『高尾山信徒峰中修行会』へ参加してきました
2021年10月9日に開催された「高尾山信徒峰中修行会」へ参加してきました。
この記事では、仏教初心者が参加した高尾山信徒峰中修行会について、簡単に内容と感想をまとめます。
『高尾山信徒峰中修行会』の感想まとめ
- 日頃の「感謝」を改めて考える良い機会になった
- 仏教初心者・登山未経験でも、真面目にやれば参加できる
- 般若心経は覚えておいた方が便利
- コロナ対策の為、内容は日帰りで春とは変化あり
高尾山信徒峰中修行会の内容
全体のスケジュールは以下のようになっていました。
- 集合・受付(不動院。7:00から)
- 開会式(不動院)
- 回峰行
- 滝行(女性は琵琶滝、男性は蛇滝)
- 回峰行
- 諸堂参拝
- 昼食(薬王院)
- 写経
- 御護摩修行
- 下山
- 成満柴燈大護摩供(山麓広場)
- 閉会式(不動院。17:00頃)
【不動院】集合・受付(7:00~)
受付開始が7:00からということで、家は朝5:30に出発しました。
『高尾山信徒峰中修行会』の参加は2回目。前回(2021年6月)はもう少し出発が遅かったのですが、今回は内容の変化に伴い、集合はやや早め。家からの距離によっては、宿泊して参加が必要かなと思います。
受付会場では、輪袈裟や金剛杖なども売っていました。記念や今後の参加を見据えて購入してもいいですが、私は物をあまり持ちたくなかったので購入せず。でも、今後もたぶん高尾山には来るので、金剛杖くらいは買っておいてもよかったかなと思います(前回の参加で、初めて金剛杖とか『同行二人』とかの意味を知りました)。
【不動院】開会式・法楽、挨拶(7:30~)
まずは法楽。懺悔文、三帰三竟、十善戒、般若心経など、10分くらいかけてお唱えします。一人一つ冊子が配られ、お坊さんに続いて唱えるような形式なので、初心者でも問題なく唱えられます。ちなみに、私は前回参加した際の冊子の内容はほとんど暗唱できる状態でした(何度か唱えていると、短いものは音で覚えてしまう)。
その後、簡単な挨拶や今後の日程、所々での動きの解説がありました(「報告法楽」や「柴燈大護摩」など)。このあたりは、前回の経験である程度知っているので、理解は早かったですが、初回でも周囲に合わせて動けば基本的に問題ありませんでした。
【蛇滝コース】回峰行
出発。細かなルートでいえば「不動院→高尾山口駅前を通過し、甲州街道→高尾梅郷遊歩道(若干別の道含む)→旧甲州街道→蛇滝コース」となります。男女で別の滝に向かうコースだったので、女性は琵琶滝へ向かいます。
不動院から蛇滝コースに入るまでがおよそ45分、蛇滝コースに入ってから蛇滝までがおよそ15分。1時間の行程ですので、いい運動になります。
蛇滝コースの地図を見ると、距離でいえば蛇滝から麓側の方が長いのですが、滝の直前まではなだらかな坂道が多いので、比較的楽に歩くことができました。
【蛇滝コース】蛇滝水行道場(滝行)
初の滝行体験。普段は高尾山信徒峰中修行会では、普段は滝行をやっているそうですが、コロナ対策もあり宿泊が無くなっているため、前回(2021年6月)は滝行のない行程となっていました。
滝行の前には、色々な作法を教えてもらえました(多くて、覚えきれてない……)。滝に対する挨拶や、供養塔の意味や、水行道場を開いてくれた方々の石碑に対する挨拶など色々と知ることができたのはよかったです。細かな作法については、宗派などによっても違うと思うので、このあたりはどこで滝行をやるにしても、最低一回は指導を受けた方が良いと思います(私は2回以上必要ですが……)。
ちなみに「10月に滝にうたれたら寒いのでは?」と思っていましたが、この日は幸い温かく、全く寒さは感じませんでした。
滝の前に水で身体を清めたときはやや寒かったのですが、初めての滝行という興奮と、作法が頭からボロボロこぼれている混乱で寒さを完全に忘れていました。「一般の人が見ているかもしれないから、恥ずかしくない行をしなくては!」と、全力で御宝号を叫んでいた影響もあったかもしれません(喉を傷めました)。
【蛇滝コース~1号路~薬王院】回峰行~諸堂参拝
30分くらいの山道を「掛け念仏」を唱えながら登り、十一丁目茶屋で女性のグループと合流。そのまま諸堂参拝という流れ。
参拝の際には色々とお唱えするため、最初に受け取っている勤行式の冊子を取り出しやすい場所に入れておく……というのは前回の知識であったのですが「色々と覚えたから大丈夫だろう」という油断と、「折り曲げたり汚さないで持ち帰りたいなあ」という欲で、取り出し損ねました。
実際、ほとんどの内容は読まなくてもお唱えできるのですが、「大金剛輪陀羅尼」については全く知らなかったので、次回までに覚えておこうと思います(冊子を見ながらでもついていけなかった……)。
【薬王院大本坊】報告法楽・昼食・写経
薬王院大本坊玄関前で、報告法楽。簡単にいえば、今までの過程の修行内容を先達の方が読み上げ、お経やご真言を唱えます。ちなみに、スマートウォッチ(GARMIN vivoactive4S)で測定でした結果、自宅からここまでで101階分上昇の運動があったらしいです(駅の階段なども含みます)。
その後、大本坊で食事。精進料理です。大本坊のかなり奥の方の部屋で、かなりの大部屋です。学校の体育館のように、前に舞台まであります。ゆっくり楽しむ余裕はありませんでしたが、途中には絵画や刀など、色々な美術品も飾られていました。精進料理のお部屋は人数に合わせてご用意頂ける形式なので、個人で食べに来てもここまでは入れないかと思います(個人用の部屋も入ってみたい)。
食事の前はお坊さんと一緒に「食前の言葉」をお唱えしました。「食後の言葉」もあり、こちらは各自個別で(といっても、コロナ影響で黙食ということもあり、心の中で)。それほど長い言葉でもないため、どちらも暗唱し、心の中で時々唱えています。
ちなみに、頂いたお食事がこちら。
豪華です!
実は、この「豪華」であることについて、前回参加した時点では「厳しい修行として、どちらかと言えば質素な食事がいいのでは?」と感じましたが、今回参加した時点では「食べ物や、それに関わった人たちに感謝することを考えれば、少しくらい豪華な方がいいのでは?」と考え方が変わりました。同じ「精進料理」を食べるにしても、半年でこういった自分の変化を見られるのは面白いものです。
ちなみに、修行中のお坊さんは、質素な精進料理(おにぎりだけとか)を食べるそうなので、やはりこういった豪華なものは頂きません。
【薬王院大本坊】写経
食事の片付けの後、同じく大本坊で写経をしました。写経と言えば、ダイソーの写経用の本に、30分程度筆ペンで写経した程度で、本格的なものは初めてです。
「手を抜かず、しっかり心を込めて」と考え、気づけば周囲は全く気にせず自分の世界にのめり込んで出来ました。しかし、それが「無我」という程であったかと言えば1文字、1文字の出来に一喜一憂。恐らく自分が「無我」という程になるには、その道(仏道に限らず)に入り込んで10年以上は修行が必要なのではないかと思います。
最後に焼香。実は、焼香の作法が全く分かっていないことに気付き、周囲のやり方を見ながら実践。10年ほど前に一度「前の人をまねればいいから」と言われた結果、手の動きがよく見えず、逆方向にお香を移動させ、指先を火傷する(しかも、それを3回やった)という失態を思い出しました。焼香の作法を覚えることも、次回までの課題です。
【薬王院本堂】御護摩修行
本堂に移動して御護摩修行。前回『柴燈大護摩』に参加させて頂いていましたが、建物の中で生の護摩行を見るのは初めてでした。
別のお寺であれば動画配信で護摩行は見たことがありましたが、そもそも護摩はお寺や人によって作法や雰囲気が変わるらしいので、そこも含めてじっくり体験させて頂きました。
薄暗いお堂の中で、ロウソクのぼんやりした灯りを見ていると、きっとこの空気感が何百年(というか、歴史からいって千年以上?)継承されてきているのだろうなと感じました。その歴史・文化がしっかり残っていることは、やはり文字通り「有難い」ことなのだと思います。
【1号路】下山・金毘羅台
1号路で下山。1号路を下山。コロナ対策もあるし、そもそも途中から急な坂道と言うこともあって、会話は少な目。
途中、金毘羅台にもより、こちらでもお経などをお唱えしました。金毘羅台は1号路の途中を少し外れただけで行くことができ(しかも、通り抜けながら1号路に合流できる)、新宿方面の景色が綺麗にみられます。
【山麓宿舎跡広場】柴燈大護摩
前回同様、下山後は『柴燈大護摩』。ただ焚き上げるだけでなく、その前に色々な儀式がありました。細かな内容わ分かりませんでしたが(そういえば、これ訊けばよかったな……)、刀や弓なども登場し、どこでどうやってその技術を習得しているのかも興味深かったです。法螺貝とかもみんな吹けるし、よく考えると文武両道が当たり前って凄い世界。
炎が上がり、般若心経や不動明王の真言(慈救咒)をお唱えしました。そして、お願いごとを書いた撫で木札を投げ込みました。お願い事には、恩人の仕事の成功を祈願しておきました。かなり個人的な願いですが、中には「宝くじが当たりますように」という人もいるそうです。
【不動院】記念撮影・閉会式
開会式を行った不動院に戻り、記念撮影と閉会式。
記念撮影中、前回よりも確実に人数が多いことにようやく気付きました。そういえば、前回は2日に分けてましたが、今回は1回なので、その分多いのかなとは思います(それでも上限の関係上40人程度だったかと思いますが)。
閉会式で、修了証を受け取りますが、これで修行は半分。この修行を通して感じたことをこれから日常で活かしていくことで、修行が完成するとのこと。
私は『勉強』というものは、『自分を良くすること』だとよく思います。自分が良くなるのなら「漫画を読む」でも勉強だし、良くならなければ「難しい学問を理解する」でも意味があるかは疑問です。
果たして修行を通して自分がどう変わっていくかについては、毎回楽しみなところです。
『高尾山信徒峰中修行会』について
最後に、高尾山薬王院公式ホームページから、高尾山信徒峰中修行会(第118回)について引用します。
信徒峰中修行会
高尾山では、6月と10月の年二回「信徒峰中修行会」を執り行っておりますが、本年は新型コロナウイルス感染症を考慮し、宿泊を伴わない日帰りの行程で執り行います。日程については下記をご参照下さい。当修行会は老若男女問わず参加できる体験修行会です。
高尾山に広がる大自然を修行の道場として、高尾山御本尊・飯縄大権現に身をまかせ、古来より伝承される修行を体験してみませんか?
お山での修行は、現代社会で生きる私たちが普段感じる不安や悩みなど心の垢を少しずつ取り除くことで、生きる力や心の安心へと繋がります。
年2回で118回ということからもわかりますが、歴史のある行事です。
例年だと一泊二日なのですが、今回はコロナの影響もあり日帰りで、参加者も男女20人ずつが上限となっていました。
ちなみに、2019年秋は台風、2020年はコロナの影響で中止となっていました。
参加費・持参品・服装
参加費は10,000円。日帰りとなっている分、普段の1泊の料金よりも低めになっていました。高いか安いかは価値観によるところが大きいので一概に言えませんが、滝行の指導料が通常3,000円、精進料理の天狗膳が2,900円~となっていること、写経体験が一般に1,000円以上と考えると、それだけで7,000円くらいはかかるわけで、その他参拝の指導なども考えると体験学習としては破格なのでは? と感じました。なんか、自分のようなにわかで仏教に興味を持っただけの人が予約の枠埋めてしまって、申し訳ない感じです。
持参品はマスク(3枚以上)、水筒、雨具(傘不可)、防寒具、タオル、筆記用具、下着。またこれらが入るリュックが必要です。
険しい道はないですが、一応登山ですし、雨が降ることもあるため、替えも含めてマスクは3枚です。実際に、私は1枚途中で替えました。同様に、雨具も登山道でも動きやすいようカッパ・ポンチョのようなものが必要です。
ちなみに、念珠、錫杖、輪袈裟、法螺貝、金剛杖なども、持っている人は持参OK。輪袈裟、金剛杖などは現地購入も可能でした。
服装は山中の歩行に適した格好であればOKで、登山着や白装束を準備できなくても大丈夫。運動用のジャージで参加している人もいましたし、ハイキングができる程度の服装であれば、問題はありません。
私の「仏教知識」と「参加した動機」
【前提】私の仏教知識
念のため、私の事前知識。
前回(2021年6月)に参加した際は、仏教についてはハッキリ言ってほとんど知らない状態でした。4月18日までは、最後の挑戦と位置付けたネットワークスペシャリスト試験の勉強に集中していたため、勉強を始めたのは4月19日から。修行に参加した時点で、仏教を勉強して50日も経過していません。
偶然「般若心経覚えておいたら、それっぽいかな」「護摩の動画で唱えていた不動明王の真言って何?」という興味で、般若心経と不動明王の真言(小咒と慈救咒)等を覚えていたのですが、それが案外役に立ちました。
今回(2021年10月)は、それから毎週ちょっとずつ仏教(と歴史)の勉強をしていましたが、そのあたりはあまり影響しませんでした。
【前提】私が参加した動機
初回の動機は「退職したら1日瞑想したい→瞑想するなら、山に籠るか→数日間山に籠って瞑想するか→高尾山なら近所だな」という発想で、高尾山について調べていたところ、修行体験があったので参加しました。
今回は、その延長。普段こういった行事に参加する機会がないため、定期的に自分を見つめ直す機会を得たいと思い、参加しました。
『高尾山信徒峰中修行会』参加の反省点
今回の最大の反省点は「時間が有効活用しなくては!」という感覚が強すぎたこと。
実は、7月末に退職してから、時間の裁量が自由になったことに伴い、スケジュールの詰め込み方がかなりハードになっていました。夜勤が無くなった影響で、以前よりも体調が良くなり、結果的に行動量が増えてその分スケジュールを詰め込む……ということを繰り返した結果、日々の余裕が無くなっていました。
そんなこともあって、自然やその場の雰囲気を感じ取る心が弱かったなあと思います。ただ、そのような「心にゆとりがない状態」を自覚できただけでも、価値があり、自分にとってはこの「心のゆとり」が、残された課題かなと思います。