【博物館】ロンドンの「科学博物館」の観光情報と、実際に観光した感想
この記事では、ロンドンにある「科学博物館」の観光情報と、中学生以下の英語力で観光した際の内容をまとめます。
「ロンドンを観光予定の方」「ロンドンの科学博物館に興味がある方」などの参考になれば嬉しいです。
科学博物館の観光情報
- 費用:無料(特別展などの有料展示あり)
- 営業時間:10:00~18:00(最終入場は17:15。ただし、ギャラリーは閉館30分前から閉まり始めます。詳細はこちら)
- 休業日:なし
- 所要時間:見どころだけなら1~2時間、ゆっくり見学するなら5時間以上。私は無料の展示のみでやや早足でしたが4時間ほど。
- 日本語対応:なし
- 写真撮影:可
- 備考:2023年6月時点では、事前予約(無料)が必要でした。朝早い時間帯の入場は埋まりやすいため、予約はお早めに。
※詳細は変更の可能性もあるため、訪問前には公式HPなどの情報をご確認ください
科学博物館までのアクセス
ロンドンの科学博物館の住所は「Exhibition Rd, South Kensington, London SW7 2DD」。
最寄り駅は「サウスケンジントン駅」。ここから徒歩で5分ほど北に向かった場所にあり、地下鉄の駅から続いている地下道を通って、建物のほぼ目の前まで移動することも可能です(閉まっている事もあります)。
周囲には、同様に無料の博物館である「ヴィクトリア&アルバート博物館」や「ロンドン自然史博物館」もありますが、じっくり見るなら頑張っても1日1.5か所を見学するので限度だと思います。とくに、ヴィクトリア&アルバート博物館は、大英博物館並みの規模を誇る為、ここ1か所だけで、1日あっても足りないほどです。
また、少し距離は離れますが、更に北に行けばケンジントン宮殿。東にはバッキンガム宮殿やウェストミンスター宮殿など、日本人でも聞いたことはありそうな観光名所が多い地域です。
科学博物館(ロンドン)とは?
ロンドンの科学博物館は「科学技術に関する幅広い展示が行われている博物館」です。
ジェームズ・ワットの蒸気機関の実物が、動態保存(実際に動かせる状態)で展示されていることが有名で、時代としては主に大航海時代以降の技術史に関する展示が行われています(とくに産業革命以降が多い印象でした)。
日本の博物館のように、グラフィックを駆使した解説や、体験型の展示といった工夫が多く施されているこの点は、「大英博物館」や「ロンドン自然史初物館」の展示方法とは違う科学博物館の特徴です(「大英博物館」などの展示方法も、展示数の多さではメリットがあるのですが)。
年齢に応じた子供向けのエリアもあり、家族でも楽しむことができるかと思います(ただし、子供向けは有料のコーナーが多めです)。
実際に科学博物館を観光してみた(所要時間4時間)
今回、科学博物館の無料のエリアのみを観光してみました。
解説文は興味がある部分だけ翻訳アプリで読んだ程度ですが、それでも約4時間かかりましたので、有料のエリアも含めて全体を訪問する場合は、朝から入館した方がいいかと思います。
ちなみに、科学博物館には決まった見学ルートはありません。この記事では「1階、2階、3階、地下1階」の順に、各フロアを入口側から建物の奥の方へ解説しますが、実際には別の順で見学する事になるかと思います。また、常設展含め、今後フロアが移動・変更される可能性はあります(私が訪れた際には、閉鎖されているフロアもありました)。
科学博物館の1階(現地表記では0階)
ENERGY HALL
ENERGY HALLは、入ってすぐにある展示です。
上の写真は、入館してすぐの場所からENERGY HALLを撮影したもの。正面にカウンターがあり、右はお土産屋です。フロア中央は吹き抜けになっており、2~3階(現地表示では1~2階)が見えます。
ENERGY HALLは蒸気機関の進歩と、それがイギリスの歴史にどう影響してきたかが展示で解説されており、11種類の蒸気機関の装置が展示されています。
こちらは、ジェームズ・ワットによって1777年に製造された現存する最古のビームエンジンである「オールド・ベス」。ソーホー鋳造所で作られ、初期の実験で利用されましたが、動作は不安定でした。改良されてからは、1848年まで実際にソーホーで水くみ用に使用されました。
EXPLORING SPACE
「EXPLORING SPACE」では、本物の月の石や、アポロ計画などのロケットで使われたJ2エンジン、ソユーズの帰還モジュールなど、宇宙関連のものが多く展示されています。
こちらは実際に使われた帰還モジュール。機関の際は、時速27,000km以上から減速しながら地表を目指すため、表面は1500度まで上昇しました。2016年6月18日に4時間かけて降下を行い、最終的にカザフスタンの平原に着陸しました。
MAKING THE MODERN WORLD
「MAKING THE MODERN WORLD」は産業革命以降から現代(若干古いですが)までの技術に関する展示がされています。
単に技術の進歩の解説だけでなく、技術の進歩に伴う公害などのマイナスの側面も含めて展示が行われていました。
大型の乗り物もあり、迫力があります。2階の展示室まで吹き抜けになっており、上から覗き込んで楽しむことも可能です。
宇宙関連も展示があり、アポロ10号の指令室も展示されていました。
INJECTING HOPE(特別展示)
「INJECTING HOPE」は新型コロナウイルスのワクチン開発に関する展示で、無料の特別展でした。
ワクチン開発に至るまでの社会情勢や、ワクチン開発で実際に使われた道具などがあり、被験者が実際に使っていた椅子も展示されていました(私も被験者に申し込んだことがありますが、落ちました)。
科学博物館の2階(現地表記では1階)
ENGINEERS
「ENGINEERS」は、優れた功績を残した現代のエンジニアに関する展示です。基本的には、2012年にエリザベス2世即位60周年を記念して制定された「エリザベス女王工学賞」の受賞者について展示されており、4つのテーマのセクションに別れています。2022年にネオジム磁石開発でエリザベス女王工学賞を受賞した佐川眞人さんについても展示されていました。
TECHNICIANS
「TECHNICIANS」は、主に体験型で職業体験(といっても、子供向けのゲームの様なものですが)ができるような展示フロアです。
私が訪れた際は非常に人気で、とくに子供が多かったです。混雑の為、ほとんど何も体験することができませんでした。かろうじて、人気が無かったので動かせたのが、自適性職業診断のゲーム。英語が苦手な私でも、ギリギリ遊ぶことができました。
この他に、職業に関するインタビュー動画のようなものもあります。字幕もあるので英語がやや得意な人であればギリギリ理解できるかなと思います。
SCIENCE FICTION(企画展)
私が訪問した際は、有料の企画展で「SCIENCE FICTION」の展示がありました。有名な映画、テレビ、書籍などを元にしたSF関連の展示です。
2階(現地表記では1階)の企画展コーナーは度々内容が変更されており、「SCIENCE FICTION」の展示は2023年8月20日まで行われました。
MEDICINE
「MEDICINE」は医学や健康に関する展示フロアです。正確には、更に複数のフロアに区分されており、人体に焦点を当てたフロアや、病院の器具の展示、病気に対する様々な時代や地域のアプローチなどの展示がありました。
「なぜバットマン?」と、思ったら、放射線治療用のマスクでした。
大英博物館でも見た人魚のミイラもありました。ヨーロッパの富裕層の中で、昔は人気のコレクションだったそうです。日本産かは不明。何を表しているのか不明ですが、入口付近にあった巨人像。像の前で記念撮影をしている人が多かったです。
WHO AM I?
「WHO AM I ?」は「何が自分を人間たらしめているか?」に関する展示が行われているフロアです。
ここは、私が訪れた際は2階の他のフロアとは直接はつながっておらず、1階から上がるか、4階から降りて入る必要がありました。
人間の特徴を、チンパンジーと対比しつつ複数の観点で考察している展示。
ゲームで学べるような機械も複数置かれていましたので、英語の学習にちょっと遊んでみました。
科学博物館の3階(現地表記では2階)
THE CLOCKMAKERS’ MUSEUM
「THE CLOCKMAKERS’ MUSEUM」は、1600年から現在までの時計の進化を展示したスペースです。
ただの時計の技術的進化だけでなく、時計の進化の歴史を通して、当時のイギリスの歴史を学ぶこともできます。時計の技術史は、海洋の技術史にも通じ、海外貿易や植民地経営で力を付けたイギリスの歴史とも深く関連します(安全な外洋航海には、正確な経度図る技術が必要であり、その為に海上でも正確に動く時計「マリンクロノメーター」が必要とされました。この辺りはグリニッジ天文台でも学べます)。
ちなみに、イギリスにおける時計の黄金時代は1666~1700年頃だそうです。
SCIENCE CITY 1550-1800
「SCIENCE CITY」では、ロンドンが世界的な貿易都市として成長する過程を支えた、1550~1800年頃の技術について展示されています。
木製の大きな望遠鏡や、古い定規やコンパス、天球技なども展示されていました。
MATHEMATICS
「MATHEMATICS」は、その名の通り数学と、産業・商業・政治・大学・ギャンブル・プログラミング……などの幅広い分野の関連について展示がされています。
とはいえ、数学的な知識が必要な展示がされているわけではありません。例えば「リスクは、確率を扱うために、統計の解釈が歪められることもある」ということを示す例として、レイチェル・カーソンの『沈黙の春』で言及された殺虫剤が展示されていました。
INFORMATION AGE
「INFORMATION AGE」は、情報通信に関する200年以上の技術史の展示が行われているフロアです。
展示はGoogleも支援しており、Googleストリートビュー用の三輪車が展示されていました。一方、私の働いていたネットワーク業界のCisco関連の通信機器は、私が見学した限りでは確認できず、情報通信技術というのに、ルーターやスイッチは他のメーカー製も見受けられませんでした。この通人技術関連には思えない巨大な展示物は、1943年に作られたラグビー・ラジオ局に設置された超低周波送信機のアンテナを同調するための可変インダクタンス・コイルです。
タイタニック号にあった通信室の再現もありました。1912年4月にタイタニック号が氷山に衝突した際、船の士官は無線電信で救助信号を送り、712名が生存。これにより、無線通信の知名度が高まりました。この時、最後まで救難信号を送っていたハロルド・ブライドは生存しましたが、一緒に信号を送っていたジャック・フィリップスは沈没事故に巻き込まれ亡くなりました。
科学博物館の4階(現地表記では3階)
WONDERLAB(有料)
実際に中を見学していないため詳細は不明ですが、7つのゾーンに分けられ、体験型も交えた科学関連の展示(落雷や大型滑り台など)が行われています。
推奨年齢は7~14歳なので、子供の科学教育向けのエリアです。
FLY ZONE(有料)
こちらは、イギリス空軍のレッドアローズを3Dシミュレータで体験できる展示です(有料)。
展示期間は、2023年9月までとのことでした。
FLIGHT
「FLIGHT」は、航空分野に関する技術史を学べる展示。航空機やエンジン、初期の人力の飛行機具や熱気球も展示されていました。上の写真はターボファンエンジンの展示。エンジンの構造や、動作の仕組みなどが解説されていました。
科学博物館の地下1階(現地表記では-1階)
地下1階(現地表記では-1階)は、主に子供向けのフロアになっています。
ただし、奥の方に企画展もあり、私が訪れた際は「POWER UP」という過去50年のゲーム機に関する展示が行われていました(ただし有料。2023年7月27日までの展示でした)。
科学博物館の周辺を観光するなら?
科学博物館の周辺は、多くの観光地があるため、目的に応じて色々な場所を選択するといいでしょう。
無料の博物館巡りをしたいのであれば、「ヴィクトリア&アルバート博物館」や「ロンドン自然史博物館」が徒歩圏内なのでおすすめです。ただし、私が観光した2023年6月の時点では、ロンドン自然史博物館は事前予約が必要であったため、訪問する際は予約を忘れないよう注意が必要です。
距離は離れますが、美術系の興味がある場合は、無料で観光できるナショナル・ギャラリー(電車で20分ほど)や、テート・ブリテン(電車で30分ほど)もおすすめです。
また、宮殿などの史跡を観光したいのであれば徒歩圏内でケンジントン宮殿、電車を使えば20分ほどでバッキンガム宮殿やウェストミンスター宮殿へも行けます。
ただし、各観光地はじっくり観光するなら3時間以上、場所によっては1日でも足りない規模のところもあるため、訪問の際は余裕をもったスケジュールを組んでおきましょう。