就職・転職に有利? 基本情報技術者試験に合格する8つのメリット
IT業界を目指す人にとって、「IT業界で就職・転職に有利な資格はなにか?」は重要なポイントだと思います。就職活動を有利に進めたい学生や、転職を考えている社会人であれば、資格取得を考える人は多いでしょう。
また、基本情報技術者試験に合格することを通して
- 優遇される制度があるか
- 昇給・報奨金・資格手当などの金銭面のメリットがあるか
といった、ところも気になるところではないでしょうか。
そこで今回は「基本情報技術者試験に合格することで手に入る8つのメリット」を解説したいと思います。
基本情報技術者試験の8つのメリット
メリット① 基本情報技術者試験の勉強をすれば、IT関連の知識が幅広く身に付く
基本情報技術者試験では、何らかの分野に特化した知識はつきません。基本情報技術者試験に合格しただけでは、プログラマーやシステムエンジニアとして社会で通用する技術を身につけることは難しいでしょう。
しかし、基本情報技術者試験では、プログラミングやシステムの設計に関する知識だけでなく、ハードウェアやネットワーク、セキュリティ、経営戦略などといった幅広い分野を学習することができます。IT業界で働くことを志望する人なら、幅広い分野で活躍するための基礎知識を身につけることができるのです。
技術職は、狭く深い知識を求められることが多い仕事ではあります。しかし、若いうちに幅広い知識を身につけることができれば、「専門分野✕セキュリティ」「専門分野✕ネットワーク」「専門分野✕データベース」といったように、2つ以上の分野の知識を活かすことによって他の人にない技術を身に着けた人材として、活躍することができます。
メリット② 大学入試で優遇される制度がある
基本情報技術者試験には、以下のような入試で優遇される制度があります。
- 学科試験免除
- 合否判定優遇
- 点数加算(点数化)
- 出願条件
- 合否判定考慮
入試での優遇制度を実施している大学は、公表しているだけで186校(2019年4月6日時点)。情報系の大学や学部が多い傾向ですが、経営学部や法学部など、大学によっては全学部を対象として優遇制度をとりいれていることもあります。
また、センター試験で「情報関係基礎」を選択する場合、試験対策をセンター試験の勉強としても利用することができます。
現在は普通科の場合は「情報関係基礎」を入試で利用することは難しいですが、内閣官房日本経済再生本部の未来投資会議が発表する「未来投資戦略2018」には、以下のような文言があります。
義務教育終了段階での高い理数能力を、文系・理系を問わず、大学入学以降も伸ばしていけるよう、大学入学共通テストにおいて、国語、数学、英語のような基礎的な科目として必履修科目「情報I」 (コンピュータの仕組み、プログラミング等)を追加するとともに、文系も含めて全ての大学生が一般教養として数理・データサイエンスを履修できるよう、標準的なカリキュラムや教材の作成・普及を進める。
引用:未来投資戦略2018
大学入学共通テストにおいて、平成36年度から必履修科目「情報I」などの新学習指導要領に対応した出題科目とすることについて本年度中に検討を開始し、早期に方向性を示す とともに 、コンピュータ上で実施する試験(CBT)などの試験の実施方法等について検討を進める。
引用:未来投資戦略2018
つまり、いずれは「情報」の科目を利用して普通科の生徒も大学受験が可能となり、また利用できる学校も増えていくことが想定されます。
すでに情報処理学会からは、大学入試センターに「情報」の問題素案が提出されていますので、現実的に平成36年頃には「誰でも情報処理の科目が大学入試で利用できる」状況になってくるのではないかと思います。
メリット③ 基本情報技術者試験の合格で単位をもらえる制度がある
情報系の学部が中心となりますが、基本情報技術者試験に合格することで、単位を取得できる制度が設けられている大学もあります。
私自身、学生時代に基本情報技術者試験に合格し、単位を取得した経験があります。勉強の時期は期末試験とずらすことができるので、大学で効率的に単位の取得を進める際に、基本情報技術者試験は役立ちます。
単位取得が可能な大学は、IPAで公表しているだけで125校(2023年8月15日時点)となります。
メリット④ 新卒の就職活動が有利になる
基本情報技術者試験の対象者像は「高度IT人材となるために必要な基本的知識・技能をもち、実践的な活用能力を身に付けた者」となっています。
事実、実務的とまではいえないものの、IT業界で働く上での基礎的な知識が幅広く出題されるのが基本情報技術者試験です。
新卒の段階で基本情報技術者試験を持っていれば「学習意欲のある人材」「基礎的な知識はすでに学習できている人材」と評価されるため、就職活動を有利にすることができます。
メリット⑤ 未経験からの転職であれば、基礎知識のアピールに使える
新卒でなくても、若いうちであれば基本情報技術者試験を転職のアピールに使えます。
とくに未経験からIT業界への転職を考えている場合「最低限の知識は自分で身につけてきた」という点がアピールになります。
IT関連未経験から基本情報技術者試験合格を目指す場合、多くの人が200時間前後の勉強時間で試験に挑んでいます。そんな基本情報技術者試験に自力で合格しておくことで、本気でIT業界を目指していることをアピールすることができるのです。
また、求める人材として「基本情報技術者試験」をあげている求人もありますので*1資格を持っている人は積極的にアピールするといいでしょう。
*1 リクナビNEXTで「【基本情報技術者】の求人・転職情報」を検索した結果は45件(2019年4月8日時点)
メリット⑥ 大企業に対してアピールしやすい
基本情報技術者試験は、仕事のために必須の資格ではありません(未経験の場合に必須としている求人は見たことがありますが)。
ですが、「社員の○○名が資格を持っている」ということが、会社のアピールになることがあります。とくに大企業では「〇〇試験の合格者〇〇人」といったように、資格の保有者数をアピールしていることがあります。
また、大企業では大量のエントリーシートを確認する必要があるため、同じレベルエントリーシートを資格欄でふるいにかけることもあります。
IT業界で大企業を志望している人は、基本情報技術者試験を取得して周囲に差をつけるといいでしょう。
メリット⑦ 新社会人であれば、キャリアアップに使える
会社では、入社から退職まで1種類の仕事だけを続けることは稀です。
とくに大企業になるほど、多くの種類の職務に就く可能性があります。そして基本情報技術者試験では幅広い知識を身につけられるため、幅広い業務で活かすことができます。
また、より上位の資格である「応用情報技術者試験」に向けた準備として「基本情報技術者試験」を受験することは効率的です。どちらも会社からも一定の評価を得られるため、IT業界でスムーズなキャリアアップを目指す新社会人にはおすすめの資格といえます。
メリット⑧ 報奨金・資格手当・昇給が期待できる
リクナビNEXTのエンジニアライフ応援サイト「Tech総研」の調査では、基本情報技術者試験の報奨金は28,259円、資格手当は4,650円となっています(ちょっとデータが古いですが…)。キャリアアップのための勉強をしつつ、お金がもらえるのは嬉しいところです。
また、新人の早いうちに評価を上げることができれば、会社での役職を早く上げることができ、大幅な昇給を狙うこともできます。「あまり責任が重いのはちょっと…」という人も、管理職手前までは早めに昇進して、収入を上げておくといいでしょう。
基本情報技術者試験がおすすめの人
基本情報技術者試験を取得することによる8つのメリットから、私は以下のような人に基本情報技術者試験をおすすめします。
- 志望している大学で優遇制度がある高校生
- 入試で「情報関係基礎」を利用できる高校生
- 基本情報技術者試験で単位を認められる大学生
- IT業界への就職を目指す学生
- 未経験からIT業界への転職を考えている人
- IT業界に就職したばかりで、キャリアアップを考えている新社会人
基本情報技術者試験は、仕事に必須の仕事ではありません。またプログラマーなどの技術職は、資格よりも実力が重視される世界です。しかし、基本情報技術者試験に合格することで、学生であれば優遇される制度を利用できますし、就職活動で周囲に差をつけることができます。
また、既に社会人の人でも、未経験からのIT業界への転職や、キャリアアップの段階では基本情報技術者試験に合格することを活かすことは可能ですし、幅広い基礎知識を身に着けておくことは、高い技術力を身につける下地になります。
IT業界に就職しているのであれば、できれば20代のうちに、基本情報技術者試験に合格しておくといいでしょう。
基本情報技術者試験の詳細については、こちらの記事を参考にしていただければと思います。