが大英博物館の元になったことでも知られています。
ブルー・ゾーン
ブルー・ゾーンは、グリーン・ゾーンの西側のエリアで、ウォーターハウス館の西翼に位置しています。
展示内容は、爬虫類・両生類・魚類を中心とした海洋生物・哺乳類・恐竜の化石などです。
Fishes, Amphibians and Reptiles
その名の通り魚類・両生類・爬虫類の展示です。廊下のようなスペースであり、それほど大きくないスペースで三種類が展示されているため、魚類・両生類・爬虫類好きには、ちょっと物足りないかもしれません。
上の写真はサンゴ礁に近い砂地の改定に住むシマウマザメの顔のアップ。何か、顔がほのぼのとしてて気に入った。
Marine Invertebrates
この部屋は、海洋無脊椎動物(Marine Invertebrates)が展示されており、サンゴや貝、カブトガニなどが見られます。
写真で写っている部分でほぼ部屋の全体ですが、博物館全体としては、約2,300点の海洋無脊椎動物の標本が保管されているそうです。
Mammals (blue whale model)
この部屋は、主に馬や象、クジラなどのほ乳類の模型や標本が、進化を辿るような形で展示されています。
部屋の途中の階段を登ると、部屋の周囲を一周しながら展示を見下ろせるギャラリースペースになっており、壁には展示もあります。このスペースから、多くの骨格標本を見下ろせる角度で記念撮影している人もいました(というか、私が撮影を手伝いました)。
上の写真は、最初に発見されたアルシノイテリウムの骨格化石標本。約3,500~2,300万年前にアフリカに生息していた生物で、サイのようなツノを持っていますが、ゾウなどに近い生き物になります。ちなみに、名前は発掘現場近くに宮殿のあった女王アルシノエから取られています。
ちなみに、ほ乳類に関する展示は、この部屋の近くにある廊下でも行われています。
Images of Nature
「Images of Nature」は、自然に関する絵画が展示されている廊下です。
写真が登場する前、科学者は詳細なイラストを作成するために、画家の力を借りる事があり、ここには約350年間にわたる生物の絵画が展示されています。最近の物では1989年に描かれた絵画もありました。ちなみに、博物館で保管されている自然史関連の美術品は50万点あるそうです。
上の写真は、ルーラント・サーフェリーが17世紀に描いたドードーの油絵です。彼は鳥獣画を得意とし、1626年に左の絵画を描いたとされていますが、1681年にドードーは絶滅しました。
Dinosaurs
恐竜の化石に関する展示室で、かなりの面積があります。上の写真は、ティラノサウルスの動く模型。以前、クリスマスシーズンにクリスマスをイメージした上着を来て展示されていたこともあります。
上の写真は、デイノケイルスの腕。写真ではわかりにくいですが、腕は全長2.5メートルに達し、大人よりも大きいです。1970年に腕の化石が発見され、恐ろしい捕食者と思われていましたが、2006年以降に胴体化石も見つかり、現在では植物と小型の動物を食べて生きていたと考えられています。
こちらは世界で最も古い恐竜に分類されるコエロフィシスの化石。体長は3メートル程度まで成長しますが、華奢な体格の為、体重は30キログラムに満たなかったと考えられています。
ちなみに、この恐竜の化石を展示しているエリア内には、CG合成で恐竜の世界に入り込んだような写真を撮影できるサービスもありました。
オレンジ・ゾーン
オレンジ・ゾーンは、建物の西の端にあるエリアで、新館と野外にある「Wildlife Garden」で構成されています。
Zoology Spirit Building
「Zoology Spirit Building」は、ホルマリン漬けになった標本が多く展示されているエリアです。
展示は単に中身が貴重というだけでなく、瓶のラベルの経年劣化など、道具の歴史としても学ぶところがあります(現在は、瓶の外側にラベルを貼らず、液体で劣化しない素材でラベルを作り、瓶の中に入れるそうです)。
The Cocoon
ここは、生物学者の仕事を学べるような展示が多く、中にはゲーム感覚で仕事を体験できる展示もいくつかありました(私は何度も間違えてリセットボタンを押してしまい、最後まで遊べませんでした)。
途中にあった拡大写真。何か、中央が凄く仮面ライダーっぽい気がしてしまった。
Wildlife Garden
「Wildlife Garden」は1995年7月にオープンしたスペースで、博物館で唯一の「生きた展示」が行われています。
5エーカーの土地に林、草原、池などの生息地が設計され、ロンドンでも特に交通量の多い道路に面している場所ですが、多くのカエルや鳥類が観察でき、350種以上の甲虫、550種以上の蛾や蝶が記録されています。
ただし、私が訪れた際は工事の為に閉鎖されていました。2024年の春に再オープン予定です。
ロンドン自然史博物館の周辺を観光するなら?
ロンドン自然史博物館の周辺は、多くの観光地があるため、目的に応じて色々な場所を選択するといいでしょう。
無料の博物館めぐりをしたいのであれば、ヴィクトリア&アルバート博物館や科学博物館が徒歩圏内なのでおすすめです。ただし、私が観光した2023年6月の時点では、科学博物館は事前予約が必要であったため、訪問する際は予約を忘れないよう注意が必要です。
距離は離れますが、美術系の興味がある場合は、同じく無料で観光できるナショナル・ギャラリー(電車で20分ほど)や、テート・ブリテン(電車で30分ほど)もおすすめです。
また、宮殿などの史跡を観光したいのであれば徒歩圏内でケンジントン宮殿、電車を使えば20分ほどでバッキンガム宮殿やウェストミンスター宮殿へも行けます。
ただし、各観光地はじっくり観光するなら3時間以上、場所によっては1日でも足りない規模のところもあるため、訪問の際は余裕をもったスケジュールを組んでおきましょう。
ロンドン自然史博物館で必要だった英会話
- 何か対応してもらうとき:Hello.
- 対応してもらった時:Thank you.
- 誰かとぶつかった時:Sorry.
- 写真を撮影後「Have a nice day.」と言われて:You too.
- 写真を撮る時:1・2・3(シャッターを押す)
基本的には、一人で見て回るだけならほぼ無言です。入場時に事前予約した画面を見せれば、ほぼ無言でも通れます。
今回、ちょっと頑張ってみたのが、「Mammals (blue whale model)」の部屋で「写真撮ってください」的なことを英語で言われた時。ちょっと前に、英語を喋れる人と観光していた際に覚えた英語をちょっと試してみました。
ちなみに、後で調べたらシャッターを押すときの英会話はネット情報では「3・2・1」でした。(まあ、観光レベルの会話なので、意思疎通できればそれが正解かなとも思います)。