【基本情報技術者】午前試験の特徴とおすすめの勉強方法・テクニックについて

3月 19, 2019基本情報技術者試験

基本情報技術者に初めて挑戦する場合「午前試験と午後試験でどう違う?」「勉強方法はどうする?」などが気になる所です。

私も学生時代、午前と午後の違いや、勉強時間の配分について悩み、結果として1回目の試験では午前試験だけ不合格となりました(勉強をさぼったのが最大の敗因ですが…)。

この記事は

  • 基本情報技術者試験の午前試験の特徴
  • 基本情報技術者試験の午前試験の対策
  • 基本情報技術者試験の午前試験の裏技

この3点を中心に解説していきたいと思います。

「午後試験の特徴と対策」について気になる方は、こちらの記事をご参照頂ければと思います。

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基本情報技術者試験の午前試験の特徴は?

午前試験の合格点・試験時間・問題数

合格点

合格のためには、60%以上の得点が必要です。午前・午後のどちらかの得点が60%を下回ってしまった場合は不合格となりますので、注意が必要です。

試験要綱によると、難易度によって若干合格点が前後する可能性があります。60%ピッタリでは不合格になる可能性もあるので注意しましょう(恐らく合格点が動く可能性はかなり低いですが)。

試験時間

試験時間は午前・午後ともに150分間となっています。CBT方式ですので、都合の日時で申し込むようにしましょう。

問題数

問題数については、午前試験は小問(四肢択一)が80問です(ちなみに、午後が大問13問から7問を選択する形式となります。

午前試験の出題範囲

午前試験80問の出題範囲は、以下のようになっています。

午前試験の内容

  • 問1~50:テクノロジ系
  • 問51~60:マネジメント系
  • 問61~80:ストラテジ系

基本情報技術者試験のシラバスを確認すると、より詳細な分類もありますが、試験の勉強を進めるにあたり、出題範囲の詳細な分類までは把握しておく必要はありません

私自身、基本情報技術者試験に合格した際、出題範囲については意識せず勉強を進めていましたが、不都合を感じることはありませんでした(勉強していると、何となく出題範囲の詳細がわかってきます)。

出題内容について、簡単に掘り下げると以下の通りになります。

出題内容

  • テクノロジ系:理系的(数学、アルゴリズム、ソフトウェア、ハードウェアなど)
  • マネジメント系:文系的(プロジェクトの管理、マネジメント、監査など)
  • ストラテジ系:文系的(経営戦略、企業法務など)

未経験・文系の方はマネジメント系・ストラテジ系の方が回答しやすいかと思いますが、午前試験の勉強は午後試験の基礎知識対策にもなるため、特定の分野を捨てることなく、全体的に学習を進めていく必要があります

狒々山
狒々山
とくに配点のアルゴリズムや数学に関する問題は、今後重視されていきますので、苦手でも捨てないようにしましょう。

2019年秋期以降の試験変更について

2019年秋試験以降は新基準での出題となり、出題比率の見直しが実施されました。プレス発表の一部を抜粋すると、以下の通りです。

今後のAI時代を見据えて、午後試験の出題構成、午前試験の出題比率を見直します。これはAIの社会実装が進展していること、政府の「未来投資戦略2018」の中でプログラミング能力及び理数能力の重要性が示されていること等を踏まえたものです。

中略

(3)午前試験での数学に関する出題比率の見直し(適用時期:2019年の秋期試験から)
理数能力を重視し、線形代数、確率・統計等、数学に関する出題比率を向上

内容から、最新技術分野からの出題が若干増加することがうかがえます

優先度としては、あくまで基礎的な知識を学習するのがおすすめ。一方、AI、ビッグデータ、フィンテック、ブロックチェーンなどの最新技術や、2018年から導入された「サンドボックス制度」などは基本情報技術者試験にかかわらず、IT業界の常識として、基礎知識だけでも抑えておくといいでしょう。

また、プレス発表の内容から、今後は数学に関する出題比率が上がります。難関な計算問題の出題はありませんが、苦手意識がある人は重点的に対策をおこなうといいでしょう。

基本情報技術者試験の概要をもっと詳しく

そもそも、基本情報技術者試験とは何か? この記事を読んでいる方は既にご存じの方が多いかと思いますが、以下の記事に試験の概要をまとめました

基本情報技術者試験がおすすめの人物像などもまとめていますので、興味がある方は参考にしていただけると幸いです。

基本情報技術者試験の午前試験の勉強方法は?

午前試験は徹底的な過去問対策が必要

午前試験は過去問の使い回しが大半です。上位の試験である「応用情報技術者試験」などからの使い回しも含めると、55~65%程度が使いまわしという状況です。

つまり、午前試験は過去問対策だけで十分攻略できます。

完全な流用だけで出題数の半数以上ですが、過去問を解いた知識で解ける問題も多いのが基本情報技術者試験の特徴です。過去問を徹底するだけでも十分合格点を超える知識を身につけられます。情報系の大学の先生にも「午前で落ちるのは単に勉強不足」とよく言われました。

IT分野ということもあり、AIなどの全く新しい分野からの出題もありますが、そういった最先端分野の問題は、常識の範囲で解き、わからなければ捨ててしまっても、合格だけなら大丈夫です。

詳細な過去問の傾向は「基本情報技術者試験ドットコム 合格率/その他統計資料」に掲載されているものが参考になります。試験ごとの過去問流用率や、元になった試験まで把握できますので、気になる方は参考にしてみてください。

正解の選択肢から覚えて、不正解の選択肢は余裕があったら覚える

勉強の際は「正解の選択肢から覚えて、不正解の選択肢は余裕があったら覚える」ことを意識しました。

正解の選択肢は形を変えて本番でも登場する可能性が高いですが、不正解の選択肢には、基本情報技術者試験レベルでは理解する必要の無いものも含まれています。

不正解の選択肢については、過去問で何度も見るようなら暗記し、登場回数が少ない物は最後まで暗記しなくても大丈夫です。

狒々山
狒々山
ちなみに、同じ情報処理技術者試験の最難関である「高度情報処理技術者試験」では、間違いの選択肢も含めて理解を深める必要性があります。

IT関連経験者と未経験者。それぞれの勉強方法

基本は過去問で十分とはいえ、IT関連の経験者・未経験者で勉強方法を変えることをおすすめします。

IT関連経験者の勉強方法

最初から過去問を解きまくるのがおすすめです。

IT関連の経験者であり、基礎的な知識を持っている場合、「テキストは必要ない」と私は思います。私の場合、IT関連を大学で半年学習した時点で、テキストがなくても学習を進めることは十分可能でした。

ただし、当然のことではありますが、IT関連経験者でも全ての分野の知識は普通ありません。特に学校で学んだ経験がなく、仕事でIT関連に従事している人の場合、知識に偏りがあると思って、足りない知識はネットで吸収するようにしましょう

また、いくら経験者であっても10時間程度は過去問に取り組むことをおすすめします。類似試験(技術士一次試験の情報工学部門とか)の経験があれば勉強不要で合格の可能性はありますが、受験のチャンスは年2回に限られているため、過去問演習は確実に行いましょう。確実な合格を目指すのであれば、過去8回分で9割の得点が取れるくらいまでやっておきましょう。

狒々山
狒々山
テキストなしが心配な場合は、数年前のテキストを参考資料程度に購入するのもいいでしょう。中古で安いものであれば、500円程度でも購入できることがあります。

IT関連未経験者の勉強方法

IT関連未経験者でも、自分で調べながら学習できる人はテキストなしでも十分だと思います。過去問を繰り返し解きながら、分からなかった問題については解説を読み、それでも理解できなければネットで検索するという方法で、十分知識をつけることは可能です。

ただし、試験範囲に特化したテキストがあった方が、理解が早いことも確かですので、心配な場合は購入することをおすすめします。

過去問の正解率については、経験者と同様に、過去8回分で9割の得点が取れるくらいを目指しましょう。そこまでやりこめば午前試験に落ちることはまずありません。

狒々山
狒々山
テキストは必須ではありませんが、数千円を節約して勉強時間を長くするのは得策ではありません。自分の状況に応じて、購入を検討して頂ければと思います。

午前試験のおすすめの参考書については、以下の記事にまとめてありますので、参考にしていただければと思います。

午前問題の裏技・テクニック

ここからは午前問題の裏技・テクニックについて解説します。

裏技については、若干正解率を高める程度の技です。あくまで実力で合格できるよう、勉強を怠らないように注意してください

直近3~10回目の過去問から流用されやすい。が……

過去問流用の多い基本情報技術者試験。とくに、直近3~10回目の範囲からの流用だけで半数を超えていました(一部、応用情報などの範囲も含む)。

ただし、CBT方式に移行したことに伴い、直近の過去問からの流用を期待する戦法が使いにくくなってきています。今後、過去問が公表されなくなってしまえば、過去問流用で対策することも難しくなってくる可能性はあります。

ただ、20回以上前からの流用もあり、過去問演習で学んだことが結局は新規の問題に役立つことはありますので、当面は過去問演習メインの学習方針に変化はないかと思います。

わからない選択肢は「ウ」が正解かも…

午前の問題は四肢択一です。そして、この四肢択一には以下の傾向があります(平成13年度から2640問の統計)。

  • 選択肢「ウ」は若干正解になりやすい(27.6%)
  • 選択肢「ア」は若干正解になりにくい(22.0%)

捨てた問題・自信のない問題については「ウ」で回答しておくか、「ア」以外の選択回数の少ない選択肢を選んでおけば、若干正解率があがるかもしれません。

午前と午後は別日に受験する

試験がCBT方式に移行したことに伴い、午前と午後の試験が別日で受験可能になりました。

実は、この影響がかなり大きく、CBT方式への移行(午前と午後を別日に受験可能)から、合格率ほぼ倍増の状態になっています。

おすすめとしては、早めに午前試験に合格し、そこから間をとって午後試験に合格する方法。午前試験の知識で解ける午後試験の問題もありますので、とくに元文系などの未経験からの受験の場合は、午前試験からの受験をおすすめします

午前は試験を免除する制度が利用できる

基本情報技術者試験には、午前試験の免除制度があります

これは午前と午後試験を別日に受験するのではなく、そもそも午前試験を免除しておいて、午前試験なしで合格するという方法になります。

この制度を利用するためには、講座の受講や修了試験(年4回開催)に合格する必要があり、余計に勉強時間や費用がかかる可能性があるので、誰にでもおすすめできる制度ではありません

しかし、免除制度を利用することには、以下のようなメリットもあります

  • 直前の勉強時間は、午後試験の対策に集中できる
  • 試験直前が仕事などで忙しくても、少ない勉強時間で合格を目指せる

確実に合格させる必要がある人や、試験直前が忙しくなることがわかっている人の場合は、この制度を利用してみる価値はあるかと思います

ただ、CBT方式への移行に伴い、現在は午前と午後の時期をある程度ずらして受験が可能なので、以前に比べると利用価値が減ったかなと思います。

免除制度の詳細については、IPAの「基本情報技術者試験(FE)の午前試験が免除される制度について」に掲載されています。また、私のブログでも内容についてまとめて解説していますので、興味がある方は参考にご利用ください。

制限時間を気にする必要は低い

制限時間150分で80問を解く必要があるため、1問あたり2分弱で解答していく必要があります

実際にやってみるとわかりますが、1問あたり2分以上かかる問題は稀です。午前の問題の大半は、知識を問う問題となっているため、問題文と解答を見比べれば直ぐに解答ができるからです(とくに流用問題は瞬殺)。

十分に学習を進めていれば、全ての問題を解き終わった後に、もう一度全ての問題を確認するくらいの余裕はありますので、制限時間を気にする必要は無いでしょう。

できれば、少し余裕をもって見直しまで終了させ、途中退室することによって、空き時間を午後試験の勉強に活用したいところです。

一夜漬けで対応するなら?

正直、未経験の人が一夜漬けで合格を目指すのはあまり現実的ではありません。長い人では未経験から300時間かけて合格する人もいるくらいです。そう簡単には合格できないと思った方がいいでしょう。

一方、「ソフトウェア開発(プログラミング)」「データ構造及びアルゴリズム」の経験があれば、一夜漬けでの合格も不可能ではないと思います。とくに、CBT方式になってからは午前と午後の試験が別日に受験可能になっているため、前日と当日の試験までの時間を考慮すると、実際には30時間程度の確保ができると思います。情報系の大学に通い、全範囲の勉強をしたことがある人は、合格できる可能性はより高くなるかと思います。

ただし、やはり合格率はかなり低くなるかと思います。「年2回しかチャンスがないから、無理でも受験したい」「一夜漬けで合格できるか実験したい」という人以外にはおすすめできる方法ではありません

午前試験対策は、地道な過去問対策を

基本情報技術者試験の午前試験は、午後試験に比べれば合格基準に達している割合が多く、比較的簡単といえるでしょう。試験対策についても「過去問を徹底的に解く」というシンプルな内容ですので、誰でも簡単にできるかと思います。

一方、過去問のやりこみが足りないと、経験者でも落ちる可能性はありますので、地道に勉強をすすめていく必要はあります。とくに「情報系の大学に行っている」「IT関連の企業で勤務している」という人ほど、手を抜いて落ちる可能性があるため、注意が必要です。

また、基本情報技術者試験の本番ともいえる午後試験の対策方法については、以下の記事にまとめてあります。とくに、文系出身など情報系は未経験の方は、午後試験の対策をより重点的に行って受験するよう心がけてください。

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