【基本情報技術者試験】独学をオススメする4つの理由と予備校の活用方法
基本情報技術者試験は、文系からの独学でも十分合格可能です。
しかし、勉強時間が数百時間かかったり、何度も落ちてしまう人もいるのも事実。初心者の方からすれば「独学でも合格できるか?」は心配なところです。
また、多少は学習経験がある人でも「忙しい場合に予備校や通信講座を使うメリットはあるのか?」と考える人もいると思います。
そこで今回は、
- 独学でOKな理由と勉強方法
- 予備校・通信講座のメリット
- 独学と予備校・通信講座、どんな人におすすめ?
といった内容について解説したいと思います。
2023年の試験改定に伴い、基本情報技術者試験の難易度が下がっています。
調整が入る可能性はありますが、改定前の試験以上に独学での合格は容易になっていると思います。
基本情報技術者試験に独学がおすすめできる4つの理由
基本情報技術者試験は、IT業界未経験の人でも十分に独学での合格が可能です。理由を簡単にまとめると以下のとおりです。
- 科目Aは過去問だけで十分対策が可能
- 科目Bも基礎知識は科目A対策でOK
- 参考書が充実している
- 初心者でも100~150時間勉強すれば十分合格ラインに乗ってくる。もっと短い合格者も多く、時間の余裕次第で1~2ヶ月でも合格できる
また、予算が少なくても学習できるため(とくに学生で予備校はつらい)私としては基本情報技術者試験は独学が一番のおすすめです。
それでは、個別の理由について、詳細に解説いたします。
科目Aは過去問の反復演習で対応できる(予備校を使ってもあまり変わらない)
基本情報技術者試験は、科目Aと科目Bの問題にわかれますが、科目Aの問題は過去レベルの類似・流用問題が多い試験です。
残念ながら、CBT方式以降での正確な流用率は確認できなくなりましたが、判明している時期では6割が過去問の流用です。更に、類似問題も多く出題されるため、例えば過去問8回分ほどで9割の点数がとれるところまで暗記すれば、突破は容易です。
また、科目Aは単純な暗記問題が多いため、勉強時間が点数に直結します。スクールを利用しても効率が大幅に向上することはないため、独学で十分です。
過去問の流用されている割合については、以下のサイトが参考になりますので、興味がある方は参考にしてみてください。
科目Bも基礎知識は科目Aの対策が活用できる
科目Aについて、学習した範囲の過去問で9割を取れるレベルになれば、科目Bの問題に回答する基礎知識は十分に身に着けられます。科目A対策で知識をつけたら、科目Bは出題形式に慣れるだけである程度の学習が完了します。
未経験で独学の場合の難関は「アルゴリズムとプログラミング」。科目Bでは、ここが16問(全体の8割)になるため、最低でも半分は正解できないと、合格が厳しくなります。
ですので、未経験の場合は、科目Aの過去問演習が一段落したら、とくに「アルゴリズムとプログラミング」に対して重点的な対策をするといいでしょう。
科目Bの具体的な対策方法については別の記事にまとめましたので、興味がある方は参考にご利用ください。
参考書が充実している
基本情報技術者試験は参考書が充実している試験です。
一度もIT関係の勉強をしたことがない人向けの参考書も多く、色や図なども工夫され、わかりやすく解説されています。ですので、あえて予備校に行かなくても十分に学習をすすめられる環境といえます。
- 「コンピュータサイエンス関係の基礎知識なら自信がある」
- 「勉強には慣れているのでテキストだけでも問題ない」
という人であれば、科目Bの対策用に参考書を1冊購入し、科目A対策はネットで公開されている過去問を解くだけでも、十分合格は可能です(あえて1冊に絞る必要性はありませんが)。
おすすめの参考書や学習サイトについては、以下の記事にまとめてありますので、興味がある方は参考にしていただければ幸いです。
勉強時間は初心者でも100~150時間程。やる気があれば1~2ヶ月で合格できる
勉強時間については、2023年の改定により、以前よりも短く合格を目指せると思います。具体的には、
- 初心者:100~150時間程度
- プログラミング経験あり:50~70時間前後
程度あれば、安定して合格を目指すことができるでしょう。万全に合格できる勉強時間を提示する傾向(そのため、時間が多めになりやすい)のある資格予備校でさえ、平均で合格まで125時間ほどとの記載がありました。
正直、実務でプログラミングを扱っていて、過去にIT関連を一通り勉強した経験があれば、一夜漬けでも合格できる可性能はあります(実際、一応は同等レベルとされる情報セキュリティマネジメント試験であれば、私は勉強なしでも合格できました)。
ただ、幅広い知識を問われる科目Aについては、過去問に一通り目を通すため、経験者でも10時間以上は欲しいところです。
一方、初心者でも勉強方法を間違えなければ100~150時間程度で合格は可能です(短い人なら100時間を切ります)。「自信はないけど、どうしても確実に合格したい」のであれば200時間を確保してスケジュールを立て、余裕があれば減らす方向で勉強に取り組むといいでしょう。
勉強時間に関する詳細な考察は、以下の記事にまとめてありますので興味がある方は参考にしていただければ幸いです。
予備校・通信講座の活用方法
ここまで「基本情報技術者試験は独学でOK!」という理由をまとめました。
では、予備校・通信講座にはどんなメリットがあるか。まとめると以下の通りです。
- 勉強時間の効率が上がり、勉強時間を下げられる可能性がある(とくに勉強が苦手な人)
- 科目Aの免除制度を利用できることがある
- コースを絞れば、大手予備校でも比較的安く利用できる
- 通信講座を使えば、全体の学習を行っても比較的安上がり
初心者ほど、勉強の効率を上がり、勉強時間を下げられる
当然ではありますが、予備校や通信講座を利用することの一番のメリットは学習効率を高めることができることです。
とくに初心者が独学を行う場合、自分の解釈が正しいか心配になりやすく、それが必要以上に集中力を低下させることがあります。「その試験のスペシャリスト」から教えてもらえば、安心して学習をすすめられるため、その点でも効率の向上が見込めます。
また、以下のような効果が期待できるため、お金よりも勉強の効率を重視する人には予備校・通信講座はおすすめといえます。
- 初心者でも学習内容を理解しやすい
- 勉強方法が間違っていないか確認する必要がない
- 学習計画について、過去の経験があるプロに管理してもらえる
- 予備校の教室や、通信講座のサービスで勉強仲間を作ることができれば、モチベーションを維持しやすい
ただし、既にIT関連の勉強をしたことがあり、ある程度の知識が備わっている場合は、あまり効率が上がりません。
類似試験の経験(例えば、技術士の一次試験の情報工学部門)や、情報系の大学での学習経験(1年程度)、試験に出題されるようなプログラミング言語の経験が1年もあれば、効率化にはほとんど効果がないと考えた方がいいです。
科目Aの免除制度を使える
基本情報技術者試験の科目Aには、免除の制度が存在します。
これは、科目Aの免除ができる「認定免除対象講座」を受講し(詳細は公式参照)、修了試験の合格など、認定要件を満たすことで、本番の試験で科目Aが免除される制度です。
この制度を利用することで、科目Aで不合格になる可能性を排除し、直前の勉強時間を全て科目Bにあてることができます。
ただし、科目Aの試験免除制度が使えるのは、該当のコースを利用できる予備校や通信講座で、該当のコースを受講した場合のみです。
科目Aの試験免除制度の詳細については、以下の記事にまとめてありますので、参照いただければと思います。
学習する内容を絞れば、ある程度安く済ますことが可能
予備校・通信講座の最大の問題点は、独学より費用が高いところです。とくに模試やアルゴリズム、プログラミングなどの個別講座も含めた通学スタイルのコースを利用すると、10万円を超えることもあります。
大学生協を利用するなど、多くの予備校ではいくつかの割引制度がありますが、それでも独学よりも費用が高額になってしまうことは確かです。
そこでおすすめの利用方法の一つが「受講する内容を絞る」という方法です。
例えば、大手予備校である「資格の大原」の場合(2023年8月15日時点)
コース名 | 料金 |
科目A対策教材学習(免除制度対象) Web通信 | 27,500円 |
科目Bアルゴリズム対策講義 Web通信 | 16,700円 |
合計 | 44,200円 |
のような形で受講すれば、科目Aを免除しつつ、初心者に厄介な科目Bの「アルゴリズムとプログラム」対策も可能で、料金も総合的なコース半額ほどまで軽減できます。
とはいえ、基本情報技術者試験に合格した際に会社から支払われる報奨金は、だいたい3万円前後です(会社によります)。このことを考えると、やはり予備校・通信講座を利用するのはやや高額といった印象を受けます。
もし社会人で予備校を利用する場合は、教育訓練給付制度などの利用も検討して、費用を抑えることも可能ですので、検討してみるといいでしょう。
通信講座を使えば、全体の学習を効率的に行える上に、安上がり
あまり多くはありませんが、基本情報技術者試験にも通信講座専門のスクールが存在します。
たとえば、私が初心者におすすめしている通信講座の「スタンディング」を利用した場合、一番手厚い初心者向けコースで43,800円(2023年下期+2024年試験対応)。期間限定のキャンペーンや割引券、合格祝いなども含めると、3万円代前半まで抑えられることもあります。
また、多くの通信講座では、スマホでの学習教材に対応しているため、スキマ時間での学習に向いている上、学習フローの把握や学習進捗の管理機能を提供しているところもあります。
「全体の学習をしっかり行いたい。でもお金はあまりかけたくない」という人は、通信講座を検討してみるのもいいでしょう。
独学と予備校・通信講座。どんな人におすすめ?
独学がおすすめのタイプ
基本情報技術者試験は、初心者が独学で挑んでも十分合格可能な試験です。
もちろん「本人の頑張りと時間次第で、どんな試験でも『初心者+独学』で合格できる」と思いますが、基本情報技術者試験は「IT初心者」+「独学」+「試験慣れしてない人」が受験することを考えても、努力次第で十分合格を狙えます。
ですので独学がおすすめのタイプは以下の通りです。
- 計画的に100時間以上の勉強が一人でできる人
- とにかく安く合格を目指したい人
- 一発で合格できなくても、何度も受験して合格すれば十分な人
参考書数冊ですませれば、独学のほうが費用を数万円安くできますので、とくに学生の内に力試しをしたいという人は独学が良いでしょう。
予備校・通信講座がおすすめのタイプ
通信講座がおすすめのタイプの人は以下の通りです。
- IT関係の知識に乏しく、勉強にも自信がない人
- 効率的に学習を進めて、少しでも勉強時間を減らしたい人
- より確実な合格を目指したい人
- 時間も含めたコスパを重視する人
- 科目Aの免除制度を利用したい人
とくにIT関係の知識に乏しい人で、IT関連の企業に入ったばかりであれば、効率・予算の関係から予備校・通信講座を利用するメリットが比較的大きくなると思います。
費用は独学よりも数万円以上高くなる可能性がありますが、短縮できる勉強時間を考慮すれば、独学との差額はアルバイトでも稼げる可能性があります。とくに忙しい新社会人の方は、コスパも考えてスクールの利用も選択肢として検討してみるといいでしょう。
ちなみに、基本情報技術者試験において「通学タイプ」と「通信講座タイプ」では、私は圧倒的に「通信講座タイプ」がおすすめです。
理由としては以下の通りです。
- 基本情報技術者試験には面接や実技がない
→直接人に見てもらう対策は不要 - 基本情報技術者試験は初心者向けの試験
→細かな質問が必要になる可能性が低い
→教室で人脈を広げられる可能性が低い - コースの絞り込みを行わない限り、通信講座の方が安上がり
そもそも、基本情報技術者試験とは?
念のためですが、基本情報技術者試験の概要については、以下の記事にまとめています。興味がある方は参考にご利用ください。
大切なのは、自分のおかれた環境から判断すること
独学と予備校・通信講座。いずれの方法にも、それぞれメリット・デメリットがあります。
個人的には「独学」が一番おすすめではありますが、メリット・デメリットを考慮し、自分のおかれている状況から最適な選択をすることが一番重要です。
勉強を始める前に、まずは自分のおかれた環境や時間、費用を正確に把握して、学習方法を選ぶことが大切だと思います。
独学での勉強の場合、以下におすすめの参考書をまとめてありますので、参考にしていただければと思います。
また、おすすめの予備校・通信講座については、以下にタイプ別でおすすめのものをまとめました。興味がある方は参考にしていただければ幸いです。