【基本情報技術者】科目Aの免除制度とは? 制度を賢く利用し、試験合格を目指そう!
基本情報技術者試験には、科目A試験が免除される制度が存在します。
科目Aで合格基準に達する人は受験者の60%程度。過去問の練習で突破できる科目Aとはいえ、本番で科目Aの勉強が不要で受験ができるというのは、やはり嬉しいところではないでしょうか。
そこで今回は「科目Aが免除される制度」について、解説したいと思います。
基本情報技術者の科目A試験免除制度について
制度を利用するにはどうすればいい?
科目Aを免除するためには、以下二つの要件を満たす必要があります。
- 認定された講座を受講する
- 修了試験に合格する
更に修了試験の実施方法は、以下の2つに分類することができます。
- IPAが認定した講座を利用する
- 構造改革特区として、国が認定した講座を利用する
修了試験の実施方法については、受講者側としてはあまり意識する必要はありません。
「認定された講座の受講」が必要であり、単に「科目A試験の勉強を行っただけの人」では利用できない制度ですので、その点は注意しましょう。
試験内容は、基本情報技術者試験の過去問が95%以上だったことも!
試験内容は、通常の科目Aよりも圧倒的に簡単といえます。
というのも2023年までの試験免除制度(当時の午前試験)では、「免除試験の問題の95%程度は、基本情報技術者試験の過去問の流用」だったからです。2023年時点では不明ですが、公式で「免除期間など、制度の内容に大きな変更はなく、既存の講座認定や修了試験合格は引き続き有効です」と書かれていることからも、大幅な難易度調整は無いかと思われます。
また、この難易度の低さも「講座を受講したことが認定されている」という前提あってこそのものだと思いますので、あえて今後大幅に難易度が上がる様な可能性も低いでしょう。
ちなみに、科目A試験免除の試験の過去問は、IPAのホームページからダウンロード可能です。実際に試験に挑む予定の方は、参考にしてみるといいでしょう。
試験の実施は年4回
修了試験は年に4回。毎年6、7、12、1月に実施されています。
修了試験の申込はだいたい1ヶ月以上前に終了してしまうため、本番の試験をいつ受けるかを考慮した上で、計画的に修了試験に挑む必要があるでしょう。
「科目A試験免除制度」の注意点
有効期間は1年以内
科目Aが免除されるのは、認定された講座の終了が認められてから1年以内です。
「免除の試験には合格したけど、急がしくて1年間受験できなかった…」となると、免除が無効になってしまいます。
科目A試験免除のために講座を利用するのであれば、事前に試験を受けるまでのスケジュールを決めてから申込をするといいでしょう。
出願時に申請が必要
科目A試験免除の試験に合格していても、本番の基本情報技術者試験の出願時に免除してもらうことを申請する必要があります。せっかくの科目A試験を免除する権利を無題にしないよう、出願時には注意してください。
「前回、科目Aに合格した」では、科目A免除にならない
稀に間違えられる方がいらっしゃいますが、基本情報技術者試験の科目A試験に合格しただけでは、次回の科目A免除にはなりません。
勘違いの原因としては、同じ情報処理技術者試験の最高レベル(高度情報処理技術者試験)の場合、午前Iの試験に合格すると、そこから2年間、午前Iの試験を免除される制度があるからだと思います(これを利用し、本命でない試験で午前Iを突破した後、本命の試験に挑む人がそこそこいます)。
しかし、基本情報技術者試験の場合、科目A試験に合格しても、科目B試験に合格しなければ、次回も科目A試験の合格が必要です。この点は間違えないように注意してください。同様に、科目B試験に合格しても、科目A試験で落ちたら、次の試験で再び科目B試験の合格が必要になります。
科目A試験免除のメリット
科目A・科目Bの勉強に、それぞれ集中できる
最大のメリットが科目A・科目Bの勉強に、それぞれ集中できることです。学習時期をずらすことで
- 科目Aの勉強を行い、科目Bに向けて基礎知識をつける
- 科目A免除が可能になったら、科目Bの勉強をはじめる
といった順で勉強を進めることができますので、両方に集中する程の時間が取れなくても、合格を目指すことが容易になります。
一夜漬けで対応できる?
正直、科目Aを免除したからと言って、未経験の人が一夜漬けで合格を目指すのはあまり現実的ではありません。2023年の改訂で難易度は下がっていますが、いくら簡単になったとはいえ、一夜漬けではそう簡単には合格できないと思った方がいいでしょう。
一方、「アルゴリズムとプログラミング」の勉強経験があれば、一夜漬けで科目Bを合格することも不可能ではないと思います。「前日10時間+当日2時間」で科目Bの過去問演習をすれば、合格もあり得る試験です。とくに情報系の大学に通い、セキュリティも含めた全範囲の勉強をしたことがある人は、合格できる可能性は高くなるかと思います。
ただし、やはり一夜漬けでは合格率が低くなる事は確実です。どうしても「安定した合格でなくてもかまわない。一か八か合格できたら嬉しい」という人以外は、一夜漬けは目指さない方がいいでしょう。
科目A試験免除のデメリット
費用が多くかかる
科目A試験免除における最大のデメリットは「費用が多くかかること」です。
高校、大学、専門学校などで講座が用意されている場合はともかく、多くの人は、スクールを利用する必要があります。
その講座の費用は、安目でも20,000~30,000円ほど。割引制度などを利用できる可能性はありますが、独学でも十分に合格可能な試験に対して、25,000円は高い印象です。
勉強期間・勉強時が長くなることがある
基本情報技術者試験は、やる気があれば1ヶ月未満の勉強での短期合格も十分可能な試験です。
一方、科目A試験免除の制度を利用するとなると、修了試験申込から、本番の試験が終わるまでの期間が長丁場となり、4ヶ月程の期間がかかってしまう可能性が高いです。短期決戦で挑みたいのであれば、この制度を利用するには向いていません。
また、必要な講座を受講したことを認めてもらうために、一定以上の勉強時間が必要になることも、デメリットの一つです。例えば、「資格の大原」の場合「試験前日までに既定の学習時間(68時間)を満たす」が条件となっています(2023年8月15日時点)。
基本情報技術者試験は、IT関連未経験者であれば、100時間は勉強時間が欲しいと思いますが、既に学習済みの人が要領よく挑めば、科目A・科目B合わせても50時間未満で突破できる人もいます。科目Aの免除のためだけに68時間かかるとなると、全体の勉強時間は長くなる可能性はあります。
通年では利用できない
修了試験の実施が毎年6、7、12、1月となっているため、例えば、「12月末に基本情報技術者試験を知った。来年の春の就活で資格を利用したい」といった場合は、申込の締め切りの関係で制度を利用できません。科目A試験を免除したい場合、余裕を持ったスケジュールで勉強するといいでしょう。
また、本来の試験が通年で受験できることに対して、免除制度は年4回の縛りがあります。結果的に、2~3月で勉強する人(大学生の長期休暇など)であれば、試験制度を利用しない方が早く合格できてしまう事になります。
受験会場が限られる
科目A試験免除の修了試験は、本番の試験と比べて受験会場が限られます。
講座に申し込む際は、受験できる範囲に受験会場があるかを確認の上、受講して頂ければと思います。
「科目A試験免除」はどんな人におすすめか?
試験制度とメリット・デメリットを考慮し、試験会場が近くにある前提で、科目Aの免除を使うならこのような人が向いていると思います。
- 長期的に分散した勉強期間は確保できるが、短期間で勉強時間を確保しにくい人
- 試験に合格できるか不安であるが、次回の受験で確実に合格する必要がある人
- 予算は全く気にせず、とにかく合格率を高めたい人
逆に、時間に余裕のある大学1~2年生であれば、大学で科目A試験免除の講座が用意されていない限りは、利用する必要はないでしょう。
また「ちょっとならお金をかけてもいい」「勉強時間が確保できるか、少し不安だ」程度であれば、科目A免除の必要性は低いと思います。2023年の試験改定以降、合格率が大幅に上がっている事からも、免除無しでも以前以上に合格が容易になっています。
加えて、既に学習経験がある人であれば、科目A試験免除なしで、独学でも十分合格を狙えます。お金をかけた上に勉強時間も無駄に長くなってしまう可能性もあるため、あえて利用しない方がいいでしょう。
「時間がない+情報系は未経験の新社会人」なら、利用する手もある
科目A試験免除は、より確実に基本情報技術者試験に合格するためには価値ある制度です。
しかし講座の受講には数万円の費用がかかるため、「時間の余裕はあるが、金銭に余裕がない学生」や「既に学習経験のある社会人」には向いている制度とはいえません。
一方「新社会人で早めに取得したい」「仕事が忙しく、私生活にも余裕がない」「お金なら余裕がある」という情報系は未経験の新社会人であれば、利用を検討する価値がないとも言えません。
科目A試験免除の講座については、こちらの記事で比較していますので、気になる方は参考にしてみてください。