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【世界遺産】五箇山の「菅沼合掌造り集落」の観光情報と、実際に観光した感想

1月 12, 2024富山旅行【国内】世界遺産,【国内】古民家,【国内】街並み

この記事では、世界遺産「白川郷・五箇山の合掌造り集落」に登録されている「五箇山の菅沼合掌造り集落」の観光情報と、実際に観光した感想をまとめます。

「世界遺産に興味がある方」「五箇山を観光予定の方」などの参考になれば嬉しいです。

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「菅沼合掌造り集落」の観光情報

観光情報

  • 営業時間:8:00~17:00(12~3月は9:00~17:00。日没後~早朝は基本的に観光不可
  • 休館日:「五箇山民族館」と「塩硝の館」は12月29日~1月3日が休館日
  • 見学料金:「五箇山民族館」と「塩硝の館」の共通券が大人300円、小中学生150円。
  • 所要時間:見学だけなら60~90分ほど。私は「五箇山民族館」「塩硝の館」を見学し、集落全体を散策して約100分。

※詳細は変更の可能性もあるため、訪問前には公式HPなどの情報をご確認ください

「菅沼合掌造り集落」とは?

菅沼合掌造り集落とは、簡単に言えば「富山県の南西端にある南砺市の五箇山地区にある合掌造り集落の一つです」です。同じく五箇山地区にある合掌造り集落である「相倉集落」と比較すると規模は小さめ庄川に面した河岸段丘の土地にあります(相倉集落もすぐ近くに庄川がありますが、より山間部の集落です)。

独特の景観が残されていることが評価され、1976年には重要伝統的建造物群保存地区に選ばれ、1995年には五箇山の「相倉」と白川郷の「萩町」の集落とともに「白川郷・五箇山の合掌造り集落」として菅沼の9棟の合掌造りの家屋が世界遺産に登録されました(その他にも登録範囲の歴史的建築アリ。詳細はこちら

雪下ろしや水はけに配慮した急勾配(45~60度)の屋根を持つ合掌造りの建物が有名で、ドイツの建築家「ブルーノ・タウト」は、合掌造りの家屋を「その構造が合理的、論理的である点においては、日本全国で全く独特の存在」と評しました(彼の建築物も世界遺産になっています)。

かつては、合掌造りの家では10~30人の一族が住む「大家族制」がとられており、稲作や畑作にも向かない山岳地帯であったことから、その労働力を養蚕や塩硝の生産に使い、主要な収入源としていました。

また、同じ合掌造り集落でも白川郷とは建築様式の違いがあり五箇山の菅沼合掌造り集落は「妻入り(棟の垂直側に出入口がある)」が多く、白川郷の荻町集落は「平入り(屋根の「棟」と並行する側に出入口がある)」が多いといった傾向がみられます。

歴史的には、五箇山や白川郷の位置する山岳地帯は白山を中心としており、8世紀には修験道の修行場として発達しました。その後、江戸時代の1690年からは、五箇山が加賀藩の正式な流刑地となりました(五箇山は、周囲を山と庄川の峡谷に囲まれた陸の孤島だった)。五箇山では庄川を渡る橋をかけることは許可されておらず、昔は対岸に渡るときにぶどうのつるで作った大綱を張り、籠を使用して人を輸送していました(籠渡し」として有名)。

        「菅沼合掌造り集落」へのアクセス

        住所は「富山県南砺市菅沼」です。

        公共交通機関を利用する場合、「JR新高岡駅または高岡駅」から「城端線城端駅」まで約30分で移動し、「城端駅」から五箇山行バスで40分ほど。JR高岡駅前からであれば、世界遺産バスで1時間15分ほどです。

        また、自動車で向かう場合、五箇山ICで降りて数分で「菅沼合掌造り集落展望広場」にある駐車場に到着します。ここからエレベーターで集落のある高さまで降り、地下トンネルの東西両方に合掌造りの家屋があるのですが、東側が世界遺産に登録されている範囲になります。

        駐車料金は、普通自動車500円、二輪車100円です(料金の一部は世界遺産保存の事業に活用されます)

        「菅沼合掌造り集落」を実際に観光してみた(所要時間100分ほど)

        この日は五箇山の「相倉」と、白川郷の「荻町」集落を訪れる前提で、8:50頃に「菅沼」に到着しました。

        最初に到着した場所なので、ゆったり観光していたら、いつの間にか100分かかりましたが、博物館と町並みをサクッと見るだけなら90分以下でも十分楽しめる場所だと思います。

        菅沼展望広場

        五箇山ICから国道156号線を進むと、僅か2分程で「菅沼展望広場」に到着します。

        菅沼展望広場から見た村の風景
        菅沼展望広場から見た村の風景

        こちらは、展望広場から見た菅沼合掌造り集落。私が読んだ旅行ガイドの本でも、ここからの写真が紹介されていました。菅沼の集落は比較的規模が小さく、一周15分程で回れるくらいののどかな村です。

        菅沼展望広場にあったマップ
        菅沼展望広場にあったマップ

        こちらは菅沼展望広場にあった散歩マップ。菅沼は庄川の河岸段丘にある集落なので、この展望広場から坂を下ったような場所に位置し、観光客はエレベーターで集落のある高さまで降りることになります。

        エレベーターを降りると、地下を通るトンネルが左右に伸びており、右側が世界遺産に登録されている「合掌造り集落」で、左側が「五箇山合掌の里」という名前で、宿泊できる合掌造りのコテージが複数立っています

        エレベーターの案内
        エレベーターの案内

        エレベーターは無料で乗れますが、運転時間には制限があります

        町並み系の観光地にはいつでも入れる場所も多いですが、菅沼の場合は時間に制限があるため、基本的に日没後~早朝は観光不可です(もちろん、他の観光地も、迷惑をかけない時間帯である必要はありますが……)。ただし、ライトアップイベントなどによって、制限が変化する可能性がありますので、訪れる際は確認しておきましょう。

        菅沼合掌造り集落の町並み

        エレベーターを降りて、さっそく合掌造りの集落へ行ってみました。

        菅沼合掌造り集落
        菅沼合掌造り集落。エレベーターから降りて直ぐの辺りで撮影。

        エレベーターを降りて少し歩いた場所の写真。実は、先に掲載した展望台の写真は、集落を出発する前に撮影したものであり、初めて合掌造りの集落を見たのはエレベーターを降りた後のこの瞬間。独特の町並みにけっこう感動しました。

        菅沼集落にある世界遺産の石碑
        菅沼合掌造り集落にある世界遺産の石碑

        集落の東端の方(タクシー乗り場や住民用駐車場がある)に、世界遺産登録を示す石碑がありました。世界遺産観光をすると、こういったものを見つけたくなります(見つからないことも多いですが……)。

        神明社
        神明社

        こちらは集落内にあった「神明社」『上平村誌』(上平村は2004年の合併で、菅沼のある南砺市の一部になった)によると、創建は不明ですが、祭神は豊受姫大神。春季祭礼は5月3~5日、秋季祭礼は9月30日とのこと。

        塩硝の館

        塩硝の館の外観
        塩硝の館の外観

        菅沼合掌造り集落の主要な観光スポットでもあるのが「塩硝の館」です。料金は「五箇山民族館」とセットで、大人300円、子供100円と安いので、両方見学する事をおすすめします。休館日は12月29日~1月3日です。

        塩硝の館の内部展示
        塩硝の館の内部展示

        内部では、五箇山で行われていた塩硝づくりの製造工程や、実際に利用される道具、五箇山(塩硝)の歴史などが、映像なども交えて紹介されています。塩硝と絡めて、五箇山の歴史が学べたのは個人的にとくに面白かったです。

        五箇山民族館

        五箇山民族館の外観
        五箇山民族館の外観

        「五箇山民族館」も菅沼合掌造り集落の主要な観光スポットです。料金は「塩硝の館」とセットで、大人300円、子供100円。こちらも休館日は12月29日~1月3日です。

        五箇山民族館の内部展示
        五箇山民族館の内部展示

        内部では、生活用具やお祭り関連の道具など、その名の通り五箇山の暮らしに関するものが展示されています。ほとんど改造が行われていない合掌造りの家屋がそのまま博物館として利用されているので、建築物としても一見の価値ありです。

        五箇山民族館の内部展示
        五箇山民族館の内部展示

        こちらは、五箇山の養蚕に関する展示。白川郷も含め、この辺りの地域では合掌造りの家屋内で養蚕を行い、蚕の糞を活用して塩硝の製造がおこなわれていました。ちなみに、五箇山では4月下旬~5月、7月~8月上旬、9月の年3回の養蚕が行われていたそうです。

        籠渡し

        菅沼橋から見た庄川
        菅沼橋から見た庄川。小さく川を渡る籠が見える

        五箇山民族館でも道具の展示がありましたが、庄川にかかる菅沼橋の上から、「籠渡し」の再現が見られます

        籠渡し(望遠レンズで撮影)
        籠渡し(望遠レンズで撮影)

        こちらが望遠レンズで撮影したもの。等身大の人形が、籠によって川を渡されている状況がわかります。

        江戸時代、加賀藩では陸の孤島である五箇山は流刑地とされていました。庄川の五箇山の地域には橋をかけてはいけないのがルールで、そのため上の写真のように、籠渡しによって庄川の移動が行われていたそうです。

        ちなみに、籠は南北朝時代には架けられていたと考えられており、連如上人が乗って移動している絵図が伝わっています。1764年の記録によると、五箇山全体で13カ所は同様の籠が架けられていたそうです。

        この「籠渡し」が見られる菅沼橋を渡ってしまうと、完全に菅沼の集落からは出てしまいますが、対岸には庄川越しに集落を見渡せる撮影スポットもあります。時間がある方なら、そこまで歩いて行ってもいいでしょう(場所は、駐車場のある菅沼展望広場のマップなどに書いてあります)。

        五箇山合掌の里

        五箇山合掌の里
        五箇山合掌の里

        こちらは、先ほどの「菅沼合掌造り集落」とは反対方向にトンネルを進んだ場所にある「五箇山合掌の里」です。

        こちらにも立派な合掌造りの家屋が多く並んでおり、内部はコテージとして利用可能になっています(炊事用品・冷蔵庫・電子レンジ・風呂・トイレ等が完備)。大人数での宿泊であれば、低コストで合掌造りの建物に宿泊できますので、ここで宿泊しつつ、周囲の「白川郷(荻町)」や「相倉」の集落を訪れてみてもいいでしょう。

        また、宿泊する場合は、「ガイド付きの集落の散策」「ささら編体験」「そば打ち」「トレッキング」など、色々な体験に申し込む事もできます。

        「菅沼合掌造り集落」周辺の観光スポット

        「菅沼合掌造り集落」に行ったら、世界遺産「白川郷・五箇山の合掌造り集落」に一緒に登録されている五箇山の「相倉」と白川郷の「荻町」の集落にも行ってみたくなるところです。

        白川郷(荻町)は、菅沼と相倉に比べて大規模な観光地になっており、短めでも2時間以上、アクティビティや食事の時間も含めてゆっくり過ごせば1日楽しめる規模になっています。

        また、「相倉」の集落は、菅沼と同じく五箇山にある集落ではありますが、川沿いの集落である菅沼に対し、こちらは山間の集落としての景観が美しく、規模は菅沼よりも大きいです(世界遺産登録範囲だけ比較すると、菅沼は4.4ha、相倉は18ha)。

        頑張れば三か所の集落を1日で観光することも可能です。ただし、自家用車を利用できない場合は、世界遺産バスなどを利用して移動する事になるかと思います。

        私が三か所全てを観光した際は、自家用車でも時間がギリギリでしたので、バスを利用する場合はどこかの集落で一泊し、余裕をもって観光することを考えてもいいでしょう。