【IT初心者向け】学生・新入社員におすすめのIT関連資格
この記事では、主に以下の内容を中心に解説します。
- IT初心者の学生・新入社員向けの、おすすめのIT関連資格
- IT初心者の学生・新入社員向けの、資格取得の流れや考え方

・未経験からIT業界に入った新社会人
におすすめの記事です。
目次
まずは汎用性の高い国家資格を取得する
IT初心者におすすめするのは、汎用性の高い国家資格から取得していくことです。
理由は非常に簡単で、以下のようなものが上げられます。
- 会社から評価されやすい
- 知識が幅広くつけられる
- 自分のキャリアの幅が広がる
- 比較的安く取得できる
もちろん、汎用性の高い国家資格から取得するのが絶対の正解ではありません。「俺は絶対にネットワーク業界で大成功してみせる!そのためにもネットワーク業界で最も評価されるCCIEを取得する!」という固い意思を持っているのであれば、それも間違ってはいないでしょう(事実、取得できれば物凄く評価が上がります)。
しかし、専門性が高いベンダー資格は、IT初心者の誰にでもおすすめできるものではありません。例に出したCCIEであれば、多くの場合は数千時間の勉強と、数百万円の費用を費やす必要があります。そこまで極端な資格でなくても、費用や勉強時間の関係を考えるのであれば、最初は「汎用性の高い国家資格」から取得していった方が、コストパフォーマンス的にがいいといえます。
汎用性の高い国家資格としては「ITパスポート試験」「基本情報技術者試験試験」「応用情報技術者試験」があげられます。
ITパスポート試験
本当にまだ何も理解できていない初心者で、勉強にも自信がなければ「ITパスポート試験」を選択するといいでしょう。
ITパスポート試験は、社会人として備えるべき基礎的なIT関連の知識を幅広く学習することができます。エンジニアとしてはほとんど評価されないため「IT業界を目指すIT関連学部の卒業生」であれば物足りない資格ではありますが、ステップアップ中の学生や、文系からIT業界に入った人の場合は、まずは最初の段階でITパスポート試験の学習をするといいでしょう。
ITパスポート試験で問われる学習範囲は、基本情報技術者試験の午前試験対策にもつながります。早い段階(例えば、IT関連の学部なら1年生の前期)でITパスポート試験に合格しておけば、基本情報技術者試験の学習へとスムーズにつなげることもできます。
基本情報技術者試験
IT業界を目指す学生であれば、必須ともいえるような資格です。
ITパスポート試験は「社会人として身につけるべきIT関連知識全般」であることに対して、基本情報技術者試験は「IT業界で働くひとが身につけるべきIT関連知識の基礎全般」を網羅しているところが特徴です。まずは基本情報技術者試験で幅広く学習し、それから自分の専門分野へと特化させていくといいでしょう。
難易度も「簡単」とまではいえず、勉強しなければとれない資格ですので、新卒・新入社員であれば評価されることが多い資格といえます。
とくにIT関連の学部からの卒業生である場合、基本情報技術者試験は最低でも取得しておいた方がいいでしょう。逆に取得していないと「IT関連の卒業生なのに、この程度の資格も持っていないのか」と思われることもあります。もちろん、実力を証明できるのであれば基本情報技術者試験を持っていなくても問題ありませんが、エントリーシートの時点で低く見られてしまう可能性があるので注意が必要です。
応用情報技術者試験
「IT初心者向け」とはいいにくいですが、汎用性の高い国家資格の一つです。
難易度は「難関」に区分されることが多く、完全な初心者の場合は短めに見積もっても300時間程度の勉強時間がかかってしまいます。ただし「基本情報技術者試験」と比べると新卒で取得している人は大幅に減るため、高い評価を得やすい資格ではあります。
すでに基本情報技術者試験に合格している人は、ステップアップとして目標にしてみてはいかがでしょうか。

事務職でも使える資格もおすすめ
IT初心者の場合は「事務職でも使える資格」もおすすめです。
IT業界で高い評価を得ることは難しいですが、WordやExcelの操作を一切使わない職場に行くことは少ないため、操作に慣れていない人にとっては勉強したことが実務で使える可能性が高いため、非常に有効です。
とくにExcelの操作については、慣れている人と慣れていない人で仕事の効率に大きく差が付きます。私生活でも利用価値が高いので、Excelだけは学習しておくといいでしょう。
MOS(マイクロオフィススペシャリスト)
MOS(マイクロオフィススペシャリスト)は、Word、Excel、Power Point、Outlook、Accessに関する資格です。
実際の試験は、それぞれのソフトウェアごとに科目が別れているので、全てを学習する必要はありません。
おすすめは「Excel」。Wordも利用する人が多いかと思いますが、Excelは関数などの機能を利用できるか・できないかで、業務の効率が大幅に変わってきます。まずはExcelを取得し、他に欲しいものがあれば取得するといいでしょう。
勉強時間も比較的短時間ですみますし、CBT方式で随時受検が可能ですので「就職活動直前で、資格をとるための勉強時間が確保できない」という人でも容易に取得することができます。
VBAエキスパート
VBAはマイクロソフトオフィス製品用に開発されたプログラミング言語です。
事務職としてはやや専門的になってしまいますが、このVBAを学習することで「決まりきった面倒な処理をボタン一つで実行する」ということも可能になりますので、うまく利用すれば事務作業を飛躍的に向上させることができます。
欠点としては、資格試験だけでは「実務でどうやれば作業効率を飛躍的に向上させるマクロが作れるか?」を学ぶにはやや不足しているところ。とはいえ、この資格の勉強をとおしてVBAの基礎的な記述方法などを学習することは有効ですし、知名度も高いため、事務職やIT業界の新入社員では一定の評価を得ることができます。

自分の業界が決まっている人は?
自分の行きたい業界・働く仕事が決まったら、その業界に特化したベンダー資格をとってみるといいでしょう。
それぞれの業界ごとに例を上げれば
- ネットワーク:CCNA
- サーバエンジニア:LPIC・LinuC
- データベース:オラクルマスター
といった具合です。
LPIC・LinuCはLinux関する資格であり、比較手汎用性が高いので、業界が決まる前に取得してしまってもいいかと思いますが、ややコストが高く、少し専門よりです。初心者であれば、先に上げた「汎用性の高い国家資格」と「事務系資格」から優先的に取得し、余裕があれば取得を狙うくらいでいいと思います。
また、ネットワーク業界で上げたCCNAは、費用は費用の高い資格ではありますが、ネットワーク業界で働く新人にはほぼ必須です。ネットワークを専門とする会社であれば、新人研修などで取得されるところが多く「実際の仕事はCCNAをとってから」というところもあります。
欠点としては、受験料がやや高いところ。できれば会社に入ってから、会社の支援を受けながら取得を目指していきましょう。
IT初心者が専門性の高い資格を狙うのはあり?
この記事では、簡単に「IT初心者が取得するべき資格と、その流れ」についてまとめました。
しかし、先に上げたのは「多くの人にあてはまる例」です。
「自分の専門が決まっている人」や「他人と差別化をはかりたい人」であれば、何段か飛ばして難関資格を取得してしまうのも一つの手です。
あえて高難易度のベンダー資格を取る場合の考え方
例えば、先に一度上げた「CCIE」ですが、これはネットワーク業界で長年働いている人でもほとんどの人が取得できない資格です。
理由は非常に高い難易度と、高額な学習と受検の費用。しかし、逆に考えると、CCIEを20代で取得していた場合、希少性の高い優秀な人材とみなされ、ネットワーク業界での評価はトップクラスになります。実務経験次第では、年収1000万円も夢ではありませんので、先行投資としては悪くありません。
流石に最初からCCIEを取得するのは無理がある考え方ですが、「一生ネットワーク業界で働きたい」と考えるのであれば、下位の資格であるCCNA、CCNPを入社1年目までに取得し、20代のうちにCCIEの取得を考えるというのも有効な手段です。

「とりあえず難易度の高い国家資格資格」を取得するのも手
国家資格である情報処理技術者試験のレベル4(最上位レベル)は非常に評価が高く、新卒で取得している人は、基本情報技術者試験などと比べれば圧倒的に少数です。就職活動や社内の人事についても、取得していれば大幅に評価を上げ、周囲と差をつけることができます。
また、もう一つの魅力として「費用の安さ」が上げられます。ベンダー資格の場合、そこそこの難易度でも数万円の受験料が必要となることが多いですが、情報処理技術者試験の場合は、難易度にかかわらず「ITパスポート試験」と同額(税込み5,700円)ですむため、学生でも比較的挑戦しやすいといえます。
情報処理技術者試験のレベル4を受験する場合、論述形式の問題は実務経験を元に記述することが求められるため、未経験での合格は難しいです。学生や新社会人が取得するのであれば、論述形式が出題されない以下の4つの資格を狙うのがおすすめです。
- ネットワークスペシャリスト試験
- データベーススペシャリスト試験
- エンベデッドシステムスペシャリスト試験(いわゆる「組み込み系」の試験)
- 情報処理安全確保支援士(旧:情報セキュリティスペシャリスト試験)※情報処理安全確保支援士については、正確には情報処理技術者試験ではありませんが、同等レベルの扱いとなっています
とくに、情報処理安全確保支援士については、年2回のチャンスがあり、セキュリティと無縁の職場は存在しないため「得意分野がとくにない」という人が目指すのであれば一番向いているといえるでしょう。学習内容も、比較的ゼロからでも習得しやすいです。

勉強に自身がある人や、専門分野を極めたいと思っている人は、あえて高難易度の試験を受験してみるのもいいでしょう。
最初から専門性の高い資格を狙うデメリット
専門性の高い資格は、会社からの評価を得やすく、早期に取得すればより待遇の良い会社への転職や、社内での評価向上に非常に効果的です。
しかし、当然ですが専門性が高い資格を最初から狙う場合以下のデメリットがあります。
- ベンダー資格は、費用が高いことが多い
- 難易度が高いため、多くの時間がかかる
- キャリアプランが変更になった場合、無駄が多い
とくに「キャリアプランの変更」と「費用・時間の大量消費」が非常に相性の悪い組み合わせです。
別業界での仕事を命じられたのであれば、いっそ転職してしまうという手もありますが、私的な理由でキャリアプランを変更したくなった場合、仕事と私生活を天秤にかける必要性がでてきます。
また「高額な報酬よりも、私生活が大事」という人にとっては、高額で時間のかかるベンダー資格を取得することは、あまりおすすめできません。
もしも「IT初心者」が高難易度の資格に挑むのであれば、金銭面でのデメリットが回避でき、比較的短時間で取れる「情報処理技術者試験」のレベル4の取得を優先した方がいいでしょう。