【世界遺産】「バース市街」の観光情報と、実際に観光した感想
この記事では、世界遺産である「バース市街」の観光情報と、中学生以下の英語力で観光した際の感想をまとめます。
「バース市街に行く予定の方」「英語に自信が無いけど、イギリス旅行を考えている方」などの参考になれば嬉しいです。
バース市街の観光情報
バース市街は、街の広範囲が登録されているタイプの世界遺産です。その為「街並み」という意味では24時間観光できます(深夜などはおすすめしませんが)。
バース市街の範囲については、UNESCOのページから確認できます。ただし、地図がけっこう見にくい(しかも、見どころの施設が記載されているわけではない)ので、範囲を確認したい場合は、Googleマップとの併用がおすすめです。
ちなみに、「バース市街」の中でも有名な「ローマン・バス」と、その隣にある「バース教会」の観光情報は以下の通りです。
- 営業時間:通常10:00~17:30(土曜は18:00閉館。日曜は13:15~14:30と16:30~18:30。最終入場は閉館の15分前。詳細はこちら)
- 定休日:行事などにより毎月異なります。詳細は公式HPをご確認ください。
- 見学料金:16歳以上は6.5ポンド。学生5.5ポンド。ツアーとディスカバリー・センター含めると大人15ポンド。詳細は公式HPをご確認ください。
- ガイド:3.5ポンドで音声ガイドあり(ただし、日本語対応しているか未確認)
- 所要時間:教会見学のみなら30分前後。ツアーは45~60分。私は教会見学のみ(ツアーとディスカバリー・センターの見学無し)で40分。
- 写真撮影:原則可。礼拝中は不可。イベント時などはスタッフに要確認。詳細はこちら。
※詳細は変更の可能性もあるため、訪問前には公式HPなどの情報をご確認ください
この他にも、バース市街には多くのアクティビティがあります。バース市街のチケット予約については、以下のサイトにまとめられていますので、興味がある方はご確認ください。
バース市街までのアクセス
バース市街の中でも中央あたりに位置する「ローマン・バス」の住所は「Abbey Churchyard, Bath BA1 1LZ イギリス」です。
最寄りの「バース・スパ駅」は、ロンドン中心部にある「パディントン駅」から1本で移動でき、1時間30分弱ほどで行けるため、比較的行きやすい観光地です。
ただし、鉄道での移動は高額になるため、お金を節約したい場合は、長距離バスでの移動がおすすめ。平日の通勤時間帯だと、費用を1/3以下に圧縮できる可能性があります。ただし、移動時間はビクトリア・コーチス・テーションからだと片道3時間ほどかかるため、ロンドンから往復すると、バスの乗車時間だけで1日6時間取られます。
「ストーンヘンジ」や「ウィンザー城」などと一緒に観光する場合は、日本語バスガイドツアーがおすすめです。ただし、この場合はバースでの滞在時間が2時間程になります。ローマン・バスだけでもゆっくりはできないくらいの時間なので、「バース市街の見どころをじっくり観光して回りたい!」という人であれば、鉄道や長距離バスを使っての旅がおすすめです。
イギリスの長距離移動なら「Omio」がオススメ
イギリスでバスツアーを使わずに長距離移動するなら、「Omio」での予約がおすすめです。簡単にメリットをまとめると、以下の通りです。
- 複数の移動手段(電車・バス・航空機など)について「費用」と「時間」を比較できる
- Omioに登録するだけで、複数の会社のサービスが利用できる
- 日本語で利用できる
とくに、イギリスの場合は鉄道の料金が高いため、私の出会った海外旅行者のほとんどは、Omioを使って複数のルートを比較していました。長距離移動を伴う旅行を計画している場合、利用することをおすすめします。
バース市街とは?
簡単に言ってしまえば「1世紀頃のローマ帝国の支配下から繁栄した温泉保養地」です。ただし、西暦400年頃にローマ人が撤退を始めるとともに、バースの温泉保養地は衰退し、温泉施設も多くが土の中に埋まっていました。
18世紀頃になってから、アン王女がバースを訪れ、そこから温泉保養地として復活。それからは富裕層の社交場としても繁栄しました(そのため、当時の社交場も見どころの史跡になっています)。
1704年、富裕層の中でも、バースで財を築いたリチャード・ナッシュがバースの社交界をリードする存在となり(儀典長の地位になった)、バース市街をあらゆる階層の人が集う街に変えようと、温泉地の景観を整える大規模事業に着手しました。
この事業で、建築家ジョン・ウッド父子が活躍し、住宅地「プライヤー・パーク」、広場「クイーンズ・スクエア」、円形広場「ザ・サーカス」などが作られました。更に事業はウッドの息子に受け継がれ、半月状の集合住宅地「ロイヤル・クレセント」が完成しました。
その後も、多くの建築家が関わり、ジョージアン様式の建築物で街が整えられていきました。19世紀には街並みが一度荒廃しましたが、1987年の世界遺産登録に伴い、改修が行われ、現在は温泉保養地としての姿を取り戻しています。
ローマ時代の史跡であるローマン・バスや、ジョージアン時代(1714~1830年)からヴィクトリア時代(1837~1901年)にかけての新古典主義様式、歴史主義様式の建築による街並みが見どころ。この他にもイギリスで唯一の天然温泉を活かしたスパ施設や、博物館・美術館などを楽しむことができます。SF小説『フランケンシュタイン』の作者、メアリー・シェリーが執筆中の大半を過ごした地でもあり、フランケンシュタインの世界観を体感できるアトラクションもあります。
バース市街の見どころ
ローマン・バス
ローマン・バスは、ローマ時代の一大温泉保養施設で、現在は史跡と博物館を組み合わせた観光スポットになっています。世界遺産の「バース市街」で、最大の見どころとも言える施設で、日本語オーディオガイドを使って観光すると、2時間以上はかかります(私は2時間20分かかりました)。
現在は入浴できませんが、博物館内にある大浴場は最大の見どころで、今でもお湯が流れています(「キングス・スプリング源泉」と呼ばれています。ただし、水質や感染症の為、触れることはできません)。
1706年に社交場として作られた施設は、現在は「パンプ・ルーム」と言われ、レストランになっています。アフタヌーンティーをここで楽しむ事も……できますが、お高いですし時間もないので、私はやめておきました。
ローマン・バスの詳細な観光情報や、私が実際に観光した際の体験については、以下の記事にまとめてあります。興味がある方は参考にしていただければ幸いです。
バース寺院
ローマン・バスのお隣にある「バース寺院」も、バース市街の中では有名な見どころです。
1090年にロマネスク様式に建て替えられ、現在のものは1499年に再建されたチューダー朝様式のものが主になっています。
内部も特徴的で、とくにステンドグラスと柱から扇型に広がる繊細な模様が美しい教会です。
バース寺院の詳細な観光情報や、私が実際に観光した際の体験については、以下の記事にまとめてあります。興味がある方は参考にしていただければ幸いです。
パルトニー橋
パルトニー橋は、バース市街を流れるエイボン川にかかるジョージアン様式の橋です。バース開発の功労者で、周辺地域に多くの土地を所有していたウイリアム・バルトニーの依頼により、ロバート・アダムが1769年に設計しました。橋の両側に店舗があるこの橋の構造は、世界で4つしかないそうです。
パルトニー橋を上流側から撮影するとこんな感じ。橋に店舗が一体化しているのがよくわかります(でも、見栄えが良くないので、こっちから撮影してる写真はほとんど見た事がありません)。
上の写真は橋の上で撮影したもの。両側に店舗が並び、歩いていると普通の商店街の道路に見えます。
ちなみに、有料にはなりますが、パルトニー橋をくぐり上流へ向けてエイボン川を巡るツアーもあります。船内でドリンクを飲みながら上流へと向かい、復路はエイボンの歴史、建築などの解説もあります。英語力に自信があれば、参加してもいいでしょう。
グレート・パルトニー・ストリート
グレート・パルトニー・ストリートは、パルトニー橋からホルバーン美術館まで至ると通りです。
長さ1,000フィート(約300メートル)、幅100フィート(約30メートル)を超える大きな通りで、規模はバースでも最大。ちなみに、この通りの脇道には、バース内でも最小規模であるサンダーランド・ストリートもあります。
ウイリアム・バルトニーの依頼によりジョージアン様式の建築家のトーマス・ボールドウィンが設計し、1789年に完成しました。ストリートの両側には、ジョージアン様式の建物が並んでいます。
ホルバーン美術館
ホルバーン美術館は、グレート・パルトニー・ストリートの端にある美術館です。
主にトーマス・ウィリアム・ホルバーン卿のコレクションが展示されている美術館で、とくに上階は、18世紀の文化をテーマに、磁器、絵画、彫刻が展示されています。ロケ地としても度々利用され、最近の作品ではNetflixで配信されたドラマ「ブリジャートン家」で利用されました。
建物と庭園自体も、歴史的なもので、「イギリス指定建造物」のグレードIに指定されています。元はホテルとして設計れていました。
ビクトリア・アート・ギャラリー
ビクトリア・アート・ギャラリーは、バースの公立美術館で、絵画、彫刻、装飾芸術の多種多様なコレクションです。ヘンリー8世のオリジナルのチューダー朝の肖像画や、パウル・クレーの作品などが展示されています。
パルトニー橋のローマン・バス側付近に立っており、バース市街の中でも中央の方にあります。常設コレクションは無料で見学できますので、時間に余裕があれば訪れたい施設です(私が訪れた際は、臨時休業中でした)。
ザ・サーカス
ザ・サーカスは、円環状の道路と、それを囲む建築物の複合体です。円環状の建物は、三か所に道路によって等分に区切られており、中央には緑地スペースがあり、そこでピクニックの様に過ごすこともできます(上の写真は、三か所の道路の内、南を走るゲイ・ストリート側から、パノラマ撮影しています)。
元はキングス・サーカスと呼ばれ、建築様式はジョージアン様式で、建築家ジョン・ウッド親子によって設計・建築され、1768年に完成しました。
ロイヤル・クレッセント
ロイヤル・クレッセントは、その名の通り三日月形に広がる形状が特徴的な美しい集合住宅です。上の写真はパノラマ撮影したものです(なので、中央が直線的に見えてます)。建物だけでかなりの規模があり、正面には広大な公園があります(写真を撮っている位置から先は、一般の方は立ち入り禁止になっていました)。
建物前の道路から撮影すると、三日月形のカーブがよくわかるかと思います。私が訪れた日は、テレビの撮影も行われており、多くの自動車が止まっていました。建物は映画やドラマのロケ地としても度々利用されています。
建物東端(正面の右端)には、博物館とお土産屋の「No.1ロイヤル・クレセント」があり、中央の方にはホテルもあります。博物館では、建物が建てられた18世紀頃の上流階級の生活を再現した内装が展示されています(博物館の詳細や予約はこちら)。
建物は、バース市街の「ザ・サーカス」などを設計したジョン・ウッドの息子が設計しました。内装はジョージアン様式で、地下1階、地上3階建てです。1767年から工事が開始され、1775年に完成しました。
アセンブリー・ルームズ
上流階級の社交場であったこの建物は、第2次世界大戦で一度焼失しましたが、現在は再建されています。
昔はお茶会や舞踏会で賑わい、とくにボール・ルームは「最も高貴でエレガント」と称賛されました。
現在は地下にファッション博物館があるため、「アセンブリー・ルームズ・アンド・ファッション博物館」としても知られています。博物館では、年代毎にドレスが展示されており、約400年の衣装・アクセサリーを楽しめます。
入場料は大人9.5ポンド(オンラインで割引あり)。日本語オーディオガイドが入場料に含まれます。
私が訪れた際は、建物の前に何やら展示がありましたが、臨時休業中だったので、この展示が何を意味していたのか、よくわかりませんでした。
ハウス・オブ・フランケンシュタイン
没入型の観光アトラクションと展示で、フランケンシュタインの世界観を味わえる「ハウス・オブ・フランケンシュタイン」。
「フランケンシュタイン」の作家のメアリー・シェリーは、1816年にバースの街で「フランケンシュタイン」の大半を執筆したそうです。
ちなみに、直ぐ近くに「ジェーン・オースティン・センター」が建っています。
ジェーン・オースティン・センター
ジェーン・オースティン・センターは、作家のジェーン・オースティン・センターに関する博物館です。
ジェーン・オースティンは、バースの中でも有名な作家で、この博物館では当時の生活や社会など、ジェーン・オースティンの作品に影響を及ぼしたものが展示されており、2階はティールームになっています。
ちなみに、直ぐ近くに「ハウス・オブ・フランケンシュタイン」が建っています。
クイーン・スクエア
クイーン・スクエアは、バースの街の中にある広場です。周囲の建物は、バースの再開発の初期の頃に建てられ、設計したジョン・ウッド(父の方)は、この広場にある建物に住んでいたそうです。
ちなみに、広場中央にあるオベリスクはフレデリック・ルイス (プリンス・オブ・ウェールズ)を記念して1738年に建てられたもので、オリジナルの碑文が残されています。元は21メートルの高さがあったそうですが、1815年の暴風雨で損傷しました。
広場としてはそれほど広くないため、ちょっと見るだけなら5分もかかりません。位置としては、ローマン・バスの北西、ロイヤル・クレッセントの南東のあたりです。
サリー・ランズ
サリー・ランズは、バース市街でも最も古い建物とされるものの一つです。
1680年にフランスでの迫害から逃れてきたユグノー難民、ソランジュ・ルヨンがやって来て、パンの販売を始めたことが起源とされています。フランス語に不慣れだった同僚が、ソランジュの名前を「サリー・ラン」と呼んだため、パンは「サリー・ラン・バン」と呼ばれたとされています。これらのサリー・ランズの起源に関する話は、サリー・ランズの地下室にある小さな博物館で解説されていますが、これらの話の根拠となる証拠はほとんどなく、ユグノー難民であるサリー・ランの話は伝説とも言われています。
ただし、起源が古い事は確かであり、20世紀に行われた地下室の調査では、ローマ時代まで遡る多く遺物が発見されており、現在の建物は少なくとも1482年頃から存在したと考えられています。
名物の「サリー・ラン・バン」は、現在も建物内のレストランで食べることができます。甘い料理に使う場合は、パンの上部、しょっぱい料理に使う場合はパンの下部が利用されるそうです(注文で、逆の部位を利用もできるそうです)。
サーメ・バース・スパ
イギリスで唯一の天然温泉地であるバースの、実際に入浴できるスパ施設です。
温水プールや、スチーム・ルーム、カフェなどを楽しむ事ができ、内装は主にバースが再開発されたジョージアン様式ですが、赤外線室やアイス・チャンバーなどは近未来的なデザインになっています。
マッサージや玄武岩の熱を使ったホットストーン・スパ・セラピーなど、温泉以外でも体を癒すサービスが充実しているため、英語が得意で、ゆっくりと観光できる人であれば、じっくり楽しんでみてもいいでしょう。
入口前のマーク。日本の温泉マークにちょっと似てます。建物にあったマーク。温泉マークかと思ったら、関係のない銀行のマークでした。
プライヤー・パーク
プライヤー・パークは、バースの南の方にある18世紀の風景式庭園です。庭園は、ブレナム宮殿の庭園も手掛けた18世紀の造園家ケイパビリティ・ブラウンが手がけました(ただし、どの程度のかかわったかは不明)。
1755年に建てられたパラディオ橋が有名で、同じデザインのパラディオ橋は世界で4つしかありません。
他の見どころから離れた場所にある為、訪問の際は移動時間には注意が必要です。
その他の「観光スポット」と「絶景スポット」
バースの観光サイトに「観光スポットトップ10」と「必見スポットトップ10(意味合い的には、絶景スポット)」がまとめられていました。
これらのスポットの中には、ここまでで紹介したもの以外に「バース・スカイライン・ウォーク」「アレクサンドラ・パーク」「グリーン・パーク・ステーション」があります。
絶景スポットの方については、外観を楽しむだけならお金はかかりませんので、スケジュールに余裕があれば、訪問前にチェックしておいてもいいでしょう。
バース市街と一緒に行ってみたい観光地
バースに短時間滞在する場合
もしも「バースは2時間ほど観光できれば十分」という人であれば、日本語バスツアーを使って「ウィンザー城」や「ストーンヘンジ」とセットで観光するのがおすすめです。交通費や移動時間などを考えると、効率的に観光できます。
ただし、2時間ではかなり観光できるスポットは限定されます(ローマン・バスは、じっくりオーディオガイドを使うと2時間で終わらない可能性があります)。1回目はバスツアーで訪れてみて、気に入ったらバース単体で観光してみるのもいいでしょう。
「ヨーロッパの大温泉保養都市群」を巡ってみる?
「バース市街」は1987年に世界遺産登録されているのですが、その後「ヨーロッパの大温泉保養都市群」という形で、ヨーロッパの温泉地11か所が世界遺産に登録された際、バースも登録されています。
ちなみに「ヨーロッパの大温泉保養都市群」は全部で7か国。場所は以下の通りです。
- バーデン・バイ・ウィーン(オーストリア)
- スパ(ベルギー)
- フランティシュコヴィ・ラーズニェ(チェコ)
- カルロヴィ・ヴァリ(チェコ)
- マリアーンスケー・ラーズニェ(チェコ)
- ヴィシー(フランス)
- バート・エムス(ドイツ)
- バーデン=バーデン(ドイツ)
- バート・キッシンゲン(ドイツ)
- モンテカティーニ・テルメ(イタリア)
- バース(イギリス)