【世界遺産】「海事都市グリニッジ」の観光情報と、実際に観光した感想
この記事では、世界遺産である「海事都市グリニッジ」の観光情報をまとめます。
「ロンドンを観光予定の方」「海事都市グリニッジに興味がある方」などの参考になれば嬉しいです。
海事都市グリニッジ(マリタイム・グリニッジ)の基本情報
- 営業時間:多くの施設は10:00~17:00。詳細はこちら(「旧王立海軍大学」はこちら)。
- 定休日:原則無休。詳細はこちら(「旧王立海軍大学」はこちら)。
- 見学料金:「グリニッジ天文台」「カティーサーク」は18ポンド(詳細はこちら。セット割もあります)。「旧王立海軍大学」のペインテッド・ホールは15ポンド。また、「国立海洋博物館」の特別展は有料。
- ガイド:「旧王立海軍大学」のペインテッド・ホールは日本語オーディオガイドあり。
- 所要時間:1日以上潰せる。見どころを全部1日で見学することも可能ですが、じっくり楽しむなら2日以上かかります。
- 写真:グリニッジ王立美術館関連の施設(「グリニッジ天文台」「カティーサーク」「クイーンズ・ハウス」「国立海洋博物館」)は、個人での撮影は基本的には可(ドローン (UAV)、三脚、フラッシュ、ビデオ撮影などは禁止。詳細はこちら)。「旧王立海軍大学」はフラッシュ不可。
※詳細は変更の可能性もあるため、訪問前には公式HPなどの情報をご確認ください
海事都市グリニッジまでのアクセス
海事都市グリニッジの住所は「Blackheath Ave, London SE10 8XJ」です。世界遺産としては、周辺含めたエリアとして登録されています(詳細はこちら)。
最寄り駅は「Greenwich」または「Maze Hill」。ロンドンの中心地の方からだと「Greenwich」の方が近いため、鉄道で訪れるなら「Greenwich」側かなと思います(バスを使った方が近くまで行けて安い可能性はあります)。
海事都市グリニッジは、ロンドンの中心地から西に離れた位置ですが、それほど距離があるわけでもなく、ロンドンブリッジ駅からなら10分ほどで到着できます。ロンドンに滞在中なら、宿泊先からバスや鉄道で簡単に行ける範囲です。
また、時間もお金もかかるため、あえて利用する必要はありませんが、ロイヤルドッグからノースグリニッジまでのIFSケーブルカーが通っています。オイスターカードが利用でき、往復で12ポンド。テムズ川上空90メートルの高さからの眺めを楽しむことができます。
ちなみに、Greenwich駅の外観はこんな感じです。
改札は無く、入り口と駅構内に下の写真のようなカードをタッチできる部分があるので、乗車時はそこにOysterカードなどをタッチします(タッチを忘れると罰金を取られます。ヨーロッパは改札が無いところが多いです)。
海事都市グリニッジの見どころ
主な見どころは、以下の5か所です。
どこも1時間以上は見ごたえがある施設で、国立海洋博物館はじっくりと見ていけば2時間でも足りないくらいです。
ちなみに、この5か所が有名ではありますが、他にも「セント・アルフェジ教会」や「レンジャーズ・ハウス」、天文台周囲に広がる「グリニッジ公園」も含まれます。
見どころを見学する順番に決まりはありませんが、位置を考えると「カティーサーク」→「旧王立海軍大学」→「クイーンズ・ハウスと国立海洋博物館」→「グリニッジ天文台」の順番がおすすめです。逆順でも良いですが、「グリニッジ天文台」は営業が遅いので、最後をグリニッジ天文台にした方が若干余裕が生まれます。
ただし、1日で全ての施設を見学する場合は、あまりゆっくりと休憩がとれず、施設1つあたりの所要時間は短くなります。スケジュールに余裕があるなら、2日かけて見学してみてもいいでしょう。
海事都市グリニッジを観光する際に注意点
日本語ガイドが少ない
けっこう苦労するのが日本語ガイドが少ない点。私が訪れた際は、日本語のガイドがあるのは、旧王立海軍大学のペインテッドのオーディオガイドのみでした。
ガイドブックも日本語の物は販売されていないため、英語を読むのが苦手な場合は毎回翻訳アプリを使う必要があります。
また、「国立海洋博物館」では一部ネットがつながらない場所があったため、翻訳アプリすら使えない状況もありました。
見どころを複数回ると、1か所の所要時間は長くできない
『海事都市グリニッジ』の見どころというと「グリニッジ天文台」「カティーサーク」「クイーンズ・ハウス」「国立海洋博物館」「旧王立海軍大学」の5か所。もっと細かく見学すれば更に増えていきますが、正直5か所の観光だけでも、1日で観光するなら時間的に厳しいです。
基本的には入場開始が10:00からで、閉館が遅いグリニッジ天文台でも、閉館時刻は18:00です。つまり、仮にフルに時間を使っても8時間しかないため「1か所あたり90分滞在する」となると、移動や食事時間が30分しかありません。
その為、じっくり観光したいなら「2日以上かける」か「どこかの見どころは諦める」必要があります。
1日で回るか、2日かけるか迷った場合は「有料の場所をじっくり観光して、無料の場所はザックリ観光し、気に入ったら2日目で無料の施設をじっくり見る」という流れが良いかと思います。
海事都市グリニッジとは?
簡単に言えば「海運とイギリスの歴史が学べる、歴史的な街」です。グリニッジには、15世紀半ばから主要な王宮もあり、ヘンリー8世(1491年)やエリザベス1世(1533年)もここで生まれました。
チャールズ2世は航海技術の研究のため、1675年にグリニッジ天文台の設置を命じ、これが航海技術や時計(これも航海に必要)の改善の為に大きく貢献しました(当時は、それほどの予算をかけるほどにイギリスの富が航海に影響を受けていました)。
天文台にあるグリニッジ子午線(≒本初子午線)は、1884年に採用され、線を跨いで記念撮影をするスポットになっています(正確には、本初子午線とは若干位置が異なります)。その後、大気汚染などの影響もあり、現役の天文台は別の場所に移され、現在のグリニッジ天文台は博物館となっています。
1696年に建設された「王立船員病院」は国立の海洋福祉の機関として使われ、後に王立海軍大学(1873~1998年)となり、現在はグリニッジ大学として使われるようになりました。旧王立海軍大学のペインテッド・ホールに描かれた天井画・壁画は何度も修復が行われ、現在でも観光名所となっています。
街並み全体としては、17~18世紀の有名なイギリス人建築家の設計が多く、それらの集合体としての独自の歴史的な街並みも評価されています。
ちなみに「海事都市」ではありますが、直接海に面しているわけではなく、面しているのはテムズ川です(ただし、川幅が広く海にも近い為、普通に船の移動もできる)。19世紀後半にテムズ川が汚染されるまで、グリニッジではシラスが採れ、珍味として食べられていたそうです(現在は、ある程度水質が改善しています)。
グリニッジの地域は600年にわたり王室とのつながりがあり、2012年にエリザベス女王のダイヤモンド・ジュビリー(在位60周年記念)を記念して、正式に王立特別区となりました。
観光地としては、近世イギリスの歴史について、それを支えた航海技術、その技術を支えた天文台での研究、海洋関連の美術品などを見て回ることができます。
ちなみに、見どころである「グリニッジ天文台」「カティーサーク」「クイーンズ・ハウス」「国立海洋博物館」の4か所は「グリニッジ王立博物館(Royal Museums Greenwich)」の組織でまとめられていますが、「旧王立海軍大学」は別の組織で、公式サイトも別々になっています。
実際に「海事都市グリニッジ」を観光してみた(所要時間7時間ほど)
カティーサーク
カティーサークは、19世紀の紅茶貿易や羊毛貿易で使われていた船「ティー・クリッパー」の中で、世界で唯一現存するものになります。
現在は内部が博物館として活用され、上部は観光およびマスト登りの体験、下は2012年から地上3メートル程度の高さに浮き上がり、レストラン・展示・イベントなどのスペースとなっています。
カティーサークの詳細や、実際に観光した際の情報については、以下の記事にまとめましたので、詳細が気になる方は参考にしていただければ幸いです。
旧王立海軍大学
旧王立海軍大学は、主にクリストファー・レンとニコラス・ホークスムーアによって設計され、1696~1751年にかけて建てられた、バロック様式の複合施設です。
元は王立船員病院として建築されましたが、1873~1998年には王立海軍大学として利用され、現在はその建物が「ペインテッド・ホール」「ビジターセンター」「礼拝堂」「グリニッジ大学」「トリニティ音楽カレッジ」となっており、この内「ペインテッド・ホール」「ビジターセンター」「礼拝堂」が観光地となっています。
中でもバロック様式のペインテッド・ホールと新古典主義の礼拝堂の内装の美しさが有名で、ペインテッド・ホールは入場が有料になりますが、日本語オーディオガイドが利用できます。
旧王立海軍大学の詳細や、実際に観光した際の情報(「ペインテッド・ホール」のみ)については、以下の記事にまとめましたので、詳細が気になる方は参考にしていただければ幸いです。
国立海洋博物館
国立海洋博物館は、イギリスと海洋との関係性を中心とした世界でも最大規模の海洋博物館です。
見ごたえがあり、じっくり滞在すれば2時間以上はかかる施設ですが、入場料は無料(企画展は有料)。海洋関連の歴史や、大航海時代以降のイギリス史について学びたい人であれば、是非じっくり楽しみたい施設です。
国立海洋博物館の詳細や、実際に観光した際の情報については、以下の記事にまとめましたので、詳細が気になる方は参考にしていただければ幸いです。
クイーンズ・ハウス
クイーンズ・ハウスは、イングランドで最初の古典主義建築で建設された王宮であり、現在は海事関連を中心とした美術品のコレクションが展示されています。
先に紹介した国立海洋博物館のすぐ隣にあり、こちらも無料で入れる施設になっているため、できればセットで訪れるといいでしょう。
クイーンズ・ハウスの詳細や、実際に観光した際の情報については、以下の記事にまとめましたので、詳細が気になる方は参考にしていただければ幸いです。
グリニッジ天文台
海事都市グリニッジの見どころの中でも、一番有名なのが「グリニッジ天文台」かと思います。とくにグリニッジ子午線(≒本初子午線)は、人気の観光スポットになっています。
また、天文関連の博物館である「フラムスティード・ハウス」「子午線天文台」では、天文、時計、それらに関わるイギリスの歴史などを学ぶことができます。
グリニッジ天文台の詳細や、実際に観光した際の情報については、以下の記事にまとめましたので、詳細が気になる方は参考にしていただければ幸いです。