【合格体験記】G検定を受験するまでの勉強方法・勉強時間と試験の感想
7月4日、G検定を受験し、合格しました。
この記事では、G検定受験に向けて行った勉強方法と反省点、実際に受験した感想についてまとめます。
- 人工知能は素人でも、40時間くらいが標準的な勉強時間らしい
- 教材は多いが、最適解はなさそう
- テキストや問題集1冊では、問題の半分は対応できないと思う。が、大丈夫
- テキスト・問題集がとくに歯が立たない分野は法律・数学だと感じた
- 合格点は6~7割らしいので、半分確実に取れれば、あとは並みの運で合格できる
- 人工知能を学ぶことは、雑学的には面白かったが、仕事に役立つかは微妙
勉強開始前のスペック
まずは、勉強開始前の私のスペックについて。
- 2008~11年度:大学でIT関連を学習(人工知能は専門外)
- 2016年2月~:IT業界に就職するが、人工知能は専門外(ネットワークエンジニア)
総合すると「人工知能は素人だけど、受験者の中ではやや有利」といったところ。
G検定は、ITに興味がある人の方が受験者は多いと思いますが、恐らく専門で勉強している受験者は、どちらかといえば少数派だと思います。
一方、自分は一応大学でIT関連を学習した経験がありました。また、知識面ではチューリング・テストやディープ・ブルーくらいは雑学として聞いたことがあります。また「人工知能の中に機械学習が含まれ、機械学習の中にディープラーニングが含まれる」ということも、把握していました。
最先端のIT系のニュースをよく見ている人と、比べるとやや知識不足なところもあるかと思いますが、受験者の平均よりは事前知識があったとは思います。
G検定を受験した動機
G検定を受験した動機は、主に以下の三つです。
- 受験料が割引だった(2020年2回は半額だった!)
- 短時間で取れそうだったから(新型コロナの影響で、他の試験が延期になった穴埋め)
- 雑学として、以前から興味がある試験だった
とくに受験料の半額が大きかったです。通常価格だったら、たぶん例年通りスルーしていたと思います。
今年受験した試験は、どれも年始時点で受験を計画していた試験でしたが、このG検定だけは突発的に受験を申し込みました。
G検定に利用した教材と感想
徹底攻略 ディープラーニングG検定 ジェネラリスト問題集
自分の行った学習は、実質的にこの参考書がメインでした。
初見で解説を読み込みながら学習した際は、1周は6時間43分。その後は通勤の往復2時間程度の勉強で、1周できるくらいのボリュームです。
内容は8章構成。8章目は模擬試験的な問題集。全体で160問程度です。
わかりやすさでいえば、けっして悪くない問題集ですし、Amazonの評価数を考えても王道的な問題集といえるかと思います。
ただし、実際の試験問題と比べると難易度はかなり簡単にできています。とくに数学関係は、本番の試験問題にはほとんど歯が立ちません。このあたりは「試験中にネット検索可能」という試験の特性上、他の参考書を使っても同じ程度に難易度が調整されているかと思います。
G検定 Web模試
G検定の模擬試験です。kindleで販売されているG検定の参考書に付属しているパスワードを使うと利用できます(対象の書籍は模試のページを参照ください)。
難易度でいえば「徹底攻略 ディープラーニングG検定 ジェネラリスト問題集」と同程度で、問題数は私が利用した時点で225問。
こちらも本番試験と比べるとやや難易度が低いように感じましたが、問題数が多い分だけ「徹底攻略 ディープラーニングG検定 ジェネラリスト問題集」よりも幅広く知識を吸収できました。
注意点としては、解説が別売りになっているところ。解説を購入することでも、パスワードを入手することもできます(Web検索でも十分対応できますが)。
解説はkindleで500円(kindle Unlimitedなら無料)なので、安く合格を目指すのであれば、この模擬試験と解説の組み合わせで知識を吸収するといいでしょう。
ちなみに、会員登録のみの無料の模擬試験もありましたが、どうしても自分のスマホ環境では利用できなかったので、そちらは利用しませんでした(勉強時間が主に通勤時間だったので)。
AI白書 2020
試験に出るけど、テキストや問題集では対応できないレベルの問題は、AI白書である程度対処できるかと思います。
ただし、内容があまりにも膨大で、本気で全体を覚えて試験に挑もうと思ったら、学習時間が跳ね上がるかと思います。
G検定対策を超えた話になりますが、IT関連で仕事をする人であれば、ざっと目を通しておいても損はない書籍だと思います。
SIGNATE
AIの基礎を学習できるオンライン講座です。黒本に取り組む前の初期の学習に活用しました。
個人向けサービス開始直後で半額セールをやっていたので登録しましたが、スマホで学習できる内容にかなり制限が多かったので、利用できる機会がかなり少なかったです。
G検定向きではありませんが、人工知能をしっかり学びたい(とくにPythonでのプログラミング含む)のであれば活用する価値はあるかと思います。
調べ物(辞書作成)
時間だけでいえば、一番使ったのはこれです。もったいないので、受験後にブラッシュアップし、G検定用語のまとめ記事にしておきました。
黒本や模擬試験の学習は、21時間33分の学習で完了し、この時点で悪くても95%以上は正解できるようになっていました。
そこで残った時間の大半を費やしたのが調べ物。というか、試験中に利用できる辞書の作成です。
G検定は参考書やWeb検索が試験中に自由できます。であれば、事前に辞書を作成し、曖昧な知識であっても検索できるようにしておけば、正確な解答が可能につなげられます。
そんなわけで、試験用に確保した学習時間の残りについては、大半をこの「調べ物(辞書作成)」に費やしました。
G検定にかかった費用
G検定にかかった費用は以下のとおりです。
- 徹底攻略 ディープラーニングG検定 ジェネラリスト問題集(中古):2,154円
- AI白書2020:4180円
- AI白書2019(中古。利用せず):1500円
- 受験料(半額キャンペーン):6,600円
- 合計:14,434円
受験料は半額ですが、決して安くない価格になりました。
正直、先に紹介した「Kindleの本+模擬試験」の組み合わせとほとんどレベルが変わらない学習内容になった手ごたえでしたので、費用を無意味に倍以上に増やしてしまった感じです。
せめてAI白書は試験後にしっかり読んでおきたいと思います。
G検定受験にかかった勉強時間
G検定受験にかかった勉強時間は以下のとおりです(Studyplusで計測しています)。
合計は、51時間19分となりました。検索すると40時間程度の人が多いので、2割増し程度です。
ただし、21時間33分の時点からはほとんど実力が向上していません。ここから先が試験対策用の辞書の作成時間に20時間35分、直前の復習に9時間11分使っています。
教材ごとの勉強時間は以下の通りです(月単位。右から7月、6月、5月…です)。
調べ物を除くと、G検定用の学習として、最初に取り組んだ「徹底攻略 ディープラーニングG検定」が一番、次いで後から利用した模擬試験になっています。
G検定対策で、実際に行った勉強方法と改善点
G検定対策で行った勉強方法
実際に行った勉強方法は以下の通りです。
- 主に通勤時間で「徹底攻略 ディープラーニングG検定」の読み込み・演習
- 「徹底攻略 ディープラーニングG検定」を3周してから「G検定 Web模験」を間違えなくなるまで利用
- 試験範囲の知識をネットで検索しつつまとめる
- 残り1週間くらいから、AI白書、問題集、Web模試で対策で仕上げ
直前のPythonエンジニア認定基礎試験、Excel VBA エキスパートの対策で、模試の利用タイミングが遅かった反省点があったので、やや早めのタイミングで「G検定 Web模試」を利用しました。
結果として「問題集・模試で余裕で合格ライン」にはかなり早期に達しましたが「本番の試験で余裕で合格できる」状態にするには、学習範囲がかなり狭くなってしまった印象です。初期の学習でAI白書を読み込んでおけば、知識の幅が広がったかなと思います。
G検定対策の改善点① 短期・低コストで合格するなら
今回の勉強方法よりも、短期・低コストで合格するなら、以下のようになります。
- 「G検定 Web模験」の解説を購入し、演習(500円か、Kindle Unlimitedで無料)
- 点数が8割を超えたら、不明点の多い知識を中心に検索し、Web模試の範囲外の用語も含めてネット上の知識を一か所にまとめる
低コスト・短時間なら、これだけでOKです。
実際、試験問題の半数程度は、問題集を購入してもあまり歯が立ちません。Amazonの書評を見ても、ほぼ全てのテキスト・問題集について「本番の試験には足りない」といったコメントがあります。恐らく、Web検索や参考図書が利用可能な試験なので、その程度の難易度に設定されているのだと思います。
しかし「半数正解」できれば、あとは適当に解答しても、10%以上は正解できます。実際には、Web検索なども利用できますし、選択肢の絞り込みができる問題があるはずなので、15%以上は取れるでしょう。
合格点は60~70%となっています。合格ライン70%の場合は、試験自体の難易度も低くなっているかと思いますし、60%なら「半分正解+10%」で合格ライン達成です。
もちろん、勉強時間を減らすほど合格が不安定になってくることは否定できません。心配な場合は、ネット上の知識をできるだけ幅広く集めておくといいでしょう。また、Web模試の範囲外の用語であっても、十分出題される可能性はあります。余裕があれば、それらも含めて情報を収集して試験に備えましょう。
G検定対策の改善点② より確実に合格するなら
問題集、テキスト、模擬試験などは一通り準備して取り組み、それぞれの被っていない知識も含めて、全て暗記しておくべきです。暗記しきれない知識は、PCなどで一か所にまとめて検索できるようにしておければベスト。最低でも付箋を貼っておくなど、検索性を高めておきましょう。
また、ある程度学習が進んだら、AI白書を読み込みに取り掛かります。とくに最新の法律や国の方針に関する動向については確実に抑えておきましょう。このあたりからの出題だけで、5問程度は見込めるかと思います。GDPRは、人工知能と直接は関係ありませんが、その規制が人工知能に与える影響も多いため、出題数が多めでした。
私は最新のAIの活用事例を中心に読んでいましたが、ほぼ出題されませんでした。もちろん、AI白書の内容も全て暗記は難しいので、検索性を高める工夫をしておきましょう。
テキスト・問題集レベルを超える数学については、捨てるかどうかを事前に判断しておきましょう。実際の試験では、テキスト・問題集を超えるレベルの内容が少なからず出題されるかと思いますが、初見の人がWeb検索でこのレベルに対応することは困難です。数学が苦手なら、いっそ捨ててしまい、法律・政策の動向調査に時間をかけた方が賢明だと思います。
G検定の特徴
G検定はやや特殊な試験なので、実際に受験した上で感じたG検定の特徴をまとめておきます。
自宅で受験でき、本・Web検索を試験中に使える
私は30種類以上は資格試験を受けてきましたが、自宅で受験できるものは初めてです(模試除く)。
試験は10分前から開始可能です。10分以上前にPCの前で準備し、10分を切ったら解説を読んで、受験を開始して今いましょう。
また、試験時間中に参考図書やネットでの検索が可能なところも、他には無い特徴かと思います。
検索・参考文献の利用における注意点
2時間で220問程度と、G検定は問題数がかなり多いです。その上、問題集をやりこんでいても半数程度は迷ったり、全く知らない問題があるような難易度です。
つまり、わからない問題全てに検索を使っていたら、時間がいくらあってもたりません。
検索しても直ぐには正解がわからない問題もあります(数学系の問題とか)ので、検索するならすぐに応えの出てきそうな問題(用語の意味を検索すればすぐに解答できそうな問題など)にするよう心がけてください。
G検定を受験した感想
試験は2020年7月4日に受験しました。
実は、夜勤明けからの受験だったので、12時間近く働いてから、深夜1~3時に受験するようなものでした(しかも、この後2時間寝てまた夜勤)。集中力は体感で分かるレベルで低い状態でした。
難易度が問題集よりかなり高い
ます「難易度が問題集より高すぎ!」です。
これはAmazonの書評などを読んだ段階で分かりますが「この参考書だけでは試験対策としては不十分」といった評価であふれかえっています。
といっても、何度も解説している通り、「検索可能という試験の性質上、意図的に参考書より難易度を高くしているのでは?」と思います。事実、7割取れたか微妙な私も合格できていましたし、2020年#2の合格率は約70%でした。
ですので、試験の難易度が高くても、慌てないことが肝心です。
また、試験問題には難易度の波があるように感じました。簡単な問題が数十問続き、難しい問題が数十問続き、また簡単な問題が…といった感じです。ですので、理解できない問題が続いても、決して諦めずに解答していきましょう。
数学・法律は、とくに問題集では歯がたたない
すでに何度か書いた内容ですが、「数学・法律」はとくに問題集レベルで歯が立ちませんでした。
実際、私が利用した「徹底攻略 ディープラーニングG検定」の数学のレベルで対応できた問題は、多く見ても2問程度。一方、対処できなかった数学系の問題は、5問以上あったかと思います。
また、法律はちょっと参考書が古いだけで歯が立たなくなってきます。これは最新動向をネットで集めておくか、AI白書の最新版などを購入して事前にまとめておいた方が良かったという印象です。
「検索能力」と「取捨選択」する力が問われる試験
テキストや問題集だけでは対応できないという特性上「検索能力」と「取捨選択」能力が、問題集のやりこみと同じくらい問われます。
「どんなキーワードなら、自分の欲しい答えが出てくるか?」「この問題は検索してすぐに答えが出てくるか?」ということを意識して問題には取り組むようにしましょう(そうしないと時間が足りないです)。
また、検索能力に自信がない場合は、事前にネット上にある情報を集めておきましょう。G検定で問われそうな人工知能の知識をまとめた記事も多数存在しますので、ブックマークしておくことをおすすめします。
問題集が役に立たないわけではない
念のため補足しておきますが、問題集やテキストが役に立たないわけではありません。
問題集に乗っていない問題も多い一方、問題集の内容とそっくりな問題も何割かは出題されていました。これらの問題に即答し、確実に得点を稼ぐためにも、問題集のやりこみはある程度やっておく必要があります。
G検定における反省点
G検定の反省点は、実をいうとほとんどありません。
強いていえば「AI白書やネットの情報でもっと知識を強化できれば…」とは思わなくもないです。ただ、優先順位の低い試験だったので、あまり多くの時間を割くのは現実的ではありませんでした。
とはいえ「最低限の問題集と本番での検索に頼って、合格率はやや低め」というのも自分としてはやりたくなかったので、今回の勉強くらいが丁度良かったと思います。
結果的には「仕事で活かす」というより「雑学としてAIの理解を深める」程度の学習に終わってしまった感じではありますが、AIに対する考え方が変わったので、それはそれで良かったかなかなと思います。