【基本情報技術者】科目Aの特徴とおすすめの勉強方法・テクニックについて
基本情報技術者に初めて挑戦する場合「科目Aと科目Bでどう違う?」「勉強方法はどうする?」などが気になる所です。
私も学生時代、試験科目の違いや、勉強時間の配分について悩み、結果として1回目の試験では午前試験(現、科目A)だけ不合格となりました(勉強をさぼったのが最大の敗因ですが…)。
この記事は
- 基本情報技術者試験の科目Aの特徴
- 基本情報技術者試験の科目Aの対策
- 基本情報技術者試験の科目Aの裏技
この3点を中心に解説していきたいと思います。
「科目Bの特徴と対策」について気になる方は、こちらの記事をご参照頂ければと思います。
基本情報技術者試験の科目Aの特徴は?
科目Aの合格点・試験時間・問題数
合格点
合格のためには1,000点満点で、600点以上が必要です。
ただし、採点方式は2023年の改訂で、IRT方式に変更となりました。そのため「1問○点」という点数が、事前に決定されておらず、全体の受験結果によって配点が左右されていきます。概ね6割の正解で合格になる可能性は高くなりますが、安全な合格を狙うなら7割以上の正解率は確保した方がいいでしょう。
ちなみに、科目A・科目Bのどちらも1,000点満点で、600点以上が必要ですので、注意が必要です。
試験時間
科目Aの試験時間は90分です。
これは、2023年の試験改定前の150分から大幅に減少しており、問題数も減少しているとはいえ、1問あたりの時間は昔よりも厳しくなっています。
ただし、後述しますが、科目Aは過去問演習の繰り返しだけで、深い理解が無くても解答可能なレベルです。過去問で高得点が取れるだけやり込んであれば、時間で困る可能性は低いです。
問題数
科目Aの問題数は小問(四肢択一)が60問です。
科目Aの内容
科目Aの出題内容は、おおむね以下のようになっています。
- 問41:テクノロジ系
- 問7:マネジメント系
- 問12:ストラテジ系
基本情報技術者試験のシラバスを確認すると、より詳細な分類もありますが、試験の勉強を進めるにあたり、出題範囲の詳細な分類までは把握しておく必要はありません。
私自身、基本情報技術者試験に合格した際、出題範囲については意識せず勉強を進めていましたが、不都合を感じることはありませんでした(勉強していると、何となく出題範囲の詳細がわかってきます)。
出題内容について、簡単に掘り下げると以下の通りになります。
- テクノロジ系:理系的(数学、アルゴリズム、ソフトウェア、ハードウェアなど)
- マネジメント系:文系的(プロジェクトの管理、マネジメント、監査など)
- ストラテジ系:文系的(経営戦略、企業法務など)
未経験・文系の方はマネジメント系・ストラテジ系の方が回答しやすいかと思いますが、科目Aの勉強は科目Bの基礎知識にもなるため、アルゴリズムやセキュリティは、できるだけ捨てないように学習しましょう。

2023年4月5日の試験変更について
2023年4月5日に、大幅な試験の見直しがありました。
とくに、重要だと思われる点が旧シラバスの「プログラム言語の種類,特徴,基本的な記述方法を修得し,適用する」だったものが、「プログラム言語の種類,特徴,基本的な記述方法を理解し,適用する」となっている事。
また、基本情報技術者試験の公式の対象者像も「高度IT人材となるために必要な基本的知識・技能をもち、実践的な活用能力を身に付けた者」から、「ITを活用したサービス、製品、システム及びソフトウェアを作る人材に必要な基本的知識・技能をもち、実践的な活用能力を身に付けた者」となっている点からも、試験のハードルが下がっているように見受けられます。
ただし、科目Aは幅広い範囲から問題が出題される試験です。これらの変更が大きく影響したのは、どちらかと言えば科目B(旧、午後試験)だと思いますので、油断せず過去問で高得点が取れるように学習をしましょう。
基本情報技術者試験の概要をもっと詳しく
そもそも、基本情報技術者試験とは何か? この記事を読んでいる方は既にご存じの方が多いかと思いますが、以下の記事に試験の概要をまとめました。
基本情報技術者試験がおすすめの人物像などもまとめていますので、興味がある方は参考にしていただけると幸いです。
基本情報技術者試験の科目Aの勉強方法は?
科目Aは徹底的な過去問対策が必要
科目Aの前身である午前試験は、過去問の流用が大半でした。上位の試験である「応用情報技術者試験」などからの使い回しも含めると、問題の55~65%程が流用、残りにも類似問題があるという状況です。
試験がCBT方式になってからは試験問題が全て公表されるわけでは無くなったため、正確な流用率は不明となってしまいましたが、現時点でも試験内容が同様であることからも、過去問演習が合格への最短ルートとなっています。
つまり、科目Aは過去問対策だけで十分攻略できます。
逆に言えば、科目Aで落ちるのは、単純なやり込み不足です。情報系の大学の先生にも「午前(現、科目A)で落ちるのは単に勉強不足」とよく言われました。
IT分野ということもあり、AIなどの全く新しい分野からの出題もありますが、そういった最先端分野の問題は、常識の範囲で解き、わからなければ捨ててしまっても、合格だけなら大丈夫です(初出の問題は少ないので)。
詳細な過去問の傾向は「基本情報技術者試験ドットコム 合格率/その他統計資料」に掲載されているものが参考になります。試験ごとの過去問流用率や、元になった試験まで把握できますので、気になる方は参考にしてみてください。
正解の選択肢から覚えて、不正解の選択肢は余裕があったら覚える
勉強の際は「正解の選択肢から覚えて、不正解の選択肢は余裕があったら覚える」ことを意識しました。
正解の選択肢は形を変えて本番でも登場する可能性が高いですが、不正解の選択肢には、基本情報技術者試験レベルでは理解する必要の無いものも含まれています。
不正解の選択肢については、過去問で何度も見るようなら暗記し、登場回数が少ない物は最後まで暗記しなくても大丈夫です。

IT関連経験者と未経験者。それぞれの勉強方法
基本は過去問で十分とはいえ、IT関連の経験者・未経験者で勉強方法を変えることをおすすめします。
IT関連経験者の勉強方法
最初から過去問を解きまくるのがおすすめです。
IT関連の経験者であり、基礎的な知識を持っている場合、「テキストは必要ない」と私は思います。私の場合、IT関連を大学で半年学習した時点で、テキストがなくても学習を進めることは十分可能でした。
ただし、当然のことではありますが、IT関連経験者でも全ての分野の知識は普通ありません。とくに学校で学んだ経験がなく、仕事でIT関連に従事している人の場合、知識に偏りがあると思って、足りない知識はネットで吸収するようにしましょう。
また、いくら経験者であっても10時間程度は過去問に取り組むことをおすすめします。類似試験(技術士一次試験の情報工学部門とか)の経験があれば勉強不要で合格の可能性はありますが、受験料も安くないので、できるだけ確実な合格を目指した方が無難です。逆に、過去8回分で9割の得点が取れるくらいまでやりこめば十分です。

IT関連未経験者の勉強方法
IT関連未経験者でも、自分で調べながら学習できる人はテキストなしでも十分だと思います。過去問を繰り返し解きながら、分からなかった問題については解説を読み、それでも理解できなければネットで検索するという方法で、十分知識をつけることは可能です。
ただし、試験範囲に特化したテキストがあった方が、理解が早いことも確かですので、心配な人や、実際に過去問に取り組んで理解に苦しんだ人は、購入することをおすすめします。
過去問の正解率については、経験者と同様に、過去8回分で9割の得点が取れるくらいを目指しましょう。そこまでやりこめば科目Aで落ちることはまずありません。

おすすめの参考書については、以下の記事にまとめてありますので、参考にしていただければと思います。
科目Aの裏技・テクニック
ここからは科目Aの裏技・テクニックについて解説します。
裏技については、若干正解率を高める程度の技です。あくまで実力で合格できるよう、勉強を怠らないように注意してください。
直近3~10回目の過去問から流用されやすい。が……
過去問流用の多い基本情報技術者試験。とくに、直近3~10回目の範囲からの流用だけで半数を超えていました(一部、応用情報などの範囲も含む)。
ただし、CBT方式に移行したことに伴い、直近の過去問からの流用を期待する戦法が使いにくくなってきています。今後、過去問が公表されなくなってしまえば、過去問流用で対策することも難しくなってくる可能性はあります。
ただ、20回以上前からの流用もあり、過去問演習で学んだことが結局は新規の問題に役立つことはありますので、当面は過去問演習メインの学習方針に変化はないかと思います。
わからない選択肢は「ウ」が正解かも…
科目Aの問題は四肢択一です。そして、この四肢択一には以下の傾向があります(平成13年度から2640問の統計)。
- 選択肢「ウ」は若干正解になりやすい(27.6%)
- 選択肢「ア」は若干正解になりにくい(22.0%)
捨てた問題・自信のない問題については「ウ」で回答しておくか、「ア」以外の選択回数の少ない選択肢を選んでおけば、若干正解率があがるかもしれません。
科目Aは試験を免除する制度が利用できる
基本情報技術者試験には、科目Aを免除する制度があります。
この制度を利用するためには、講座の受講や修了試験に合格する必要があり、余計に勉強時間や費用がかかる可能性があるので、誰にでもおすすめできる制度ではありません。
しかし、免除制度を利用することには、以下のようなメリットもあります。
- 直前の勉強時間は、科目B対策に集中できる
- 仕事などで忙しくても、1度に集中する勉強時間を少な目にできる(科目Aと科目B対策を分散できるので)
確実に合格させる必要がある人や、仕事などで忙しくなることがわかっている人の場合は、この制度を利用してみる価値はあるかと思います。
免除制度の詳細については、IPAの「科目A試験免除制度 基本情報技術者試験(FE)」に掲載されています。また、私のブログでも内容についてまとめて解説していますので、興味がある方は参考にご利用ください。
制限時間を気にする必要は低い
制限時間90分で60問を解く必要があるため、1問あたり1.5分で解答していく必要があります。
実際にやってみるとわかりますが、1問あたり1.5分以上かかる問題は少な目です。科目Aの問題の大半は、知識を問う問題となっているため、問題文と解答を見比べれば直ぐに解答ができるからです(とくに流用問題は瞬殺)。
十分に学習を進めていれば、全ての問題を解き終わった後に、見直しをするくらいの余裕はありますので、制限時間を気にする必要性は低いでしょう。
一夜漬けで対応するなら?
正直、未経験の人が一夜漬けで合格を目指すのはあまり現実的ではありません。2023年の改訂前ですが、長い人では未経験から300時間かけて合格する人もいたくらいです。いくら難易度が下がったとはいえ、一夜漬けではそう簡単には合格できないと思った方がいいでしょう。
一方、「アルゴリズムとプログラミング」の勉強が不要なレベルの経験があれば、合格も不可能ではないと思います。「前日10時間+当日2時間」で科目Aを中心に過去問演習し、科目Bは出題形式だけ一度解いて慣れておけば、合格もあり得る試験です。とくに情報系の大学に通い、全範囲の勉強をしたことがある人は、合格できる可能性は高くなるかと思います。
ただし、やはり一夜漬けでは合格率が低くなる事は確実です。「一夜漬けで合格できるか実験したい」という、私の様な変人以外はマネしないでください。
科目Aの対策は、地道な過去問演習を!
基本情報技術者試験の科目Aは、科目Bに比べれば過去問演習だけで対策ができるため、比較的簡単といえるでしょう。
一方、過去問のやりこみが足りないと、経験者でも落ちる可能性はあります。とくに「情報系の大学に行っている」「IT関連の企業で勤務している」という人ほど、手を抜いて落ちる可能性がある点は注意です。
また、基本情報技術者試験の本番ともいえる科目Bの対策方法については、以下の記事にまとめてあります。とくに、文系出身など情報系は未経験の方は、科目Bの対策をより重点的に行って受験するよう心がけてください。