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【世界遺産】五箇山の「相倉合掌造り集落」の観光情報と、実際に観光した感想

富山旅行【国内】古民家,【国内】街並み

この記事では、世界遺産「白川郷・五箇山の合掌造り集落」に登録されている「五箇山の相倉合掌造り集落」の観光情報と、実際に観光した感想をまとめます。

「世界遺産に興味がある方」「五箇山を観光予定の方」などの参考になれば嬉しいです。

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「相倉合掌造り集落」の観光情報

観光情報

  • 営業時間:8:30~17:00
  • 休業日:無休(「相倉民伝統産業館」は不定休)
  • 見学料金:「相倉民俗館」と「相倉民伝統産業館」は大人300円、小中学生150円。共通券は大人500円、小中学生200円。
  • 所要時間:見学だけなら60~120分ほど。私は集落の散策と「相倉民俗館」の見学だけ行って90分ほど。
  • 備考:未確認ですが、HP上では「相倉伝統産業館」は要予約の情報がありました(私が訪れた際は、休館していました)

※詳細は変更の可能性もあるため、訪問前には公式HPなどの情報をご確認ください

「相倉合掌造り集落」とは?

菅沼合掌造り集落とは、簡単に言えば「富山県の南西端にある南砺市の五箇山地区にある合掌造り集落の一つです」です。同じく五箇山地区にある合掌造り集落である「菅沼集落」と比較すると規模は大きめやや山間部のような場所にあります(菅沼も山間部ですが、どちらかと言えば、川に面した河岸段丘の土地が特徴)。

独特の景観が残されていることが評価され、1976年には重要伝統的建造物群保存地区に選ばれ、1995年には五箇山の「菅沼」と白川郷の「萩町」の集落とともに「白川郷・五箇山の合掌造り集落」としての相倉20棟の合掌造りの家屋が世界遺産に登録されました(その他にも登録範囲の建築物あり。詳細はこちら

雪下ろしや水はけに配慮した急勾配(45~60度)の屋根を持つ合掌造りの建物が有名で、ドイツの建築家「ブルーノ・タウト」は、合掌造りの家屋を「その構造が合理的、論理的である点においては、日本全国で全く独特の存在」と評しました(彼の建築物も世界遺産になっています)。

かつては、合掌造りの家では10~30人の一族が住む「大家族制」がとられており、稲作や畑作にも向かない山岳地帯であったことから、その労働力を養蚕や塩硝の生産に使い、主要な収入源としていました。

歴史的には、五箇山や白川郷の位置する山岳地帯は白山を中心としており、8世紀には修験道の修行場として発達しました。その後、江戸時代の1690年からは、五箇山が加賀藩の正式な流刑地となりました(五箇山は、周囲を山と庄川の峡谷に囲まれた陸の孤島だった)。五箇山では庄川を渡る橋をかけることは許可されておらず、昔は対岸に渡るときにぶどうのつるで作った大綱を張り、籠を使用して人を輸送していました(籠渡し」として有名)。

        「相倉合掌造り集落」へのアクセス

        住所は「富山県南砺市相倉」です。

        公共交通機関を利用する場合、「JR新高岡駅または高岡駅」から「城端線城端駅」まで約30分で移動し、「城端駅」から世界遺産バスで25分ほど。JR高岡駅前からであれば、世界遺産バスで1時間20分ほどです。

        また、自動車で向かう場合、五箇山ICで降りて15~20分で「相倉合掌造り集落」にある駐車場に到着します

        駐車料金は、普通自動車500円、二輪車100円です。

        「相倉合掌造り集落」を実際に観光してみた(所要時間90分ほど)

        この日は先に五箇山の「菅沼」を訪れ、「相倉」には11:00頃に到着。この後、白川郷も行く予定だったので、若干早足な感じでした。

        相倉合掌造り集落の町並み

        展望所からの風景
        展望所からの風景

        駐車場に到着すると、直ぐに展望所の案内看板があります。それを辿っていくと、上の写真の様な景色が見渡せます。同じく五箇山にある菅沼集落と同様に、相倉も庄川の近くにありますが、どちらかと言えば傾斜地に囲まれた山間の集落といった印象を受けます(とはいえ、これも河岸段丘の一部だそうです)。

        展望所を下から撮影したもの
        展望所を下から撮影したもの

        ちなみに、下から展望所を撮影するとこんな感じ。木々の間に見えるスペース(見えにくいですが、人が立ってます)が、展望所です。

        相倉集落の風景
        相倉集落の風景

        集落に降りて、ちょっと高くなっている場所から町並みを撮影。合掌造り以外の家屋もありますが、全体的には合掌造りの家屋が多いです。ちなみに、相倉にある合掌造りの家屋の20棟が世界遺産に含まれています

        1950年代(昭和20年代)頃の風景写真
        1950年代(昭和20年代)頃の風景写真

        町の中には、1950年代頃の風景写真もありました。相倉の集落は、1970年に国指定史跡登録を受け、文化財保護法によって現状変更が制限されたそうです。現在ある瓦葺屋根の住宅は、それ以前に変えたものだそうですが、少なくとも1970年までは、制限がなくても昔からの合掌造り家屋が残り続けていました。

        天狗の足跡

        天狗のあしあと
        天狗のあしあと

        こちらは、民宿「長ヨ門」の近くにあった「天狗のあしあと」です。

        岩全体が足跡なのかと思ったら、岩についている足の形のことを指しているそうです(写真だと、岩の中央左側にくぼみの上部が少し見えます)。伝承では、相倉集落の上にある「ヤノクラ」から庄川の向いにある「島の山」まで天狗が二歩で移動したとき、ここに足跡を付けたとされています。

        原始合掌造り『三郎(旧岩本家)』

        集落の中にある屋根だけの合掌造りの家である『三郎(旧岩本家)』がありました。

        原始合掌造り『三郎(旧岩本家)』
        原始合掌造り『三郎(旧岩本家)』

        屋根だけの合掌造りは、合掌造り家屋の原型と言われ、「ナンマンダブツ建て」と呼ばれます(ちなみに、通常の合掌造りの場合、屋根の三角形に見える部分は「小屋組」、その基礎(下部)の四角形部分は「軸組」と呼ばれます)。

        こちらの家は江戸時代後期に建てられ、昭和初期までは岩本姓のお婆さんが一人暮らししていました。現在は、この建物の後方にある民家の『三五郎』さんが所有する建物になっており、内部は住居ではなく物置になっています。

        相倉地主神社

        相倉地主神社の鳥居前
        相倉地主神社の鳥居前

        「相倉地主神社」は、集落にある大き目の神社です。

        祭神は伊弉諾命で、創建は不明。「地主神社」と呼ばれるようになったのは明治時代で、江戸時代までは「薬師堂」と呼ばれ、薬師様の仏像が祀られてるそうです(像自体は確認できませんでした)。神社に薬師像が飾られているあたりは、白山を中心に周辺が修験の場として発達していたからでしょうか?

        相倉地主神社
        相倉地主神社

        大正時代に本殿造営が行われ、その際の木材に「雪持林」が利用されました(雪持林は、雪崩防止のための広葉樹郡で、古くから伐採が禁止されていた)。ちなみに、「雪持林」や、屋根葺きに使われる「茅場」も史跡に登録されています

        皇室の方も度々訪れた神社で、秋篠宮さまが「私は世界で三か所好きな所があります。その中の一つがこの五箇山なんですよ」とおっしゃったそうです(平成29年までに6回訪問されたそうです)。境内には「皇太子殿下御歌碑」や「新天皇陛下御即位記念」の石碑もありました。

        「新天皇陛下御即位記念」の石碑
        「新天皇陛下御即位記念」の石碑

        相念寺

        相念寺
        相念寺

        「相念寺」は相倉の集落の中にあるお寺です。屋根が合掌造りになっています。

        宗派は浄土真宗の真宗大谷派。ちなみに、13世紀から庄川周辺のこの辺りは白川郷を中心に浄土真宗広まったそうです(白川郷の荻町集落にある「妙善寺」も真宗大谷派)。

        創建は不明ですが、1552年には五箇山十日講員の図書了観ずしょりょうかんが念仏道場を構え、それが子孫に継承されていったそうです(ちなみに、お寺が親子関係で受け継がれるのが一般化したのは戦後頃だそうですが、浄土真宗は開祖が公式に結婚していたため、昔から妻帯が許されている宗派でした)。

        現在の建物は、1859年に完成したもので、戦前までは「東方道場」と呼ばれていましたが、1949年に東本願寺から寺号が付与され「倉壁山 相念寺」となりました。ちなみに、村の中心の道路を挟んで反対側(南東側)には、西本願寺派の「西方道場」が立っています。

        相念寺の鐘や彫刻
        相念寺の鐘や彫刻

        合掌造りも美しい建物ですが、小規模な建物の割には寺院の彫刻が細やかで美しかったです。

        相倉民族館

        相倉民族館の外観
        相倉民族館の外観

        相倉にある博物館的な施設です。入館料は大人300円、小中学生150円。「相倉民伝統産業館」との共通券は大人500円、小中学生200円で、

        相倉民族館の中
        相倉民族館の中

        その名の通り、館内では相倉の文化に関するものが展示されています。また、比較的混雑していない平日であったためか、民族館の方に「こきりこの竹」や「ささら」などの楽器の使い方をレクチャーして貰えました。

        相倉民族間の2階部分
        相倉民族間の2階部分

        2階部分も養蚕に使われた道具や、山間部ならではの生活用具などが展示されていました。また、合掌造りの家屋の構造がよくみられ、その点がとくに興味を惹かれました

        建築に関する案内看板もありました。

        「相倉合掌造り集落」周辺の観光スポット

        「相倉合掌造り集落」に行ったら、世界遺産「白川郷・五箇山の合掌造り集落」に一緒に登録されている五箇山の「菅沼」と白川郷の「荻町」の集落にも行ってみたくなるところです。

        白川郷(荻町)は、菅沼と相倉に比べて大規模な観光地になっており、短めでも2時間以上、アクティビティや食事の時間も含めてゆっくり過ごせば1日楽しめる規模になっています。

        また、「菅沼」の集落は、相倉と同じく五箇山にある集落ではありますが、川に面した土地であるところが特徴。五箇山地域の庄川の移動で使われていた「籠渡し」の模型が実際に庄川に架かる菅沼橋から見られます。

        頑張れば三か所の集落を1日で観光することも可能です。ただし、自家用車を利用できない場合は、世界遺産バスなどを利用して移動する事になるかと思います。ただし、私が三か所全てを観光した際は、自家用車でも時間がギリギリでしたので、バスを利用する場合はどこかの集落で一泊し、余裕をもって観光することを考えてもいいでしょう。

        ちなみに、相倉で宿泊する場合は、合掌造りの民宿に宿泊できる(1泊2食付きで1~2万円程)ほか、相倉キャンプ場を利用する事も出来ます。キャンプ好きの方であれば、相倉で一泊を検討してもいいでしょう。