【博物館】「大英博物館」の観光情報と、実際に観光した感想
この記事ではロンドンにある「大英博物館」の観光情報と、中学生以下の英語力で観光した際の内容をまとめます。
「英語力が無いけど、大英博物館に行ってみたい方」「大英博物館を観光する予定の方」などの参考にしていただければ嬉しいです。
大英博物館について
- 入場:無料。有料の企画展が開催されることもある。
- 所要時間:ポイントを絞ると1~3時間。音声ガイドは1、3、5時間の3種類。私は6時かけましたがガイドブックと気になった物を見るので精一杯で、しかも2階以降は駆け足状態。徹底的に回ると1週間という意見も……
- 日本語対応:ガイドブックが6ポンド(オーディオアプリの日本語対応は今後あるかも)。日本語ガイドツアーはやや高いがある。オーディオガイドは廃止されていました
- 見学日時:10:00~17:00(水曜日は10:30始業、金曜日は20:30終了)
- 予約:一応、時間指定で予約あり。ただし、予約なしで入る列もありました
- 写真撮影:ほとんどの展示で可。企画展は不可の場合もある
- 注意点:メンテナンス中などで見学できないフロアがある。詳細の確認はこちらの「Planned gallery closures」を日本語訳すると便利です。
実はこの大英博物館見学、旅行スケジュールの大幅変更に伴って、急遽訪問することになりました。
しかも、見学当日が日曜日だったこともあり、前日時点で朝早い時間は予約が一杯。埋まっている時間の隙間に予約を入れると混雑するかと思い、11:30訪問で予約を入れました。
ちなみに、予約は以下の公式ページの「Book Now」をクリックすると実施できます。企画展以外は無料ですが、寄付することも可能です。
大英博物館への行き方
大英博物館が建っているのは、ロンドンの中心街から北東にある「ブルームスブリー(Bloomsbury)地区」です。
近隣には「ラッセル・スクエア駅」「ホルボーン駅」「トッテナム・コート・ロード駅」「グッジ・ストリート駅」と、四方を囲むように電車の駅があります。
ただ、安く移動するならバスがおすすめです。大英博物館前の目の前に止まるバスは少数ですが、電車の駅と同程度に離れた位置であれば、複数バス停があり、Googleマップで検索すれば簡単に見つかります。
ちなみに、私の宿泊先であるNorbury駅辺りからだと、タイミングにもよりますが、電車でだいたい1時間、バスを乗り継いで1時間20分ほど。ロンドンでバスを1日にたくさん使うと、4回目からタダなので、私はバスを使いました(が、帰りにトラブルがあって、行きの2回しか乗れなかった…)。
大英博物館のオーディオガイドについて
私が観光した際は、日本語ガイドが無くなっていました。
元はモニタ付きのオーディオガイドがあったのですが、近年オーディオガイドは廃止されてスマホアプリのガイドに変更されました。
ただし、現時点で対応している言語は以下の通りです(2023年4月26日時点)
- 英語
- 中国語
- フランス語
- スペイン語
- イタリア語
今後、他の言語についても対応が予定されているらしいので、いずれは日本語も対応してもらえる可能性がありますが、現時点では日本語ガイドは利用できません。
ちなみにガイドアプリはツアーで1時間、3時間、5時間の3種類が選べ、ボリュームたっぷりです(ただし、私はガイドブック+気になった物を鑑賞しただけで6時間かかり、それでも後半は駆け足でした)
オーディオガイドが利用できない場合、入館して直ぐの「グレートコート」という広場で、入り口から左手にガイドデスクがあり、ここで日本語のガイドブックを売っています。解説内容は少なめですが、見どころをチェックしやすいですし、お土産としても活用できます(私が購入した時点で6ポンド)。
大英博物館の見学ルート
とくに決まったルートはありません。
地域別、あるいは部屋の番号順など、いくつかの見学ルートを考える事はできますが、必ずしも順番が決まっているわけではありません。
例えば、地域別で見学する場合、ある程度まとまって展示されていますが、一階と二階にそれぞれヨーロッパ、アジア、エジプトなどの地域が分散している為「まずはエジプトを回って、次に……」というのは、効率が悪いです。
また、部屋番号もある程度連続していますが、完全に番号順に並んでいるわけでもないため、「1番から順に……」というのも、効率が悪いです。
とはいえ、概ね番号順で、見学を行うことはできます(所々、飛ばしたり、先回りする感じですが)、また、番号順で見学すると、結果的に多くの地域について、概ね連続して見学する事になります。
そういった意味では「概ね番号順に回るが、離れているなら近い場所を優先するのが、一番無難なルート」かなと思います。
大英博物館の食事事情
高いです(グレートコートで売られています)。
日本人感覚では「観光地価格にしても高い!」です。
ちなみに、ネットの予約画面で「カフェの予約はいかがですか?」的なものが出てきましたが、アフタヌーンティーが10%割引で27ポンドです(約4,500円)。私の年収が2000万円くらいあっても、躊躇したでしょう。
もしかしたら、館内のレストランやサンドイッチの中には安いものもあるかも……と思わないことも無いですが、探す時間が惜しかったのでやめました。
ただし、館内への食べ物の持込OKで、グレートコートの席で飲食できます(ただ、観光シーズンの昼過ぎは席が埋まっており、床に座って食べてる人もけっこういた)。
ちなみに、私が食べたのはLidlで買っておいたモルトローフ1つで130円程。600kcalくらいあり、腹持ちもけっこういいです。
大英博物館のトイレ事情
ロンドンの観光でちょっと困るのがトイレです。日本のように、コンビニに行けばどこにでもあるわけでもありませんし(そもそもコンビニという概念がない)、トイレがあっても有料である場合もあります。
一方、ロンドンの博物館は無料のトイレが設置されているところがあり、大英博物館も無料でトイレを利用できます。ですので、大英博物館の観光で、トイレに困ることは無いと思います。
ちなみに、トイレ混雑時はグレートコートから行ける地下のトイレが、比較的混雑を避けやすいそうです。
大英博物館の階層事情
大英博物館は、大きく分けて地下(Lower Floor)、1階(Ground Floor)、2階(Upper Floor)の3階にわかれます。
更に、1階は高さに応じてLevel-1、0、1、2にわかれ、2階はLevel3、4、5にわかれます。基本的には1階=Level 0、2階=Level 3ですが、北側の一部が他のLevelになっています。位置を確認する際は、そのことも気にして地図を確認すると良いでしょう。
実際の大英博物館観光
【11:00~11:20頃】大英博物館に到着~入館
11:30からの予約だったので、少し早めの11:00に到着。少し外観を見てのんびり過ごす予定でした。
が、大英博物館の門から伸びる長蛇の列。この日、日曜日であっただけでなく、イースター休暇のシーズンだったこともあって観光客が多く、100メートル以上は行列になっていたと思います。
そんなわけで、予約は11:30ですが、このままだと予約に遅れる可能性もあると思い、とりあえず列に並んでみました。
まず、門の前で「予約をしているか?」みたいなことを聴いているスタッフがいたので、スマホで予約時に送られてきたPDFを係員に見せました。ちなみに、送られてくるPDFはこんな感じ。
すると、とくにQRコードをスキャンされることもなく、予約日時を確認されることもなく、門から入って左手の手前側の列に案内されました。
この後、左手の建物でセキュリティチェックが行われるのですが、予約している人と、していない人で列が別れていました(どう違うのかは分かりませんが、予約アリの方が混雑していなかった印象)。
セキュリティチェックの建物では、リュックを開いて危険物などが無い事を見せればOK。難しい英会話も不要で「Hello」で挨拶してバッグを開き、終わったら「Thank you」で大丈夫です。現地人と思われる方は世間話(?)をしていましたが、流石に英語不慣れっぽいアジア人の私は、世間話もふられませんでした。
ちなみに、セキュリティチェックをやっていた建物はこんな感じです(内部は撮影禁止です)。
セキュリティチェックを通過してから、行列を観たらこんな感じでした(敷地内の行列なので、外まで含めると倍以上の長さ)。
【11:20~11:35頃】大英博物館のオーディオガイドを入手……できず、ガイドブックを入手
入館して入り口前の小さな広間を通り過ぎると、「グレートコート」という大きい広場で、その左手にガイドデスクがあります。
ここでオーディオガイドを入手……できるとネットの情報を見ていたのですが、どうもオーディオガイドは廃止されたらしく、スマホのガイドアプリになっていました。
で、それらについて更に調べると、どうもガイドアプリは日本語未対応。そんなわけで、どうしようかと思案し、「本当にオーディオガイド無いの?」と、周辺のお土産屋なども含めて確認。
結局、10分ほどで諦め「かさばるけど、お土産になるか」と日本語のガイドブックを購入する事にしました。フルカラーで127ページ。お値段6ポンド(執筆時点で約1020円)と、日本の博物館と比較しても悪くありません。
【11:50~12:05頃】啓蒙時代(Room1。1階南東東側)
ようやく観光開始。
とりあえず、グレートコートから東側の「啓蒙時代(ENLIGHTENMENT)」の部屋。ここは地域関係なく、テーマで展示されている部屋です。
展示内容はその名の通り「啓蒙時代(1680~1820年頃)」の物で、啓蒙時代の7つの主要分野である「自然界」「考古学の誕生」「芸術と文明」「世界の分類」「古代文書」「宗教と儀式」「貿易と発見」に関するセクションに分割されていました(下のフロアマップの通りです)。
この部屋一つだけでかなり収蔵品数が多く、壁の棚なども含めて細かく観ていくと、博物館全体で6時間程度では全然足りないことを早々に悟りました。
ちなみに、ガイドブックには恐らく日本から購入されたとされる「人魚のミイラ」がありましたが、部屋を2周しても見つからず、諦めました……。
【12:05~12:20頃】世界のコレクション(Room2。1階南東東側)
ここも地域関係なくテーマ別の展示。どんなテーマなのかイマイチ分かりませんでしたが、「○○さんのコレクション」的な感じで展示されている印象でした。
【12:20~12:30頃】ワデスドン遺贈品(Room2a。1階南東側)
ファーディナンド・ロスチャイルド男爵と、その父アンゼルム男爵が収集したルネサンス期ヨーロッパの美術品コレクション。
1898年、ファーディナンド男爵の死後に大英博物館に遺贈されたもので、その数約300点にのぼるそうです。
【12:30~14:15頃】エジプト・中東・ギリシャ・ローマ(Room4、6~10、12~23。1階西側)
ここからは、地域別の展示。細かな部屋の解説は少なめで紹介します。
ロゼッタ・ストーン(Room4)
エジプトエリアのトップバッター、ロゼッタ・ストーン。
入り口の目の前にあるため、部屋に入る前から見える位置なのですが、常に人が周囲を囲んでいて、なかなか前まで進めません。
ヒエログリフ、デモティック、ギリシャ文字の3種類の文字で記載されており、古代エジプト語の解読につながった点でも非常に価値のある石柱です。
ラムセス2世像(Room4)
大英博物館には、いくつもエジプトの像がありますが、中でも最大なのがこのラムセス2世像。
ラムセス2世は、歴代ファラオの中で在位最長クラスの記録を持ち、66~67年の在位期間があるそうです(ペピ2世の在位期間は94年説と64年説があり、どちらを採用するかで1番か2番かが異なります)。
ちなみに、裏側はこんな感じ。
人頭有翼獅子像(Room6等の通路)
人頭有翼獅子像は、古代アッシリア(現在のイラク北部)の宮殿でも門の左右に置かれていたらしく、魔除けの効果があるとされていました(神話に出てくる守護者です)。
ちなみに、メトロポリタン美術館にある人頭有翼獅子像と比較すると、蹄の形状などに差異がありました(メトロポリタン美術館の方が指っぽい)。
Room10と23の間の通路にも同様の物があり、写真はもしかしたらそっちで撮影した物だったかもしれません。
古代中東のレリーフ群(Room7~9)
Room7~9は細長い通路で、紀元前883~692年の新アッシリア帝国時代のレリーフが展示されています。実際の通路(Room9部分)はこんな感じ。
人の頭で翼があるのがアプスーという最初に淡水から生じた神らしいですが、翼が生えてないのとか、頭まで鳥なのとか、細かい事はよくわからなかったです(でも、漫画とかでこのデザイン、たまに見る気がする)。
こちらは「アッシュールナツィルパル2世の北西宮殿のレリーフ」で、見たまんまですがライオン狩りをモチーフにしています。
当初は塗装されており、色彩豊かだったそうです。ライオン狩りは儀式的な目的で古くから行われており、紀元前3000年には芸術品のモチーフにされていたそうです。
ライオン狩りのレリーフ(Room10)
Room10は少し大きめの部屋ですが、全体的にライオン狩りや、ラキシの攻囲戦などのレリーフが展示されています。
上のレリーフは、ライオン狩り後にライオンを運んでいる様子。これを見ると、青木繁の『海の幸』を思い出してしまうのは私だけでしょうか(方向逆ですが)。
浴槽型の棺(Room12)
Room12は紀元前3200~1100年頃のミノアとミケーネ文明の展示です。
きらびやかな黄金のペンダントなども展示されていましたが、一番気になったのがこの浴槽(型の棺)。
「この時代から風呂に入ってたなんて!」と、ロンドン生活で2週間以上シャワーのみだった自分は羨ましく思いました。が、棺でした(よく考えると、浴槽にしてはちょっと小さい)。
パルテノン神殿の彫刻群(Room18)
Room18はかなり贅沢に空間が使われています。展示室の中では、一番広いスペースかなと思いますが、展示品はそれほど多いわけではありません。
部屋の左右の端には、こんな感じでパルテノン神殿の彫像が展示されています。
月の女神セレネのチャリオットを曳き、空を駆けるとされる馬。なんか凄い表情だなと思ったら、飛び出した目やたるんだ皮膚が、酷使された際の疲弊を表してるらしいです。
こちらは入り口から向かって右手端の壁に飾られている「ケンタウロスとラピテース族のメトープ」です。メトープとは柱の上に架した梁部の小さい壁面で、そこにレリーフが飾られる事が多く、パルテノン神殿では92個が見つかったそうです。
ケンタウロスの怒りや苦痛の表情が良く表現されてるそうですが、まあ、股間に膝蹴りくらってますからねえ……。
反対側の壁に飾られていたメトープ。今度はケンタウロスの蹴りが股間に直撃!
牛・手鏡・人柱(Room19)
Room19は紀元前430~400年頃のアテネの展示。
紀元前432年にパルテノン神殿が完成してから、アテネはスパルタとペロポネス戦争を始め、紀元前404年に敗北。そこから転落していきます。
展示品も、戦中だった影響を反映し、戦いをモチーフなどが多かったのですが、私が気になったのがこちら。
ただ、日本の神社とかでも入口に置いてありそうなデザイン性に、何となく懐かしさを感じました(毛などの細部の表現は凄い)。
取手の部分は勝利の女神であるニケをモチーフにしていると推測されるらしいです。ちなみに、元々は鏡部分と取手部分が別物で、取っては象牙だったと考えられているそうです。
人柱です。解説も見つからなかった気がします。
何を表しているのかわかりませんが「俺を殺せば、この建物は崩れるぞ!」という、よく考えると意味不明な脅しをしている敵キャラを、昔漫画で見たのを思い出しました。
チャリオットの馬(Room21)
このチャリオットの馬は、紀元前350年の作品で、「世界の七不思議」にもあげられるハリカルナッソスのマウソロス霊廟にある階段ピラミッドの頂点にあったそうです。
ボドルム考古学博物館に、霊廟の復元模型がありますが、高さが2.33メートルもあるこの彫像(元はもっと大きいのでは?)をよくそんな場所に建てたものだと感心させられます。
ギリシャ世界の最盛期(Room22)
ギリシャ世界の最盛期にあたる紀元前323~31年頃の展示。アレクサンダー大王死後(紀元前323年)から、紀元前31年にクレオパトラ7世とマルクス・アントニウスがアクティムの海戦に敗北するまでの時期にあたります。
こちらの円柱は、世界の七不思議の一つであるエフェソスのアルテミス神殿にあった円柱の一部。伝令の神ヘルメスが指揮を執る場面らしいです。
こちらは「モロシアン・ハウンド」の彫像。血管まで浮き出て、今にも爆発しそうな凶暴性が表現されている……と、思ったら、解説文では「リラックスしたポーズと上向きの視線は従順な雰囲気を醸し出し……」となっていました。
「ギリシャ世界の最盛期」というだけあって、華やかな展示が多かったです。
アフロディーテ像など(Room23)
この部屋は、紀元前100~紀元後200年頃のギリシャ・ローマの彫像が展示されています。
上の写真は、部屋中央にある『うずくまるアフロディーテ像』。鑑賞者が、入浴中を覗き見している気分を味わう……という意図で作られた彫刻らしいです(今やったら炎上しそう)。
で、入浴中の裸体を隠そうとしていたはずのアフロディーテですが…
個人的には、壁に合ったこの円形の彫刻が印象に残りました。アポロとアルテミスがニオベの子供自慢の報復に、ニオベの子供たちを殺害しているところらしいです。
【14:15~14:45頃】お土産屋と昼食(グレートコート)
1階の西側を全て回ったので、一旦中央へ。このまま連続で鑑賞してもいいのですが、休憩しました。
で、お土産屋には世界の色々なお土産が売られていたのですが……
「おなじみの、、、」と書いてありますが、何がお馴染みなのかよくわかりません。
やはり南東ではなく東南。解説文書いたの、ネイティブの日本人ではなさそう(そういえば、何で地域は「東北」なのに、方角は「北東」なんだろ)。
英語の解説もありました。お値段約2000円。大英博物館の怪しいお土産というネタだったら……いや、買わないか。
全然内容わからんし、大英博物館関係ないけど、あの招き猫よりはハリー・ポッターのカードの方がまだ興味ある。安いし。
日本の観光地でよくある木刀の、イギリス版もありました。盾と兜もあります。
一番欲しくなったのがロゼッタ・ストーン柄の水筒。デザインよりも単純に水筒が欲しかった(飲み物高いので)。
【14:45~14:55頃】生と死(Room24。1階中央北)
ここはテーマ別の展示なので、複数の地域のものが展示されています。かなり広い部屋だったのですが、この辺りからじっくり見て回る時間が無いことを自覚し始め、細かいものは無視してまわりました。
まず、入って正面にあるモアイ像。やはり人気で、観光シーズンの日曜ということもあり、人が絶えませんでした。
名前からして印象的だったのは「アトミック・アポカリプス」。「何だ、その中二病的必殺技は!」と思わせる名前ですが、メキシコの行事の展示らしく、入り口の天井付近に浮いていました。
ちなみに、この浮いてる人形は実際の出来事や、政治紛争が起こっている地域をモチーフに作られているそうです。
【14:55~15:10頃】アフリカ(Room25。地下)
Room24から階段を降りると、アフリカの展示室です。ちなみに、アフリカの展示室はここだけ。
入ってすぐ右手にある大きなカーニバルの像。近年のものです。ちなみに、現代のロンドンのカーニバル文化が、どう伝わってきたかを示す様な看板があり「アフリカ→南米→北米→ロンドン」だそうです。
なんか、アンモナイトが頭についているような19世紀のマスク。どうやら女性を表すマスクらしく、「その地域の典型的な髪形を示す」となっていたので、実際にこんな髪型の人がいたっぽいです(それにしてもこのサイズは誇張表現かなあ……)。
武器の展示もありました。かなり複雑な見た事も無い形状のものが多いのですが、解説をパッと見た感じでは儀式用ではなく実戦用っぽい。
【15:10~15:20頃】北米・メキシコ(Room26~27。1階北東側)
ハイダのトーテムポール
Room26は北米の展示です。
このトーテムポールは、カナダのハイダのもの。上から、カラス、人間、シャチ、オオカミを表すそうで、人間とシャチ部分は、シャチに人間が誘拐されたハイダ神話を表しているそうです。
双頭のヘビのモザイク
Room27はメキシコのエリア。
双頭のヘビのモザイクは、メシカ美術を象徴するもので、祭典行事で使われたと考えられています。また、蛇のモチーフはメキシコと中米で多く使われ、複数の神と関連性を持ちます。
写真が手ブレしてイマイチですが、常に前に観光客がいたので、結構人気っぽい。
【15:30~15:40頃】中国と南アジア(Room33。1階北東側)
東階段の途中から入れる長い廊下が、中国の翡翠の展示室になっていました(正確にはRoom33b)。
解説は細かく読めていませんが、かなり繊細な彫刻が多数並んでいて、単純に美術品としてじっくり眺めていたくなります。が、この辺りから、時間が無くなってきたのでかなり飛ばしながら見ていきました。
廊下の奥が南アジアの展示室(「生と死」の展示室からも入れる)。かなり広いです(下の写真は、部屋の中央辺りから西側を撮影したもの)。
こちらは解説文の記録を忘れました。片膝を上げてるのは如意輪観音の輪王座っぽいですが、両足の裏がつながっておらず、左足を前に出してる辺りは遊戯座っぽい。
こちらは1912年に洞窟で発見された羅漢像。陶器製の像で、保存状態が良いですが、作られたのは12~13世紀頃らしいです。
上の写真は『シヴァ・ナタラージャ像』。わかりやすいダンシング・シヴァです。
こちらは、完全に忘れました。なんか他の展示と比べて異質だったので気になって、ついつい撮影してしまった。
Room33の奥に、Room33aがあります。ここにはインド南東部の仏教でも重要な地域であるアマラヴァティのレリーフなどが展示されています。
【15:45~15:50頃】時計(Room38~39。2階南側)
概ね番号順で進むため、大英博物館入り口付近にある南階段から2階に上がり、Room38~39に入室。ここはテーマ別展示で、時計が展示されている部屋です。
精巧な機能美と、美術品としての芸術性が素晴らしい展示です(でも、博物館的には、もうちょっとタイプの違う時計を色々と比較して欲しかった)。
こちらの写真は『ガレオン船からくり模型』。船の模型としても精巧で美しいですが、見張り台の船乗りが鐘を鳴らしたり、13門の大砲が鳴ったりと、晩餐会で来客を驚かせたそうです。
【15:50~16:20頃】ヨーロッパ・中東(Room40~43、46~59。2階東側側)
2階の南東~北東側は、ヨーロッパと中東関係です。
角笛、ルイス島のチェス駒、シターン、アクマニレ(Room40)
こちらは、象牙製の狩猟用の角笛(オリファント)です。精緻なデザインにはイスラムと西洋の古典的要素が組み合わされており、恐らくキリスト教徒とイスラム教徒が混在していた南イタリアで作られたと考えられます。
こちらはルイス島のチェス駒。その名の通り、スコットランドのルイス島で発見されたもので、素材はセイウチの牙やクジラの歯だそうです。かなり人気で、時間が無いこともあって綺麗に撮影する余裕はありませんでした。
こちらは中世のギターである『シターン』という楽器。写真ではわかりにくいですが、恐ろしく細かな意匠が側面に彫り込まれています。
当時は手づかみでの食事が多かったため、実用的な道具なのですが、同時に清潔さが洗練のしるしとなっていたそうです。
ライオンの頭から水を入れ、口から水が出えるそうですが、なんか人が食われてるような……。
メディチ家の花瓶、チャールズ2世の描かれたワインフラスコ(Room46)
こちらは、『メディチ家の花瓶』。イスラムの伝統的な艶出しが施されています。元はイスラム教徒に支配されていたスペイン南部で使われていた技術だそうですが、1400年ごろからキリスト教徒の統治下におかれると共に、生産の中心地はバレンシアとなったそうです。こちら、なんか罰ゲームかと思える酷い表情で描かれたチャールズ2世のワインフラスコ。
でも、チャールズ2世を表す『CR』が描かれていることから、たぶん公認。これでいいのかチャールズ2世!
ミルデンホールの大皿、クラシキアヌスの墓(Room49)
ミルデンホール近郊で発見された宝物の中でもとくに有名な作品である『ミルデンホールの大皿』。表面の図柄はバッカス崇拝と神話を表現しています。ガイウス・ユリウス・アルピヌス・クラシキアヌスの墓の復元。
私はクラシキアヌスの事を全然知りませんでしたが、ローマ人がロンドンにロンドニウム(植民地)を作っていた時代の人だそうです。当時(西暦60年頃)、ローマ人は武力で植民地を広げていましたがイギリスは海もあって大軍を送れず、反乱に苦しめられていました。そんな中で、「交易とは略奪ではなく、互いの利益になるもの」として、皇帝ネロに植民地経営に修正を進言したのがクラシキアヌスでした。女王ブーディカによる反乱後、クラシキアヌスはブリタニカノ財務大臣を務め、重税路線を変更して、交易による利益増加によって、税収を改善したそうです。結果、現在のロンドンの礎を築きました。
ちなみに、クラシキアヌスの墓は、タワー・ヒル(ロンドン塔近く)から発見されました。
咆哮するライオンの煉瓦パネル(Room55)
Room55は紀元前1500~500年ごろのメソポタミアの展示。
鮮やかさが目を惹く『咆哮するライオンの煉瓦パネル』は、彩釉煉瓦を使用したもの。紀元前605~562年頃の作品らしく、イラク南部のバビロンのものです。
咆哮するライオンは、新バビロニア王国の2代目の王、ネブカドネザル2世を表します。
【16:20~16:25頃】エジプト(Room61~66、2階北側)
エジプトの展示は1階も2階も大人気で混雑していました。残り時間も短かったため、このフロアはチラッと見て回った程度。写真撮影もほとんどできませんでした(是非、次回じっくり鑑賞したい)。
沼地で狩りを行う様子を描いた墓の壁画(Room61)
こちらの壁画は紀元前1350年頃の物。ネバムンという当時の裕福な会計士の墓に飾られた壁画です。
エジプトの様式で、絵の中で重要な物は中央に大きく書かれるらしく、この壁画もネバムンが明らかに周囲の人より大きく描かれています。
ゲベレインのミイラ(Room64)
当時の埋葬されている雰囲気で、ミイラが展示されていました。こちらのミイラは紀元前3500年頃のもの。まさか、5500年も後に、こんな見世物になっているとは思うまい。
ちなみに、ミイラにするための技術が施されたわけではなく、石の板で覆われた浅い墓に埋葬された後、熱い砂漠の砂で急速に乾燥され、自然にミイラになったそうです。
【16:25~16:30頃】三菱商事日本ギャラリー (Room92~94、2階北側Level 5)
いくつかの展示を諦め、日本の展示へ。2階北側の最上階には、日本の展示室があります。
ここには、土器や甲冑はもちろん、中には近年の漫画まで色々と展示されています。
が、閉鎖されていました。
日本人として、どんな風に日本の展示が行われているかはかなり興味があったので、ここに入れなかったのは残念です。
後でわかりましたが、公式ページの「Planned gallery closures」を見ると、メンテナンスなどで閉鎖されているフロアがわかります。私が観光したこの日から3日間は、タイミング悪く三菱商事日本ギャラリーは閉鎖中だったようです。
ちなみに、三菱商事日本ギャラリーに向かう途中の階段に「敬愛」と書かれた書作品がありました。
「敬と愛は、家族の調和とブッダの地合いを促進する仏教の修行の名前」だそうです。作者の春海は天台宗の僧侶で、修行を積む中で書法も身に着けたそうです。
【16:30~16:40頃】ギリシャ・ローマ(Room69~73、2階西側)
北西から南西側へ、サクッとギリシャ・ローマのフロアを回りました。
ブログの解説は番号順ですが、北西から南西へ移動すると、実際には73→69番の順になります。
ムルミッロの兜、髭の生えた蛇のブロンズ像(Room69)
ポンペイで出土したとされる『ムルミッロの兜』は、ブロンズ製で重量3.5kgほど。新品の時は黄金で、羽飾りが付いていたそうです。
こちらは『髭の生えた蛇のブロンズ像』。ローマ時代のもので、地域の守護霊的な存在らしいです。
渦巻き型クラテールの一種?(Room73)
この壺、正確には何だったのか忘れました(記録もとってない)。
『渦巻き型クラテール』ほぼ同様のものなので、恐らくは同様に南イタリアのギリシャ人の都市で副葬品として使われていたのだと思います。
壺の上部にある顔が、何とも言えない微妙な表情でいい味出してます。
【16:40~16:45頃】貨幣(Room68、2階南側)
2階西側を南へ進み、最後はテーマ別展示で「貨幣」。世界の貨幣や、貨幣に関連するものが色々と展示されていました。
何となくドナルド・トランプっぽいポスター。
ニルバーナのネバーマインドも展示されていました(写真が酷かったので、商品画像掲載しておきます)。
【16:45~16:55頃】グレートコート~退館
最後に、17:00まで僅かながら時間が残っていたので、グレートコートを散策しました。
中央の柱部分の階段を登ったらどうなるのか? 気になったので登ってみましたが、カフェがあって、2階の中東フロアの中央辺りに接続されていました。
上の写真は、グレートコートに飾られているクニドスのライオン像。巨大な大理石のライオン像で、わかりやすい入り口付近の目印になります。どことなく、哀愁漂う良い表情です。
大英博物館は、時間がかかるし、閉鎖中の部屋も多かった(できれば、期間をあけつつ何度も行きたい)
今回、入館手続きから退館まで6時間ほど滞在させて頂きましたが、それでも後半はかなり流し見状態で、じっくりと見ていく事が出来ないほどの展示がありました。
また、私が訪れた際は閉鎖中の部屋も多く、少なくともRoom11、17、56~58、77、78、91~94の部屋については入ることができませんでした。
閉鎖情報については、公式ページの「Planned gallery closures」から確認できますので、目当ての展示がある場合は、事前に確認しておきましょう。
大英博物館への観光で、実際に使った全ての英会話
実際に使った英会話(?)は、以下の通りでした。
- 布教活動中らしき人に色々言われて:I don’t understand.
- 布教活動中らしき人に色々言われて:Sorry, I can’t speak English.
- 布教活動中らしき人から小冊子をもらって別れた際に:Thank you.
- セキュリティチェックの人に:Hello.
- ガイドブック購入した時に:Thank you.
- 混雑している隙間を通ったり、ぶつかった時:Sorry.
何故かバス停で布教活動された時が一番英会話してました。
それも、正直本当に布教活動なのか、リスニング力が壊滅的なので不明です。空をさして「ヘブン」とか言ってたのと、手に持った冊子から、たぶん布教活動かなと推測したレベルです(小冊子は荷物の軽量化の為、読まずに捨ててしまった。ごめんなさい!)。
しかも、その一番頑張って会話した内容が「I don’t understand.」「Sorry, I can’t speak English.」です。英会話する気がありません。
ちなみに、事前予約したチケットを見せるときは、スマホの画面を見せ無言で通過。セキュリティチェックも「Hello」以外は、鞄開いて中見せて、ニコニコしてたら追及は無く終わりました。
まあ、観光だけなら英会話不要って聞いてはいましたが、観光だけなら「Hello」「Thank you」「Sorry」だけで通用する日もあるという結果になりました。