【基本情報技術者】絶対にマネしてはいけない、よくある失敗と不合格体験記
基本情報技術者試験は、IT業界を志す人や、IT業界の新入社員が受験するレベルの試験。いわば「初心者向け」の試験です。
一つ下のレベルの資格に「ITパスポート試験」がありますが、IT業界で働くことを考えるのであれば「基本情報技術者試験」がスタートラインといってもよく、2023年の試験改定以降は、合格率50%以上にまで上がりました。
とはいえ、半数近くが不合格になっている事も確かです。かくいう私も、2023年以前の合格率25%の時代ですが、一度目の受験で不合格になった経験があります。
今回は、そんなわたし自身の失敗体験も交えながら「基本情報技術者試験を受験するに当たり、絶対にマネしてはいけない注意点」について解説したいと思います。
【科目A】不合格の最大の原因は「単純な努力不足」
なぜ科目Aの不合格が「単純な努力不足」といえるのか
まず、科目Aで不合格になってしまう人(過去の私)にいえることですが、これは「単純な努力不足」です。
世の中には「未経験だけど20時間で合格できた」なんて人もいます。ですが、そういう人も「科目Aに合格できるだけの知識」をなんらかの方法で身につけています(四択なので、運もあり得無くないですが)。
また、科目Aの前身である午前試験では、出題の6割ほどは過去の情報処理技術者試験からの流用でした。その上、その他の問題も、過去問で身につけた知識でほとんど解答が可能です。
CBT方式に変更されてからは、正確な流用率は測定不能となっていますが、現在も基本てきな勉強方法は「過去問演習の繰り返し」であり、やはり試験では過去問と類似したような出題が多い傾向です。そういった事からも、科目Aで合格点に達しないとすれば、それは「単純な努力不足」といえるでしょう。
科目Aにおける効率と努力の関係
科目Aの対策において、勉強の効率を上げる方法がないわけではありません。
過去問が全く理解できなかったというのであれば、わかりやすいテキストを読みながら理解した方がいいですし、頻出テーマを厳選された過去問題集を利用することでも、効率を上げることは可能です。
ただし、基本は過去問を繰り返して、地道に正解率を上げるという努力が必要です。逆に、過去問8回分程で正解率9割を上回るようになれば、ほぼ確実な合格ができるようになります。
ですので「科目Aに合格できなかった」という人は、効率的な勉強方法を考えるより、「過去問でしっかり点数を取れるように、過去問を繰り返す」ことを意識してください。
科目Aは、経験者ほど要注意
実は、若干の学習経験、とくにプログラミング経験がある人ほど、科目Aの方に注意が必要です。
経験者は、未経験者が難関とする科目Bの「アルゴリズムとプログラミング」の分野で比較的容易に点数を稼ぐことができ、人によっては軽く過去問に目を通した程度で、合格ラインに届きます。しかし、科目Bは文章読解が必要な形式です。手応えとしては少し難しく感じてしまうため、経験者とはいえ、科目Bの対策を重視してしまう方もいると思います。
一方、既に学習経験がある上に、4択問題ということもあって、経験者ほど、科目Aの対策がおろそかになりがちです。
結果的に、午科目Bにばかり時間を割いてしまい、地道な努力が必要な科目Aの対策(過去問演習)が不足する可能性があります。
私の通っていた大学でも、こういった理由から「科目A(当時の午前試験)の対策だけは、過去問で繰り返し行うように」と、たびたび注意する先生がいました。とくに短期学習で試験に挑む場合、科目Aは確実に過去問演習ができるよう、スケジュールには注意しましょう。
完璧は目指さない
努力が重要な科目Aではありますが、努力する上で一点だけ注意してほしいことがあります。
それは「完璧は目指さない」こと。とくに「出題された問題の選択肢は全てしっかり理解する」という勉強方法は、効率がかなり悪いです。
出題される選択肢の中には、基本情報技術者試験のレベルとして想定されていないものもあります。そういったものが、次回の試験の答えにならないとまではいい切れませんが、学習の優先順位としてはかなり低いのは確かです。
まずは正解の選択肢を理解し、徐々に見慣れた間違いの選択肢も理解していくようにするといいでしょう。
とくに、科目Bで出題される「アルゴリズムとプログラミング」や「情報セキュリティ」以外の分野については、難問に深入りするのはやめましょう。
基本情報技術者試験に「科目Aだけ」「科目Bだけ」合格のメリットは無い
たまに誤解されている方がいますが基本情報技術者試験では「科目Aだけ」や「科目Bだけ」の片方合格にメリットはありません。
このような合格でメリットがあるのは、高度試験(基本情報技術者の上の、更に上の資格)です。高度試験では午前I試験が免除される制度が存在し、恐らくはその制度が誤った形で伝わってしまったのかなと思います。
ただし、基本情報技術者試験には「科目A試験を事前に免除する制度」であれば存在します。詳細は以下の記事にまとめてありますので、興味がある方はご参照ください。
未経験から合格を目指す場合の注意点
未経験から合格を目指す場合、十分な時間がとれるのであれば全体の学習をしっかり行って取り組むようにしましょう。150時間程かけて勉強すれば、全体の学習を行うことは可能です。
しかし、それほど時間がとれない状態で短期合格を目指す場合、未経験者が苦手とする科目Bの「アルゴリズムとプログラミング」に対して、どの程度取り組むかは重要なポイントです。
実例:狒々山の不合格体験記
- 年齢18歳
- 大学入学まで、ネットサーフィンすらまともにやってない
- 携帯・スマホはなし。大学に入ってからノートPCを所持
- 大学入学し、半年IT関連を学習した
- 週15~20時間程度のアルバイトと大学の授業(最大まで履修)以外は自由時間
- 資格試験は大学入学後に受験した「漢検2級」が最後。その前は中3で受けた「漢検3級」
わたしが不合格になってしまった流れは以下のとおりです
- 勉強を開始したのは、試験まで1ヶ月程度になってから
- 午前試験(現:科目A)・午後(現:科目B)試験を一通りやって、ソフトウェア開発(現:アルゴリズムとプログラミング)にビビる
- 午後試験(現:科目B)対策に絞って学習をすすめる
- 結果、午後試験(現:科目B)は合格。午前試験(現:科目A)は不合格
勉強を開始したのは、試験まで1ヶ月程度になってから
試験まで1ヶ月程度になってから勉強をはじめること自体は悪いことではありません。
しかし、短期決戦にも、いい短期決戦と、悪い短期決戦があります。
あえて困難な状況に置くことにより、モチベーションを上げる
不合格になってもいいので、とりあえず直前になってから勉強する
私は通常想定される勉強期間より、かなり短期で試験に挑むことがあります。これは自分の実力に自身があるからなどではなく「その方が凄いことをやってる気分になってモチベーションが上がるから」です。
馬鹿みたいな理由ですが「小学1年生でも解ける問題」に正解するより「東大生でも頭をひねる問題」に正解したほうが嬉しいものです。その精神的な高揚を利用できるので、あえて難関試験にギリギリのスケジュールで挑むことがあります(もう少し科学的な根拠もありますが、説明は割愛します)。
一方、短期決戦で失敗するのは「気づいたら直前になってしまった…」というタイプ。この状態に追い込まれると、精神的に高揚するどころか「いままで勉強してなかったのに、いまから突然勉強なんて始められるの?」と疑問すら感じられます。
とくにその勉強していなかった理由が「不合格になってもいいから」というのであれば、かなりモチベーションは上げにくいです。当時の私はまさにこの状態であったため、勉強期間が短期であったにもかかわらず、勉強時間はせいぜい1日1時間程度。それ以上努力する気がおきませんでした。
午前試験(現:科目A)・午後(現:科目B)試験を一通りやって、ソフトウェア開発(現:アルゴリズムとプログラミング)にビビる
勉強開始直後に午前試験(現:科目A)・午後試験(現:科目B)を一通りおこなったこと自体は悪いことではありません。
とくに直前の時期からの勉強となってしまうと、自分の能力と試験のレベルを確認するために、一通り実際の試験の内容にふれてみることは有効だと思います。
しかし、その際に試験のレベルを誤認してしまっては意味がありません。
わたしの場合「ソフトウェア開発(現:アルゴリズムとプログラミング)」で出題された問題にビビりました。大学で習ったプログラミングの内容を明らかに超えたプログラムが出題されていたため、これが攻略できなければ合格にはいたらないと考えてしまいました。
しかし、実際に必要だったのは「問題に回答するだけの読解力」です。
こういった試験に対する誤認は、行うべき勉強を誤った方向に進めてしまうため注意が必要です。
午後試験(現:科目B)対策に絞って学習をすすめる
誤った認識のまま、誤った対策を進めてしまいました。
現実的には、午後試験(現:科目B)の出題形式になれることが自分には必要であり、残った時間は午前試験(現:科目A)の過去問演習に全て費やすべきでした。
しかし、低いモチベーション(次の春までに合格できればいいや)であったこともあり、勉強時間を増やすこともなく、午後試験の対策以外には時間を使いませんでした。
結果、午後試験(現:科目B)は想定外に余裕を持って合格、一方の午前試験(現:科目A)はわずかに点が足りず不合格となってしまいました。
失敗体験の反省点
反省点をまとめると、以下の2点です。
- 「来年の春季試験で合格すればいいや」という低いモチベーション
- 事前調査不足による、試験に対する誤った認識
「〇〇までに合格できればいいや」という考え方自体は、必ずしも間違った考え方ではありません。私が受験した1回目の基本情報技術者試験も、午前の4択問題で少し運が良ければ合格できたため「合格できればラッキー」という気分でも合格できる可能性はあり、実際に合格できてしまえば「たった30時間で合格」と言えてしまうからです。
しかし、結果的に機会や受験料を失ったことも確かです。
半年後、私は再受験して合格していますが、1回目の勉強にもっと集中していれば、総合的に見た勉強時間は削減できましたし、受験料も半額ですんだはずです。
また、私は半年後に合格できただけましな方で、一度不合格が癖になると、そのまま中途半端勉強を続けてしまい、ずるずると不合格が続いたり、諦めてしまうこともあります。
こういった理由から「次があるからいいや」程度の低いモチベーションで受験することは、おすすめとはいえません。
また、モチベーション以上に失敗点があったとすれば、それは事前調査不足です。
大学で「経験者には午後試験(現:科目B)よりも午前試験(現:科目A)に苦戦する人がいる」と聞いたにもかかわらず、わたしはその意味を考えず、午後試験(現:科目B)の「ソフトウェア開発(現:アルゴリズムとプログラミング)」に力を注ぎすぎてしまいました。
当時の自分はネットサーフィンすらまともにやっていない状況でしたので、試験にたいして事前調査をするという行為がほとんど身についていませんでした。この点をしっかり行っていれば、結果は変わっていたかもしれません。
基本情報技術者試験は、努力を積み重ねれば合格できる
基本情報技術者試験は、選択式の試験ですが、運だけで簡単に合格できる試験ではありません。
中には日本語能力だけで解けるようなサービス問題もありますが、それだけをあてにして合格できる試験ではなく、科目Aは幅広い知識、科目Bはある程度の実力が求められます。
しかし、不合格の理由のほとんどは「勉強量が足りていない」というものであり、「勉強方法が間違っていた」という場合も、そもそも十分な勉強時間が確保できていれば(初心者が合格できる水準が100~150時間ほど)合格ができているものと思います。
確実な合格を目指すためにも、事前調査も含めて計画的に学習をすすめていただければと思います。
また、独学で合格を目指す場合の参考書の比較について、以下の記事にまとめました。これから学習を進める方の参考になれば幸いです。