【合格体験記】Excel VBA スタンダードを受験するまでの勉強方法と試験の感想
6月22日、Excel VBA スタンダードを受験し、無事合格しました。
この記事では、Excel VBA スタンダードに合格するために行った勉強方法と反省点、実際に受験した感想についてまとめます。
- 仕事でときどき利用するレベルでも、22時間55分で合格できた
- 教材は実質「公式テキスト」と付属の模擬試験
- 出題形式は75%程度が記述式、その他は実質4択形式
- 公式テキストに掲載してないものが、1割は出題されると考えた方がいい
- 数問ではあるが、公式テキスト・模擬試験よりも難易度の高いものも出題される
- 合計すると、2割は公式テキストレベル以上の問題が出る覚悟も必要
- 記述式は正確な暗記が必要。ただし、部分的な記述レベルでOK
- 業務・私生活にストレートに役立つとは限らないが、実践と組み合わせると、初心者のレベル向上に役立つ資格
この記事の対象は、2019年5月の改訂後のExcel VBA スタンダードとなります。
勉強開始前のスペック
まずは、勉強開始前の私のスペック(というか、プログラミングの経歴)について。
- 2008年度:大学で1年Javaを学習(基本情報にJavaで合格)
- 2009~10年度:大学で2年C言語を学習(2010年度は少な目)
- 2010~11年度:大学でアセンブリ言語を学習(実質1半年程度)
- 2012~15年11月頃:プログラミングから離れる
- 2015年12月~2016年2月頃:独学でJavaを学習
- 2016年2月~:IT業界に就職するが、ノンプログラマー(ネットワークエンジニア)
- 2019年10月~:VBAとUWSCで業務・私生活の効率化を実施する
- 2020年6月6日:Python3エンジニア認定基礎試験に合格
総合すると「プログラミング未経験よりはプログラミングの知識がある」といったところ。プログラマーとして働いたことはありません。
ちなみに、仕事の隙間時間で作ったExcel VBAのマクロはこんな感じ。
- 勤怠の入力マクロ(変形労働なので、勤務形式に応じて入力を判定)
- 残業報告のマクロ(やはり変形労働なのでその形式と現在時刻などで文面を作成)
- コンフィグ取得マクロ(ネットワークの構成資料から必要な形式でコンフィグを取得し、メモ帳に書き出す)
- 週報の整形マクロ(週報用のExcelファイルを項目ごとの表に整形する)
実際に作ったマクロでは、Outlookでメールを作ったり、Excelの内容をメモ帳に書き出す処理を行っていましたが、こういったものは試験に出題はされないかと思います(Excel以外のアプリケーションとの連携は、公式テキストに記載がありません。が、公式テキストに記載のないものが出題される可能性もあるので、絶対に出題されないとも言いにくい)。
ちなみに、「データの並び替え」「オートフィルター」「テーブルの操作」のような覚えるのに時間がかかりそうな内容は、マクロで実践した経験はありませんでした。ただし、直近でVBAでマクロを作っていたことと、オブジェクト指向の基礎を学んでいたおかげで、試験全体の理解・暗記はスムーズにできた印象です。
Excel VBA スタンダードを受験した動機
Excel VBA スタンダードを受験した動機は、主に以下の三つです。
- Excel VBAの技術向上(職場で利用機会が増えたので)
- 短時間で取れそうだったから(新型コロナの影響で、他の試験が延期になった穴埋め)
- 会社で報奨金対象だったから
とくに報奨金対象だったのが大きかったです。
Excel VBA スタンダードに利用した教材と感想
VBA エキスパート 公式テキスト Excel VBA スタンダード
- 初心者でも試験対策をしやすい(ただし、公式としてはExcel VBA ベーシックレベルが理解できるレベルがすいしょうさ)
- 模擬試験が付属している
- 合格レベルに達するだけなら、頻出の内容をまとめてある
- Excel VBAの理解を深める目的ならやや不十分
- 試験に出題される範囲が網羅されていない
その名の通り、公式テキストです。
Excel VBAの知識を深く身に付けていない初心者でも、合格レベルに必要な内容を理解できる点はメリットですが、反面Excel VBAの理解を深めるのにはやや不十分と感じました。
また「対象読者」に「Excel VBA ベーシックレベルを理解」と書かれているので、初心者でもそのレベルの理解は必要です(私は1年半のブランクがありましたが、不明点をネットで検索していけばほぼ不要でした。完全なプログラミング未経験では厳しいと思います)。
また、公式テキストと付属の模擬試験を使えば、合格レベルに必須の内容は短時間で学習できますが、実際の試験では公式テキストに登場しない内容も出題されます。いくらやりこんでも点数が上がったり合格率が上がったりすることは期待できません。
公式テキスト付属の模擬試験について
先に紹介した公式テキストの付属の模擬試験については、出題形式は実際の試験と同等と考えてOKです。
記述式で記述させる箇所のレベルも本番試験と同等です。ドロップダウン式や選択式は、結局はどちらも4択問題なので、意識する必要はないと言っていいです。
本番の試験と公式テキスト・模擬試験のギャップ
本番の試験の方がやや難易度が高いです。
模擬試験は公式テキストの範囲に収まる感じですが、本番の試験では記述を要求される内容(メソッド、プロパティ、引数、関数など)だけでも1割程度公式テキストの目次に乗らないレベルです(読み返しましたが、ほぼ本文でも見つからないレベルでした)。
また、オブジェクト変数の扱い方やマクロの動作などについても、本番の試験は公式テキストよりも難易度が高かった印象です。
総合すると2割前後の出題は公式テキスト以上のレベルと考えた方が、安全な合格を目指しやすいと思います。
難易度に応じて合格点も変わるため、2割全問に解答できなくても合格できる可能性はあります(合格点は65~80%)。ただし、本番の難易度を考えると公式テキストの内容だけで確実な合格を目指すなら、メソッド、プロパティ、引数、関数は確実に記述できるレベルに仕上げる覚悟が必要になります。
公式テキストの要点まとめ
公式テキストの要点を章ごとにまとめた記事を作成し、自分でも暗記・試験直前でのチェックに利用しました。受験の上、試験で問われそうなテキスト範囲外の内容も追記しましたので、受験予定の方の参考にしていただければと思います。
- 第一章 プロシージャ
- 第二章 変数の活用
- 第三章 ステートメント
- 第四章 ファイルの操作
- 第五章 ワークシート関数の利用
- 第六章 セルの検索とオートフィルターの操作
- 第七章 データの並べ替え
- 第八章 テーブルの操作
- 第九章 エラー対策
- 第十章 デバッグ
実際にかかった費用
実際にかかった費用は以下のとおりです。
- 公式テキスト:3,300円
- 受験料(割引あり):13,420円
- 交通費:272円
- 合計:16,992円
受験料については、「MOS」や「VBAエキスパート」に合格した経験があると、割引制度を利用できます(といっても、1割程度ですが)。
実際の勉強時間
実際の勉強時間は以下のとおりです(Studyplusで計測しています)。
22時間55分で、ほぼ公式テキストです。わずかにですが、公式テキスト関係なしで実践でもしています。
といっても、あくまで「試験勉強としてExcel VBAに取り組んだ時間」だけまとめているので、試験前2カ月くらいの「仕事中にExcel VBAに触れていた時間」も含めると40~50時間程度になるかと思います。
実際に行った勉強方法と改善点
Excel VBA スタンダード対策で行った勉強方法
実際に行った勉強方法の流れは以下の通りです。
公式で公表されている出題範囲を見ると、5~8章が2019年の改定で追加されている範囲です。
出題範囲のうち、6~8章は普段VBAを利用している人でも、あまり利用していない人もいるかと思います。未経験の部分は、重点的な学習が必要になると思います(他の範囲は内容難易度も低く、内容も少ないです)。
テキストは200ページ程度ありますが、2周目以降は2時間の通勤で全部読める程度の内容でした(あくまで、私の場合ですが)。
模擬試験は試験の10日ほど前(6/13)に実施し、7割を突破。この時点で合格の目途がたったので、Excel VBAの勉強を減らしました(なので6/15の週以降は勉強少な目)。
Excel VBA スタンダード対策の改善点
改善点としては「もっと早めに受験するべきだった」というところ。
本番の試験では公式テキストよりも上の知識も2割程度問われるので、いくら公式テキストをやりこんでもあまり意味がありません。ですので「正解すべきところで確実に正解できる」ことを重視し、安定したらすぐに受験するべきだったと思います。
また、本番でミスを減らすためにも、模擬試験で試験に慣れておくべきだったというのも反省点。どちらかといえば実践で役立てることを重視したため、終盤は学習した内容をまとめつつ、関連知識を調べていました。しかし、合格率・点数を高くするなら、ケアレスミスを減らすためにも模擬試験を繰り返すべきだったと思います。
Excel VBA スタンダードの受験と試験結果
Excel VBA スタンダードの持ち物
試験はCBT方式で、随時受付を行っています。持ち物は以下の通り。
- 受験者ID
- パスワード
- 受験票
- 写真付き身分証明書(条件付きで別の物でも可能)
「写真付き身分証明書」については、持っていない場合の対応も指定されています。
受験者IDは、CertiportのID登録が必要です。パスワードも含めてメモをとっておきましょう(受験の際に入力が必要です)。
Excel VBA スタンダードの受験と結果
近くの試験会場では日程があわなかったので(コロナ影響?)、試験は横浜にある「オデッセイ テスティングセンター 横浜」で受験してきました(2019年11月23日のMOS Outlook、PowerPointの受験でも利用させて頂きました)。
試験結果は以下の通りです。
- 1.プロシージャ:正解率100%
- 2.変数の活用:正解率50%
- 3.ステートメント:正解率100%
- 4.ファイルの操作:正解率75%
- 5.ワークシート関数の利用:正解率50%
- 6.検索とオートフィルター:正解率100%
- 7.データの並べ替え:正解率50%
- 8.テーブルの操作:正解率83%
- 9.エラー対策:正解率75%
- 10.デバッグ:正解率100%
- 得点:775点
合格ですが、公式テキストを「9割は超えられるかも?」というレベルでやりこんでいたので、かなり微妙な印象でした。
公式テキスト外の知識からの出題は、多くは業務で利用経験があったので解答できたつもりでしたし、結果を見るまでは8割後半はいけたつもりだったので、この結果はケアレスミスが多かった可能性が高いかなと思います(模擬試験で試験慣れすればよかった)。
業務におけるVBAの技術は、試験前よりだいぶ上がったと思うので(これはPythonの勉強を通して、プログラミングの基礎が身についた影響も大きい)その点だけは自分を評価しておきたいと思います。
Excel VBA スタンダードにおける反省点
Excel VBA スタンダードにおける最大の反省点は、「受験の申込のタイミング」です。
ネット上で「未経験なら60時間程度」との情報を見ていたので、念のため60時間確保してスケジュールを組んだのですが、その影響で無駄な勉強が多くなってしまいました。
また、公式テキストの手ごたえが無くなってきた段階で、集中力を高めるためにも、受験日を早めるべきだったと思います(新型コロナウイルスの影響で、予約が入れにくかった影響もありますが)。
また、ケアレスミス対策も反省点。せっかく模擬試験があったのに「知識としては吸収できることがないから」という理由で1度しか取り組みませんでした。もっと回数をこなしておけば、本番でのミスも防げたのではないかと思います。