【体験記】神社検定2級に合格した際の勉強時間・勉強方法・教材について
2023年6月25日に神社検定2級を受験し、無事合格しました。
この記事では、神社検定2級の受験について、以下の内容を中心にまとめていきたいと思います。
- 神社検定2級合格までの勉強時間
- 神社検定2級で使った参考書
- 神社検定2級の勉強方法
神社検定2級、合格体験記のまとめ
- 合格までの勉強時間は43時間34分
- 過去問の流用・類似問題が多い為、過去問演習が重要
- テキストは基本的に2冊で、サブテキストの1冊は毎年変わる傾向
- 若干出題される「季刊誌『皇室』」については、直接勉強しなくても合格できる(ただし、点は落とす可能性が高い)
では、詳細をまとめていきます。
受験前のスペック
簡単に受験前のスペックをまとめると、以下の通りです。
- 2021年に、仏教については勉強していた(若干出題されますが、知らない内容の方が多かったです)
- 2022年に、神社検定3級の勉強を受験し、88点で合格(2級のサブテキストにはかなり有効でした。ただ、出題範囲の約6割である「神社のいろは 続」は実質ゼロからの学習に近かったです)
- 2022年に、歴史能力検定3級を勉強(一応、神社検定2級のテキストの歴史知識の範囲ですが、純粋に歴史系の問題はほとんど出てこなかったです)
- 神社巡りは、2022年に諏訪大社、2023年に箱根神社に行った程度
一言でまとめると「知識なしより上。神社巡り好きで神社検定3級を持ってる人より下」といったところだと思います。
神社検定2級の問題については、初見でわかる問題が若干ありましたが、大半は学習が必要な状態でした。
ちなみに、3級で勉強した「神社の建築様式」「参拝の作法」「道具や建物などの用語」については、ほぼ出題がありません。
3級では、ほぼ勉強不要で正解できた仏教関連の問題は、2級については突っ込んだ知識が求められたため、初期状態では大半が正解できない状態でした。
ちなみに、歴史能力検定3級(日本史)の勉強は神社検定2級に役立ちませんでしたが、後日とりくんだ歴史能力検定2級(日本史)は、若干ながら神社検定2級で出題されるような内容も含まれていました。そういった意味では、高校日本史が得意な人であれば、かなり僅かですがアドバンテージになりそうです。
神社検定2級合格までの勉強時間
神社検定2級合格までの勉強時間は43時間34分となりました(試験用の勉強時間のみ。歴史や仏教の過去の学習は含みません)。
教材ごとの勉強時間は以下の通りです。
まずは、神社検定の過去問とその出題回数から、過去問分析を中心に進めました(対象は第2~8回の過去問。これで9時間ほど)。
結果、各テキストからの出題傾向がわかり、対策方法が確定したので、そこからは試験直前まで過去問演習とキストの読み込みを並行して行いました。
実をいうと、短時間での合格を狙うのであれば、テキストの読み込みはほぼ不要で、重要なのは過去問演習です。
強いて言えば、「神社のいろは 続」の次に出題が多いテキスト(サブテキスト)については、過去問が少ないため、頻出範囲を何度か読んでおくといいでしょう(このテキストは毎回変わります。私の時は「神社のおへそ 古語拾遺編」でした)。
一方、出題数の60%を占める「神社のいろは続き」を、テキスト中心に勉強しようとした場合、内容が膨大過ぎます。勉強時間が百時間を超えても合格ラインに達しない可能性があるため、テキスト全体の用語を暗記するのはおすすめできません。
ただし、神社検定は「趣味の勉強」として受験する人が多いかと思います。ですので、全体の流れも良くわからないまま勉強しても面白くありません、そういった意味では、過去問をある程度読んで、用語などを覚えたら、読み物としてテキストの全体を読む(無理に暗記はしない)くらいはやっておくといいでしょう(私も、それぞれのテキストを2回読みました)。
ちなみに「季刊誌『皇室』」の対策は、過去の傾向から出題されそうな内容をネットで調査し、1時間ほどで学習を終えました。勉強時間も短時間だったので、項目としては「過去問」にまとめてあります。
神社検定2級で実際に利用した教材
利用するなら、電子書籍版がオススメ
神社検定では、以下の理由により紙の書籍よりも電子書籍版の方がオススメです。
- Kindle Unlimitedで無料で読めるものが多い
- 有料のテキストも、紙の書籍より安い(中古も少ない為)
- 過去問とテキストを同時に開いて、対応付けさせやすい
まず、なんといても電子書籍版は価格が安いです。Kindle Unlimitedで無料のものも多く、私が利用した際は、過去問の10冊中4冊、テキストの11冊中4冊が無料となっていました。また、割引キャンペーンで大幅に割引されていることもあります(私が見た時は、年始や試験終了直後などで割引をやっていました)。
また、神社検定の過去問には公式テキストの参考ページの記載があります。その為、出題実績がある内容の対応付けを行うのであれば、過去問とテキストをそれぞれ別の端末で開き、電子書籍のマーカー機能などを利用すると効率的に学習できます。
神社検定 公式テキスト3 神社のいろは 続
神社検定2級のメインとなるテキストです。ここからの出題が約60%になります。
内容は、主に古代から現代(といっても、昭和30年くらいまで)の神道を中心とした当時の歴史(こっちが8割弱)と、個別の神社に関する知識の内容(こっちが2割ほど)となっています。
ちなみに、私が学習した時点ではKindle Unlimitedで無料で読める状態でした。
神社検定 公式テキスト9 神話のおへそ『古語拾遺』編
『古語拾遺(こごしゅうい)』という斎部広成によってまとめられた神道の資料に関するテキストです。
出題範囲は約30%であり、位置づけはサブテキスト。サブテキストは、他のテキストが指定されることもあります(令和6年以降は、別のテキストの予定)。
出題範囲は、一応テキスト全体という事になっているのですが、大半は「第一章「初級編」『古語拾遺』を読む」からの出題になります。
ちなみに、3級は「第一章」のみが出題範囲なので、3級で学習した経験がある人であれば、一度は読んだ内容を読み直す形での学習ができます。
神社検定 問題と解説
神社検定の過去問です。
神社検定2級は、過去問流用や類似問題が非常に多いので、過去問演習は合格までの最短ルートです。理解度チェックの為にも、早めに取り組んでおきましょう。
私が勉強した際は、古い過去問についてはKindle Unlimitedで無料で読める対象になっていました。残りの過去問も、たまに割引キャンペーンをやっているので、
利用上の問題点は、毎回サブテキストの出題範囲が変更される事。例えば、私が受験した際のサブテキスト『公式テキスト9 神話のおへそ『古語拾遺』編』は、第1~8回の過去問では2回しか出題実績が無いため、過去問での対策がやや困難でした(でも、実際には8割以上はカバーできました)。
神社検定2級の勉強方法
大雑把に勉強方法をまとめると、以下の通りです。
- 過去問演習を行う(最短合格なら、これだけに集中してもいい)
- 過去問を3周ほどやったら、過去問で出た箇所を中心に、テキストを読む
- 試験直前で、「季刊誌『皇室』」の目次から出題されそうな内容を見極め、ネット調査する
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以下に、勉強方法の詳細をまとめていきます。
まずは過去問演習
まずは過去問演習から始める事をおすすめします。
理由は簡単で、テキストは範囲が広すぎるから。テキストから学習を始めると、情報量が多過ぎて、どこを暗記すべきかが全く分かりません。
一方、神社検定2級は過去問の流用・類似系の問題が多いため、過去問演習を多くこなしていくことが、合格への最短ルートとなります。
ちなみに、私は第1~8回の過去問を利用して学習し、第11回の試験に挑みましたが、実質時事問題的な出題である「季刊誌『皇室』」からの出題を除くと、過去問で見た覚えが無かったのは94問中6問しかありませんでした。
ただし、今後もこの傾向が絶対に継続するとまでは言えません。安全な合格を目指すのであれば、途中からはテキストの活用もした方が安心です。
サブテキストについては、3級と1級の問題も参照
既に述べた内容ではありますが、サブテキストは毎回出題されるテキストが変わるため、過去問で演習できる問題数が少ないです。
そこで、サブテキストの問題については、2級の問題だけでなく、3級、1級についても問題演習を行います。
実は、私が受験した際のサブテキスト「神話のおへそ『古語拾遺』編」の場合、2級で出題される内容は、3級の出題範囲である第一章が中心です。
更に、1級も第一章からの出題が多い上に、2級と被る内容の出題もありました。
そういった傾向からも、サブテキストの3級、1級の過去問演習をする事は、2級の対策にもある程度活用可能です。
[balloon_right img="https://shikaku-benkyou.com/wp-content/themes/luxeritas/images/icon.jpg" caption="狒々山"]あくまで、2級の過去問の方が、2級の対策には向いていると思いますが、問題数が少ないための策です。ただし、3級、1級も問題数が少ないため、全ての級で対策してもあまり時間を取られることはありません。[/balloon_right]
過去問を3回ほど読んだら、テキストも読む(趣味含む)
過去問を3回程度演習すると、傾向がつかめてきますし、重要な用語は暗記できてきます。第2~8回の過去問を解くと、とくに重要な用語は5回以上問われていますので、過去問を3周もすれば、覚えて当たり前です。
このくらいまで来たら、正直すでに合格できる可能性は高いです。ここからは過去問演習は忘れない程度に軽く行いつつ、「どうしても暗記しにくい用語・ちょっと不安な用語」をメモして、試験直前で見直しできるようにしておきましょう。
一方、万が一出題傾向が変更されたときにも備えて、このくらいまで来たらテキストの読み込みも行いましょうです。神道・神社に関する歴史をより詳細に学べるので、趣味としても面白いです。
「神社のいろは 続」の読み方
「神社のいろは 続」は、内容が膨大なため、正直全てを暗記するように読むのは現実的ではありません。
そこで、以下の様な読み方がおすすめです。
[box02 title="「神社のいろは 続」の読み方"]
- 時間に余裕があるなら、全体を読む(ただし、点数は上がらない可能性が高い。あくまで保険や趣味として読む)
- 過去問で問われた箇所の周辺については、しっかりと読む
- 過去問で問われていない箇所については、流し読みする(時間が無いなら無視)
- 大正以降の歴史については、無視してもいい(過去に出題されたのは、明治神宮くらい)
- 本気で点数を上げるつもりで活用するなら、「第2章 神社についてもっと知りたい」については、過去問で見ていない内容も暗記する
「神社のいろは 続」については、ページ数が膨大です。全ての用語などを丸暗記すると難関に分類しても良いくらいの難易度です。
しかし、実際に問われる内容は、過去問の流用・類似問題がメインとなります。実際、私は第2~8回の過去問を読み込み、第11回の試験に挑んだ結果、この範囲で見覚えの無かった問題は僅か3問です。
そこで、過去問で問われる事の無かった部分については、流し読み、もしくはいっそ無視して切り捨てます。
ただし「第2章 神社についてもっと知りたい」については過去問で問われていない内容の出題率が高い傾向です(範囲の広さの割に、過去問での出題数が少ないため)。そこで、高得点での合格を目指したい場合は、とくに第2章については過去問で見ていない内容であっても読み込んでおく必要があります。
また、短時間での合格を目指すのであれば、過去問で問われていない内容は全て無視した方が良い(極論すると、過去問演習だけでいい)のですが、万が一出題傾向が変わった場合の対策や、趣味としての学習を考えるなら、時間が許す範囲でテキスト全体を読む事をおすすめします。
「神話のおへそ『古語拾遺』編」の読み方
サブテキストである「神社のおへそ『古語拾遺』編」については「『古語拾遺』の現代語訳からの出題が多い」という傾向がありました。ただし『古語拾遺』の現代語訳の中でも、出題されやすい範囲・されにくい範囲が明確に分かれます。
また、3級や1級で問われた内容が、2級で問われていた事もあります。
そこで、以下の様な方法で読み進める事がおすすめです。
- 『古語拾遺』の現代語訳の「天地開闢から大己貴神まで」と「神武天皇の東征と祭祀」についてはしっかり読む
- 上記以外の箇所は、過去問で出題された部分に集中する
- 第2章については、『古語拾遺』が書かれた背景や「斎部(忌部)氏」が何者なのかについて、ザックリと理解する
- 第3章については「古事記」と「日本書紀」における細かな違いは全て無視する(過去にほぼ出題されていない)
- 第2~3章は、内容が多い割に出題数が少ないので、用語の暗記は厳しい。過去問で問われた内容は流用されやすいので、そこだけは確実に暗記する
基本的には「神社のいろは 続」と同様で、過去問の流用・類似問題が多いため、過去問で多く問われた箇所を重点的に読む事が重要になります。
そして、過去問で多く問われる箇所は、第1章の「天地開闢から大己貴神まで」と「神武天皇の東征と祭祀」の現代語訳部分です。なので、この箇所については、過去問で直接問われていない内容も、できるだけ用語を暗記します(類似問題として出題される可能性が高いので)
逆に、これ以外の範囲からの出題については、ピンポイントで過去問と同じ個所が問われる可能性が高いため、過去問で問われた箇所とその周辺の読み込みをしていくことが効果的です。
もちろん、第2~3章の範囲から、過去問で問われていない内容も若干出題されると思います。ですが、それら全ての対策をしようと考えると、膨大な時間が必要になります。そのため、多少の問題は最初から捨てる覚悟の方がいいでしょう。
最短ルートを極めるなら、過去問中心
既に繰り返し述べましたが、テキストはボリュームが多過ぎるため、結局は「過去問で問われた箇所の周辺」を重点的に読んで、類似・流用問題の対策をすることとなります。
周辺を読む事で、過去問で問われていない角度からの出題にも対応しやすくなるというメリットはありますが、単純に最短ルートで合格を目指すのであれば「過去問だけやり込んで、正解の暗記と問題文の読み込みを行う」ということをしていれば、テキストを読まなくても合格できる可能性は高いです(不正解の選択肢は全然問われないものも多い傾向なので、対策しない方が合格の最短ルートになります)。
ただし、この場合は出題傾向に大幅な変化があった場合、不合格となってしまう可能性が上がります。
また、そもそも「趣味の勉強」として神社検定を考えるのであれば、やはりテキストの全体を読む事で、物事のつながりを理解しておいた方が面白いです。そういった意味では、流し読みレベルでもテキストは一読しておくことをおすすめします。
季刊誌『皇室』は、念のため直前でネットを使って対策する
恐らく、購入費の問題もあって全く対策しない人が多いであろう「季刊誌『皇室』」。
これについては、確かに購入しないと対策が難しいのですが、ネット調査でもある程度は対策をうてます。
雑誌を購入せず、ネット調査で対策する具体的な方法は、以下の通りです。
- ネットで出題対象の「季刊誌『皇室』の目次を全て調べる
- 目次の中で「時事(神事など)」「歴史(神道関連)」「神社」「天皇皇后両陛下の参拝」「神道美術」に関するものがあれば、ピックアップ
- ピックアップしたものについて、ザックリ概要をネットで調査する
「季刊誌『皇室』」からの出題についても、過去の傾向が明確にあります。少なくとも「ほぼ出題されない」ものや「出題されやすい」ものは明確に判断できます。
例えば、私が受験した際の試験範囲である第95~98号についてなら「春日若宮式年造替」は何度も雑誌に掲載されており、「時事」系として間違いなく最重要です。できればネットで実際にどのような事が行われたか、その儀式についても調べたいところです。もしも詳細が見つからない時は、せめて「○年周期の行事か?」「御祭神は?」などといった基本情報だけでも事前に調べておくと良いでしょう。
また、『生きる正倉院 伊勢神宮と正倉院が紡ぐもの』が、目次に2度登場していますが、美術品関連は1問程問われる事があります。これについては、軽く調べて一番の見どころとなっている物が分かれば、それだけでも覚えておくと良いでしょう。
ただし、この方法では「自信を持って解答できる問題」の方が少なくなると思います。私が受験した際も、確実に正解できる自信があった問題は6問中1問のみで、残りは推測を使って選択肢を絞り込む程度でした(運よく、わからなかった5問中4問正解できましたが)。
実際に受験した感想・結果
神社検定3級合格までの費用
最終的な費用は、以下のようになりました。
- Kindle Unlimited:99円
- 過去問3冊:1,297円(割引価格でした)
- 第5回 神社検定 問題と解説(Kindle):0円(前回購入した過去問。購入時は1,045円)
- 二級受験料(早期割引):6,700円
- 合計:8,096円
合計8,096円。交通費もかからないため、比較的安く済みました。
三級受験時に購入した第5回の過去問については、前回費用計算に含めたので、今回は除外しています。ただ、これも割引で399円になっていたので、今回購入した所で、それほど予算は大きく変わりません。
試験当日の状況
試験時間は15:20~16:50の内で、最大90分です。
実は、試験当日の私はロンドンに滞在していたため、日本時間と8時間の時差がありました。
それでも、6:00には起床して直前の追い込みを行い、7:30頃から受験を開始しました。
試験の結果
試験の結果は以下の通りとなりました。
所要時間は46分37秒。92点で合格です。
実際には、28分の時点で全問回答が終了し、そこから20分弱かけて自分の解答をメモしつつ見直しをしていました(再ログインすると、解答内容の確認が可能だったので、メモは不要でした)。正直、真面目に勉強した人であれば類似・流用問題が多いので、試験時間は余裕で余ると思います。不正防止の観点からも、試験時間は45~60分くらいで良いのでは? と、感じます。
自信が無かった問題は全部で12問。その内6問は正解できているので、今回はけっこう運が良かったかと思います。
そもそも「神社検定」とは?
神社検定の概要や、想定される難易度・勉強時間については、以下の記事にまとめてあります。興味上がる方の参考にしていただければ幸いです。