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海外治験に日本人が参加する際の注意点について調べてみた

10月 10, 2022海外治験

先日、以前に長期治験に参加した際に知り合った方から、

「イギリスの治験に参加してみないか?」

とお誘いを受けました(既にイギリスで治験中とのこと)。

調べてみると、どうも報酬がかなり高額。円安の影響もあってか、入院10泊+通院15回程度でも100万円程度の収入になることもあるみたいです。

そこで今回は、「海外治験におけるメリット・デメリット」や「海外治験の注意点」について調べて、今後に活かしたいと思います。

※2023年4月13日追記:調査後、実際に海外治験に参加しましたので、実体験についても記載いたします。

この記事でまとめている海外治験の特徴は「日本の治験と比較した海外治験の傾向」であり、全ての海外治験における共通点ではありません。実際に海外で治験に参加する際は、事前に気になる点を問い合わせてから参加するようにしましょう。

目次

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海外治験のメリット

日本に比べて報酬が高額

何といっても最大のメリットは報酬が高額なところ。

例えば、以下のようになります。

高額な海外治験の例

  • 内容:10泊+15通院
  • 謝礼金:約100万円
  • その他補助:往復の航空券、通院の度に交通費約2万円、滞在用のシェアハウス(無料)あり、滞在期間中の生活費補助(1日1100円程度)

日本の治験の相場は、1泊2万、1通院1万円程度なので、同じ10泊+15通院なら謝礼金は30~40万円程度。つまり、日本の3倍程度の謝礼金が得られることになります。もちろん、これは高額な例ではありますが、私が実際に参加したロンドンの治験も、日本の相場の6割増し程度の報酬でした。

とはいえ、通院期間中も基本的に外国に滞在が必要となります(上の例では、3カ月程度)。そこも含めた拘束期間を考えると妥当な謝礼金かなと思います(通院の間隔が長い場合、帰国が許されるパターンもあります)。

ちなみに、私が確認した中で最高額は21,000ドルの治験がありました(こちらも10泊+15通院ですが、通院期間半年以上で、滞在費の補助なしでした。後述しますが、あまりお得感はないです)。

外国語学習にも使える

当然ですが、外国に行きますので、現地の人と外国語で会話することが可能です。

とくに、事前検査や事後通院の合間については、比較的自由に行動できます。英会話の学習のついでに、海外治験を利用するというのもありです。

狒々山
狒々山
短い治験では、2週間程度で全ての日程が終わるものもあります。大学生であれば、往復の航空券を無料にしつつ生活費も手に入れて、語学旅行として活用しやすいかと思います。

英語力はほぼゼロでも大丈夫?

治験によりますが、英語力ほぼゼロでも海外治験に参加できます。私に紹介してくださった方も、英語力ゼロで滞在OKとのことでした。

というのも、日本語が話せるスタッフがサポートしてくれる治験があるからです。治験によっては、日本の空港からサポートして病院や宿泊施設まで連れて行ってもらえるものもあるそうです(ただし、私が見つけた募集では、そのような案件はありませんでした)。

とはいえ、入国の際のやり取りなど、最低限のテンプレートは暗記しておいた方が無難です。また、スーパーでの買い物や交通機関の利用については海外治験に行く前にYouTubeで確認しておきましょう(実際にやると、案外簡単でした)。

また、注意点で後述しますが、最もトラブルが発生しやすいのは航空機での現地への移動です。入国の流れや、最低限の会話については、直前に確認しておいた方が無難です

狒々山
狒々山
念のため英語が喋れなくても大丈夫かは、事前に問い合わせてから参加しましょう。ちなみに、私が実際に参加した際は、ほぼ「Hello」「Thanks」だけで現地に行けてしまいました。

航空券無料で海外旅行ができる

治験のスケジュール通りに通院・入院さえすれば、おおむね行動は自由なので「航空券の料金がタダで海外旅行ができる!」というメリットがあります。

また「英語喋れないし、海外行った経験もないし……」という人でも、待機期間中は治験に参加する日本人とシェアハウスで過ごすというパターンもあります(私が確認した限り、イギリスでこのパターンが多い)。その場合は仲良くなった相手がいれば、一緒に海外旅行できる可能性もあります。

ただし、長時間の歩行などは健康診断に影響を与える可能性があります。案件ごとの禁止事項も守る必要があるため「今日は通院・入院が無いから何をやっても自由だ!」という訳にはいきません。

また、後述しますが「航空券の料金は出ない(謝礼金に含まれる)」という治験もありますので、事前にその点は問い合わせるようにしましょう。

狒々山
狒々山
私がロンドンで治験に参加した際は、実質21,000円ほどで2泊3日分のロンドン観光ができました。ちなみに、英語はほぼ喋れなくても大丈夫だったので、シェアハウスで協力を依頼するなら、交通機関の利用方法など、観光プランの作成の方がいいかもしれません(イギリスは交通費高い上に、ロンドン市内と地方で支払い方が異なります)

病院の制限が日本よりも少ない?

病院や案件にもよりますが、参加者の体験談を読むと「日本よりも治験中の制限が少ない」というものが多いです。

例えば「就寝時刻になってからも読書が許される」「食事も食べ残しが許される」といった内容は、私が知る限り日本の治験では許されません。が、海外治験では許されている例もあるそうです(全部食べるとむしろ太るレベルらしい)。

ただし、病院や治験の内容にもよると思いますし、この点についてはあまり期待しない方が無難かと思います(日本でも、就寝時刻が厳格ではない案件に当たった人もいます)。

狒々山
狒々山
体験談では上記の様な制限の少ない治験が紹介されていましたが、私が確認した案件では、上記のような緩い治験はありませんでした。今はこういう案件は少ないのか、国によるのかもしれません。

休薬期間が比較的短い

治験には休薬期間(次の治験が受けられるまでの待機期間)があります。

日本の多くの治験では、治験で最後に薬を飲んだ日から4カ月が休薬期間となるため(たまに3カ月もある)、例えば6月1日に最後の投薬を受けた場合、次の治験参加は10月1日になります(治験により、10月3日から事前健康診断が可能なものと、本番の投薬が可能なものに更にわけられます)。

一方、この休薬期間が海外は3カ月(案件次第では1カ月も!)の案件が多いです。回転率が高いため、海外治験の方が1年間で多くの金額を稼ぐことができます(治験だけで生活も可能)。

狒々山
狒々山
高額で休薬期間が短いことから、極論すると治験だけで生活ができる可能性があります(案件があるかの運が絡みますが)。ただし、40歳以降は治験の案件も減ってきます。職歴的がピンチになりますので、プロの被験者(プロチケラーと呼ばれる)は、正直おススメできません

海外治験のデメリット

金銭面での海外治験のデメリット

高額な報酬が最大の魅力である海外治験ですが、金銭面のデメリットも存在しますので、その点を考慮して参加する必要があります。

経費・報酬が支給されないことがある(数十~数百万円レベルの損失があり得る)

最大のデメリットが「経費が支給されないことがある」ということ。場合によっては、大幅な赤字になります

というのも、海外の治験の場合、当然以下の様なものが必要になります。

  • 航空券
  • 宿泊費
  • 電車・バス代
  • 待機期間中の食費

これらの経費については、補助されるケースもありますが、治験によっては事前健康診断で落ちたら、全く収入が発生しない案件もあるため、大幅な赤字となる可能性もあります。この点については事前に補助の条件を確認しておきましょう。ちなみに私は3週間の宿泊費+イギリスまでの往復の渡航費で35万円くらいかかりましたが、全て補助対象でした。病院以外での宿泊期間が3カ月の場合、ロンドンなら交通費含めて経費が100万円近くなりますので要注意です。

仮に治験に参加できたとしても、経費を差し引くと思ったよりも謝礼金が少なってしまうこともあります。どの程度の経費がかかり、どの程度補助され、残る謝礼金がどの程度になるか計算してから、治験に応募するかを判断しましょう。

更に、万が一禁止事項を破ってしまうと、例え渡航費や宿泊費が補助対象であっても、1円も補助が出なくなります。つまり、「うっかり食べてはいけないものを、食べてしまった」だけで、数十万~100万円以上の損失もあり得ますので、そのリスクを覚悟して参加しましょう。当然、報酬も減額かゼロになります。

最後に、経費の申請期限や、受け取り確認の期限にも注意です。申請期限はうっかり忘れていると余裕で期限が終わります(経験とネット情報では、1週間~10日程度が多い)。期限を過ぎると「領収書もあって、禁止事項も守っていたけど、受け取りでトラブったら、数百万円が受け取れなかったということもあり得ます。

狒々山
狒々山
私がロンドンで治験に参加した際は、交通費(観光以外)と宿泊費は全額補助されました。しかし、万が一経費の補助が無かった場合、備品・衣類・食費・観光の費用なども含めると50万円くらいの赤字でした。

外国の税金が発生することもある

例えばアメリカの場合、アメリカの社会保障番号(SSN)と納税者識別番号TINを取得していない場合、税金で30%が謝礼金から減額されるそうです。

つまり、謝礼金についてはその国で発生する税金も含めて考慮する必要があり、またその為の手続きも必要になります。

アメリカの税金については還付手続きができるのですが、煩雑なので税理士に頼むケースが多いです。依頼費と税金の関係を考えて、投薬対象に選ばれてから申請するのがおすすめです

ちなみに、HMRC.gov.ukのウェブサイトには、治験の参加者が支払を受ける合理的な費用に対しては、税金または国民保険の支払義務がないと明記されているそうです

狒々山
狒々山
ちなみに、治験で一定の報酬が発生した場合、日本国内で税金が発生します(詳しくはこちらで紹介されています)

支払いは小切手というケースも(換金が面倒。手数料もかかる)

治験の報酬の支払いは、基本的に小切手になります。この小切手の現金化がやっかいです。

現地の銀行口座があれば比較的スムーズ化と思いますが、最初から持っている人は少ないと思いますし、申請しても外国人では簡単には通らないこともあります。

そこで、日本で海外の小切手を換金するのですが、これも対応している銀行が多くないため、恐らく個別に口座開設が必要になります。

また、日本での換金の際はだいたい小切手1枚で5,500円程度の費用がとられます。この点も、金銭面でのデメリットとなります。

1か月で約300万円の罠(実はたいして儲からない)

私が確認できた中で最高額は、1か月分の宿泊+通院で、約300万円(2022年10月のレート)というものでした。

たった1か月で300万円なんて、きっと命懸けの治験に違いない! ……と、思う方もいるかもしれませんが、治験は計画書を承認されて、初めて実行できるもので「もしかしたら死ぬかも」なんて内容では実施されません(もちろん、絶対に死なないなんて、日常生活でもあり得ないですが……)。

実はこの治験、費用の補助がありません。そして、治験の期間は8カ月に及びます。

もうお分かりかと思いますが、

  • 収益からかなりの費用が引かれる(生活費×8カ月+渡航費+通院の交通費)
  • 病院での拘束期間は30日程度だが、その後も長期でアメリカに拘束(当然、その間の宿泊費がかかる)

となります。

更に、アメリカの場合税金で30%が引かれる事を考えると、残るのは210万円です。適切に手続きを踏むと、30%の税金は戻ってくるそうですが、結局日本での雑所得としての支払いは免れないでしょう。

つまり、長期間の拘束を受けながら、実際にはそれほど高額の報酬は手元に残りません。もちろん、普通に暮らしていても生活費はかかりますが、「アメリカにいながら日本の家賃も払わないといけない」といった状態であれば、出費の無駄はかなり高額になります。

どうしても高額の報酬を手元に残したい場合、格安のドミトリーを利用するなどの手はありますが、そんな環境で長期間生活したいという人は少ないかと思います(私も嫌)。

もちろん「最初から長期滞在して観光する予定だった」「完全リモートワークだから、平行して仕事ができる」「語学留学の合間で参加できるそう」「そもそもアメリカに住んでいる」というのであれば、問題ないかもしれません……が、この案件、なかなか参加者が埋まらないので、やはり不人気なのかなと思います。

そもそも、お金が無いと参加できない。

私の場合ですが、3週間ほど海外に滞在し、その間の費用は経費と生活費だけで40万円近くなりました。

また、旅行の為の備品や追加で購入した衣類なども考えると、50万円近くなります。

これらの費用は、一旦自分で立て替える必要があります。つまり、私の場合は50万円近い費用が事前に必要となりました。

更に、万が一トラブルに巻き込まれたら……と、思うと、初期費用が50万円なら、それに加えて数十万円、できれば合計100万円以上はあった方が安心かと思います

もちろん、現地に滞在する期間が短くて、渡航費も安い国ならもっと初期費用が少なく済みますが、逆に物価が高く長期滞在の国となると初期費用が100万円あっても心配です。報酬を貰えるタイミングや、現地までの渡航費・宿泊費・生活費などは事前に計算して余裕をもった費用を準備しておくといいでしょう。

案件がないとどうしようもない(半年以上、1円も稼げなかった…)

これは、私個人の体験談ですが、2022年12月から調査を始め、2023年6月下旬まで報酬が発生しない状況となっています(追記時点の状況。たぶん、この状況が8月頃までは続く)。

健康診断で問題があったわけではありませんが、案件が無いためどうしようもない状況が3月まで続きました。

3月中旬頃に案件が見つかり、ようやく応募できたのですが「直前まで申し込んでいた海外治験が中止となり、スライドで入った」からか、申込が遅れ、そのためか優先順位がかなり低く、落ちました(優先順位は健康診断の順でした)。

更に、後続ので参加できれば……と、落ちてすぐに後続のグループ(治験は連続して行われるものが多い)に申し込んだのですが、やはりこちらも「以前からグループ2で申し込んでいた人」が多いためか、今度は優先順位が最下位。記事執筆時点では決まっていませんが、ほぼ不合格確定です。

そんなわけで、この記事執筆時点では、奇跡的に運が良ければ後続のクループで初の報酬ゲット(6月下旬頃報酬がある見込み)、それができなければ一カ月以上後に行われる治験で初の報酬ゲット(8月下旬頃報酬がある見込み)となりそうです。

狒々山
狒々山
日本ほどに案件が無いため、運が良くないと「海外治験で生活をする」というのは難しいです。その為か、中には虚偽の治験歴の申告をして、休薬期間を誤魔化する人もいるそうですが、命の危険もありますし、金銭面では虚偽が発覚した際に経費の補助が出ない事になります。何より完成した薬の信憑性も落ちるため辞めましょう。

英語が喋れないと選択肢が狭まる

度々記載していますが、サポート体制は案件によって異なります

日本から現地までスタッフが誘導してくれる場合は問題ありませんが「一人では現地まで移動なんてできない!」という人は、サポートがない治験は実質参加不可です。

繰り返しになりますが治験の参加を検討する場合、費用、言語、現地の生活などのサポート体制については必ず問い合わせるようにしましょう。

施設が日本ほど充実していない可能性

日本に住んでいると「日本終わった」「海外の方が成長率高い」などという話題をよく聞きますが、日本のサービス品質は、決してヨーロッパ諸国に劣っていません

というより、過剰サービスでお金とってない(あるいは、余計な費用のかかる製品になっている)から、結果的に失敗しているといった方がいいのではないか? と、思えるほど、日本のサービス・製品の品質は高く、実際にヨーロッパで長期滞在している人と何人も話しましたが、口をそろえて「日本は天国。日本はダメっていうのは、海外知らない人の考え」と言われました(私も、治験で海外渡航した結果、なるほどと反省しました)。

何が言いたいかというと、「病院がいくら頑張っても、施設のクオリティに限度がある」ということです。

例えば建物の空調。これも日本ほど細かく調整できないこともあり(病院でも)、結果的に異様に寒かったり、暑かったりということが起こります。

他にも、備品や建物の故障なども、日本と比べて海外は当たり前に起こりますので、そういった事で「日本の治験ほどに、良い生活環境ではなかった」ということは十分にあり得ます

採血が下手な人もいる

これは国にもよりますが、例えば海外治験で募集の多いイギリスでは、看護師の資格が無くても採血を行います。これは、イギリスの法律上の問題で、看護助手でも採血やECG(心電図)などの医療行為が可能だからです。

で、結果的になのですが、多くの参加者に話を伺った限り「採血が下手な人が、やや多い」との意見でした。自信なさそうに注射をうたれ、結局血が取れなかったなどということが、1回の入院で1回程度あり、酷い人は空気を逆流されそうになった(しかも1回の入院で2回)とのことでした。

ちなみに、私も採血のミスを経験しましたが、日本でも採血のミスは経験済みです(しかも、この時はけっこう内出血が酷かった)。日本の治験であっても採血はたまに失敗すると覚えておきましょう。

日本の治験と同じデメリットはほぼ同様

あえて網羅しようとは思いませんが、日本の治験と同じデメリットはあります。

例えば、

  • 入院中は行動の制限がある(試験内容による)
  • 入院期間外の行動制限もある(長いものだと半年以上)
  • 副作用が心配
  • 運動ができない
  • 注射が痛い
  • 入院期間外も食事制限がある
  • 入院中はプライバシーがあまりない(ずっと相部屋生活)
  • 入院中は外出できない(散歩すら滅多にできない)
  • 無職が長引けば職歴に傷がつく
  • 社会的には「怪しい人」のレッテルを張られる(とくに日本では)
  • 長期入院は暇になることも…
  • 結局、普通に正社員で働いた方が稼げる(入院しながら仕事すれば別ですが)

などです。

海外治験がおすすめの人

バックパッカー・留学生など、長期で海外旅行をしている人

恐らく、一番海外治験を利用しているのが、バックパッカーや留学生などの長期で海外旅行をしている人ではないかと思います。実際に、体験談を読むと「海外旅行中の人が多かった」という人や、そもそも本人がバックパッカーの人が多いですし、私が参加した治験も「海外に長期滞在中で(長い人で5年近く!)、帰国ついでに利用している」という人が多かったです

「海外で長期旅行をしつつ、費用を稼ぎたい!」という人であれば、検討の余地はあるでしょう。

航空券タダで海外を一人旅したい人

多くの治験では、謝礼金の一部や、補助費として航空券の代金が支払われます

つまり「海外旅行をしたいけど、費用が高くて……」という人は、お金を稼ぎつつ航空券の費用をタダできるというメリットが活かせます

もちろん、行先は案件ごとに決まってしまいますが、例えばロンドンやロサンゼルスへ旅行に行きたい人であれば、比較的案件は多いのではないかと思います。

ちなみに、海外の留学・バックパッカー以外の参加者は、ほとんどこの「海外旅行目的」の人です。かくいう私も、当初は金銭目的で参加したものの、気付いたらロンドン中を観光し、他の参加者と観光情報を交換するようになっていました

狒々山
狒々山
待機期間中にシェアハウスでの滞在ができるタイプであれば、宿泊費も節約が可能です。一人旅限定となりますが、目的地と案件が合致すれば、おすすめできます。

最初から現地付近に滞在している日本人(ただし、条件アリ)

最初から現地付近で生活しているのであれば、経費のデメリットがほとんど発生しません

とくに、謝礼金に交通費などが含まれている場合、交通費がかからない分、実質多くの謝礼金を手に入れる事ができます

更に「経費がかからない」ため、そもそも募集対象を「現地にいる人(あるいは、観光などで来る人)」に限定している案件も少なくありません(イギリス・ヨーロッパの案件で多い印象)。

ただし「海外在住歴5年未満」などの治験の参加条件が設けられている場合もありますので、条件によっては治験への参加ができなくなります

狒々山
狒々山
比較的案件が多いロンドンやロサンゼルスなどで生活を始めた日本人であれば、検討の余地はあるでしょう。とくにイギリスの短期~中期の案件は、現地滞在中の人に限定しているものが少なくないです。

外国語の練習をしたい人

治験で訪れる国にもよりますが、該当の国の言語を習得したいと思っている人には語学旅行として活用できます

2022年10月7日に確認した限りでは、ロサンゼルスやロンドンの案件が多めですので、英語学習であれば有効活用可能です。

ただし、外国語の練習目的の人は少なめな印象で、私の経験ではせいぜい「留学して前から勉強中だった」という人くらいかなといった感じでした。

治験で生活したい人

「高額+休薬期間が短い」という特徴があるため、繰り返し活用すればかなりの年収になります。

……というか、休薬期間を考えると、治験だけで生活したい人は海外治験一択かなと思います。

ただし、そもそも治験のみで生活しようとすると、一定年齢を超えた時点で多くの案件に参加できなくなってしまうため、おすすめしません

ちなみに、「治験だけで生活」にはなりませんが、海外ならバイトでも最低賃金が高い上に、宿泊費の補助も出る可能性があるので、かなりの年収を稼げる可能性はあります(アメリカは、州で最低賃金が異なるので注意)。職歴にも傷はつきにくいので「ワーホリで働ける英語力がある」という人であれば、治験との併用で稼ぐことも検討していいでしょう。

ちなみに、「治験が主目的」を貫いている人は、グループによっては半数程度になるそうですが、私は一人も遭遇しませんでした(しいて言えば、参加を検討していた当初の自分がそれ)。

狒々山
狒々山
高額な報酬で、休薬時間が短いのが魅力ではありますが、必ずしも投薬対象として採用されるわけではありませんし、所詮は「働かない割には儲かる」といったレベルです。単純に、自由を得つつお金を稼ぎたいのであれば、海外で働けない人は日本で短期の仕事を入れつつ、日本の治験をやった方が稼げることも事実です。

海外治験の注意点

入国の目的は「観光」と答えた方がスムーズ

海外治験に向かう前に、コーディネーターの方から教えてもらう事もあるようですが、入国の目的に「治験」「ボランティア」「仕事」などと答えると、入国がうまくいかない可能性が高いです。現地の言葉が堪能でない場合、うまく意思疎通ができず、トラブルの原因となります。

治験というのは、国によって扱いが変わりますし「労働ではないけどお金はもらう」というかなり特殊な存在です。そうでなくても、不審人物は不法移民などの可能性も疑われますので、率直すぎる解答はトラブルの原因となります。実際に、英語がしゃべれない人が入国目的を「ボランティア」と言ってしまいい、入国審査の追及にも「ボランティア」以外何も言えず、強制送還された例もあると聞きました。

そこで、多くの人は入国の目的を「観光」と言い切りっているそうです(実際、治験前後で観光すれば間違いではないですが……)。

人によってはこれで即入国完了。厳しい場合は「旅行先は?」「スケジュールは?」「職業は?」と色々と追及されますが、それには淡々と答えられるようにしましょう(ネットで探すと例があります)。

狒々山
狒々山
ちなみに、イギリスでは自動化ゲートが利用でき、この場合は入国審査で英会話が不要でした。また、乗り継ぎで入国したハンガリーの入国審査では「Hello」しか喋りませんでした。そんなわけで、私は入国の目的を聞かれた事がありません

海外旅行用の荷物は必要

治験というより、そもそも「海外」に旅行する際に便利な物・必要な物は準備しておきましょう。病院に道具が揃っていても、事前健康診断や事後通院までの期間で必要になる可能性が高いです。

例えば、電源プラグは現地の国で使えるように、変換プラグを持って行った方が安心です

同様に、SIMについても国や滞在期間に応じて、プリペイドSIMを持っていくようにしましょう。

その他、海外でも使える決済方法を準備しましょう。現地の現金はもちろん、タッチ機能付きのクレジットカードを持って行っておくと、食品の購入や病院までの移動で無人での支払いができるため、英語が喋れない人にも便利です。

以下のサイトで、海外旅行の一般的な持ち物のチェックリストがあります。病院によっては持ち込み不可のものもあるかと思いますので、適宜調整するといいでしょう。

狒々山
狒々山
交通費や宿泊費の補助が出ても、この「海外旅行用の荷物」でけっこうお金がかかります。私はロンドンに行った際に投薬対象者にならず、結構な赤字になりました。

税金や経費で、思ったほど稼げないことも

デメリットでも散々記載しましたが、海外治験は多くの経費がかかることもあります

また、アメリカなどでは治験の謝礼金に対して税金が発生します。

参加する前に、こういった条件を確認しておき、最終的にどの程度の謝礼金を稼げるかは確認しておきましょう。

また、事前検査で落ちた場合、多くの治験では航空機や宿泊費の補助がでますが、それでも食費などの当然発生する経費もあるため、数万円単位で赤字がでることはあります(私が投薬されなかったときは、2万円程度赤字でした)。そういった金銭的リスクも考慮して参加するか決断するといいでしょう。

狒々山
狒々山
生活費を差し引くと、3カ月現地に拘束されて30万円くらいしか残らないというのも普通にあり得ます。案件次第ではありますが、金銭目的だったらガッツリバイトした方が稼げるくらいと考えてもいいでしょう。

日本語の娯楽は、たぶんあるが少ない

海外の治験ですが、当然日本人が来ることを想定しているため、基本的に病院には日本語の漫画や書籍も置かれています

ただし、全ての病院に十分な漫画・書籍・ゲーム・DVD……などが置かれているかと言えば、やはり海外なので日本ほどには期待できません。

気になる方は、参加前の時点で問い合わせておくといいでしょう。

狒々山
狒々山
無料のWi-Fiなどは使えるので、私の場合は日本の病院でも電子書籍や動画サイトを活用しています。正直、病院のゲームやDVDを利用したことがありません……

案内は日本の治験ほどに丁寧ではない

これは特定の会社というよりも、海外治験の体験談のほとんどの会社で言える話ですが、治験の病院側からの返信が遅れたり、音信不通の状態が続いたりすることがけっこうあります(私も、1カ月くらい連絡が滞った事がありました)。

この辺りは、国による体質もあるのかもしれませんが、日本の治験の様に、こまめに進捗の連絡が入り、入所日前日などにリマインダーがある……といったことは期待できませんので注意が必要です。

とはいえ、相手側から密な連絡が無いのであれば、自分の方から何度も問い合わせればいい話なので、注意さえしておけば問題ありません

海外治験の募集ができるサイト

治験グローバル

海外の治験を紹介しているサイトです。グローバルというだけあって、複数の国の治験の募集をしていますが、私が半年くらい確認した限りではアメリカとイギリスの案件の2種類でした。

UK治験

イギリスでの治験を紹介しているサイトです。基本的には、日本人スタッフが常勤している案件を紹介しています。

ちなみに、入院時期以外の宿泊先は基本的にシェアハウス(無料)になっている事例がネットで多く確認できました。2017年の情報では、シェアハウスの場所はピーターバラにあり、リーズで事前検診を行い、ロンドンで入所するらしいです

リッチモンド・ファーマコロジー

ロンドンのロンドン・ブリッジの辺りにある治験の病院です。「リッチモンド」と名前についていますが、リッチモンドではなかったです。

ホームページで「交通費・宿泊費をサポート」「英語の心配はいりません」と記載がある事から、比較的初心者でも安心して参加できるかと思います。

ただし、交通費・宿泊費については基本的に上限があるため、安いシェアハウスなどを活用しないと、経費の一部が自腹になる可能性があります。実際、私が利用した際は、宿泊費はかなりギリギリでした(Airbnbで宿を探す場合、シェアハウスじゃないと若干費用がオーバーする感じ)。

また、基本的に自分で宿泊先・航空券を手配できる人のみが対象者となっているため、「海外旅行経験がなく、ネットで調べても一人で行けるか心配……」という人には向いていません(宿泊先も航空券も、大まかな探し方を貰えるので難しくはないです)。

狒々山
狒々山
実際に申し込んだ際に案内があるかと思いますが、経費を補填してもらえるタイプの場合、高確率で領収書などが必要になります。領収書を無くしてしまうと、経費が全額自分持ちになる可能性もありますので、十分に注意してください。

parexel(パレクセル)

こちらも海外治験のサイトですが、私が確認した際は、日本人向けはロサンゼルスのみの募集となっていました(ただし、ロンドンにも病院はありました)。

補助についてはホームページに記載がなく、宿泊費・滞在費・交通費の補助がないという記事があったため、あまり期待できないかと思います(興味がある方は、直接問い合わせましょう)。

ちなみに、病院については紹介動画があります。

アルタサイエンス LA

こちらはカリフォルニア州サイプレスを拠点とする医薬品開発支援機関です。

送迎については「Q&A」に「はい。弊社では治験によって送迎サービスが提供されています。お車がない方、交通手段についての質問等でもお気軽にお問い合わせください」と記載されているため、案件ごとに交通の補助について確認しましょう。

とくにもしも投薬対象に選ばれなかった場合に、どこまで補助されるかは事前に確認しておかないと、大赤字もあり得るため注意しましょう。

ClinLife

私が2022年に確認した際は、主にブリュッセルでの治験を紹介していました。2023年9月時点では、募集中の治験は無くなっていました。

ネット上の海外治験の体験談

ここでは、ネットで見つけた海外治験の体験談をまとめました。

治験の詳細は、施設や案件の内容、実施時期によっても変化しますので、不明点・詳細は募集サイトへ問い合わせましょう

私が初めて体験したロンドンの治験

手前味噌ですが、私自身がロンドンで治験に参加した際の経験を、複数の記事に分割してまとめました出国前の準備から帰国後の事後処理までかなり詳細にまとめています。

内容は「投薬に至らず帰国」となった第1回と、「第1回の後続のグループで参加し、投薬まで行った」第2回の治験に別れています。「投薬に至らなかった場合」と「投薬まで至った場合」の両方を、できるだけ詳細に記載していますので、海外治験は初挑戦の場合は、参考になる情報が多いと思います。

また、「ロンドンでの生活や観光情報」については「海外旅行」のカテゴリ、「ロンドンから行ける世界遺産の観光」については「海外の世界遺産」のカテゴリにまとめてあります。どちらも基本的に英語力中学生以下の私が実際に体験した内容ですので、英語が心配な方であれば参考になるかと思います。

コロナ禍でUK治験の体験談

とにかく情報量が豊富な治験の体験談です。

海外治験は報酬が小切手での受け取りが多いそうですが、その対処についても細かく説明されています。

また、海外・国内にかかわらず治験参加の情報が網羅されているため、治験初心者にも向いている記事です。

イギリス・アメリカの治験両方を体験した方の記事

世界一周をしながら、その際の航空券代を大幅に負担してもらった方の体験記です。

残念ながら、私が確認した際はイギリスとアメリカの具体的な治験生活の内容は記載がありませんでしたが、海外旅行の一環として治験をしたい人には参考になる記事です。

国内の治験は?

ここまで、海外治験についてメリット・デメリットや注意点を中心にまとめてきました。

報酬のメリットが大きい海外治験ですが、滞在期間の関係もあり、参加へのハードルが大きいことは確かです(だからこその高額報酬ですが……)。

国内の治験の場合も、海外の治験と同様に、基本的には治験募集のサイトに登録して、申し込むことになります。どちらの治験も活用したい方は、できるだけ情報が取得できるように、複数のサイトに登録しておくといいでしょう。

例えば、私が活用しているサイトは、以下の通りです。

また、実際に私が体験した治験や、治験の健康診断に合格しやすくする方法については、以下の記事にまとめてあります。国内の治験について気になる方の参考にしていただければ幸いです。

10月 10, 2022海外治験