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基本情報技術者試験とは?就職への活用、難易度、試験の特徴について

3月 14, 2019基本情報技術者試験

IT業界を志す人であれば、「基本情報技術者試験」を耳にしたことがある人は多いのではないでしょうか。とくにIT関連の大学に入学したばかりだったり、文系からIT業界に入った新入社員の方には

  • 「基本情報技術者試験」ってどんな内容の試験?
  • 「基本情報技術者試験」は自分が受けるべき試験なの?
  • 「基本情報技術者試験」に合格するには、どんな勉強が必要?

と疑問に思っている人も多いのではないかと思います。

今回は、IT業界の登竜門ともいえる、基本情報技術者試験について

  • 基本情報技術者試験はどんな人向けの試験か?
  • 基本情報技術者試験は就職に有利? 意味ない?
  • 基本情報技術者試験の特徴
  • 基本情報技術者試験の難易度
  • そもそも基本情報技術者試験ってどんな試験?

といった内容について解説したいと思います。

基本情報技術者試験は、2023年4月5日より大幅改定されました。

試験が通年で受験可能な上、難易度も下がっていますので、今までITパスポートなどを目指していた学生でも、比較的容易に取得して就職活動でのPRに活かしやすくなっています。

逆に、情報系の就職活動で高い評価を得たい場合は、応用情報技術者試験以上のレベルの取得をおすすめします。

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基本情報技術者試験はどんな人向けの試験か?

社会的な評価から、基本情報技術者試験は以下の人におすすめの試験といえます

おすすめの人物像

  • IT関連での就職を考えている学生
  • 幅広く資格を取得しておこうと考えている学生
  • IT業界未経験で転職を考えている人
  • IT業界に入ったばかりの新入社員
  • IT関連の学部への進学を考えている高校生

基本情報技術者試験は、学生の就職活動や、IT業界の新入社員が設定する学習目標、キャリアアップ過程での取得に向いている試験です。

また、大学入学共通テストの情報関係基礎の難易度は「基本情報技術者試験の午後科目(旧制度)よりやや低く、ITパスポート試験よりは高い」とされています。2025年からは「情報」を出題教科に追加指定とのことですので、今後は高校生であっても需要が増してくるのではなかと思います(もちろん、情報関係基礎を選択できる場合ですが)。

狒々山
狒々山
ちなみに「情報関係基礎」は点を取りやすいため、それを利用し特待生として大学に入学した友人もいます。

基本情報技術者試験に合格するメリットについては、以下の記事に詳細にまとめてありますので、興味がある方はご参照ください。

基本情報技術者試験は就職で有利? 意味ない?

正直に言えば、必ずしも有利であるとまではいえません。企業と求める人材の組み合わせによっては、大卒で取得してもほぼ意味がないこともあります

ただ、IT業界に入った新人が取得をすすめられるレベルということもあり、就職活動で有利に働く可能性は高い資格です。ですので

  • IT業界での就職を希望している
  • 真面目に勉強できる人材であることをアピールしたい

といった場合は、取得して損はない資格といえます。

ただし、コロナ以降で取得難易度が下がり、2023年4月5日の制度改正で更に大幅に難易度が下がった事から「IT業界の就職活動で、高い評価を得る」という事は難しくなってきていると思います。より上を目指すのであれば、応用情報技術者試験をおすすめします。

基本情報技術者試験は、文系の就職で有利?

先にも述べた通り、「企業や求める人材による」とはいえますが、私の周で文系からIT業界に入った人では、取得を進められた人が何人もいます

そういった意味でも、文系大卒や、全くの他業界からの転職であれば、取得しておいた方が有利である可能性は高いです。

企業から見れば、最低限の知識があることが保証され、教育コスト削減にもつながります。

ただし、基本情報技術者試験に合格しただけでは、基本的に現場では歯が立ちません。「即戦力にはなれない」ことは承知の上で合格を目指しましょう。

基本情報技術者試験は、情報系の就職で有利?

文系に対して、工学部や情報学部などの場合、取得しても意味がないことはあります。

しかし、情報系の大学生であっても、私は取得しておくことをおすすめします。理由は以下の通りです

  • 情報系の人には難易度がそれほど高くない(情報系なら、比較的短時間で取得できる
  • 自己研鑽する人間であることアピールできる
  • 一定の知識水準は証明できる

ただし「大学に通っていたが、勉強についてアピールできない」といった人が、最低限の努力を保証するレベルです。

偏差値50程度の情報系の学生でも、真面目に勉強していれば1年生の前期課程が終わる頃には、難易度が比較的高かった2023年の改訂以前でも、合格を目指せたレベルです。ですので、試験に合格しても、情報系の人材として知識が豊富であるとか、即戦力とは全くみなされないと考えた方が良いです。

情報系の大卒が前提の求人であり、競争が激しいような企業では「持っていないよりマシ」程度で考えた方が無難です。

基本情報技術者試験は会社で評価される?

IT業界に入った新社会人が求められるレベルということもあり、就職後も一定の評価を得ることが可能な資格です。若い内に取得すれば、社内で評価を上げられる可能性はあるかと思います。

IT関連の企業では、取得に対して数万円程度の報奨金が支払われることもあります。新人向けとしては価値ある資格として認めている会社が多いと言えます。

一方、キャリアアップを狙った転職では物足りない資格です。とくに、20代後半以降で、IT業界で数年の経験がある場合は、一つ上の「応用情報技術者試験」以上の取得を狙いたいところです。

狒々山
狒々山
文系出身の場合、入社直後にITパスポートを勧められることもあります。そのワンランク上が基本情報技術者なので、若いうちは評価されやすいかと思います。ただし、2023年の試験改定で難易度が更に下がっていますので、文系でもあまり難しい試験ではありません

基本情報技術者試験の特徴は?

CBT方式で実施される

令和2年秋試験以降、基本情報技術者試験はCBT方式(コンピュータで受験する方式)になりました。

自宅での受験ではなく、全国の試験会場にあるコンピュータを利用して試験を行います。

ちなみに、ITパスポート試験用ですが、CBT疑似体験ソフトウェアがあります。CBT試験をやったことがない人は、参考にしてみてもいいでしょう。

狒々山
狒々山
同じ情報処理技術者試験の1つである「情報セキュリティマネジメント試験」をCBT方式で受けましたが、大学での受験方式よりも更に監視体制は厳しく、不正には強い試験になったかと思います。

試験は「科目A」と「科目B」にわかれる

基本情報技術者試験の特徴は、試験が「科目A」と「科目B」に分かれるところ。以下の様な試験形式です。

  • 科目A:全60問の四肢択一式
  • 科目B:全20問の文章読解の多肢択一式

この内、「科目A」は2023年の改定前における「午前試験」に相当し、過去問の反復練習を行えば比較的容易に攻略できます。

一応、科目Bの方が難易度が高いと言われていますが、過去の午後試験(現在の科目Bに相当)と比較すると、難易度が下がっています

まず、従来は午後試験で必要だったソフトウェア開発(要するに、プログラミング系)が無くなっており、プログラミング未経験でも比較的受験しやすいです(疑似言語が登場するので、一定の理解は必要)。

この点については、シラバスで旧試験は「プログラム言語の種類,特徴,基本的な記述方法を修得し,適用する」だったものが、「プログラム言語の種類,特徴,基本的な記述方法を理解し,適用する」と改定された事からも、公式にも明らかに難易度を下げています

また「文章読解」の形式としましたが、従来の数ページに及んだ長文読解と比較すると、2023年改定以降の公式のサンプル問題は圧倒的に短文となり、回答も容易です。あくまで、科目Aと比べると、比較的長い文章という感じです。

こういった事から「科目Bの方が難易度が高い」とはいえ、2023年以前の基本情報技術者試験と比較すると、かなり難易度が下がっていると言えます。

ただし、IT関連の業務経験や、学校でプログラミングを学習したことがある人の場合、全く勉強しないと知らない知識を問われる可能性が高いです(範囲が広いので)。とくに科目Aは範囲が広く、過去問演習が重要になりますので、経験者ほど油断しないようにしましょう。

狒々山
狒々山
私は大学1年の秋頃、試験勉強をさぼり、ほぼ大学の前期で学んだ知識で受験したときは、午前(現科目A)だけ合格点に届きませんでした。「プログラミングの経験があるなら、午前(現科目A)の対策をしっかり行うべき」という指導をしている先生もいた事からも、経験者ほど科目Aに注意が必要です。

「科目A」と「科目B」は別日に受験できない

CBT方式に変更されたことに伴い、午前試験と午後試験を別の日に受験できるようになっていましたが、2023年の試験改定から「科目A(旧午前試験)」と「科目B(旧午後試験)」を別日に受験できなくなりました

旧試験では、この「別日に受験できる」がかなり有利に働いていたと思われ、実際にCBT方式に移行し別日に受験できるようになってから、合格率が大幅に跳ね上がっていました。

とはいえ、2023年の改訂で、そもそもの試験の難易度が下がったと考えられる状況です。

また旧試験から大幅に試験内容がコンパクトになった事に伴い、試験時間自体も300分の長丁場から、190分の比較的短時間になっています。こういった点でも、同じ日に受験したところで、集中力の減少などは発生しにくいかと思います。

科目Aの特徴(過去問が重要)

科目Aの内容は以下の通りです。

  • 試験時間:90分
  • 出題数:60問

従来が150分あたりで80問だったことを考えると、1問当たりの時間は減少しています。

とはいえ科目Aは過去問の流用・類似問題が多いため、過去問演習を繰り返していけば、自然とこのペースでの回答は可能になります。

また出題内容は、以下のようになっています。

  • 問41:テクノロジ系
  • 問7:マネジメント系
  • 問12:ストラテジ系

また、基本情報技術者の午前試験(現科目A)の出題傾向として、「過去問からの出題が非常に多い」ことがあげられます。実に半数程度が何らかの形で過去に出題された問題を、そのまま流用という状態です(応用情報技術者試験からの流用もあります)。この事からも、2023年以降の科目Aも、基本は過去問(改定前の午前試験を含む)の反復演習をするといいでしょう。

また、流用以外の問題についても、過去問を幅広く解いた知識があれば、科目Aは多くの問題が解答可能なレベルとなっています。一部に最新技術の分野などから新出の問題もありますが、常識の範囲で解けなければ捨てるべき問題と思いましょう。効率を重視するなら過去問演習一択です。

科目Aの試験対策については、こちらの記事で詳細に解説していますので、気になる方はご参照ください。

科目Bの特徴

科目Bの内容は以下の通りです。

  • 試験時間:100分
  • 出題数:20問

2023年の改訂前は選択式の問題でしたが、現在は小問20問で、全て解答が必須です。

また、改定前の「長文読解」から、短文の読解問題に変更されたため長文読解の能力が問われることが無くなりました

更に、改定前であれば「情報セキュリティ」「ソフトウェア開発(プログラミング能力)」「データ構造及びアルゴリズム」の他、更に2つの分野から選択し、5つの分野の学習が必要だったところ、「情報セキュリティ」と「アルゴリズムとプログラミング」の2つに分野が減っています。

「アルゴリズムとプログラミング」は旧「ソフトウェア開発」と「データ構造及びアルゴリズム」を統合した物なので実質3分野ではありますが、改訂により学習分野が5つから3つに減少した事を考えると、かなり受験のハードルが下がっていると言えます。

とくに「ソフトウェア開発(プログラミング能力)」については、実在するプログラミング言語か試験独自の表計算のプログラミング能力の「修得」が求められましたが、新試験では特定のプログラミング能力は不要な上、「修得」ではなく「理解」にまで難易度が下がっているため、プログラミング経験が無い人でも、比較的容易に合格が目指せます

科目Bの試験対策については、こちらの記事で詳細に解説していますので、気になる方はご参照ください。

基本情報技術者試験の難易度は

試験の合格点と採点方式

試験の合格点は、科目A・科目Bのいずれも1,000点満点で600点以上となっています。一方が600点を超えていても、片方が600点を下回った場合は不合格の可能性が高いため注意が必要です。

ただし、採点方式は2023年の改訂で、IRT方式に変更されました。これは、繰り返し試験を行う中で、合格の難易度の差を無くすため、解答結果に基づいては配点を算出する仕組みです。つまり「1問○点」という点数が、事前に決定されておらず、全体の受験結果によって点数が左右されていきます。そのため、正答率60%であっても、必ずしも合格にはなりません。

確実に合格を目指すのであれば、科目A・科目B共に70点以上は取れるように学習をすすめるといいでしょう。

また、科目Aについては、試験の免除制度が存在します。どうしても確実に合格したい場合は、科目Bに集中するため、免除制度を活用してもいいでしょう。

試験の合格率(2020年秋試験から急上昇)

2019年までの試験では、長く合格率25%前後で推移していました。

しかし、コロナ影響で、試験がCBT方式になり2020年秋の試験から合格率が50%前後へ急増していました。

その後、2022年4月の秋試験までは減少し、35.64%まで戻ったのですが、やはり2023年の改訂以降、2023年4月は56.39%、2023年5月は54.73%と、合格率が大きく上昇しました。

試験が別日に受けられなくなったにも関わらず、合格率が大幅に上昇している事からも、2023年に行われた改訂前の基本情報技術者試験と比べれば、難易度が大幅に下がったと言えるでしょう。

試験の勉強時間

試験の勉強時間は人によって大きく変わります

現役のSEや、大学で1年程度学習した人であれば、改定前の難易度が高かった試験でも、50時間未満で合格ラインに達することも難しくありません。実際、私が受験した際は、大学1年終了後、50時間程度の勉強で余裕をもって合格できました。

一方、全くの初心者の場合、プログラミングや設計にかかわる考え方など、馴染みのない内容を学習していく必要があります。ただし、昔であればそのような人は150~200時間程の勉強が必要でしたが、2023年の試験改定移行後のTACでは「平均的な勉強時間は125時間前後」という記述がありました。

もちろん、この記述でも「ある程度の知識がある人と、初めて勉強する人とでは、勉強時間に大きな差があります」とは書かれていますが、先にも記載した通り1年も勉強した経験があれば、旧試験でも50時間で合格可能です。また、大手予備校の方が比較的「確実に合格できる可能性が高い時間」を提示しやすいため、合格率80%程度であれば、勉強方法さえ間違えなければ未経験から100時間でも合格を目指せるかと思います。

そもそも基本情報技術者試験とは

念のため、最後に「基本情報技術者試験ってどんな試験?」ということについて解説します。

試験の情報は常に更新される可能性がありますので、実際に受験する際は、一度は公式サイトで最新の情報をご確認ください。

試験概要

基本情報技術者試験とは、情報処理技術者試験(IPAが運営する情報処理関連の国家試験)の一つです。4段階あるレベルの中では下から2番目のレベル2。一つ下が「ITパスポート試験」、一つ上が「応用情報技術者試験」です。

公式で利用される略称は「FE」。「Fundamental Information Technology Engineer Examination」の略です。

レベル4も含めて受験資格は存在しないため、レベル4からの受験も可能となっていますが、学生やIT業界に入ったばかりの新社会人が受験するならば、基本情報技術者試験が比較的ポピュラーな資格といえます。

ちなみに、個人的には時間に余裕がある学生であれば、基本情報技術者試験よりも応用情報技術者試験の方がおすすめです。学生で応用情報技術者試験に合格している人は比較的少なく、周囲に差をつけることができます(基本情報の合格者の平均年齢は25歳ほど。応用情報は30歳ほど)。

応用情報技術者試験については、以下の記事に基本的な情報をまとめていますので、興味がある方は参照して頂ければと思います。

基本情報技術者試験の位置づけ

独立行政法人 情報処理推進機構(以下、IPA)が想定する「対象者像」は以下のとおりです。

ITを活用したサービス、製品、システム及びソフトウェアを作る人材に必要な基本的知識・技能をもち、実践的な活用能力を身に付けた者 (基本情報技術者試験(FE) ~ ITエンジニアの登竜門 ~

要するに、IT業界で働く人が身に着けるべき、基礎的な知識・技能が問われる試験となります。

ただ、試験改定前は「高度IT人材となるために必要な基本的知識・技能をもち、実践的な活用能力を身に付けた者」となっていた事から、公式で対象者像を下げた事は明らかです。

基本情報技術者試験の制度

試験の日程

試験は随時CBT方式で実施されています。

集中して学習する時間があれば、未経験からでも1ヶ月で合格可能な試験です(100時間以上は勉強時間が欲しいですが)。そういった意味では、就活直前での取得を考えてもいいでしょう。

ただし、会場が空いているかにはスケジュールが左右される可能性もあります。受験する場合は念のため早めの申込をおすすめします。

受験料

受験料は5,700円でしたが、2020年4月から実施する試験は7,500 円となります。

理由は「印刷や運搬費用、会場借料等の値上がり、新型コロナウイルス対策」とのことです。

受験資格・注意点

受験資格はないため、実務経験のない学生でも受験を受けることは可能です。

その他の注意事項としては、受験票に忘れず写真を貼り付けて持っていくことなど、通常の資格試験と概ね同じ内容です。

また、CBT-Solutionsで受験申込時に作成した利用者IDは、FE・SGの受験申込みだけでなく、応用情報技術者試験・高度試験・情報処理安全確保支援士試験の受験申込みでも使用することになります。忘れないように記録を残しておきましょう。

細かな受験する上での注意事項については、申込みページにも記載されています。こちらも必ず確認するようにしましょう。

基本情報技術者試験を受けるなら10~20代前半がおすすめ

基本情報技術者試験は、しっかり準備して挑めば決して難しい試験ではありません

例えば、大学生なら春休みに毎日2~3時間勉強すれば、初心者でも合格が狙えるレベルです。

IT業界を志すのであれば、就職・キャリアアップにも使えるため、10~20代前半のうちに取得しておくと良いでしょう。

また、既にIT業界就職している場合も、若いうちであればキャリアアップや社内の評価を上げることにつながります。報奨金がもらえることもありますので、是非チャレンジしてみてください。

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3月 14, 2019基本情報技術者試験