【史跡】「箱根関所」に行ってみた
この記事では「箱根関所を実際に観光してみた際の体験」を中心にまとめます。
「箱根関所に興味がある方」「箱根関所を観光予定の方」などの参考になれば嬉しいです。
「箱根関所」の基本情報
※詳細は変更の可能性もあるため、訪問前には公式HPなどの情報をご確認ください
「箱根関所」とは?
「箱根関所」とは、簡単に言えば「江戸初期に築かれた関所で、全国の関所の中でも最大規模のもの」になります(同等規模は、箱根関所含めて4件)。
関所は通行人や道具などの取り締まりを行っており、「入り鉄砲に出女」という言葉で有名。とくに「江戸に入る武器」と「出ていく女性」を監視する役割があったわけですが、箱根関所について言えば「入り鉄砲」についてはスルー。ただし「出女」については厳重でした。ちなみに、関所破りをすれば磔(死刑)とされます。
箱根関所が活躍していた250年間で、関所破りは僅かに5件6名とされ、その全員が捕まっているそうです。が、実際には「迷っただけ」として寛大な処分を施すなど(「藪入り」と呼ばれる)、「関所破り」以外の処罰で対処していたことが多いそうです。
箱根関所については、江戸末期の解体修理の詳細な報告書(相州箱根御関所御修理出来形帳)が、伊豆の国市の「江川文庫」から1983年に発見されました。その報告書を元に発掘調査が行われ、その調査結果や資料を基に、箱根関所や周辺環境が復元され、現代に至ります。
ちなみに「江川文庫」を所有していた江川一族では、世界遺産の構成資産の一つでもある「韮山反射炉」の建造を進言し、建造を指揮した江川英龍が有名。江川邸は現在も残されており(観光できる。韮山反射炉とセットで割引してたので、行ってきました)、残された当時の膨大な文書は、現在も調査が続いています。
「箱根関所」の主な見どころ
箱根関所の主な見どころは以下の通りです。
- 京口御門・京口千人溜
- 厩
- 台所土間・湯殿
- 大番所・上番休息所
- 獄屋
- 足軽番所
- 遠見番所・展望広場
- 江戸口御門・江戸口千人溜
- 矢場
- 箱根関所資料館(じっくり見れば、ここだけで20分以上かかります)
- 芦ノ湖
その他、細かなところでは、高札が掲げられた「御制札場」、刺股・袖搦・突棒が立てかけられた「三つ道具建」などの、関所に必要な設備が、当時の環境を復元する形で展示されています。
「箱根関所」へのアクセス
住所は「神奈川県足柄下郡箱根町箱根1番地」。
車の場合、専用駐車場はないため、近隣の駐車場を利用して観光することになります。
電車とバスで移動する場合、電車で「小田原駅」か「箱根湯本駅」まで移動して、「箱根町港行」箱根登山バスか「箱根関所跡行」伊豆箱根バス利用し、「箱根関所跡」で下車します。
「小田原駅」からだとバスで約55分、「箱根湯本駅」からだとバスで約40分です。
「箱根関所」を実際に観光してみた(所要時間55分)
最寄りの駐車場である「箱根関所 旅物語駐車場」から徒歩3分。ちなみに、この駐車場は土日祝は有料ですが、私が訪れた平日は無料でした。
駐車場から徒歩で箱根関所に向かうと、関所前に見学券売場がありますので、そこで入場券を購入。大人500円です。上の写真の奥に見えるスペースが京口千人溜。
まずは、京口御門。黒い立派な門です。
関所の建物の外観は、全体的に渋墨で塗装されていますが、これは渋柿と松を焼いて作ったすすを活用したもので防腐効果があり、当時の建築を再現しています。ちなみに、黒い部分に触れると、すすが付着するので注意です!(とくに雨の日など濡れてる場合)。
関所内の施設は、一応順路が決まっています。最初は厩。解説の音声も流れていました。
馬や人については、当時の記録から正確な色合いは分からないため、あえて淡い色で全体をシルエットっぽくする「シルエット展示」がされています。逆に、馬のサイズや人の服装などは、当時を想定して再現されたものです。
厩の裏に、上番所のトイレがありました。すぐ後ろは芦ノ湖です(遊覧船が見えます)。
トイレから、更に台所土間(関所役人の食事などを作る場所)の再現がありました。食事の支度など、雑用を行っていた人は「下番」と呼ばれます。
以下にも番所らしいこちらは、大番所の建物の中でも「面番所」と呼ばれる部屋。「番士」や「定番人」が詰めて、証文の改めや行き先の聴取・記録などを行っていました。上の写真は、「出女」の取り調べが行われている様子。出女は「関所女手形」が通行に必要で、それに記載された髪形や特徴などと、通行人が相違ないか人見女(改め婆)が検査していました。
ちなみに、この辺り女性が関所を抜ける話については、私が好きなタイムスープハンターのSeason1最終回が詳しいです。
この部屋は関所の中で最も格が高い人がいる場所で、左が伴頭、右が横目です。接待の間としても活用されていました。
ちなみに、上の写真中央にある、フサフサした巨大なマイクの様なものは、弩瓢(どひょう)と呼ばれる矢を入れる置物。実用性よりも権威の象徴を優先したデザイン性です。
牢屋の前で「映えるでござる!」と言ってる男がナイス。そして、左側の男のニヤリとした表情が、なんとも言えません。おかげで、獄屋の撮影を忘れました。
こちらは、獄屋に隣接している足軽番所前に置かれた刺股・袖搦・突棒の「三つ道具建」。
棘がついており、実戦的にできているだけでなく、これを通行人に見せつける事で抑止力にもなったのではと思います。
足軽番所の休憩所風景。たぶん、右奥の男がポスターでニヤリと笑っていた男。
足軽番所裏にある階段を登っていくと、遠見番所です。
残念ながら、撮影の技量が無いため「映えるでござる!」な写真にはなりませんでしたが、関所の全体が見渡せて、関所のセキュリティ体制がわかりやすいです。
井戸などの解説は飛ばして、「箱根関所資料館」に向かう途中にあった「矢場」。矢だけでなく、鉄砲の練習場としても使用されていたそうです。
ちなみに、矢場の前に「江戸口御門と江戸口千人溜」もあったのですが、撮影したつもりになってて忘れました。
ここから「箱根関所資料館」に行ったのですが、館内は写真撮影禁止でした。
資料館には、箱根関所の移り変わり、関所破りと藪入り、大名行列のミニチュア展示、箱根関所の武器・武具など、13のテーマの展示がありました。
ちなみに、関所破りで捕まり獄門となった少女「お玉」と、伊豆でお玉という人と芸人やってたせいで関係者と勘違いされたらしい「お杉」が、箱根関所資料館の案内キャラクターになっており、Twitterもやってました(お杉については、諸説あるっぽい)。
周囲の観光情報
周辺の観光スポットには、以下の様なものがあります。
- 芦ノ湖(関所の目の前。遊覧船あり)
- 箱根寄木細工 関所からくり美術館(関所の目の前)
- 恩賜箱根公園(徒歩数分で行ける)
- 箱根駅伝ミュージアム(徒歩6分くらい。近くに『箱根駅伝 詩碑』や『箱根駅伝の往路ゴール・復路スタート碑』があります)
- 箱根旧街道杉並木(徒歩10分ほど)
- 箱根神社(徒歩30分ほど、車で20分ほど。実際に行きました)
- お玉ヶ池(徒歩30分ほど、車で20分ほど)
- 箱根湿生花園(車で30分ほど。実際に行きました)
- 大涌谷(車で50分ほど。実際に行きました)
箱根関所は目の前に芦ノ湖があり、近くに遊覧船乗り場があります。
この遊覧船で芦ノ湖を堪能しつつ、「元箱根港」まで行けば徒歩10分ほどで「お玉ヶ池」や「箱根神社」へも行けます(運賃は大人400円。ただし、この二つは反対方向)。ちなみに、「芦ノ湖遊覧船」の近くに「箱根海賊船」もありますが、こっちの方が「お玉ヶ池」や「箱根神社」までの距離は遠いです(ただし、港の目の前に「箱根神社 第一鳥居」がある)。
更に、元箱根港からバスを使えば強羅まで30~40分ほど。強羅には「岡田美術館」や「彫刻の森美術館」がありますし、強羅から箱根ロープウェイを使って「大涌谷」まで行くことも可能です(ただし、大涌谷は以前の噴火から散策路が事前予約制ですので注意)。
ちなみに、上記の観光スポットを中心に朝から観光する場合、自動車が使えない場合でも、以下の様なプランが作れました。
- 9:00~9:50:箱根関所と資料館
- 10:00~11:00:箱根駅伝ミュージアム(と、周囲の箱根駅伝関係)
- 11:10~11:45:箱根寄木細工 関所からくり美術館
- 12:05~12:20:遊覧船で芦ノ湖観光(遊覧船を待つ時間で昼食してもいい)
- 12:35~13:10:箱根神社(お休み処「権現からめもち」にはU-1グランプリ3位の『俺のうどん』がある。時間を調整してお玉ヶ池に行ってもいい)
- 14:10~15:30:箱根ロープウェイで移動して、大涌谷観光(「黒たまご」が名物)
- 16:10~17:00:強羅で美術館1件
- 17:00~:強羅の名物「銀豆腐」を使った「豆腐かつ煮」を食べ、強羅温泉につかって一泊
しかしこのプラン「箱根神社の滞在時間短すぎ!」「大涌谷の引率入場時刻までギリギリ!(そもそも、駆け足で乗り継ぎしないと間に合わない)」「美術館の滞在時間短すぎ!」「昼食がまともにとれない!」など無理があります。
遊覧船の時刻表を考えると、「箱根駅伝ミュージアム」か「箱根寄木細工 関所からくり美術館」を諦めて、せめて11:20発の遊覧船で出発。後半に余裕を持たせるなら10:40発の遊覧船に乗りたいところです。
あるいは、前半でやや早めに行動しつつ、遊覧船を使わず徒歩で「旧東海道 箱根宿杉並木」などの散策コースを通って、箱根神社に向かうのもいいかもしれません(徒歩30分ほどで到着します)。